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ひで坊な日々

主に私の仕事と信条に関わるメディアからの備忘録と私の日常生活から少し・・・                             
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:2007:12/11/11:21  ++  12月11日 メガネ受け取り

メガネ21にて今日新しく作ったメガネを受けとった。
 45,800円也
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:2007:12/11/10:01  ++  【やばいぞ日本】第5部 再生への処方箋(7)コメ作りは海外に飛び出した

うまいコメづくりの適地は海外にもあるのだろうか。

 豊かな水と低地が広がり、適度な湿度が必要だ。地球儀をぐるりと回して、日本の北緯35度前後とはちょうど逆の「南緯35度」で探す。

 日本と気象条件がよく似ている南米ウルグアイにそれはあった。かつて米国のカリフォルニア州でコメづくりに励んだ田牧一郎さん(62)と、雑誌『農業経営者』の編集長、昆吉則さん(58)らが適地を絞り込んだ。

 なにかと政治が介入する日本を離れ、外地でジャポニカ米をつくる。日本人による日本向け逆輸出の試みだ。コメづくりの現場は今、政治の思惑を飛び越えて変化のスピードが速い。

 田牧さんに初めて会ったのはカリフォルニアの穀倉地帯だった。福島出身の彼が西海岸にやってきて1年が経過した1990年の暑い夏だ。

 「農業をむしばむ日本の食管制度と離れたかった」

 これが田牧さんを米国に向かわせた最大の理由だ。この年に初出荷した第1号米に「田牧」の名を冠した。

 田牧さんが日本を離れたのは農業疎開だった。耕作面積が狭く、政府の食糧管理制度でがんじがらめのコメづくりに嫌気がさした。郡山市では田植えから収穫まですべてを機械化した。だが、1枚の田んぼが狭すぎて機械力が発揮できない。広げようにも、食管制度に守られた兼業農家が土地を放さない。

 家族を説得して州都サクラメントから北へ1時間半のウイリアムス村で200エーカー(約80ヘクタール)の水田を手に入れた。

 食管制度とは戦時下にできた欠乏時代の法律で、そこに既得権益にぶら下がる人と組織がつくられた。1968年ごろからコメがあまりはじめ、減反政策でコメをつくるよりも転作奨励金をもらう方がもうかる時代があった。

 食管法も12年前になくなり、生産者が農協に頼らずとも台所への直送が可能になった。スーパーでよく見る「〇〇農園のトマト」「××農場のホウレンソウ」もそうだ。

 昆さんに言わせると、空腹の時代から過剰の時代に潮目が変わった。

 「いまや、女性のダイエットから見えてくるのは過剰の中の栄養失調でしょう。消費者が何を求めるかが重要なのに、政治はいまだに旧ソ連のコルホーズ集団農場)のようなことをやっている」

 グラフを見ていただくと一目瞭然(りょうぜん)だ。日本、台湾、韓国、中国の1人当たりのコメ消費量はいずれも減少傾向にある。逆に、豚や鶏肉の消費量は右肩上がりに増える。

 食の多様化が進む日本では、欲しいモノなら高値でも買うが、欲しくないモノはタダでもいらないというぜいたくな消費行動に変わった。

 消費者を振り向かせるには知恵がいる。山形県庄内のコメ生産者、佐藤彰一さん(53)は、発想の転換としてこんな例をあげる。

 消費者が好んで買うコメは小ぶりの5キロ袋が多い。核家族化どころか、いまは夫婦2人の家庭が増えて、いかにも10キロ袋では多すぎる。それを都会の八百屋の店先で、158円のホウレンソウの隣に、やはり158円の2合袋(300グラム)のコメを並べる。

 「ホウレンソウを1カ月分も買う人はいない。コメもその日に食べる分だけを買いたい人がいるはずです」

 いわばパラダイム転換か。田牧さんは「田牧米」のブランドを米国人に売って、いまは日米をつなぐコメのコンサルタントをしている。その田牧さんと昆さんが組んで、ウルグアイなど海外で「メード・バイ・ジャパニーズ」を着々と進めている。

                   ◇

 ■政治のおせっかいは農業に不要

 北にそびえる鳥海山に初冠雪があると、山形県の庄内平野に白鳥たちが舞い降りてくる。収穫を終えた後の田んぼで落ち穂拾いをするためであるという。

 そんな美しい田園風景の中で、いま、農業経営者たちを悩ます一大事が起きている。

 「何が“やばい”かといって、またも政治が農業に口出ししてきたことです。彼らがバラマキ農政に先祖返りしつつあることだ」

 庄内平野の真ん中で、8人のコメ農家が自立してつくった販売会社「米(べい)シスト庄内」の面々が口をそろえる。自身でもコメをつくる社長の佐藤彰一さん(53)に言わせるとこうだ。

 先の参院選では、財源が怪しいのに民主党が農家への直接支払いを約束して大勝した。単なる農家の政治離れなのに、彼らはバラマキ戦術が成功したように錯覚する。とたんに自民党の農林族が浮足立ってきたのだという。

 政治家は、コメ余りが農協などによる消費者のニーズを誤った結果だとは考えない。農林族は余った分を政府備蓄米の積み増しで吸収し、補助金を小規模農家に拡大して支持を引き戻そうとする。

 農家を生かさず殺さず、じいちゃん、ばあちゃんが細々とでも続けることが文字通り「票田」の維持につながる。自立の動きを無視し、農家が「政治に頼る仕組み」でつなぎ留めようとしている。

 佐藤さんはこの時代錯誤に憤る。日本のコメづくりは「つくったから買ってくれ」という時代から、「売れなければつくれない」時代へと大きく転換しているのだという。

 佐藤さんらが1998年に「米シスト庄内」を発足させたのは、山形県の新品種「はえぬき」ができて試食会を開いたことがきっかけだ。消費地を視察して、都内で売られている庄内産のササニシキも買ってきた。みんなで試食してみて、「これがササか」とあまりの違いに驚いた。

 生産者がどんなにうまいコメをつくっても、流通しだいでコメはとたんに劣化する。

 気の合う仲間の間で怒りをぶつけ合ううちに、農協から離れる決断をする。共同でコメの乾燥施設をつくり、まもなく「米シスト庄内」を組織して、直接販売を開始した。

 同じころに農協が4倍の規模の乾燥施設をつくった。ところが、米シストの固定資産税は183万円も徴収するのに、農協施設は公共性が高いからと無税だった。

 「正直ムカッとしたけど、この183万円分をいかにコスト削減で浮かすことができるかを考えた。おかげで、経営感覚をみがくことができた」

 8人がコメづくりで互いに競争し、力を合わせて販路を広げた。いまや経営面積は、稲作が東京ドーム20個分の93ヘクタールになり、ブルーベリー栽培にも乗り出して年間売り上げは2億3000万円にまで成長した。

 農業委員で養豚業を営む上野幸美さん(48)は、時の流れをしみじみと語った。つい最近、地元の農村青年部が自民党の大物農林族議員を招いたものの、会場にはたった40人しか集まらなかったという。

 「時代は変わりましたね。必要なのは、補助金ではなく自由です」(湯浅博)

:2007:12/11/09:56  ++  【やばいぞ日本】第5部 再生への処方箋(6)

■戦闘美少女に「日本」凝縮

 イタリアの大手紙「ラ・レパブリカ」が発行するカルチャー雑誌「XL」に、大阪出身のアートディレクター、Julie(ジュリ)さんの写真集「SAMURAI GIRL(サムライ・ガール)」が4ページにわたって取り上げられたのは、昨年4月だった。

 メード、ロリータファッション、セミヌードなど、さまざまなコスプレ(仮装)をした女の子と、秋葉原の街並みを合成した写真について、XLの記事はこう解説していた。

 「マンガやアニメの登場人物になりきる若者たちは、特異な存在ではない。実生活に幻想が溶け込んだ今の東京が表現されている」

 ファッション誌「VOGUE」や香港誌「MONDAY」も相次いで掲載し、写真集は世界的な注目を集めた。

 あどけない笑顔は10代の少女のようにもみえるジュリさん。年齢をたずねると「それは秘密に…」。本名もふせて、という。ミステリアスな雰囲気も魅力の一つなのだ。

 写真集を出すきっかけになったのは、1枚のコスプレ写真だった。「リボンの騎士」や「風の谷のナウシカ」「セーラームーン」など日本のマンガやアニメ、ゲームのキャラクターに欠かせない戦うヒロイン「戦闘美少女」たちをイメージした写真であった。

 ビキニのセクシーな衣装、首や腕に巻きつけた透明なチューブ、青白い光を放つ日本刀が、SFをほうふつさせる。

 「遊び半分で撮った1枚が評価されて、海外で写真集を出すことになるなんて…。夢にも思いませんでした」。ジュリさんはそう振り返る。

 子供のころからマンガが好きで、中学生のころはマンガ家になるのが夢だった。

 「クラスでは、地味な存在。放課後は図書館にこもって、マンガばかり描いていました」

 「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエスト」など、ゲームの登場人物を題材にしたパロディーを描いては、同人誌に発表した。同人誌を売買するコミックマーケットには、必ず大好きなキャラクターのコスプレをして出かけたという。

 「写真を始めたのも、そのころから。マンガ家になるには実力が足りなかったけど、ダサいイメージのオタク文化をかっこよく撮りたいなぁと思うようになったんです」

 芸術系の大学に進学したものの、思っていた勉強ができず、1年で中退した。タレントなどを経験した後、本格的に写真の世界へ。

 転機が訪れたのは、フリーカメラマンとして下積み生活を送っていた4年前。作品が知人に紹介されたイタリア人編集者の目にとまり、こう誘われた。

 「あなたの作品に今の日本が詰まっている。イタリアで日本の写真集を作ってみないか」

 与えられたテーマは「日本らしさ」。漠然とした指示にとまどい、客観的に考えてみようと、イタリアに住むことにした。地元の若者と交流するなかで見えてきたのは、日本のマンガやアニメの浸透ぶりだ。

 「日本のアニメがほぼリアルタイムで放送されていることに驚きました。会話して盛り上がるのは『NARUTO(ナルト)』や『ONE PIECE(ワンピース)』といったマンガのことばかり。日本らしさって、歌舞伎とか芸者とか、伝統的なものかと思っていたけど、それだけじゃない。マンガ文化なんです」

 それが、ジュリさんの見つけた「答え」だった。

 ■「漢字と八百万の神々」パワー

 なぜ、日本のマンガがこれほど世界の若者を魅了するのか。

 京都精華大学マンガ学部長の牧野圭一氏は「『漢字』と『八百万(やおよろず)の神々』という日本固有の文化の帰結」と説明する。

 例えば、「重」という漢字がある。日本人なら文脈から「かさねる」「おもい」「え」「ジュウ」「チョウ」…と、瞬時に意味や読み方を判別できる。

 「マンガも漢字と同じ。読者は1コマの絵をみて、パッとその意味を読み取り、自由なイメージをふくらませる。そういう文化が背景にあるから、日本のマンガ家は1コマに必要以上の背景などを描き込まない。伝えたい内容だけを描く。結果的に外国人でも子供でもひと目で分かる伝達力のある作品になる」

 もう一つ。牧野氏は日本マンガの豊かなストーリー性について「森羅万象に神が宿るという日本固有の精神性が下地になっている」と指摘する。

 「偶像崇拝を禁止する一神教と異なり、日本は神様や神獣も自在に造形、擬人化する国。そんな寛容な風土がストーリーやキャラクターの自由な表現を可能にしているのではないか」

 例えば、欧米の悪魔といえば、人間にとって恐ろしい存在だが、日本の鬼や天狗(てんぐ)や閻魔(えんま)大王は、どことなく人間くさい存在として描かれる。「怖いものも決して排除しない。愛嬌(あいきょう)のあるキャラクターにしてしまう」。それは共生の思想といえるかもしれない。

 八百万の神々を崇(あが)めるように、外来のあらゆるものを許容し受け入れるのが日本文化の特性だ。そこから多様なストーリーが生まれる。「マンガを通して、世界の人々は知らず知らずのうち、日本の精神文化のとりこになっている」

 毎年夏、名古屋で開催される「世界コスプレサミット」は、日本のマンガ、アニメの世界的な人気ぶりを如実に表すイベントだ。

 5回目の今年は、独、伊、仏、スペイン、デンマーク、中国、韓国、タイ、シンガポール、メキシコ、ブラジル、日本の計12カ国が参加。予選を勝ち抜いた各国代表が2人1組で、衣装やパフォーマンスを競い合った。

 「各国の演技を見て驚かされるのは、マンガに関する豊富な知識と、流暢(りゅうちょう)な日本語」と、サミットを主催するテレビ愛知の加藤万理さん。

 今年優勝した仏代表は珠黎(しゅれい)こうゆさんのマンガ「ALICHINO(アリキーノ)」のコスプレで、「ガンダム」「ドラゴンボール」「デスノート」など日本の名作のパロディーを披露。約1万人の日本人ファンを沸かせた。

 日本語を学ぶ外国人も急増している。独立行政法人・国際交流基金の調査によると、平成18年の日本語学習者数は133カ国・地域で297万9820人。3年前(235万6745人)に比べて26%も増加した。

 同基金の日本語事業部長、嘉数勝美さんは「マンガやアニメが直接的な原因とはいえないが、海外の子供たちが日本語を学ぶ動機づけに役立っているのは間違いない」と指摘する。

 日本の魅力に気付いていないのは案外、日本人かもしれない。(大衡那美)
SFをほうふつさせる「戦闘美少女」のコスプレをしたジュリさん(左)

:2007:12/11/09:54  ++  【やばいぞ日本】第5部 再生への処方箋(5)米に500万人の「日本びいき」

日常的に日本文化にふれ、興味を持ち、日本から刺激を受けている500万人の集団が、米国に生まれた。

 米国でのマンガ、アニメブームの仕掛け人といわれる堀淵清治(ほりぶちせいじ)さん(55)の見立てである。サンフランシスコのオフィスで、こう数字をあげて話し始めた。

 「SHONEN JUMP(少年ジャンプ、男子向けマンガ雑誌)が実売で月に20万~30万部出ている。SHOJO BEAT(少女ビート、女子向け)は約3万部だ。それが最低3、4人には回し読みされていることが、読者アンケートから明らかになっている。つまり、約100万人の米国人が、僕らを通して毎月、日本の文化に触れているわけだ」

 「むろん、僕ら以外にもマンガは出版されているし、ゲームや映画といった他の分野経由での日本への関心も大きくなっている。ざっとひっくるめて、日本びいきの500万人くらいの集団が、米国に生まれたと考えていい」

 彼ら彼女らは、少々変わり者かもしれない。だが、平均年齢15歳と若く、日本に理解と親近感を持ち、そしておそらくは知的にも柔軟な層である。「この500万人のかたまり。日本にとって宝物だと思う」

 1975年に渡米。現地の大学を中退し、山中のコミューンで共同生活を送るなど、筋金入りのヒッピーだった堀淵さん。堅苦しい議論は性に合わないという。本来はミュージシャン志望だった。

 86年、日本のマンガを米国で売るという、当時は奇想天外に思えた理想を掲げ、社員4人だけで発足したビズメディアは、今、年商90億円を売り上げるまでに成長した。これまでに手がけたタイトルは「カムイ外伝」「ポケモン」「うる星やつら」などだ。

 今や一般書店の売り場を「グラフィック・ノベル」、つまり日本発祥のマンガが占拠する時代である。

 全米最大のマンガ、アニメの祭典「サンディエゴ・コミコン」には今年約13万人が押し寄せた。いわゆる「アメリカン・オタク」は米社会に着実に定着しつつある。

 もっとも創業当時は、そんなブームが来るとは想像もしなかった。

 「経済の効率化と合理化だけで動く現代米国は、文化的にはもはや不毛の地だ。若者たちは文化に飢えている。そこに、日本のポップカルチャー(大衆に好まれる文化)がすっぽりとはまった」

 堀淵さんは、ブームの背景をこう分析する。

 ただし、堀淵さんは、自分自身を「オタク」とも、マンガの伝道師とも思ったことはない。

 「確かにアニメ、マンガはおもしろい。だけどもっとおもしろいのは、そういうものを作り出す総合体としての日本という存在でしょう」

                   ◇

 ■若者の文化的飢えを満たした

 「クール・ジャパン」などと、海外における日本のポップカルチャーへの熱狂が語られて久しい。

 だが一方で、それは特別なマニアに限られた熱狂を大写しに引き延ばしただけではないか、という懐疑も根強い。

 米国に出現した、日本びいきの「500万人のかたまり」。堀淵氏のいう、この集団について考えてみることは、もう少し正確に日本の存在感を測定するために役立つかもしれない。

 彼らはむろん、今の米社会の主流層ではない。マンガ、アニメといった文化自体が、「サブカルチャー」(社会の主流層ではない少数が担い手となる文化)として機能しているのは、米国でも変わりない。

 「“アメリカン・オタク”は日本と違って屈折していない、といわれるが、それは自分自身を自分がどう思っているかについての違いであって、周囲はやはり“ヘンな連中”とみている(笑)」

 とはいいながら、サブカルチャーに限ってみれば、日本の存在感は絶大だ、と堀淵氏はいう。

 「かつて米国はサブカルチャーの中心だった。それが効率化と合理化を追求する中で次第にその地位を失い、今や若者の欲求に応えるようなサブカルチャーが存在しない。だから、日本が受け入れられた」

 3億人に達する米国の総人口の中で、500万人といえば1・6%。この数字を多いと見るか、少ないと見るか。堀淵さんはいう。

 「産業としてみれば、この数字は微々たるものです。しかし、これからアメリカを背負っていく若い世代が、一部にしろ確実に、日本のおもしろさに触れている。それが、なにより重要だと思うんです」

 堀淵さんは最近、サンフランシスコ日本町に20億円の投資をもとに、最先端の日本文化を紹介する「J・POPセンター」を建設することを決めた。

 日本映画を上映するミニシアターや、東京のストリートファッションを紹介するブティック街が入る「日本のポップカルチャーの殿堂」となる予定だ。

 サンフランシスコの日本町は今ちょうど、再開発の波に洗われ、米資本が入り込む中で将来への不安も語られている。

 「J・POPセンター」の建設は、大きな希望を日系人社会に与えている。

 だが、堀淵さんは「恩返し」のつもりで日本町への進出を決めたわけではない。そもそもビズと地元日系社会とのかかわりはほとんどなかった。

 それに、日本の

先端文化を売り込むには、停滞が著しく古くさい印象を与える日本町のイメージはむしろマイナスかもしれなかった。

 だが、堀淵さんは日本町にこだわった。単にマンガやアニメを売りたいのではない。なんとかしてアメリカ人に、日本というものを伝えたい。ならば、その場所は日本町以外にない…。

 「ダウンタウンのおしゃれなスポットにあったんではだめです。J・POPこそ、日本町になければならなかった」

 会社設立から20年あまり。無我夢中で走ってきた時期を過ぎ、「ここに来て、自分のミッション(使命)が見えてきた」と思うようになった。

 日本の未来にとって重要な意味を持つ「500万人のかたまり」に水をやり、花を咲かせていくこと。元ヒッピー青年がたどり着いた、意外に地道な結論である。(松尾理也

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「Jポップ」がちりばめられたサンフランシスコのオフィスで、「日本売り込み」を練る堀淵さん

:2007:12/11/09:51  ++  【やばいぞ日本】第5部 再生への処方箋(4)「海賊退治になぜ動かない」

海上で黒煙を上げている写真(米海軍提供)を見てほしい。東京の海運会社が所有するパナマ船籍のケミカルタンカー「ゴールデン・ノリ」(6253トン)を襲撃した海賊船のボートが撃沈されたときのものだ。

 海賊に乗っ取られたタンカーを追跡した多国籍軍所属の米駆逐艦「ポーター」が警告射撃のうえ、タンカーに曳航(えいこう)されていたボートを撃沈した。逃走用だった。10月28日、アフリカ大陸東端のソマリア沖で起きた海賊事件の経過である。

 ゴールデン・ノリは引火性のベンゼンなどの化学品を積み、シンガポールからヨーロッパへ向かう途中だった。乗員は韓国人2人、フィリピン人9人、ミャンマー人12人。日本人はいなかった。現在は身代金交渉中ともいわれ、海運会社は「詳しい状況は話せない」とほぼ沈黙を守っている。

 当時、海賊に襲撃されたのはゴールデン・ノリのほか、2隻の韓国漁船、1隻の台湾貨物船など計4隻だった。海賊が出没するこの海域は、スエズ運河を経由して、欧州とアジアを結ぶ海上交通路(シーレーン)に位置する。日夜、シーレーンの安全を守っているのは、米軍などの多国籍軍だということがおわかりいただけるだろうか。

 事件から5日後の11月2日、多国籍軍艦船に6年間、給油支援を展開してきた海上自衛隊の給油艦と護衛艦は撤収した。

 米太平洋艦隊の司令部があるハワイ・ホノルル。2年前から米海軍アドバイザーを務める戦略地政学者の北村淳氏(49)が驚いたのは、海賊事件への米メディアの扱いが日本に比べ、大きいうえ、「日本の船」「日本のタンカー」などと頻繁に紹介されていたことだ。

 この事件を契機に多国籍軍は海賊討伐に本腰を入れ始めた。

 この海域の海賊については、ソマリアの軍閥が後押しし、手に入れた身代金で武器を買い入れ、アルカーイダに横流ししていた。テロリストの資金源を絶つ絶好のチャンスである。

 11月27日には国際海事機関(IMO)が、ソマリア沖の海賊と武装強盗への対応を強化する決議を総会で採択した。この決議は国連に付託され、国連決議となる方向だ。

 世界がシーレーンの安全を守ろうと動いているのに、海賊事件の当事国であり、恩恵を受ける日本は多国籍軍から脱落したまま、動こうとしない。

 ハワイの大学院で教鞭(きょうべん)をとっている旧知の退役海軍大佐は北村氏にこう語った。

 「日本が憲法上の問題を抱えて海自が『実戦行動』を取れないことは承知しているが、撤収は常識的に理解できない。日本はもう何もしないのか」

 退役大佐は、海自の能力を高く評価し、日本が国際共同行動の一員の役割を果たすことで、「普通の国」になると期待していただけに、やりきれない表情をのぞかせたという。

 パールハーバーには12月5日現在、日本のイージス艦「金剛」と「あたご」が停泊している。米側から弾道ミサイル防衛システムを供与されている最中だ。こうした最新鋭のイージス艦を6隻(1隻は来年就役)保有し、哨戒機P3Cを100機稼働させられるのは米海軍以外には日本だけだ。

 海賊討伐のため、日本は護衛艦を出動させ、哨戒機による海上パトロールを実施できる能力を持っている。国会で審議中の新テロ特別措置法案は給油と給水に限定され、海自は、パトロールなどの任務を与えられない限り、対応できない。

 だが、国際社会は、なぜ日本が共に汗をかこうとしないのか、に目を凝らす。日本が今のままの内向きな姿勢では世界から取り残されかねないことを北村氏は危惧(きぐ)している。(鵜野光博、中静敬一郎

                   ◇

 ■海峡の「守り人」には信頼

 日本の最重要シーレーンの一つであるマラッカ海峡の航海の安全を18年にわたって守っているのは佐々木生治(せいじ)さん(56)だ。

 マレー半島とスマトラ島との間に延びる約1000キロのこの海峡を、中東諸国から日本に向かう石油タンカーの約8割が通過する。

 年間9万隻以上の外航船が航行するのに、航路幅は最小で約600メートルと非常に狭い。浅瀬や岩礁も多いため、大型船には交通の難所となっている。

 そのため海上で発光して位置を知らせる航路標識の重要性は高い。日本は1970年代に正確な海図作製に協力するとともに、財団法人マラッカ海峡協議会を通じ、約50カ所の標識のうち30カ所を寄贈した。佐々木さんはそのすべてで敷設前の海洋調査から工事、維持管理までを沿岸国とともに行ってきた。

 「標識の明かりが消えたら、安全のため一刻も早く直さなければならない。船の衝突や標識が壊れたという知らせが入れば、すぐに回収し、代わりの標識を入れるのが私の仕事」

 日々のメンテナンスも重要だ。同海峡の航路標識には巨大な灯台から人の背丈ほどのブイまで5種類がある。特に発光に必要な太陽電池の性能維持には気を使う。寿命が来た電池の取り換えだけではない。

 「大敵は鳥の糞(ふん)です。パネルに落ちても発電量が落ちる。鳥が来ない仕掛けを作り、鳥と知恵比べをしている」

 仕事はすべて、海峡を囲むインドネシア、マレーシア、シンガポールの船員との共同作業だ。一緒に仕事をしてきたインドネシアのイプール・シャイフル船長(43)はこう佐々木さんを評価する。

 「とにかく現場に向かい、3国の間に入る行動の人。設備も貧弱な現場ですべてがスムーズに進んだのは、ササキのリーダーシップによるものだ」

 生まれ育ちは「岩手県の山の中」。小学生になるまで海を見たことがなく、それが逆に海へのあこがれを募らせた。高校卒業後に海洋調査などを行う民間のコンサルタント会社に就職。シンガポール空港建設の現場指揮でマレー語を勉強し、1990年に「現地で意思疎通ができる即戦力」としてマラッカ海峡協議会に迎えられた。

 「着任当初は、常にカリカリ怒っていた」と笑う。出航時間を守らず、海に平気でペットボトルを捨てるインドネシア船員をどう指導するかが課題だった。

 ペットボトルで作ったリサイクルTシャツを船員に見せながら、「ゴミを捨てるな」と諭し、先頭を切って出航準備に当たるなどして自ら範を示した。

 マラッカ海峡は2004年に海賊事件が年間45件発生した。その後は減少傾向だが、「被害届がないものは相当数ある」と佐々木さん。反政府勢力も活動し、「人質にされないために現地風の名前で呼ばせ、軍人を雇ったこともあった」という。

 「いつか必ず」と思い定めた仕事がある。1944年7月、同海峡で英潜水艦に撃沈された伊166号の発見だ。2004年に超音波による最初の探索を行ったが、発見できなかった。

 「88人の乗員も沈んだまま。ご遺族が健在なうちに、必ずもう一度挑戦し、見つけ出したい」

 日本に帰国中でも、標識に事故があるとまずシンガポールから一報が佐々木さんに入る。佐々木さんは日本からインドネシアの基地に出動などの指示を出す。現地の信頼はこの上なく厚い。「ただ、長くやってきたおかげです」。シーレーンの守り人は、はにかむように笑った。(鵜野光博)

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(米海軍提供)

:2007:12/11/09:46  ++  【やばいぞ日本】第5部 再生への処方箋(3)「網の目」広げマラリア制圧

かつて生活の必需品だった蚊帳を家庭で見ることはもう、わが国ではほとんどない。だが、日本の代表的な総合化学メーカー、住友化学ではいま、その蚊帳こそが「企業の顔」ともいうべき重要な製品に位置づけられている。

 東京都中央区新川の同社本社を訪れると、少女と蚊帳の写真の巨大パネルが受付に掲げられていた。

 ≪マラリア防圧へ。私たちが開発した防虫蚊帳が、アフリカの子供たちを守っています≫

 ホームページにも、真っ先に「アフリカのマラリア防止」の見出しで≪防虫剤を練り込んだ蚊帳「オリセットネット」を開発し、WHOが推進するキャンペーンに協力しています≫と書かれている。

 同社の大庭成弘専務(64)はオリセットネットについて「100億円強のビジネスなので、住友化学全体からすれば0・5%から0・6%。事業規模は大きくない」という。

 ただし、貢献度は金額だけでは測れない。マラリアは、病原体のマラリア原虫に感染した人の血を吸った蚊が媒介して広がる感染症で、年間3億人が発症し、100万人が死亡する。エイズ、結核と並ぶ世界3大感染症であり、アフリカでは子供の死因の1位。住友化学が開発した蚊帳により、そのマラリアの制圧に希望が出てきたのだ。

 「ハエ、カ、ゴキブリなどの駆除は住友化学50年来のビジネス。事業規模は小さいが、いわば本業の分野での社会貢献が企業のブランド価値を高め、社員や家族も会社に誇りを持っている」と大庭専務は強調する。

 半ば忘れられかけていた本業を生かすことが、地球規模の課題に対する貢献につながり、企業全体の士気を大きく高める。その経験はこれからの日本にとっても教訓的である。

 そのオリセットネットの開発者で、同社ベクターコントロール部の伊藤高明・技術普及課長(59)に話を聞いた。

 伊藤さんは1973年に入社した技術者で、夜間操業の工場用に防虫網戸の研究をしていた85年当時、「蚊帳に殺虫剤処理すると蚊の駆除に有効である」とする論文が世界で相次いで発表されたことから、殺虫剤を染みこませた素材で蚊帳を作る研究をこつこつと進めていた。

 当時の殺虫剤処理をした蚊帳は洗うと薬が流れてしまい、半年に1回、殺虫剤溶液に蚊帳を浸し直す再処理作業が必要だった。先進国の援助で大量に蚊帳の提供を受けても再処理費用までは手が回らず、途上国では結局、宝の持ち腐れである。

 一方、工場用の防虫網戸にはポリエチレン樹脂に殺虫剤を練り込み、それを糸にして網戸を作る技術が確立されていた。最低5年は効き目が持続、この間は再処理の必要もない。網戸の技術を転用することで素材の樹脂の売り上げも伸ばせるのではないか。そんな計算もあった。

 だが、ポリエチレン樹脂の蚊帳は、通気性の面でアフリカでは実用に適さない。平たく言えば、暑くて眠れないのだ。伊藤さんは実験と観察を繰り返し、決断した。

 「網の目を広げよう」

                   ◇

 ■「利他の精神」本業を生かす

 殺虫剤を練り込んだオリセットネットの網の目は4ミリ幅。家庭用に使われる一般の蚊帳が2ミリ幅ということだから、面積では4倍の大きさになる。マラリア原虫を媒介するハマダラカは2ミリの穴だと通れないが、4ミリ幅なら通過できる。

 だが、蚊の習性として、網目をすっと通り抜けてはいかない。ネットにぽんぽんと突き当たるように飛んでき、そこに殺虫剤が練り込んであるので蚊帳の中に入る前に落ちていく。実験を重ね、通気性と蚊帳の機能の両方を追求したぎりぎりの選択が4ミリだった。

 住友化学は2000年、世界保健機関(WHO)から(1)オリセットネットの増産(2)アフリカへの技術移転-を依頼された。製品評価の結果、WHOがマラリア対策の有力な武器として認めたからだ。無償の技術移転にも「当時は社内的認知度が低く、ビジネスとしてはゼロに近かったので、貢献してもいいだろうということになった」と伊藤さんは振り返る。

 アフリカではマラリアが治っても、また次の年に蚊に刺され発病する人が多い。貧困がマラリアの流行を促す環境を生み出し、マラリアがさらに貧困の悪化に拍車をかける。

 そうした負の循環が蚊帳によって変わり、米国のNGOのニュースレターではタンザニアの農家の写真が紹介された。荒廃していた裏庭がオリセットネットの支給から1年後には、豊かな作物が実る畑になっていたという。

 「アフリカの蚊の原虫保有率は4%。月に100回蚊にかまれると4回感染する計算です。蚊に刺される機会を減らし、感染する人が減れば、蚊の原虫保有率も下がる」と伊藤さんは説明する。

 オリセットネットの工場は中国とベトナムに各1、タンザニアに2。タンザニアの1カ所は現地企業に技術を供与し、もう1カ所は現地企業と住友化学のジョイントベンチャーだ。原料の殺虫剤を練り込んだ樹脂ペレットは日本で製造し、海外4工場で糸にする。

 その糸を縫製して蚊帳に編む工程に人手がかかるので、住友化学はエチオピアなどでも新しい縫製工場の開設準備を進めている。

 タンザニアのアリューシャという町ではオリセットネットの工場が3000人から4000人の雇用を創出し、物流などへの波及効果も大きい。技術供与をきっかけに住友グループ各社でアフリカに小学校を造る社会貢献事業も生まれた。

 「アフリカに行くと、日本への信頼が厚いことを感じる」と大庭専務はいう。

 世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)の存在も大きい。2000年の九州沖縄サミットで日本は、世界の3大感染症と闘うには途上国に新たな追加的資金の支援が必要だと呼びかけ、2年後に発足。コンセプトは日本が作ったといまも評価される。

 先進国の拠出金が世界基金を通じて途上国の感染症対策に生かされることで、途上国が自力では購入困難だったオリセットネットのマーケットが出現し、住友化学も最小限のビジネスモデルを維持しつつ国際貢献を果たすことができる。

 オリセットネットの年間生産量は3000万張。需要はアフリカだけで8000万張以上。「住友の創業の精神は自利利他、公私一如。企業は自分だけがもうけるのではなく、社会に貢献しなければならない」と大庭専務は話す。

 蚊帳の開発に必要だったのは最先端技術ではない。素材部門と害虫駆除の部門がそれぞれ持っていた技術を横断的に結びつけることで新たな飛躍があった。

 大切なのは必要性をつかむ想像力である。(宮田一雄)

:2007:12/11/09:45  ++  【やばいぞ日本】第5部 再生への処方箋(2)心意気の起業が実を結んだ

米国の金融機関のどこも見向きもしなかった移民労働者向けの送金サービスのビジネスモデルをつくりあげた日本人がいる。枋迫篤昌(とちさこ・あつまさ)氏、54歳。

 「マイクロ(ごく小さな)」という名の通り、全世界の移民労働者とその家族に低利の少額無担保金融サービスを提供する「マイクロファイナンス」(MFIC)社長だ。

 ハーバード・ビジネススクールは来年2月、MFICを「国際起業コース」の教材として取り上げることにした。有力誌「アメリカン・バンカー」は6月、「MFICは送金ビジネスを一変させようとしている」と報じた。

 注目されているのは、これまで金融システムから排除されてきた3000万人以上にのぼる中南米系移民に徹底的に報いようという「枋迫モデル」だ。

 移民労働者の大半は銀行口座を持たない。現金でその日を暮らし、残る現金を国元の家族に送る。既存の送金業者は窓口を防弾ガラスと鉄格子でふさぎ、15%もの送金手数料をとる。地元で待つ妻は米ドルをメキシコ・ペソへ両替する為替手数料などで、さらに20%を費やす。200ドル送っても、家族には130ドルしか残らない。

 ところが枋迫モデルは、200ドルの送金手数料を3・5%に設定した。店と顧客を仕切るのはただのカウンターしかない。無担保小口融資もその一つだ。

 記者は首都ワシントンの中南米系居住区にあるMFICの店舗を訪ね、こんな利用者の声を聞いた。「私たちはこの国で初めて人間らしい扱いを受けた」(ボリビア人)、「ハリケーンで家を失った親戚(しんせき)のための資金を融資してくれた」(グアテマラ人)…。

 枋迫氏とは何者か。話は20年以上さかのぼる。東京銀行(当時、現三菱東京UFJ銀行)行員の枋迫氏のもとにメキシコ・インディオの行商人ホセさんから1通のはがきが届いた。

 「セニョール、『いつまた来るのか』と、あなたに尋ねたあの子は亡くなりました」

 枋迫氏は1979年、27歳の時、メキシコの古都グアナファトにスペイン語研修で留学していた。ホセさんとは道端で辞書片手にスペイン語で会話するうちに親しくなり家に招かれた。岩だらけの山の中腹、ワラで覆った小さな家。椅子(いす)代わりの岩に腰掛けると、スープやトルティーヤ(ひいたトウモロコシから作るメキシコの薄焼きパン)が出され、男の子3人を入れた家族全員と一緒に楽しんだ。

 山を下りようとすると、3歳の末の男の子が「帰らないで」と袖を引く。「だっておじさんがいるから半年ぶりでお肉が食べられたんだよ」と澄んだ大きな目で訴える。「そうか、スープに浮かぶ黒ずんだ紙切れのようなものが」と絶句した。

 自身の少年期が脳裏に浮かんだ。広島・尾道の田舎道を1時間かけてかよい通した幼稚園。小学校の給食代金袋を、母の背中を見て、出しそびれた。看護婦だった母親は「他人を外見だけで判断するものではありませんよ」とさとした。傷痍(しょうい)軍人の父親からは規律を教わった。

 同志社大から旧東銀に入行した枋迫氏は、貧しいインディオの家が点在する道すがら、こう思い立った。「底辺の人々のためになる金融サービスはできないものか」。少年の死を知って決意はいよいよ固まった。

 2003年、枋迫氏がワシントンでMFICを立ち上げたとき、応援したのは彼の心意気に感じた日本人たちであった。

                   ◇

 ■「底辺の人たち助けたい」

 MFICへの出資者約110人のうち100人は日本人であった。出資金940万ドルのうち、870万ドルを占める。

 その一人、杉崎重光元国際通貨基金(IMF)副専務理事は「みんな枋迫氏の男のロマンについていこうと思った」と言う。

 「オイルマネー」で知られるアラブ首長国連邦(UAE)の外国為替送金公社の首脳はこう語った。

 「MFICのビジネスモデルはいかにも日本人らしい。戦争に敗れてすべて失ったのに、一個人も一企業も少しずつみんなおカネを集めて共存し見事に復興した。ぜひ、当方にも投資させてください」

 銀行、企業、官庁の主導で日本は高度成長を遂げたがバブル崩壊で大きくつまずいた。

 しかし、個々人に高い志を実行に移す決意があれば、他の日本人が呼応する。それが国際的に日本の価値を認めさせる。そんな力を日本人が失ってはいないことを枋迫氏の挑戦が示している。

 しかも、その挑戦は「縄張り」に食い込むことであった。MFICの主力事業の移民向け小口送金サービスについて、米国では大手の「ウエスタン・ユニオン(WU)」などの独壇場とされていた。WUはワシントンで強大な政治的影響力を持っていた。

 まさに巨人に立ち向かう大冒険といえるが、枋迫氏は「米金融界に受け入れられるため、まずワシントンの常識を身に付ける必要がある」と考えたという。

 創業する前にジョージ・ワシントン大学の経営管理学修士(MBA)夜間コースに通い、1年半でMBAを取得した。

 2003年のMFIC立ち上げ時には金融界の重鎮、ボルカー元米連邦準備制度理事会(FRB)議長にビジネスモデルを説明し、ボルカー氏の推薦でIMFなどの民間諮問機関「ブレトンウッズ委員会」の創設者グループの一員、J・オア氏をMFICの会長に迎えた。

 海外送金は、米中枢同時テロの「9・11」後に制定された「愛国者法」により、厳しくチェックされるが、オア氏は米議会の公聴会でMFICの送金システムの安全性を証言した。

 米国での移民労働者の融資潜在市場規模は年間で750億ドルにも上る。

 「私もいわば関西人。もったいないですよね」

 枋迫氏は無担保小口融資の発想を説明し、「相手の目を見ながら返済能力を見切るのが金融の王道」とも語る。

 固定客は9店舗、合計約5万人で、焦げ付いて償却せざるをえなかった割合は1・2%。約7%といわれる日本の消費者金融に比べて数段よい。

 米国での住宅バブル崩壊とともにつぶれた低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)との違いは鮮明だ。

 しかもMFICは送金決済ネットワークを独り占めにせず、広く世界の金融機関に開放した。同システムを導入した金融機関の数は急増を続け、最近時点では世界の90カ国、約3万の拠点がMFICシステムのネットで相互に結ばれた。

 途上国住民の10人のうち1人が移民労働者といわれ、受け入れている先進国ではフランスの暴動のように深刻な社会問題が起きている。移民向け金融は途上国の貧困問題の根幹にかかわる。

 枋迫さんが築いた「マイクロ」拠点は、そうした問題解決への巨大な実験になるかもしれない。移民労働者と同じ目線が日本モデルといえる枋迫モデルの強みである。

:2007:12/11/09:30  ++  ドリーム・トレイン・インターネット、家庭向け防犯サービス。

■ドリーム・トレイン・インターネット(インターネット接続サービス、東京・渋谷) 十日、ホームセキュリティー事業を始めたと発表した。専用カメラとセンサーを玄関や窓際などに設置。センサーが人を感知するとカメラが作動して室内の写真を撮り、契約者の携帯電話に画像を添付したメールを送って注意を促す。

:2007:12/11/09:26  ++  内部告発もう隠せない(上)誰でも発信―「生活者」自社突き放す。

北海道土産「白い恋人」や老舗和菓子「赤福」の改ざん、ニチアスの建材性能偽装など、企業の不正・不祥事ドミノが止まらない。いずれも発覚のきっかけは関係者による内部告発だ。一本の電話、一通の文書がトップの進退にまで及び、経営を揺さぶる。内部告発急増の実態と背景を追う。

 リチウムイオン電池の回収で過去最大(四千六百万個)となった松下電池工業製品のトラブル。松下と納入先の携帯電話世界大手のノキア(フィンランド)などが事実を公表する四日前の八月十日、一部マスコミに告発文書が届けられていた。
 「(発火・発熱事故を公表せず)放置する松下とノキアのスタンスは非難されるべきだ」。封書の消印は松下電池や親会社・松下電器産業の本社に近い大阪府守口市の郵便局。事故件数も書かれ、内部社員によるものであることはほぼ間違いなかった。松下はこの時点で「把握していない」(幹部)との対応だったが、直後から公表準備に追われることになる。
 トップ指示に基づく組織ぐるみの隠ぺい工作も、告発によって簡単に突き崩される。「不正を知っている。対応しなければ報道機関に流す」。十月十六日、ニチアスの川島吉一社長(当時)に手紙が届いた。建材の耐火性能を偽装している内容だ。川島氏は社内調査で一年前に知りながら、「納入先の住宅メーカーに迷惑をかける」として隠ぺいを決めていた。
 十月三十日、報道陣に頭を下げた川島氏は「告発がなければ公表しなかったのか」との問いに力なく「はい」と答えた。その後、同氏は辞任(後任に十一月三十日付で矢野邦彦専務就任)、ニチアスの二〇〇七年九月中間期の連結は百五十二億円の最終赤字に陥った。株価は発覚前の約四分の一で低迷したままだ。
 不正隠ぺいが告発によって初めて世間に知らされる。その代償は大きい。食肉偽装のミートホープ(札幌市)は自己破産、比内鶏(秋田県大館市)も経営破綻が確実だ。
 いつの時代も告発や怪文書のたぐいは珍しくない。ただ、これまでは社内の派閥・人事抗争から特定の個人や集団を標的にしたものが多かった。最近では電力業界の法令違反発覚の“震源”となった中国電力データ改ざんも経営層の内部抗争に端を発するといわれる。
 一般社員が会社に不利になる事を告発する例はまれだったが「今はためらうことがない」。企業の危機管理に詳しい横山雅文弁護士はこう言う。
 誰でも発信者――。変化の背景として、横山氏は企業への帰属意識の低下を指摘する。バブル後の不況を克服する過程の人員削減、その後の景気拡大でも「業務量ほど人員は増えず、無理を強いられていると感じている従業員は少なくない」。
 リスクコンサルタントの浦嶋繁樹・日本アルマック(東京・千代田)社長は「消費者と接するサービス業の従業員が増え、生活者の立場から自社を突き放して見る傾向が強まった」と分析する。公表をためらう情報でも、個人が発信に抵抗を感じなくなったことも無関係ではない。不特定多数が匿名で書き込むネット掲示板。赤福(三重県伊勢市)は発覚の数カ月前から改ざんが話題にのぼり、石屋製菓(札幌市)の白い恋人は手順なども克明に記されていた。
 “告発先進国”の米国では、告発者が雑誌などで「時の人」として実名で紹介されることも珍しくない。企業に危機管理を指南するプロティビティジャパン(東京・千代田)の粟野友仁アソシエート・ディレクターによると、「政府補助金を不正受給した企業を訴え、勝訴して政府から報奨金を受け取る人もいる」。
 内部告発の多発は企業社会にとって正常な姿ではない。隠せないのであれば不正を起こさない。不正をみつけたら、すぐに公表する。そんな当たり前の行動が企業経営者に求められている。

:2007:12/11/09:20  ++  フラッシュ使う記憶装置、東芝、低価格で参入。

東芝は十日、来年二月に同社としては初めてとなるノートパソコン向けの新型記憶装置「ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)」を発売すると発表した。大容量化技術を使ったフラッシュを採用、同じ容量の他社製品に比べ価格を最大三―四割抑えた。低価格化をテコにSSDの普及に弾みがつきそうだ。
 SSDはメモリーカードなどに使用するフラッシュメモリー数十個を媒体に使用した記憶装置で、軽量かつ丈夫で消費電力が少ないことが特徴。機器との接続方式や形状がハードディスク駆動装置(HDD)と同じで、容易に置き換えられる。ノートパソコンの一部高級機種で採用が始まっている。
 新製品は記憶容量三十二ギガ(ギガは十億)―百二十八ギガバイトの三種類を用意した。百二十八ギガ品のサンプル価格は十二万円で、量産時は十万円以下に抑えたい考え。当初、月間三万台規模で生産する計画だ。

:2007:12/11/09:10  ++  ゴア前米副大統領、ノーベル賞授賞式で演説、「温暖化防止、米中が左右」。

二〇〇七年のノーベル平和賞授賞式が十日、ノルウェーの首都オスロで開かれ、地球環境問題での活動が評価されたアル・ゴア前米副大統領(59)と、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」がメダルと賞金を受け取った。
 ゴア氏は演説で「世界が正常な状態から逸脱しつつある兆候を見過ごすことはできなくなった」と指摘し、地球温暖化の深刻さを訴えた。
 地球温暖化の防止は「対応が十分でなかった米国と中国の動向に大きく左右される」と述べ、名指しで二カ国に対応強化を呼び掛けた。「両国は双方の行動を口実にすることをやめなければならない」と指摘した。
 日本や欧州が打ち出した二酸化炭素(CO2)排出削減の対応を評価。国際社会の一層の団結を呼び掛けた。ゴア氏らはこの後、インドネシア・バリ島で開催中の気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)に出席する予定。
(ロンドン=岐部秀光)
【図・写真】10日、ノーベル平和賞授賞式で、メダルを胸に掲げるアル・ゴア前米副大統領(左)とIPCCのパチャウリ議長=ロイター

:2007:12/11/09:05  ++  経団連会長、「企業の体力に応じて賃上げ」、景気配慮にじます。

日本経団連の御手洗冨士夫会長は十日の記者会見で、二〇〇八年の春季労使交渉について「会社によって力点が違うと思うが、原則として体力に応じた賃上げを行うのであろう」との見解を示した。経団連は十九日に公表する春闘の指針で「賃上げ容認」の姿勢を打ち出す見通し。会見では「消費の源泉は所得。無関心ではいられない」とも話し、景気への配慮をにじませた。
 賃上げについて会長は「体力のある企業で賃金が平均に達していないところはベースアップする。十分なところはボーナスで調整する。そういったことがあってもいい」と発言。「全体として企業成績がよくなっているのは事実」とも述べ、原資のある企業には〇八年の春闘で賃上げを容認する姿勢をにじませた。

:2007:12/11/08:59  ++  法人事業税、東京都、再配分容認へ。

東京都は十日、大都市圏に集中する法人事業税を地方に再配分する政府・与党案を受け入れる方針を固めた。石原慎太郎知事が十一日に福田康夫首相と会談し、容認の意向を伝える。政府・与党は二〇〇八年度の税制改正で法人事業税の約半分を新税とし、人口などに応じて配分する案を検討。実現した場合、年間約三千億円の減収となる東京都が強く抵抗していた。
 石原知事は減収の見返りとして、地方への権限・税源移譲に加え、一六年夏季五輪の東京招致やインフラ整備などに政府の協力を求める考えだ。

:2007:12/11/08:55  ++  ヤフーが教育機関向けにメールサービスを無償提供--「Yahoo!メール Academic Edition」

ヤフーは12月10日、「Yahoo!メール」をもとに開発したメールサービス「Yahoo!メール Academic Edition」を全国の大学などの教育機関に無償提供すると発表した。

 Yahoo!メール Academic Editionは、Yahoo!メールのシステムを利用し、学校のドメインを持ったメールアドレスを、在校生、卒業生、職員に無償で提供する教育機関向けのメールサービス。学校側で特別なサーバーやシステムを設置する必要なしに容易に導入できる。

 迷惑メール対策やウイルス対策などを含むYahoo!メールと同様のメールサービスが利用できるほか、メールアドレスと連動したYahoo! JAPAN IDも提供されるため、「Yahoo!カレンダー」や「Yahoo!アドレスブック」などのサービスも利用できる。

 また、SNS、掲示板など、在校生、職員、卒業生のコミュニケーションを支援するサービスも提供するとしている。

 提供されたメールアドレスは、「生涯メール」として、卒業後も使用することが可能。なお、在校生、職員がYahoo!メールを利用する際、広告は表示されない。

:2007:12/10/10:14  ++  慢性膵炎、飲み過ぎに注意(1分間人間ドック)

忘年会のシーズンがやってきた。食べ過ぎや飲み過ぎで負担がかかる臓器といえば、胃腸や肝臓がまず思い浮かぶが、飲食物を消化して血糖値を正常に保つ働きがある膵(すい)臓にも注意を払いたい。
 中でも慢性膵炎にかかる患者が年々増えている。特に中高年に多い。
 膵臓で繰り返し炎症が起こり、細胞が破壊されて臓器が萎縮する状態が慢性膵炎。背中やみぞおちに痛みやだるさを感じるようになり、食欲不振や下痢、吐き気なども引き起こす。病気が進行するとこれらの症状が出なくなったり、糖尿病につながったりする場合もある。
 アルコールの飲み過ぎや脂肪分が多い食事が主な原因だ。高コレステロールによる胆石の発症も一因とされる。また薬の乱用も関連していることが分かってきた。
 東海大学の西崎泰弘准教授は、「アルコールは、一日にビール中瓶なら二本、日本酒だと二合程度にとどめる。揚げ物などの高脂肪食はなるべく避ける。コレステロールの吸収を抑える食物繊維を多く取ることも大切だ」と話す。

:2007:12/10/10:07  ++  ドアに触れば鍵が開く、人体通信、実用化へ―アルプス電気、来年に部品出荷。

電子部品大手のアルプス電気は人体の表面を通じて電子データをやり取りする「人体通信」用部品を商品化する。コードのない音楽用ヘッドホンや、ドアに触れるだけで鍵が開く電子錠などへの利用を見込む。二〇〇八年七月に機器メーカーにサンプル品の出荷を始め〇九年三月をめどに量産する。〇九年中にも人体通信を使う商品が登場する可能性が出てきた。
 半導体ベンチャーのカイザーテクノロジー(神奈川県平塚市)が開発したチップを使いアルプスが部品にして出荷する。薄い布を挟んでもデータを送れる。個人認証データを入力した携帯電話機をポケットに入れておけば家や車のドアに手を触れただけで鍵が開くといった技術を実現できる。無線通信より消費電力が少なく、データを傍受されにくい利点もある。
 ▼人体通信 各種電子機器のデータを電気信号に変換、人の体の表面を通じて送り、受信側の機器に伝える仕組み。人の体が帯電する性質を利用する。電気信号は微弱なため人体への悪影響はないとされる。

:2007:12/07/10:26  ++  TV薄型化、壁掛け可能に、超高速無線技術が支える、アジア勢との競争優位に。

テレビの薄型化が急速に進み、壁掛けタイプの普及が本格化してきた。開発を支えるのがミリ波無線やUWB(超広帯域)無線などの超高速無線技術。チューナー部とディスプレー部とを切り離し、無線で信号を飛ばす方式により軽量化が一気に進んだ。有機EL(エレクトロルミネッセンス)など新材料の利用拡大と相まって、アジア勢などに差をつける有力な武器となっている。
 日立製作所は今月半ばに、特別な補強なしで壁に掛けられる超薄型の液晶テレビを発売する。厚さは最薄部が三・五センチと従来の半分以下、重さも従来の七割程度だ。「どんな場所にも据え付けられる、本格的な壁掛けテレビの始まりだ」と江幡誠・執行役常務は強調する。「薄型化を陰で支えているのが無線技術」(同常務)だという。
 新型液晶テレビはディスプレー部とチューナー部とを分離、無線ユニットを使って両者を配線なしで結ぶ。高速無線規格のUWB無線を使い、ハイビジョン映像の伝送を初めて実現した。通信速度は毎秒百六十メガ(メガは百万)ビットで、チューナー部で受信した映像を圧縮して送る。通信範囲は半径九メートルで、リビングルームなど広めの部屋でも自在にテレビを配置できる。
 シャープも厚さ二センチの超薄型テレビを開発中。ミリ波通信と呼ぶ仕組みを採用している。通信速度はUWBの十倍以上の毎秒五ギガ(ギガは十億)ビットで、分離したチューナー部からハイビジョン映像を圧縮なしで送れる。テレビに内蔵する送受信機部分は小さく、薄型化が可能になった。二〇一〇年の実用化をめざす。
 薄型テレビは画質では差をつけるのが難しくなっており、価格競争に陥りがちになっていた。シャープ、松下電器産業を除き、電機メーカーのテレビ事業は赤字だ。そうしたなかで、ソニーが薄さ三ミリの有機ELテレビを発売。これが刺激となり、液晶テレビも一層の薄型化へ向けた競争に火がついた。
 普及の壁となるのが価格だ。日立の無線ユニットも約九万円のオプション扱いで、標準装備はまだ先になる。ミリ波はチップ自体がUWBに比べて約十倍高く、実用化しようとすると現状では十万円を超える。
 このため、半導体メーカーなどは低コスト化へ向けた開発研究を活発化させている。UWBでは独インフィニオン、NECエレクトロニクスなどが安価なチップの量産を計画中。東芝や米IBMは一般的なシリコン半導体を使ったミリ波チップで価格を十分の一程度に下げる目標を立て、「来年にもサンプル出荷を始める」(東芝)。
 ミリ波通信では、情報通信研究機構やソニー、松下電器産業などが提案した規格が十一月にIEEE(米国電気電子学会)の国際標準に採用された。同規格を基に、ソニーなどを中心とする業界団体がハイビジョンの接続規格「HDMI」の無線版を作ろうとしている。超薄型の壁掛けテレビに不可欠な無線技術で日本発の国際標準ができれば、日本製テレビの世界シェアを押し上げるきっかけになる可能性がある。
(合田義孝)

:2007:12/07/10:23  ++  第2部さらば同族職場(5)現場発―増える「ほどほど族」(働くニホン)

 ニホンの職場で感染症が広がっている。名付けて「偉くなりたくない病」。
昇進拒否が相次ぐ
 関東北部の自動車組み立て工場。人事担当者は相手の言葉に耳を疑った。「私は今のままで結構です」
 経験豊富な三十代。技能も優れ、現場をまとめる力は十分ある。なのに「班長になっても給料は大して上がらない。部下を持てば面倒が増える」と昇進を拒否した。この会社では同様の例が相次ぎ、人事担当者は「現場を引っ張るリーダーがいなくなる」と焦る。
 休むことには一生懸命。責任が重くなる昇進命令には泣いて悲しむ――。そんなサラリーマンの日常をコミカルに描く漫画「ぼく、オタリーマン。」。三月に発売され、五十一万部を売るベストセラーになった。
 作者のよしたに(29)は自らも都内の会社で働くシステム技術者。読者は二十―三十代のサラリーマンが多い。「仕事に打ちこんでも報われるとは限らない。ならば、ほどほどでいいという人が増えているのでは」。前向きとはいえない作品が受ける理由を、よしたにはこう分析する。
 バリバリ族とほどほど族――。最高益を続ける日本企業の内側で意欲にあふれた層と、そうでない層の二極化が静かに進む。米コンサルティング大手タワーズペリンが世界十九カ国・地域で八万八千人に聞いたところ、日本では仕事に「意欲的でない」「どちらかというと意欲的でない」という人が計七二%に達した。単純比較は難しいが、意欲レベルは国別で最低。いつの時代にも二つの種族はいるが、日本ではほどほど族がじわじわ勢力を増しているように見える。
 「この半年、土日が全くなくって……」。転職支援会社インテリジェンスの藤田芳彦(28)の元に、こんな相談が持ち込まれるようになったのはここ一年。月二十五人前後の転職を世話するが、最近は従来のようなキャリアアップ型でなく脱ハードワーク型が三割近くを占める。「仕事ができる人ほど疲れていて楽な職場を求めがち」という。
 今の仕事に意味や達成感を見いだせないほどほど族はなぜ目立つのか。
幹部育成の副作用
 経営再建中の三洋電機。四年前に始めた「次世代経営者候補制度」がいつのまにか姿を消した。会社の未来を担う人材を公募、商社などから百人近くを迎え入れた。しかし生え抜き組から不満が噴出。選ばれた側も重圧に負け「半数近くが辞めていった」(同社OB)。一握りの「玉」に磨きをかけるはずが、その他大勢の意欲が冷え込む副作用の方が強かった。
 人材コンサルティング会社リンクアンドモチベーション社長の小笹芳央(46)は「社員に差をつけるだけの人事制度を引きずる会社が多いから意欲を失う人が増える」と指摘する。成果を単に査定するのでなく創造する。社員全体の力を底上げする試みが広がる。
 「お帰り」。十一月、大日本印刷の押田拓三(28)は一年間の「社内留学」を終え、元の職場に復帰した。自ら希望してグループ会社に移り、業務に必要なスキルを身につけてきた。
 社内留学制度ができたのは二〇〇二年。自分の希望部署に移るのは社内FA制と同じだが、期限つきという点が異なる。個の自主性を尊重しつつ仕事の幅を広げてもらう狙いがある。押田は「留学しなければ仕事に自信を持てず、今ごろ腐っていたかも」と振り返る。
 仕事にも学校にも行かないニートは六十二万人いる。しかし目の前の職場でほどほど族が増殖していることを見逃していないか。こうした層は働く意味を見いだせば再び輝く原石だ。経営環境は不透明感を増すが、一人ひとりの意欲に再点火できれば企業そしてニホンの成長力はまだまだ高まる余地がある。(敬称略)

:2007:12/06/17:33  ++  3年連続賃上げへ、来春交渉、鉄鋼・造船重機労組3000円要求、人手不足で強気に。

経団連も容認
 鉄鋼や造船重機の労組でつくる基幹労連は五日、二〇〇八年の春季労使交渉で二年分で一人当たり三千円の賃上げを要求する執行部案を決めた。電機や自動車の労組も賃上げを求めていく構え。業績拡大や人手不足を背景に強気の姿勢を維持する。一方、日本経団連は内需拡大への配慮などから「賃上げ容認」を打ち出す方針で、主要産業では三年連続の賃上げ交渉になりそうだ。ただ景気の先行きには懸念材料もあり、上げ幅を巡る攻防は激しくなりそうだ。
 基幹労連は五日に開いた集会で賃金改善の統一要求案を決めた。鉄鋼、造船重機の労使交渉は二年に一度のため、要求は〇九年までの二年分となる。賃金改善要求は〇六年に続き二期連続で、要求水準も同じ。今後、新日本製鉄や三菱重工業など企業ごとの労組が三千円の賃金改善を柱とする要求案を策定し経営陣に提示、交渉が本格化する。基幹労連の内藤純朗・中央執行委員長は集会で「人に投資することが企業の競争力向上につながる」と強調した。
 ■電機や自動車も改善 電機各社の労組で構成する電機連合も六日、一人当たり二千円以上の賃金改善を求める執行部案を決める予定。賃上げの統一要求は三年連続、金額も過去二年と同じ水準だ。自動車総連は統一要求額を設定しないが、傘下労組に引き続き賃金改善への取り組みを促す方針だ。トヨタ自動車の労組は今春、千五百円の賃金改善を要求、会社側の回答は千円だった。来春は、今春の回答以上の水準を要求する方針だが、千五百円を上回るかどうかは未定。
 基幹労連や電機連合が強気の姿勢を崩さない背景には業績拡大や人手不足感がある。労組には「生産現場などの繁忙感は強まっているのに、賃金は抑えられている」との不満も根強い。連合も四日、昨年に引き続き二千五百円以上の賃金改善を要求する基本方針を決定。産業界全体の賃金底上げを促したい考え。
 ■非正社員の待遇も焦点 来年の労使交渉では非正社員の待遇改善も焦点になりそうだ。非正社員は今や全体の従業員数の三分の一に相当する千七百万人超を占めるが、労働条件は総じて厳しく待遇も低い。連合は「非正規労働者問題が格差社会の根底にある」(高木剛会長)として、正社員との均等待遇の実現を目指す構えだ。

:2007:12/06/17:29  ++  「団塊」退職で原資、景気先行き懸念/業績に格差、上げ幅は企業間で濃淡も。

経団連は十九日、来春の労使交渉に向けた経営側の指針を発表し、「賃上げ容認」を打ち出す方針だ。業績回復や団塊世代の大量退職で賃上げ原資が生まれつつある。ただ景気の先行きには不透明感が漂う。同じ業種でも企業によって業績が違い、上げ幅には差が出そうだ。
 経団連は指針の原案で「生産性に裏付けられた付加価値額の増額の一部は、総人件費改定の原資とする」とし、もうけの一定分を従業員に還元するよう明記。「企業と家計を両輪とした内需主導の経済構造を実現する」とも述べ、これまで賃金抑制で消費が伸び悩んだことへの配慮をにじませた。賃上げけん制の文言が多かった昨年から一転、前向きな表現を盛り込んだ。
 企業は株式市場からの圧力を受け付加価値(経常利益+減価償却費+人件費・労務費にほぼ相当)を株価上昇や配当の増額につながる利益により多く配分。非正社員化などで人件費を抑えてきた。付加価値のうち人件費・労務費に回した割合を示す労働分配率は上場企業二千百七十八社ベースで、二〇〇六年度は四四・四%と、〇二年度比で約五ポイント低下した。
 大和総研の尾野功一主任研究員は「業績に見合う形で賃金を上げる方法をとるならば、十分に賃上げ原資を確保できる状態」とみる。上場企業の連結経常利益は〇八年三月期に五期連続で最高益になる見通し。業績好調な鉄鋼業界のある経営幹部は「環境としては賃上げに前向き」と話す。
 それでも企業によって濃淡がある。十一月二十日に経団連が地方の経済団体に春季交渉の指針案を示した際は、複数の代表から異論が出た。トヨタでも「国際競争力の維持を考えると、賃上げには積極的になれない」とするなど大幅引き上げには慎重な声が上がる。

:2007:12/06/17:05  ++  新しい起業家たちが生まれてきた

ケータイ小説のことを書こうと思っていたのだけれど、まだ考えがまとまっていない部分があるので次回に回そうと思う。

 今日書こうと考えたのは、新しい本の話。11月末に小学館から『起業家2.0』という単行本を出した(小学館がわざわざ特設サイトまで作ってくれた。書籍の中身の一部を読むことができるが、しかし短すぎるのでは。一章まるまる転載すればいいと思うのだけど>小林編集長)。水着の女性が刺激的な表紙の『サブラ』という若者雑誌で1年半続けた『Generation Z』という連載からピックアップした内容で、はてなの近藤さんやミクシィの笠原さん、ゼロスタートのザキさんこと山崎さん・羽田さん、チームラボの猪子さんなど9人のベンチャー起業家のこれまでの半生を、ノンフィクション小説風に描いた。

 どうしてこのようなお話を書こうと思ったのかと言えば、この5年ほどの間にベンチャー経営者の生き方が劇的に変わってきたからだ。私は1999年に毎日新聞をやめてアスキーに移り、この時期からインターネット業界の取材を始めた。インターネットバブルの最後の時期を見守り、2000年のバブル崩壊後もずっとこの業界をウォッチしてきた。そうやって時系列で眺めてみると、90年代の起業家と2000年代の起業家では、ライフスタイルや仕事についての考え方、世界観などについてずいぶんと異なる考え方を持っているということを感じるようになった。

 わかりやすく言えば、ライブドアの堀江さんのような生き方と、はてなの近藤さんの生き方の違いといってもいいかもしれない。ひたすら営業し、企業としての拡大をめざし、買収を繰り返す企業と、規模の成長には興味を持たず、ひたすら目をみずからの内側に向け、新たな価値を生み出すことを目指すような企業形態の違いである。

Web2.0とひとことでくくるのではなく

 それは別の言い方をすれば、Web1.0的な生き方とWeb2.0的な生き方の違いというように分類できるのかもしれない。しかしそれにしてもWeb2.0という言葉が2005年ごろから流行り出す以前から、どうして近藤さんやチームラボの猪子さん、ミクシィの笠原さんなどはそういう生き方を志向するようになっていたのか。猪子さんに至っては「Web2.0って要するにヒッピーだよね!」とこの本の取材の時に絶叫していて、「いったいどのような経験と発想からこの人はこういうことを考えるようになったのだろう」と私は深く感じ入り、この人の根源を知りたいとつくづく思ったのだった。

 だから私は「Web2.0的な生き方」とひとくくりにするのではなく、彼らがどのような経験を積んできて、どんな苦労をして、どんなふうにアイデアを思いついてインターネットビジネスの世界に入ってきたのかを、ひとりひとり個別の事情に寄り添うようにして描いてみたいと思った。たとえば笠原さんの人生には、「カッサン」と呼ばれていた水泳少年時代がどう影響しているのか。ライブドア社内で「山崎天皇」と呼ばれたザキさんの人生観はどのようなものなのか。エニグモのふたりやアブラハムの高岡さんは、なぜ博報堂社員や商社マンのステータスをなげうったのか。そういうことを徹底的に実証的に書いてみたいと思ったのである。

 それがこの雑誌連載、そしてこの本を書くに至った動機となった。

 以下、『起業家2.0』のプロローグをこのブログに掲載してみたいと思う(小学館の小林編集長の許可は得ていないけれども……いいですよね?小林さん)。

 

『起業家2.0』プロローグ

 優秀な若者たちの多くは、いまや起業に向かっている。
 いま私は、「優秀」という言葉を使った。それは決して、学校の成績がよいとかスポーツができるとか、あるいは大人の世界に迎合するのがうまいとか、そういうことを指しているのではない。勉強がからきしダメでオール1でも、スポーツ音痴でも、それとも大人たちの間に入り込めず、大人の世界から排斥されてしまっているような若者であっても、それでもやっぱり優秀と呼べる若者たちがいまやものすごい勢いで増えているのだ。
 それは古い時代にいたような学業優秀、品行方正な「優秀」ではなく、もっと広い意味で一芸に秀で、何らかのかたちで自分の才能を世間に問うことのできる若者たちのことだ。
 彼らが社会に出現できるようになった背景には、この十年の時代の流れがある。
 まず第一に、九〇年代末の金融危機と非正規雇用の激増によって、終身雇用制崩壊の号砲が鳴らされた。これによってすぐに大企業への就職が少なくなったというわけではないが、心理的影響は大きかった。若者たちは「もう大企業に就職したからといって、一生安泰という時代ではなくなったのだ」と思い知り、その結果、優秀な人材がベンチャー業界に流れ込むようになったのだ。
 第二に、二〇〇一年ごろからブロードバンドが普及するようになり、インターネットを日用品のように使いこなす消費者が激増し、先進的なサービスを受け入れてもらう土壌もできあがった。
 第三に、ベンチャーキャピタルやファンドの数が以前とは比較にならないほど増え、資金調達も簡単になった。九〇年代末に孫らが設立した新興株式市場がようやく成熟し始め、有能なベンチャーキャピタリストも育って、ごくまっとうな投資がベンチャーに対して行われるようになった。資金が若いベンチャーに流れ込むようになったのだ。カネがあるところには、人生の目標も持てる。意義は大きい。
 そうして機は熟したのである。
 彼らは古い世界の常識から見れば、とんでもない跳ねっ返りだったり、あるいは落ちこぼれだったり、引きこもりだったりする。しかし彼らはさまざまな能力を持ち、自分の才能で社会に打って出ようとしている。
 この新しい世代の若者たちは、一九九〇年代なかばに起業した最初の世代のインターネットベンチャー起業家たち――楽天の三木谷浩史やライブドアの堀江貴文、サイバーエージェントの藤田晋といった「ヒルズ族」の人たちともかなり異なったキャラクターを持っている。堀江や三木谷が歯をむき出して他者に襲いかかる肉食獣だとすれば、第三世代ははおだやかな草食獣のような雰囲気を持っている人が多いのである。
 彼らの仕事観、ビジネス観はかなり明確で、基本的には第二世代のようにガンガン営業をして、企業規模を拡大していこうというような野心はあまりない。どちらかといえば、自分や仲間が楽しんで仕事ができればいい――そんなふうに考える起業家が増えているのだ。
 そのように軽やかにベンチャーを経営する若者たちがいまやたいへんな勢いで増え、新たなベンチャー文化を生み出しつつある。それがいまのインターネット業界の実像なのだ。裾野の広がりかたや社会への浸透度を考えればまだシリコンバレーにはほど遠いけれども、しかし着実に日本にもベンチャースピリットは若者の間に根付きつつある。
 この本は、そうしたベンチャースピリットを持った新しい若者たち九組の生きざまを描いた。これらの物語を通して、彼らの思いが読者の皆さんのところに届くことができればと思う。

:2007:12/05/11:18  ++  そもそもブログはだれが何のために書いているんだろう--消化局面が見えたブログ界

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 11月の2週めに、MarshallとわたしはBlog World Expoカンファレンスに出席した。この集会はラスベガスで開かれ、米国内外から1500人以上のブロガーが集まった。このカンファレンスは1日半ほどで、ブログツールから収益化まで、ブロガーの興味を引きそうな幅広い話題を取り上げたセッションが開かれた。

 カンファレンスは有意義なもので、われわれはいくつか興味深い会話を交わしたが、わたしは去るときに奇妙な感じを味わった。なぜか、ブログがもうそんなに新しいものとは思えなくなったのだ。この感触は、最近のニュースが減っていることを見つけて、ますます強まった。わたしのニュースフィードは、最近では以前ほど頻繁に更新されなくなっているのだ。消化局面は、新興企業だけでなくブログにも当てはまるのだろうか?この記事では、ブログ界が消化局面に入っているかどうかを検証していく。

ブログに関するトレンドと統計

 さまざまなユースケースを見る前に、いくつかのトレンドと図を見てみよう。Google Trendによれば、「blog」という語のトレンドは勢いを失いつつある一方、「blogging」という語はそもそも本当に大きな勢いを得たことはない。

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 他方、「blog」と「newspaper」を比較すると、blogは上昇傾向にあり、newspaperは下降傾向にあることは明らかだ。

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 2007年4月のDavid Sifry氏の記事によれば、ブログ界は指数関数的成長を続けている。下の図はTechnorati単独で、この3年間だけで3500万本のブログをインデックス化したことを示している。これはかなり大きな数だ。ブログ界は約6カ月ごとに倍の大きさになっており、もしこの傾向が続いていれば、今では7000万以上のブログがあることになる。

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 この驚異的な成長は、職業的にブログを書いている人の人数がそれほど多くないことを考えれば、さらに驚くべきものだと言える。確かに広告で得られる収入はあるが、その額はトラフィックの量と直接的な相関がある。そしてトラフィックは均等に分布しているわけではなく、いくつかの人気ブログに集中している。Sifry氏の図を見る際には、分布がロングテールになっていることを考慮に入れなくてはならない。自分の生活について語り、家族や友人とだけ繋がっている人たちは、ブログを読者の数が少なくても気にしないものだ。

 他のことと同様に、ブログを続けるには強い意欲が必要だ。ブログ界の背後にある原動力は何だろうか。異なるブロガーのグループを見ていき、なぜ人々がブログを書くのに時間を費やしているかを考えてみよう。

職業的ブログ

 Technoratiのトップ100リストの中で、何人が職業的にブログを書いているブロガーかを考えてみると面白いだろう。おそらく全員ではない。このリストを超えると、おそらくべき乗法則の曲線を描くことになるだろう。ブログで生活を立てるのは難しいことだ。ガジェット、テクノロジー、政治、有名人のゴシップなどそれぞれの分野で、いくつかの非常に成功しているブログが非常に大きなトラフィックを得ている。ロングテール曲線の中では、中程の位置にいても、ブログを維持可能なビジネスとして成立させるだけのトラフィックを得ることはできない。

 こうした二層化傾向はさまざまな形で見て取れる。例えばアクセス数のグラフ、FeedBurnerの登録者数、MyBlogLogのコミュニティの規模、記事ごとの平均コメント数などだ。トップクラスのブログのと中程のクラスのブログでは、広告収入の額は桁が違う。トップクラスでは125x125のバナーで月間何千ドルにもなるが、中程のクラスのブログでは同じ種類の広告でも数百ドルにしかならない。

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画像はgeckoandfly.com所収のもの

 多くの人がニッチな領域でブログを始め、収益を得ようとするが、成功する者は少ない。ProBloggerのDarren Rowse氏は、オンライン上で収益を上げる方法に関する素晴らしいブログを運営しているが、最新のアンケートで、同氏は読者に対し10月にブログでどれだけの収益を上げたかを尋ねている。

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 1300人以上の回答者のうち、ある程度以上の収益を得ているのは10%だった。1万5000ドル以上の収益を上げていると回答した人たちの多くは、おそらくわずかな実入りのよいニッチ分野のブログを運営している人たちだろう。回答者の1/4はまったく収益を上げていない。収益を上げようと試みている人たちの多くは、あまり稼げていないのが現状だ。これらのブロガーの背景にはどんな事情があるのだろうか。

ビジネスと趣味のためのブログ

 Tyler Colman氏は政治学と経済学のPh.D.を持っており、Dr. Vinoという有名なワインブログを書いている。このブログは多くの賞を受賞しており、かなりの数の固定読者を持っている。このブログを少し読めば、これが好きでやっていることだと分かるだろう。それでも、広告はある。ワイナリーとワイン用品に関する広告が2つほどあり、1つはワインを探している人のためのもので、Amazonを検索できるようになっている。もちろん、Google AdWordsの広告も並んでいる。Tyler氏がこれらの広告から月に1万5000ドル以上稼いでいるとは考えにくい。では、なぜ彼はこのブログを書いているのだろうか。

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 多くの人と同じように、Tyler氏はチップを払うのは好きではないタイプだ。それがたった300ドルでも、子供のピアノ教室代にすることもできるだろうし、高価な趣味--例えばワイン蒐集--に使うこともできる。ビジネスと楽しみを合わせたブログというのは一般的で、特にそのブログが趣味に関するものである場合は良くあることだ。広告はウェブでは広く受け入れられており、ブログ読者はすぐにそれを受け入れるため、ブロガーは広告を加えることで失うものはない。もしそれがそんなに大きな収入を上げないとしてもだ。

意志的動機のあるブログ

 多くのブロガーにとっては金銭が主な動機だが、ブログがまったくお金にならなくても気にしないブロガーの方がむしろ多い。彼らは大義をもってブログを書いている。ここでは、宗教と政治という2つの信条について調べてみた。Technoratiのグラフを使って、「Christianity」(キリスト教)と「Islam」(イスラム教)、「Democrats」(民主党)と「Republicans」(共和党)を比較した。

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 上のグラフからいくつかの結論を導ける。第1に、イスラム教に関するブログの方がキリスト教よりも多い。第2に、民主党はブログでは共和党よりも多く話題になっている。そして最後に、少なくともブログに関しては、政治に熱心な人の方が宗教に熱心な人よりも多いようだ。しかし、政治と宗教は熱心にブログを書く人がいる話題のうちの2つに過ぎない。他にも、教育、スポーツ、非営利活動、環境問題などさまざまな話題がある。

個人ブログ

 収入のためのブログや大義のためのブログは、ブログ界の一部分に過ぎない。ロングテール部分はほとんど自己表現のためのブログで占められている。大多数の人は、友人や家族と連絡を取り合うためにブログを始めている。この流行の一例はSix Apartの最新プラットフォームVoxで、これは特に家族や友人との繋がりのためのブログ用に設計されている。

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 Voxが重要なのは、これがコミュニティにまつわるブログの価値を理解しているからだ。このプラットフォームは、友達や家族のブログを追いかけるのが難しいという問題に対応するものだ。この問題により、ロングテール部分にあるこうしたブログの大部分は活気を欠いている。RSSリーダーは依然として幅広く使われているとは言えず、多くの人にとってブログが更新されているかどうかを知る方法は、それをブックマークに入れておき、時々チェックすることだけだ。当然ながら、これは数が多くなると対応できず、これが古いプラットフォームがあまり人を結びつけられない理由だ。

 この問題を理解している企業はSix Apartだけではない。ある意味では、MySpaceや最近ではFacebookなどの一般的なソーシャルネットワークも、この問題に対応している。どちらもソーシャルネットワーキングプラットフォームに何らかの形のブログ機能を加えており、更新情報をユーザーのプロファイルと繋げることによって、ユーザーが友人たちと繋がるようにしている。この緊密な統合は、マイクロブログの急速な台頭と相まって、少なくともロングテールに対してはかなりの変化を引き起こしている。従来のブログとマイクロブログ、そしてソーシャルネットワークの間の競争についてはまた別の記事で論じるが、ここではもう一つの種類のブログについて見てみよう。スパムブログだ。

スパムブログ

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 多くの記事にとってブログ界に広がっていく唯一の道は、スパムブログ(スプログとも言う)を通じた再発信だ。これらの偽造ブログは本物のブログのコンテンツを集め、再発信し、検索エンジンからのトラフィックを引きつけて広告を売る。これらは完全に無意味だが、所有者がほとんど仕事をせずにお金を得るための賢明な手法であることは確かだ。これらのブログはコンテンツの再編集に長けており、止めるのにできることはほとんどない。あまりにも巧みな再編集を施されていて、読んでいるのが偽造ブログだということに気がつかないこともある。

 1年以上前に、Charles C. Mann氏がWiredにスパムブログの増加についての記事を書いている。Mann氏の記事はこれらのブログがどのように、そしてなぜ作られるのかについて詳しく議論している。2006年3月に出版された別の記事では、本物のブログの2倍以上の偽造ブログが存在するという研究が引用されている。もしこれが1年半前に本当だったのであれば、今では10対1になっているかもしれない。スパムブログを作るのは非常に簡単であることから、この比率は一方的に増えていくだろう。

結論

 では、ブログ界では何が起ころうとしているのだろうか。今後も現在の成長率を維持できるのだろうか。職業的ブログの成長は続かないだろうが、ブログ界全体は成長を続ける可能性が高い(少なくとも、スパムの量が増加していくだろう)。しかし、変化が起こる可能性が高い。ブログ界のロングテール部分は危機にあるかもしれない。スパムはその危機の一部に過ぎず、むしろソーシャルネットワークやマイクロブログプラットフォームとの競争が大きく影響する。どうなるかは時間が経たないとわからないだろう。

 読者がブログを書いている理由を教えてほしい。読者にとってお金は重要だろうか。ブログ界の未来はどうなると思うだろうか。ブログ界は消化局面に入ろうとしているのだろうか。

:2007:12/04/16:02  ++  グーグル、サイバーと連携、コンテンツ連動型広告、携帯版ブログに提供。

米グーグルはサイトの内容を解析して関連する広告を配信するコンテンツ連動型広告の携帯サイト版を、サイバーエージェントの携帯版ブログ(日記風の簡易型ホームページ)サービスに提供する。グーグルは有力携帯サイトを広告配信先として取り込み、サイバーはブログサービスの収益源を多様化する。
 サイバーのブログサービス「アメーバブログ」の携帯版にコンテンツ連動型広告を中旬にも提供する。携帯画面に表示されるページごとにブログ記事の内容を解析し、関連する広告を記事の下部に表示する。広告収入はグーグルとサイバーで分け合う。サイバーは今回のコンテンツ連動型広告の年間売上高を二億四千万円と見込む。
 グーグルは十月に携帯サイト向けにコンテンツ連動型広告を始め、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のグリー(東京・港)が導入している。月間閲覧数(著名人ブログを除く)が三億ページビュー(十月)を超えるサイバーの携帯版アメーバブログを加え、広告主のニーズに対応する。
 ヤフー子会社のオーバーチュア(東京・港)はディー・エヌ・エーの携帯SNS「モバゲータウン」にコンテンツ連動型広告を配信している。

:2007:12/04/15:56  ++  ミクシィが導入、携帯サイトで検索連動型広告。

交流サイト大手のミクシィは、携帯電話向け交流サイトで米グーグルの検索連動型広告を四日から導入する。利用者が検索したキーワードに関連する広告を表示して広告効果を高め、広告収入の拡大につなげる。
 サイバーエージェントも運営する携帯向けブログ(日記風簡易ホームページ)でグーグルのコンテンツ連動型広告を今月中旬から導入する予定。携帯向けの交流サイトやブログは若年層を中心に利用が急増している。各社とも携帯向けサイトの収益化に向けて、今後も広告手法の多様化を進めることになりそうだ

:2007:12/04/15:41  ++  EU市場、日本製に韓国の脅威(地球回覧)

若者や家族連れでにぎわうブリュッセルの家電量販店。ソニーやキヤノン、パナソニックなど日本メーカーの製品が売り場のかなりを占めている。試しに数えてみた。
 薄型の大画面テレビでは日本メーカーの製品は四十五台、欧州製と韓国製はそれぞれ十七台だった。百台以上もあるデジタルカメラは全体の九割近くが日本。「日本メーカーの製品は人気がある」と販売員は話す。
 欧州市場で依然として高いシェアを維持する日本の家電製品だが、死角もある。日本企業の基盤を脅かしかねないのは、欧州連合(EU)と韓国が今年五月から交渉を重ねる自由貿易協定(FTA)だ。
 「韓国は保守的で、交渉は簡単には進まない」。交渉開始前に日本政府の関係者はたかをくくっていた。だが七月中旬の第二回交渉でEUは予想外の手を打った。「EU市場に輸入される韓国製品すべての関税を廃止する」(欧州委員会)という、EUの通商交渉では前代未聞の提案をぶつけ、韓国に市場開放を迫ったのだ。
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 EUが日本製品にかける輸入関税は家電製品が最高で一四%、自動車が一〇%。現在は韓国製品への関税も同率だが、EUは韓国への提案で段階的に関税を引き下げ、七年後にゼロにすると伝えたもよう。EU市場での韓国製品の価格は単純計算で現状より一割前後も安くなり、価格競争力は大幅に強まる。競合する日本製品が打撃を受けるのは当然だ。
 英調査機関のオックスフォード・アナリティカは、EU市場での主要国の輸出品目を分析。輸出品で韓国との類似性を示す比率は米国が四六%、中国は五〇%だったが、日本は七〇%に及んだ。米国のEU向け輸出品の柱である化学品、発電設備は韓国メーカーに競争力がない。一方、日本の主要輸出品である自動車や家電製品、通信機器は韓国も競争力が高い、と指摘した。
 EUと韓国のFTA交渉の思わぬ展開に日本企業も焦り始めた。日本経団連の御手洗冨士夫会長は「EUという巨大市場で後れを取るわけにはいかない」と語る。十月十日には東芝や東レ、ソニーなどの日本企業がEUとの経済連携協定(EPA)を進める研究会を立ち上げた。人口四億九千万人の市場を確保するため、民間レベルで関税の撤廃や削減を求める試みだ。だがここにも大きな盲点がある。
 「欧州経済界は日本と関税の議論をする用意はない」。日・EU経済界会議のジェイコブス議長はこう明かす。経団連にあたるビジネスヨーロッパ(旧欧州産業連盟)は産業規制や安全基準では日本との調和を求めるが、日本との関税撤廃には抵抗が強いという。同議長は「経済関係の効率化に必要となれば(関税の)議論にも前向きになるだろう」と言葉を濁す。
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 日本企業にとっての救いは、韓国が交渉になお保守的なことだ。EUの積極的な提案にもかかわらず、韓国は市場開放に二の足を踏んでおり、FTA交渉妥結はまだ見えない。腰の重い日本政府を動かし、日本も対EUのFTA交渉を加速できるか。EU市場で日本企業は微妙な立場に置かれている。(ブリュッセル=下田敏)