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:2011:08/08/11:30 ++ サムスンやアップルに負けないためには(社説)
日本企業の世界市場でのシェアが様々な分野で揺らいでいる。理由は円高だけではない。原因を突き詰め、対応を進める必要がある。
日本経済新聞が最近まとめた2010年の世界シェア調査では、32の製品・サービスのうち10品目で日本企業が1位を占めた。だが、自動車やIT(情報技術)関連など、そのうち6品目では、最大手メーカーがシェアを落としている。
多様な技術束ねる力を
家電では日本企業が世界市場で圧倒的なシェアを握る製品が、ビデオカメラなどごく一部になった。薄型テレビでは韓国のサムスン電子、LG電子が1位、2位を続けている。国内のエコポイントの効果で日本企業もシェアを少し上げたが、ほとんどの企業は激しい価格競争の中で採算割れだという。シェアが取れないし、利益も出ない。そんな悪循環に日本企業は陥っている。
新興国市場への食い込みで先行しウォン安の追い風も受けるサムスンなど韓国勢に加え、中国企業も台頭してきた。東大の小川紘一特任教授は、新興国企業が力を付けた結果、ハイテクの分野でも製品のコモディティー(市況商品)化が速くなってきたと指摘する。
多くの日本企業で、売り上げのかなりの部分を市況商品化した製品が占めている。だが、利益が出にくいとわかっていても、売上高を確保するために、日本企業は製品をつくり続け、売り続けている。
こうした状況から早く脱する必要がある。そのためにはビジネスモデルの見直しが欠かせない。
米アップルはスマートフォン(多機能携帯電話)の「iPhone」やタブレット型端末の「iPad」が好調だ。これらの製品は音楽再生やパソコンの役割を担うとともに写真撮影やゲームの機能も取り込み、日本のデジタルカメラ、ゲーム機、カーナビメーカーの市場もじわじわと奪いつつある。
多くの機能を束ねた製品を開発して、激しい価格競争にさらされるのを避け、高い収益を生む。さらにネットワークでつながり、音楽や映像、ゲーム配信などのサービスにもビジネスを広げる稼ぎ方だ。
こうした経営のあり方を参考にできないか。重要なのは、最初にできるだけ大きな経営の絵を描き、足りないものは他の企業の手を借りるという考え方だ。アップルはスマートフォン生産を中国企業に委託し、ゲームも音楽もソフトは自分ではつくらない。だが、もうけの源泉になる端末技術は自ら押さえ、幅広いサービスも一手に管理している。
これと共通する手法で成功した企業は日本にもある。
例えば、三菱化学は映像やデータをDVDに安定的に記録するための色素を開発したが、すぐには売らなかった。まずは製造装置メーカーとこの色素を使ったDVDの量産技術を確立し、新規参入しようとする新興国の企業に作り方を教えて歩いた。材料そのものは三菱化学から買うことになる。その結果、DVDの9割は三菱化学の色素を使って生産されるようになったという。
重要なのは大きな絵を描いて技術を束ね、付加価値を高める総合力だ。それは幅広く技術を蓄積する日本企業の活路にもなるはずである。
消費財を単品で売らず、サービスやインフラなどとも組み合わせて売るといった発想も必要な時代だ。
パナソニックは今年春、三洋電機とパナソニック電工を完全子会社化した。日立製作所と三菱重工業も社会インフラや環境・エネルギー分野で事業統合を進める。
国の経営モデルも必要
パナソニックは広範なニーズにまるごと応えられる製品やサービスのラインアップ作りを進める。テレビや照明を単品で売れば価格競争に陥るが、設計や施工、保守点検も含めて売れば、消費者も便利になりグループ全体の相乗効果も高まる。
日立や三菱重工は電力や鉄道などで規模のメリットを目指す。世界のインフラ関連需要は2030年までに累計3000兆円以上に達するという。この巨大な需要を取り込もうと世界で再編巨大化が始まっており、経営基盤強化は待ったなしだ。
日本は市場規模の割に家電や自動車などの社数が多く、国内勢同士の競争で企業は体力を消耗してきた。産業界が生き残りを懸け事業の選択と集中に取り組みだしたことは大きな進歩だ。こうした再編をもっと促し世界での存在感を高めたい。
世界市場で戦えるビジネスの環境整備は国の重要な課題だ。世界中から人材や技術、資本を集め、産業の競争力を高めるには税制や規制の見直しも要る。官民ファンドも戦略的に使いたい。韓国は法人税や電気料金を政策的に下げ、自由貿易協定にも積極的だ。世界市場で競争するには、総力戦で負けないような「国の経営モデル」も問われる。
日本経済新聞が最近まとめた2010年の世界シェア調査では、32の製品・サービスのうち10品目で日本企業が1位を占めた。だが、自動車やIT(情報技術)関連など、そのうち6品目では、最大手メーカーがシェアを落としている。
多様な技術束ねる力を
家電では日本企業が世界市場で圧倒的なシェアを握る製品が、ビデオカメラなどごく一部になった。薄型テレビでは韓国のサムスン電子、LG電子が1位、2位を続けている。国内のエコポイントの効果で日本企業もシェアを少し上げたが、ほとんどの企業は激しい価格競争の中で採算割れだという。シェアが取れないし、利益も出ない。そんな悪循環に日本企業は陥っている。
新興国市場への食い込みで先行しウォン安の追い風も受けるサムスンなど韓国勢に加え、中国企業も台頭してきた。東大の小川紘一特任教授は、新興国企業が力を付けた結果、ハイテクの分野でも製品のコモディティー(市況商品)化が速くなってきたと指摘する。
多くの日本企業で、売り上げのかなりの部分を市況商品化した製品が占めている。だが、利益が出にくいとわかっていても、売上高を確保するために、日本企業は製品をつくり続け、売り続けている。
こうした状況から早く脱する必要がある。そのためにはビジネスモデルの見直しが欠かせない。
米アップルはスマートフォン(多機能携帯電話)の「iPhone」やタブレット型端末の「iPad」が好調だ。これらの製品は音楽再生やパソコンの役割を担うとともに写真撮影やゲームの機能も取り込み、日本のデジタルカメラ、ゲーム機、カーナビメーカーの市場もじわじわと奪いつつある。
多くの機能を束ねた製品を開発して、激しい価格競争にさらされるのを避け、高い収益を生む。さらにネットワークでつながり、音楽や映像、ゲーム配信などのサービスにもビジネスを広げる稼ぎ方だ。
こうした経営のあり方を参考にできないか。重要なのは、最初にできるだけ大きな経営の絵を描き、足りないものは他の企業の手を借りるという考え方だ。アップルはスマートフォン生産を中国企業に委託し、ゲームも音楽もソフトは自分ではつくらない。だが、もうけの源泉になる端末技術は自ら押さえ、幅広いサービスも一手に管理している。
これと共通する手法で成功した企業は日本にもある。
例えば、三菱化学は映像やデータをDVDに安定的に記録するための色素を開発したが、すぐには売らなかった。まずは製造装置メーカーとこの色素を使ったDVDの量産技術を確立し、新規参入しようとする新興国の企業に作り方を教えて歩いた。材料そのものは三菱化学から買うことになる。その結果、DVDの9割は三菱化学の色素を使って生産されるようになったという。
重要なのは大きな絵を描いて技術を束ね、付加価値を高める総合力だ。それは幅広く技術を蓄積する日本企業の活路にもなるはずである。
消費財を単品で売らず、サービスやインフラなどとも組み合わせて売るといった発想も必要な時代だ。
パナソニックは今年春、三洋電機とパナソニック電工を完全子会社化した。日立製作所と三菱重工業も社会インフラや環境・エネルギー分野で事業統合を進める。
国の経営モデルも必要
パナソニックは広範なニーズにまるごと応えられる製品やサービスのラインアップ作りを進める。テレビや照明を単品で売れば価格競争に陥るが、設計や施工、保守点検も含めて売れば、消費者も便利になりグループ全体の相乗効果も高まる。
日立や三菱重工は電力や鉄道などで規模のメリットを目指す。世界のインフラ関連需要は2030年までに累計3000兆円以上に達するという。この巨大な需要を取り込もうと世界で再編巨大化が始まっており、経営基盤強化は待ったなしだ。
日本は市場規模の割に家電や自動車などの社数が多く、国内勢同士の競争で企業は体力を消耗してきた。産業界が生き残りを懸け事業の選択と集中に取り組みだしたことは大きな進歩だ。こうした再編をもっと促し世界での存在感を高めたい。
世界市場で戦えるビジネスの環境整備は国の重要な課題だ。世界中から人材や技術、資本を集め、産業の競争力を高めるには税制や規制の見直しも要る。官民ファンドも戦略的に使いたい。韓国は法人税や電気料金を政策的に下げ、自由貿易協定にも積極的だ。世界市場で競争するには、総力戦で負けないような「国の経営モデル」も問われる。
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