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:2011:09/07/10:43 ++ 第7部液晶パネル大統合(5)サムスン独走許すな(電機の選択)終。
有機EL開発へ覚悟
「堂々とは配れないのですが」。今年8月、シャープ幹部が液晶製造装置メーカーの社長に手渡した名刺には意外な部署名が記されていた。「有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)開発推進本部」
ひっそりと準備
有機ELは自発光の有機材料を使うパネル技術。液晶で必要なバックライトやカラーフィルターが不要で、液晶よりも薄型・高精細化が可能と言われる。ただ、量産技術の確立が難しく本格普及が遅れている。
だからこそ、シャープは「液晶の次は液晶」と公言し続けてきた。その姿勢に変化が表れたのは4月。液晶パネルの組織を、テレビ用の大型と、スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)などに使う中小型に分けた。その際、中小型を扱う組織名は「ディスプレイデバイス開発本部」と「同事業本部」となった。「液晶」の言葉を外したのだ。
シャープが有機ELを開発していることは、かねて噂されていた。今春、ひっそりと専門部署を立ち上げた事実は、事業化準備へとステージを一段引き上げたことを意味する。
「液晶の次」をにらんで動くのはシャープだけではない。ある有機EL製造装置大手の幹部は「ここ2~3カ月で国内外のパネルメーカーからの引き合いが急増した」と明かす。東芝、日立製作所、ソニーの3社が2012年春に設立する中小型液晶の新会社も有機ELの量産をにらむ。
有機ELの量産機運が急速に高まってきた背景には、韓国サムスン電子の成功がある。
「画面がきれいで動作が速い」。都内の家電量販店で、サムスンの「ギャラクシーSII」を購入した女性は理由をこう話す。有機ELを搭載したSIIの世界販売台数は、4月末の発売からわずか85日間で500万台を突破。4~6月期のスマホの世界販売台数では米アップルの「iPhone」(2023万台)に次ぐ2位に浮上した。
9月2日にベルリンで開幕した独家電見本市「IFA」でもサムスンは有機ELを採用したタブレット端末など新製品を発表。同社のブースは多くの来場者でにぎわった。今や世界の有機ELパネル市場の8割を握り、「有機ELといえばサムスン」のイメージを作り上げつつある。
バックライトにLED(発光ダイオード)を採用した液晶テレビを「LEDテレビ」と命名し、世界的にヒットさせた手法をほうふつさせる。
技術の補完カギ
出遅れた日本勢は挽回できるのか。そのカギを握るのはやはり3社連合による新会社だ。高精細で消費電力の少ないパネルをつくるための要素技術を3社がそれぞれ蓄積しており、相互に補完性があるからだ。
東芝の強みは「低温ポリシリコン」と呼ぶ電極材料を効率良く生産する技術。ガラス基板上に配列する電極を小さくできるため、光の透過率を高め美しい映像を表示できる。日立はキヤノンと有機EL技術を共同で開発してきた。キヤノンの100%子会社のトッキは有機ELパネルの装置開発で最先端を行く。
ソニーは07年に世界初となる11型の有機ELテレビを発売した。テレビの国内販売は終了したが、放送局などで使う25型と17型の有機ELモニターを生産しており、コスト削減のメドさえ立てばいつでも事業化できる技術はある。
東芝の佐々木則夫社長は「サムスンより低消費電力技術で優れている。相当の覚悟で臨む」と話す。かつてシャープは液晶の用途をパソコンやテレビだけでなく、ゲームや携帯電話などに広げて普及をけん引した。将来は紙のように薄くしたり、折り曲げたりできる有機ELも、液晶の単純な置き換えにとどまらせない発想が求められる。
(第7部おわり)
「堂々とは配れないのですが」。今年8月、シャープ幹部が液晶製造装置メーカーの社長に手渡した名刺には意外な部署名が記されていた。「有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)開発推進本部」
ひっそりと準備
有機ELは自発光の有機材料を使うパネル技術。液晶で必要なバックライトやカラーフィルターが不要で、液晶よりも薄型・高精細化が可能と言われる。ただ、量産技術の確立が難しく本格普及が遅れている。
だからこそ、シャープは「液晶の次は液晶」と公言し続けてきた。その姿勢に変化が表れたのは4月。液晶パネルの組織を、テレビ用の大型と、スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)などに使う中小型に分けた。その際、中小型を扱う組織名は「ディスプレイデバイス開発本部」と「同事業本部」となった。「液晶」の言葉を外したのだ。
シャープが有機ELを開発していることは、かねて噂されていた。今春、ひっそりと専門部署を立ち上げた事実は、事業化準備へとステージを一段引き上げたことを意味する。
「液晶の次」をにらんで動くのはシャープだけではない。ある有機EL製造装置大手の幹部は「ここ2~3カ月で国内外のパネルメーカーからの引き合いが急増した」と明かす。東芝、日立製作所、ソニーの3社が2012年春に設立する中小型液晶の新会社も有機ELの量産をにらむ。
有機ELの量産機運が急速に高まってきた背景には、韓国サムスン電子の成功がある。
「画面がきれいで動作が速い」。都内の家電量販店で、サムスンの「ギャラクシーSII」を購入した女性は理由をこう話す。有機ELを搭載したSIIの世界販売台数は、4月末の発売からわずか85日間で500万台を突破。4~6月期のスマホの世界販売台数では米アップルの「iPhone」(2023万台)に次ぐ2位に浮上した。
9月2日にベルリンで開幕した独家電見本市「IFA」でもサムスンは有機ELを採用したタブレット端末など新製品を発表。同社のブースは多くの来場者でにぎわった。今や世界の有機ELパネル市場の8割を握り、「有機ELといえばサムスン」のイメージを作り上げつつある。
バックライトにLED(発光ダイオード)を採用した液晶テレビを「LEDテレビ」と命名し、世界的にヒットさせた手法をほうふつさせる。
技術の補完カギ
出遅れた日本勢は挽回できるのか。そのカギを握るのはやはり3社連合による新会社だ。高精細で消費電力の少ないパネルをつくるための要素技術を3社がそれぞれ蓄積しており、相互に補完性があるからだ。
東芝の強みは「低温ポリシリコン」と呼ぶ電極材料を効率良く生産する技術。ガラス基板上に配列する電極を小さくできるため、光の透過率を高め美しい映像を表示できる。日立はキヤノンと有機EL技術を共同で開発してきた。キヤノンの100%子会社のトッキは有機ELパネルの装置開発で最先端を行く。
ソニーは07年に世界初となる11型の有機ELテレビを発売した。テレビの国内販売は終了したが、放送局などで使う25型と17型の有機ELモニターを生産しており、コスト削減のメドさえ立てばいつでも事業化できる技術はある。
東芝の佐々木則夫社長は「サムスンより低消費電力技術で優れている。相当の覚悟で臨む」と話す。かつてシャープは液晶の用途をパソコンやテレビだけでなく、ゲームや携帯電話などに広げて普及をけん引した。将来は紙のように薄くしたり、折り曲げたりできる有機ELも、液晶の単純な置き換えにとどまらせない発想が求められる。
(第7部おわり)
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