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ひで坊な日々

主に私の仕事と信条に関わるメディアからの備忘録と私の日常生活から少し・・・                             
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:2007:07/31/13:26  ++  auの検索連動型広告、バナー広告らと同規模の売上に

KDDIがGoogleと提携して提供しているEZwebの検索サービスにおいて、検索連動型広告の売上が従来のバナーなどによる広告と同規模にまで成長していることがわかった。モバイル検索連動型広告市場はNTTドコモ系列のディーツー コミュニケーションズやオーバーチュアなども参入しており、市場規模は大きく拡大しそうだ。

 これはKDDI取締役執行役員常務コンシューマ事業統轄本部長の高橋誠氏が7月30日に明らかにしたもの。

 auは2006年7月にGoogle検索を導入した。2007年6月の検索クエリ数を2006年7月と比べると、約2倍に伸びているという。

 ドコモはディーツー コミュニケーションズが提供する検索連動型広告をiメニューの検索サービスに導入している。また、ソフトバンクモバイルのポータルサイトであるYahoo!ケータイやYahoo!モバイルにはオーバーチュアが検索連動型広告を提供している。

 電通総研の調査によれば、モバイル検索連動型広告の市場規模は2007年が87億円、2011年には494億円になる見通しという。モバイル広告市場全体に占める割合でみると、2007年が15.6%、2011年には38.5%にまで成長する予測だ。

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:2007:07/31/13:22  ++  ネットワーク応用通信研究所、Rubyの市場拡大を目的とする合同会社を設立

 オブジェクト指向スクリプト言語「Ruby」の開発者であるまつもとゆきひろ氏とネットワーク応用通信研究所は7月27日、Rubyの普及と発展の支援を目的として、日本法人の合同会社(Limited Liability Company:LLC)「Rubyアソシエーション」を7月末に設立すると発表した。

 事務局を島根県松江市駅前の開発交流プラザ内に設置し、理事長にまつもと氏、副理事長にネットワーク応用通信研究所主任研究員である前田修吾氏が就任する予定。

 Rubyは、Smalltalkのような本格的なオブジェクト指向機能と、Perlのようなスクリプト言語としての手軽さを併せ持つプログラミング言語。近年では、David Heinemeier Hansson氏によって開発されたウェブアプリケーションフレームワーク「Ruby on Rails」の流行に伴い、ウェブアプリケーションの分野で広く利用されている。

 今回設立する合同会社では、Rubyの維持、コミュニティ支援、イベント開催支援・有料イベント開催、Rubyを用いたシステムインテグレーション事業の支援、Rubyグッズの販売、広報などの事業を行い、エンタープライズ分野での市場拡大を目指す。

 また今後は、Rubyの商用利用における諸問題を解決し、Ruby開発者・システム開発事業者・ユーザー企業がそれぞれ安心してRubyを活用できる環境を提供するとしている。

:2007:07/31/12:41  ++  【正論】政治評論家・屋山太郎 自民惨敗を演出した「国民の真意」

■「官僚内閣制」打破こそ望んでいる

 ≪何が惨敗した原因か≫

 参院選の惨敗は安倍晋三首相にとって全く不本意な結果だったろう。自らが目指した政治とまるで内容の違う基準で評価されたのは心外極まりなかったに違いない。安倍政治の真価を問うため続投の意志を表明したが、再出発に当たって敗因を分析、認識しておく必要がある。

 今回の敗因は安倍氏の掲げる「戦後レジームからの脱却」が否定された結果ではないと思う。憲法や教育を含め戦後レジームを守りたい一部のマスコミのバッシングに敗れたといっていい。「年金の記録洩れ」と「政治とカネ」は本来、政治の主要なテーマではない。年金の本来の議論はいくら貰(もら)えていくら税金を調達しなければならないかだが、この点でいえば自民党も曖昧(あいまい)なら民主党もより雑駁(ざっぱく)だった。記録洩れは行政のトップとして安倍氏の責任に帰せられるが、実のところ責任はない。社会保険庁の内部が怠業、ねこばばし放題という腐った職場になった責任の大半は自治労、つまりその組合を母体とした民主党の責任にも帰せられる。

 政治とカネは重要問題には違いないが、小沢一郎氏にそれを語る資格があるのか。小沢氏は政治資金で個人名義の10億円余の不動産を買ったが、そのさい贈与税は払ったのか。また自由党時代の25億円の政党助成金の使途について必要な領収書は示されていない。赤城徳彦農水相の領収書二重添付やその言動は政治家失格だが、それを嗤(わら)って巨悪が不問にされていいのか。

 ≪官僚内閣制改革への挑戦≫

 安倍氏がやった国民投票法の制定、教育基本法改正、防衛省昇格問題は歴代内閣が何十年も先延ばししてきた問題だ。社保庁の解体もまさに妥当な解決だ。国会を延長してまで断行した公務員法の改正こそ、安倍氏がやりたかった本命の政治課題だろう。安倍氏は明治以来の「官僚内閣制」が依然として続いていると認識している。これを憲法に盛られた「議院内閣制」にしてこそ、政治が国民のものになると考えている。その改革への突破口が「官僚の天下り根絶」ということになる。

 松岡前農水相の絡んだ「緑資源機構」は天下り官僚の巣窟(そうくつ)のような存在だった。社保庁も天下りポストの一つに過ぎなかったからこそ、無責任体制がはびこったのである。衆院調査局の調査によると、4600法人に2万8000人が天下っており、そこに流れる資金は5兆9000億円にのぼるという。これはまさに官僚が産業界をも支配するの図である。特殊法人、公益法人、独立行政法人はいずれも法律上の根拠をもって設立されている。これは官僚が立法府をも操っている証拠だ。

 ≪格差問題軽視してきた罪≫

 国民は官僚主導の体制に反感を募らせてきた。安倍氏はこの体制を清算するため参院選の候補選びに口を挟もうとしたが、青木幹雄参院議員会長らは聞く耳を持たなかった。片山虎之助参院議員幹事長の落選は国民の反発を象徴する出来事だった。閣内にも伊吹文明文科相や尾身幸次財務相ら官僚出身の古手は「官僚内閣制」の清算の必要性を全く理解していない。現職で敗れた面々は敗れるべくして敗れたと自覚すべきだろう。

 安倍政治は基本的に正しい方向を向いていると思うが「格差」問題を軽視してきた罪は大きい。保守王国といわれた四国、九州、中国地方の惨敗を見ると地方の不満の大きさがわかる。競争政策は必要だが、そこからこぼれた人たちをどう助けるか。大規模農家を育てる政策は正しいが、細る小規模農家をどう自立させるかも併せて考えなければ、細民の切り捨てと受け取られるだろう。

 首都圏に3500万人もの人口が集中しているのは異様な姿である。地方の富が首都に吸い上げられている図だ。財源の再配分というカネの問題の他に、仕組みの再構築が急務だ。三百諸侯の時代でさえ、地方は自立していたことを想起すべきだ。

 国会は衆院で与党が3分の2、参院で野党が過半数という事態になった。野党は参院で何でも否決でき、また参院が審議しないでつるしておいても60日たてば衆院で3分の2で可決できる。これまでの国会は政府提出法案は一字一句変えず、野党案は良い点があっても全部否決された。この悪慣行を清算するチャンスだ。与野党が議論して政策を調整してこそ国会が「国権の最高機関」になる。官僚内閣制を終焉(しゅうえん)させることや地方分権に、民主党も異論はあるまい。首相は重要法案を片づけた強引手法を今度は対話による手法に切り替えて貰いたい。(ややま たろう)

(2007/07/31 05:29)

:2007:07/31/12:39  ++  【主張】安倍首相続投 再起へ人心一新を急げ 欠かせない改革堅持の陣容

参院選で歴史的大敗を喫した安倍晋三首相は、今こそ自民党の総力を結集し、危機を乗り越えるときである。

 首相は30日の記者会見で、8月下旬以降に内閣改造・党役員人事を行う意向を示した。

 だが、それを待たず、8月7日に召集される予定の臨時国会に向けて人事を断行し、国づくりに向けた新たなシフトを示すべきだ。

 時間をおけば、首相の責任を問う声が高まり、党内外から続投への異論が出ることは避けられない。

 今の首相にとっては、国民が改革の担い手として、チャンスをもう一度、与えようと心から思えるような陣容を整えることがなによりも重要だ。

 ≪国づくりの意欲鮮明に≫

 首相の続投方針は、30日の自公党首会談でも確認された。躍進した民主党は「安倍政権は信任されなかった」と主張しており、有権者の間にも続投への違和感はあるだろう。

 その意味で、首相の会見は続投への意欲や、その必然性をうまく説明できるかどうかが注目された。

 年金記録問題が招いた国民の怒りの大きさを再認識し、「政治とカネ」による政治不信を反省して、政治資金規正法の再改正も検討する。地方格差の現状にも、目を向けるとした。

 敗因の分析としては妥当なものといえよう。

 問題は惨敗にもかかわらず続投するという理由である。安倍首相は経済成長を進め、景気回復を国民に実感してもらいたい、という点を強調したが、これは今の首相に直ちに求められているテーマではなかろう。まったく食い足りない。

 憲法改正や教育再生などに象徴される新しい国づくりという大改革について、「なぜ政治家・安倍晋三でなければならないのか」を、どうしてこの大事なときに語れないのか。

 首相は、在任中の憲法改正を目指し、改正手続きのための国民投票法の成立を急ぎ、実現した。教育再生に向けた関連法の整備も進めている。

 その基本路線は、選挙結果にかかわらず評価すべきもので、不変でなければならない。

 今後は、そうした国づくりに向けて真に改革の理念を持つ人材を、優先的に閣内に登用することも大切だ。

 首相は会見で「役所の観点ではなく国民の立場」「政治主導」といった人事の基本的な考え方を示した。

 正しい方向であり、それにしたがって人心一新を図ってもらいたい。経済界からも、政権継続には人事刷新が必要だとの意見が出ている。

 首相は、相次ぐ閣僚の辞任や、政治団体の事務所経費問題をめぐる対応のまずさも率直に認めた。

 任命責任を問われるだけでなく、選挙期間中、首相が自ら問題閣僚の弁明をするような場面もみられた。

 ≪政権内の危機管理も≫

 このような改革とは別次元のトラブル、不祥事について、いちいち首相が対応に追われるような内閣の態勢は、お粗末の一語に尽きる。

 塩崎恭久官房長官は「端的に私の責任だ」とマネジメント上の不手際を認めたが、この種の問題が選挙に影響し、政権基盤を揺るがすことが実証された。この事実をもっと切実に受け止めるべきだ。

 首相が政権発足時に設けた首相補佐官制度も含め、官邸が十分に機能を発揮したとはいえない。

 新憲法制定を掲げる自民党では、党憲法審議会が置かれているものの、改正に向けた推進態勢が整っているとは言い難い。

 態勢強化にあたっては、人選に加えて、関係閣僚との連携がうまくいくかどうかなど、組織として有効に機能させることを再考する必要があるのではないか。

 参院選により、中川秀直幹事長や青木幹雄参院議員会長ら、党首脳クラスが相次いで辞任の意向を表明し、片山虎之助参院幹事長は落選した。

 党役員もおのずと一新されることになるが、参院で主導権を握る民主党との意思疎通をどう図るか。

 国政選挙の候補者選考を抜本的に見直すことなど、政権維持に向けて今後、安倍首相が目配りしなければならない課題は少なくない。

(2007/07/31 05:27)

:2007:07/30/15:44  ++  首相続投、政局波乱含み 政界再編の可能性も

 自民党は30日午前の役員会で、首相の続投を了承した。首相は同日午後、公明党の太田昭宏代表と会談し、連立政権の継続を確認する。

 自民党役員会では、参院の構成を決める臨時国会を8月7日から4日間開くことで野党側と調整することも決めた。青木幹雄参院議員会長は、民主党からの参院議長選出を容認する考えを示した。今後、参院の国会運営は野党ペースとなることは確実だ。

 「歴史的惨敗」にもかかわらず、安倍晋三首相が続投を選択したことで、政界は波乱含みの展開となる。国会は当面、衆院は与党が3分の2以上の議席を維持する一方、参院では野党が多数を占めるという「ねじれ現象」が続く。自民党では党内融和を求める声が高まっているが、首相自身はむしろ「純化路線」を目指しているきらいがある。次期衆院選をにらんで、さまざまな「ねじれ」が顕著となれば、政界再編へと突き進む可能性もある。

 首相はまず、党役員人事と内閣改造に踏み切り、体制の立て直しを図る構えだ。首相周辺は、人事は8月下旬との見通しを示しているが、党内からは「人事をすぐに一新しないと(内閣)支持率は10%を切る」(舛添要一参院政審会長)との声も上がっている。

 首相がどのような基本方針で人事に臨むかも重要だ。党内のベテラン議員は「挙党態勢でみんなが力をあわせて自民党を再建する。そして衆院選に備えることが一番大事だ」(古賀誠元幹事長)などと、異口同音に「党内融和」を求めている。

 これに対し首相は「新しい国づくりに向けて一丸となれる体制を考えないといけない」と強調した。「新しい国づくり」とは、首相が唱え続ける「戦後レジームからの脱却」に他ならず、具体的には憲法改正、教育再生、公務員制度改革などを指す。いずれも党内に異論が残るテーマで、首相と党との衝突も予想される。

 野党各党は勢いづいている。多数を占めた参院で参院議長のポストを獲得→国会運営で主導権を握る→早期の解散・総選挙に持ち込み、政権交代というのが基本戦略だ。

 民主党の鳩山由紀夫幹事長は同日午前、都内の自宅前で記者団に対し、「国民は(参院選で)安倍政権を信任していないというメッセージを届けた。早い時期に政権交代をさせないといけない」と強調した。

 政界再編を視野に入れる声も出始めた。同党の渡部恒三最高顧問は民放テレビ番組で「自民党の人が『国民のために民主党に来たい』と言うのを断る理由はない」と述べ、民主党主導の政界再編の可能性に言及。国民新党の亀井静香代表代行も「参院で野党が提出する法案に賛成する自民党の人と、そうでない人が、次の衆院選で分かれる可能性がある」と、自民党分裂もありえるとの見方を示した。

:2007:07/30/15:37  ++  【主張】自民大敗 民主党の責任は大きい

自民、公明の与党が参院の過半数を大きく割り込む大敗を喫した一方で、安倍晋三首相は続投を表明した。

 

首相は反省し態勢強化図れ

 

 日本が取り組むべき内政・外交の課題山積を踏まえ、懸案の解決に不退転の決意を示したのであろう。

 だが、首相はこの敗北をまず真摯(しんし)に反省しなければならない。教訓をいかにくみ取り、安倍政権の態勢をどう立て直すか。内閣改造などを通じて首相の指導力が厳しく問われる。

 他方、民主党は勝利し、参院第一党に躍進した。それだけに民主党は国政上、より大きな責任を負ったことを自覚しなければなるまい。政権を担う責任政党に脱皮することなく、これまでのような対決路線を踏襲していては、いずれ国民から手痛いしっぺ返しを受けることになろう。

 与野党が対立する法案は、衆院を通っても参院で否決される公算が大きいが、国益に資する法案は党派を超えた協力こそが必要なのである。

 与党への逆風は幾つか挙げられる。やはり最後まで吹き続けた逆風は、年金記録の紛失問題だった。政府・与党は受給者らの不安を解消しようと、早急に対応策をまとめて実施したが、不信感を払拭(ふっしょく)することには至らなかった。

 ≪不信感払拭できず≫

 同じく選挙直前に表面化した赤城徳彦農水相の事務所経費問題が、「政治とカネ」をめぐる有権者の政治不信に拍車をかけた。

 さらに敗北の大きな要因は魅力ある候補者を擁立できなかったことにもある。青木幹雄参院議員会長や片山虎之助参院幹事長ら、参院側責任者の選考判断が、時代に合っていないことの表れといえる。

 首相が取り組むべきは、改革路線の担い手にふさわしい清新な候補者の擁立だ。新たな参院執行部人事により、変革を行う好機が現出したのではなかろうか。

 一方、民主党は年金記録紛失問題を追い風に、国民生活重視の立場を打ち出した。憲法、教育を通じた国の再生に力を入れる首相の姿勢から、負担増にあえぐ国民や地方格差などへの配慮が不足していると判断し、自民党との差別化を図った結果、政権への批判票の受け皿を作ることに成功したといえよう。首相は地方でこうした不満が高まっていることを直視し、有効な対策を実施しなければならない。

 「戦後レジーム(体制)」からの脱却を掲げ、憲法改正を政治日程に乗せ、教育再生の具体化を図るなど、新しい国づくりに向かおうとした安倍首相の政治路線の方向は評価できるが、それを実現させる態勢があまりに不備であったことは否定できない。

 相次ぐ閣僚の辞任などを招いたのも、首相の指導力不足に原因があるといえよう。党役員人事や内閣改造により、突破力や発信力のある人材の登用が不可欠である。

 ≪「対決」では混迷へ≫

 問題は、選挙によって生じた衆参のねじれ現象という新たな政治構造の中で、どのように改革を円滑に実現していくか。与党との対決姿勢を強めてきた民主党が、責任政党にふさわしい立ち居振る舞いをできるかどうかに、大きくかかっている。

 さっそく、秋の臨時国会では海上自衛隊がインド洋で補給活動などを行うためのテロ対策特別措置法の延長措置をとる必要がある。

 民主党は選挙公約で、イラクに派遣されている自衛隊の撤退を掲げたが、日米同盟や国際貢献に不可欠なテーマについて、現実的な対応をとれるかどうかは、テロ特措法への対応が試金石になるだろう。

 憲法改正の核心となる9条や集団的自衛権の行使容認の問題についても、民主党は明確な見解を示すべきだ。

 参院議長ポストの獲得にあたり、民主党は共産、社民両党とも共闘することになるだろう。しかし、野党連合では現実的な外交・安保政策をとることはできまい。

 小沢一郎民主党代表が提唱する政権交代可能な二大政党はよしとするが、衆院解散に追い込むため、これまでのような政局本位で対決路線を続けるのかどうか。民主党は、真に政権を担える勢力たりうるかどうかを証明することが求められている。

(2007/07/30 05:37)

:2007:07/29/21:37  ++  【主張】混乱と停滞に戻すのか 将来見据えた投票行動を

この日本をどうするのか。真の改革の担い手にふさわしいのはだれか。安倍内閣10カ月の実績とビジョンに、有権者の審判が下される。

 任期が6年と長く、解散による失職がない議員の選挙でもある。ここ数カ月、世の中を騒がせたテーマに目を奪われ、怒りにまかせて貴重な投票権を行使するわけにはいかない。

 与野党の勢力が激変することも予想されているが、その結果もたらされる政治構造の変化は、日本が向き合う諸課題の解決にとって、ふさわしいものとなるのだろうか。

 ≪「年金」では選べない≫

 改革の立ち遅れは、転換期に立つ日本に重い後遺症をもたらしかねない。長期的視野が必要だ。判断の誤りは重大な結果を有権者に突き付ける選挙であることを、いま一度考えたい。

 今回の参院選への国民の関心が高いことは期日前投票の増加にも表れている。「年金選挙」として醸し出されたムードの影響は大きい。

 年金記録紛失問題は、社会保険庁を舞台に、官僚のずさんな管理と、職員労組の過剰な権利意識の所産であったことを浮き彫りにした。

 それを見過ごしてきた責任は、政治全体にあった。それでも、早急に対応策が整えられ、年金記録問題はひとまず片付いた。この問題だけで与野党の勝ち負けを決めようというのは、どうみても無理がある。

 選挙結果に伴う安倍晋三首相の進退にも関心が向けられている。

 たしかに、平成元年には宇野宗佑首相、10年には橋本龍太郎首相が、それぞれ参院選敗北の責任をとって内閣総辞職した経緯もあった。

 しかし、参院の本来の趣旨は衆院に対する抑制機能にあるはずだ。その選挙が、またもや政局を大きく左右する様相を呈している。政局本位の選挙であってはならない。

 戦後60年を経て、さまざまなシステムにひずみが出てきた。

 安倍首相が目指す憲法改正や教育再生は、新しい国を形作るうえで不可欠だ。公務員制度改革への着手は、官僚主導政治に本格的にメスを入れる試みとなる。税財政のあり方を含む構造改革の推進、少子高齢化対策、地方の再興といった内政課題も急務である。

 核の脅威を振りかざす北朝鮮に、安倍首相は毅然(きぜん)とした姿勢を示し、拉致問題解決を最優先課題としてきた。それだけに、北朝鮮は最近、ことさら安倍首相を批判し、その退陣を心待ちにしているようだ。

 ≪改革の必要性は不変≫

 原則を曲げない対北外交方針は、日米同盟の維持、強化とともに不変でなければならず、いずれも死活的に重要なものである。いまは政治の混乱や停滞が許される状況にはない。

 平成元年の参院選で、自民党の参院過半数割れが生じた後、自民党の下野と細川連立政権の誕生、新進党結成や自社さ政権、自自連立といった政界再編、混乱の時代が続いた。

 首相や政権の枠組みが次々と代わるだけで政治は安定せず、「政界の失われた10年」とも呼ばれた。

 自公連立体制が確立することによって、自民党は参院の過半数割れを意識せずにすんでいた。しかし、この選挙を経て、自公連立でも数が足りない事態が予想されている。

 衆院で与党が圧倒的多数を持っていても、参院で過半数割れすれば、野党が反対する法案はいずれも参院で否決されてしまう。衆院と同様に参院も政党化している現実から、与野党対立の状況は、参院の抑制機能を超えて、法案の成否を決めてしまうのだ。

 野党の賛成も得て成立させようとすれば、政府・与党が思い切った政策を打ち出すことは難しくなる。

 小沢一郎代表が率いる民主党のねらいは、参院を与党過半数割れにしたうえで、安倍首相を衆院解散・総選挙に追い込むことにある。

 その後の政権奪取や政界再編も視野に入れたものだが、日本がどのように改革の道を進んでいくのかについて、シナリオは見えてこない。

 ふさわしい改革とそれを実現できる候補者、政党を見いだすことが、有権者に求められている。

(2007/07/29 05:01)

 
 

:2007:07/28/09:52  ++  【正論】慶応大学教授・阿川尚之 硫黄島で日米同盟の価値を思う

■海に囲まれた日本の防衛と世界平和

 ≪静けさの中の硫黄島≫

 6月なかば、海上自衛隊の招きで、実機雷処分訓練を見学した。

 海自掃海隊群は年に1度硫黄島周辺の海で、この訓練を行う。掃海具を曳航(えいこう)するMH53-E型ヘリコプターが、発電機を備えた掃海具を曳航し、予(あらかじ)め実機雷を敷設した海域をゆっくり往復する。掃海母艦「ぶんご」艦上で群司令ほかが緊張して見守るなか、掃海具が発する磁気に機雷が感応し、海水を高く空中に吹き上げ炸裂(さくれつ)した。

 訓練は、硫黄島の沖1000メートルほどの海面で実施された。摺鉢山が間近に迫る。62年前の激戦のあとは、海からでもわかる。摺鉢山は激しい艦砲射撃にさらされ、斜面の一部がえぐられたままだ。ただ洞窟(どうくつ)やトーチカの跡などは、海からは判別できない。照りつける南国の太陽のもと、島は静まり返る。両軍合わせ数万を数えた「水漬(づ)くかばね、草生(む)すかばね」、耳をつんざく砲撃の音は、われらの記憶と伝承のなかにだけある。

 硫黄島が静かなのは、言うまでもなく日米の戦が止んだからである。さらに同盟を結んで、再び戦をしないと誓ったからである。日米安保条約は1951年に締結され、いろいろな問題をはらみながらも56年間持ちこたえた。この間、日米は一度も干戈(かんか)を交えなかった。

 ≪日米同盟への懐疑論≫

 このことは世界史上、比較的珍しい。古くはローマとカルタゴが何度も大戦争を戦って、ついに前者が後者を滅ぼした。岡崎久彦氏の著書『繁栄と衰退と』に詳しいように、17世紀後半オランダは英国と3度戦って、無力化された。イスラム過激派や破綻(はたん)国家との戦いは、これから100年続くかもしれない。日米両国も日露戦争以後およそ40年間、なんとか直接の対決を避けようと努力しながら、ついに正面からぶつかる。結果は日本の完敗であった。

 島国日本は、東西南北の海を守らねばならない。我が国にとって四囲の海はそもそも最強の防塁である。13世紀の蒙古襲来、16世紀末の南蛮人渡来、19世紀半ばの西洋列強艦隊来航から日本を守ったのは、主として彼我を隔てる海である。

 けれども海とて万能ではない。特にその全方向で敵と戦うのは、所詮無理である。考えてみれば、大東亜戦争と太平洋戦争を同時に戦ったのが、先の大戦の最大の敗因である。戦後の日米同盟は、このうち東と南の海でほぼ恒久的な安全を確保した。日本は米国と協力しながら、北と西、さらに南西の海を守ることに専念できた。

 このところ慰安婦問題、北朝鮮の核問題などに関連して、日本国民は日米同盟の有効性についていささか懐疑的になっているかもしれない。アメリカは日本を理解しない、日本の立場を尊重しない。そうした声が聞こえる。

 その背景には、イラク戦争で元気をなくした米国への懸念があり、米中がいつか手を結ぶのではという恐怖がある。そもそも国民年金、地震・台風、参議院選挙の帰趨(きすう)といった国内問題が山積みで、日米同盟について詰めた国民的議論は行われていない。

 けれども将来だれが政権を担当しようが、日本を囲む海の状況は変わらない。そして日米同盟なしで、我が国がその周囲を取り囲む海を単独で守るのは、いかに膨大な資源を投入しようとも、おそらく不可能である。

 ≪相違乗り越える意義≫

 特に西太平洋の海域を第三国の海軍が自由に遊弋(ゆうよく)し、支配する可能性を封じるには、日米の防衛協力しか有効な手立てはない。

 サイパン、グアムでの玉砕に続き、1945年春、硫黄島で日本軍将兵は本土に米軍の脅威が及ばぬよう、脅威の到来が少しでも遅くなるよう、勇敢に戦い、斃(たお)れた。アメリカの手強い敵だった。

 その同じ硫黄島で、いま海自掃海部隊が、米海軍対機雷戦担当将校の参加を得て訓練に励む。米軍の機雷と潜水艦に手も足も出なかった帝国海軍は、戦後海上自衛隊に生まれかわり、対機雷戦と対潜水艦戦に卓越した能力を身につけた。アメリカは海自のこうした能力を高く評価し、必要としている。

 日米間で摩擦が起こるのは当然であるし、摩擦は時に安全保障面にも及ぶだろう。イージス艦情報流出のような、同盟の信頼に影を投げかける問題もある。しかし日米同盟には、折々の立場の相違や問題を乗り越え維持するだけの価値がある。双方にとって、また世界の平和にとってある。太平洋の真ん中、硫黄島の夏の海、対機雷戦訓練を見学し、改めてそう確信した。

(あがわ なおゆき)

(2007/07/28 05:03)

:2007:07/28/09:45  ++  【やばいぞ日本】見えない敵 番外(完) 底知れぬ「中国株式会社」

今年2月、元米国防総省の中国専門家が禁固3カ月の刑期を終えて出所した。ロン・モンタペルト博士である。

 筆者は15年前のワシントン駐在(在米日本大使館1等書記官)時代に初めて会った。その時は国防大学で教えていた。物静かな紳士という印象だった。その後、ワシントンから忽然(こつぜん)と姿を消した。

 2004年にハワイで米連邦捜査局(FBI)により逮捕され、中国軍諜報(ちょうほう)工作員にさまざまな秘密情報を長期にわたり漏らしてきたと自供したことが報じられた。

 その中には中国の中東向けミサイルなどの兵器輸出に関する最高機密も含まれていたという。金銭で買収されたというよりは、自発的な確信犯だったようだ。そういえば、国防関係者のくせに妙に中国に同情的だったことを思いだす。ただ、国防総省にまで、スパイ網が張り巡らされているとは、初めはとても信じられなかった。

 05年10月、チ・マック(麦大志)夫婦ら5人の中国人がFBIにより逮捕されたことも中国の浸透力を物語る。マックは国防関係企業で働いてはいたが、カリフォルニアではどこにでもいそうな、ごく普通の中国系米国人1世だ。 その彼が、潜水艦推進システムなどの機密情報を違法に中国に提供した容疑で起訴され、裁判は今も続いている。

 以上は「米中経済安全保障再考委員会06年版年次報告」の中で紹介された米国での中国スパイ事件であり、氷山の一角にすぎない。モラーFBI長官は03年の議会証言で「現在米国にはスパイ活動を行う中国の“偽装会社”が3000社以上存在する」と述べた。

 豪州に亡命した元中国情報部員によると、現在米国では数千人の中国人スパイが活動中だという。

 米情報関係者用に作成された部内資料「04年版情報脅威ハンドブック」によれば、中国のスパイ活動の対象は、軍事技術にとどまらず、一般中国企業が関心を有する汎用先端技術にも及んでいる。「最近では米捜査当局が捜査に着手した事件のほぼ半分が中国絡み」との衝撃的な記述もみえる。

 今や米政府・議会は中国の官民一体となった大規模な情報収集活動に神経を尖(とが)らせている。

 1980年代後半から米国で一世を風靡(ふうび)したあの悪名高き「日本株式会社」論。当時日本は、政官財界が一体となって戦略産業を保護し、不透明な商慣行によって米国の競争相手を次々と排除する「国家主導型インサイダー経済」と厳しく批判された。

 それから20年。今度は米中間で同じような貿易摩擦問題が表面化しつつある。そこに登場しているのは、昔の日本以上に国家主導の不公正経済であり、強力かつ底知れない「中国株式会社」といえる。日本がこの株式会社にのみ込まれないという保証はない。

 

カギは国家の「体力」回復

 

 筆者は2000年秋から3年半近く、北京に在勤(公使)して、「中国株式会社」の存在を確信した。

 この株式会社は、共産党一党支配の下、政治・官僚・産業が一体となって、エネルギー、コンピューター、航空・自動車といった戦略産業の育成に努めている。強力な軍隊を維持し、国内市場は今も不透明だ。

 世界貿易機関(WTO)加盟後も、中国では経済活動すべてに人為的影が付きまとう。市場の「見えざる手」に任せるどころか、逆にこれに挑戦しているかのようだ。中国で長くビジネスを手掛ける日本人は口をそろえて「中国での商売には見えない壁がある」と言う。

 規則は突然変更され、政治的コネのない商売は成り立たず、そのルールも実に不透明である。まるで13億人の「政商」を相手に商売しているようなものだ。

 「中国株式会社」の底知れぬ恐ろしさを示す例をいくつか挙げよう。

 前述の「情報脅威ハンドブック」によると、中国のスパイ活動には特徴がある。旧ソ連国家保安委員会(KGB)のような「小人数のプロの工作員」ではなく、むしろ「素人に近い多数の工作員」を重視するというのだ。中国情報機関は必ずしも工作員を直接コントロールせず、目的を特定せず、より長期的でより広範な情報収集活動を好むらしい。

 誰もがスパイになるかもしれない中国式「人海戦術」は摘発が非常に難しいと「ハンドブック」も認めている。

 技術情報の取得は合弁事業を通じても行われる。フランスの食品大手「ダノン」社は1996年から中仏合弁事業に数千万ドルの巨費と最新技術を投入し、中国でヨーグルト飲料などを販売してきた。2003年ごろから似たようなコピー商品が市場に出回り始めたので調べてみると、何と犯人は合弁相手の中国人パートナーだった。勝手に秘密工場を建て、ダノンの技術でコピー商品を製造販売していたらしい。似たような話は日本の大手企業などでも起きたといわれる。

 善意で始まったはずの日中合弁事業がこのようにして頓挫したケースは決して少なくない。

 最も懸念すべき点は、「中国株式会社」が「武装」していることだ。人民解放軍は巨大であり、冒頭紹介した米国でのスパイ活動の重点も軍事情報であった。

 中国経済の発展が軍備拡大を支え、強大な軍事力が国際政治上の発言力を強め、それが経済発展をますます促進するという大規模な「好循環」は既に始まっている。

 これに対する日本のシステムはあまりにも脆弱(ぜいじゃく)だ。「中国株式会社」の不公正取引を真正面から指摘する政治家・官僚はまだ少ない。

 最近のイージス艦情報事件やデンソー事件の発覚にもかかわらず、日本における中国の軍事・産業スパイ事件に対する反応は総じて鈍かった。

 「中国株式会社」がいかに歪(いびつ)なシステムであっても、資金流入が続く限り、当面拡大再生産は続き、国際競争力も高まる。

 中国の経済・軍事力の拡大が不可避である以上、今の日本に必要なことは中国と「政治的」に互角に渡り合える「国家としての体力」を回復することではなかろうか。(寄稿 宮家(みやけ)邦彦)

 

 

 宮家氏は05年に外務省退職、06年から立命館大客員教授、総理公邸連絡調整官。AOI外交政策研究所代表。53歳。

 

 

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(2007/07/26 08:05)

 
 
 

:2007:07/28/09:41  ++  【やばいぞ日本】第1部 見えない敵(10)招き入れる「トロイの木馬」

5月下旬、北京の釣魚台迎賓館で開かれた「日中産業科学技術交流シンポジウム」は、看板に偽りありといえる内容だった。なぜか。日本の官民が、中国企業の東京証券取引所の上場を要請する場だったからだ。

 日本側からは内閣府の田村耕太郎経済財政政策担当政務官、東京証券取引所の西室泰三社長(現会長)のほか、金融庁、経済産業省、証券各社幹部が、中国側は政府や証券、金融界の重鎮がそれぞれ参加した。

 「日本の金融国際化のために、あなた方の力添えを頂きたい。ぜひとも日本の証券市場で上場を」と陳情するのは日本の要人たち。西室氏は半年間で4回ほど中国に足を運び、中国企業の東証上場誘致運動の先頭に立ってきた。これに対し、中国証券業協会首脳は「われわれの目標は世界。でも安心しなさい。日本に年間で10社から20社くらい上場できる」と鷹揚(おうよう)なところをみせた。

 冷静に見ると、まともな上場企業は中国で育ちにくい。政府機関が上場企業の株式の7割を保有し、おまけに国有企業同士が株の持ち合いをしている。流通株が少なく、党幹部は株価を操縦しやすい。上海市場は昨年1年間で2・3倍も平均株価が上昇し、2月には暴落したが、その後は「党は株価を維持する」と、信じる個人投資家が株買いに狂奔する。

 そんな中国企業の問題点に目を向けるだけのゆとりは東証にはない。90年代のバブル崩壊不況を背景に不振が長引いた証券市場。その打開策として新興企業を上場させたが、上場基準の甘さからでたらめの横行を許した。警察庁の調べでは組織暴力団により少なからぬ数の上場企業が「汚染」されている。

 特に、マザーズ、ジャスダック、大阪証券取引所のヘラクレスといったいわゆる新興市場上場企業の質の悪さが目立つ。決算発表では当初の増益見通しを減益に修正したり、土壇場で発表を延期するのは日常茶飯事。これでは、幅広い投資家層からそっぽを向かれてしまう。おまけに証券取引のグローバル化で、世界の取引所間の競争が激化しており、高度成長を続ける中国の企業は引く手あまただ。とにかく、日本に来てもらおうと、東証も政府も下手に出る。

 中国の国有企業の多くは党、軍と直結している。人民解放軍傘下には軍需企業のほか、情報通信、製薬、ホテルなどさまざまな業種が集まっている。軍系企業が他の国有企業と資本、人事で交流する。戦略思考がある指導者なら、表看板を民生用の企業として日本の証券市場で足場を築き、日本のハイテクや軍民両用技術を持つ企業を取り込めと指示するだろう。

 中国の軍事問題に詳しい阿部純一・霞山会主任研究員は「中国の大手企業が東証に上場すれば、日本のハイテクや軍需産業と接触する。日本の軍需産業は米国の技術に最も接しており、日本企業買収で、合法的に米軍需産業の重要機密も手に入れることも可能だ」と警告する。

 その昔、トロイは城門の外から引っ張り込んだ巨大な木馬に潜むギリシャ軍に急襲されて滅んだ。日本は今、自身の甘さゆえに中国版「トロイの木馬」を招き入れようとしている。(相馬勝、田村秀男)

解放軍系企業にも懇願

 不用意な日本は、随所に見られる。今年3月、中国国務院(政府)発展研究センター企業研究所と日本の経済産業省、財務省など官民が協力して東京で民間主催の「中国最高経営者教育プログラム」が開かれた。

 日本での株式上場に関心を持つ中国大手企業43社の最高経営責任者(CEO)が参加した。業種は建設、エネルギー、航空、食品、物流、漢方薬など多彩で、いずれも売り上げを急速に伸ばしている。その中でも従業員数や資産規模が際立って大きいのが中国の建設業界2位の「中国鉄道建築総公司」と航空機販売の「中国航空技術輸出入総公司」。一見すると、「平和産業」のようだが、実は両社とも人民解放軍との縁が深い。

 鉄道建築総公司の前身は、1948年設立の人民解放軍鉄道部隊である。航空技術輸出入総公司は経営内容が異なっていても、戦闘機を開発製造する中国航空工業グループ傘下にある軍直属企業と同じ国策のもとに活動している。国内紛争が続いているアフリカなどに軍用機を輸出し、「中国軍事外交の要」と日本側に紹介された。

 東証関係者は中国企業の上場誘致に関し、「IT分野に代表される新産業、成長企業にターゲットを絞っている」として、軍や党とつながりの深い企業は積極誘致の対象にはならないと強調。また、「当然、外為法違反など反社会的企業の上場は認めない」方向だ。 経済産業省は外国為替管理法を改正し、軍民両用技術など業種を決めて許可制にする意向だが、基本的には経産官僚の裁量行政に任されている。 誘致運動の片棒を担いでいる経産省が同時に許認可するという奇妙な仕組みがある。上記の企業のように鉄道建設や航空機販売業であれば、企業の上場を水際で拒む理由はないだろう。

 日本のIT企業の多くの技術は軍事に応用できるが、「日本企業や経産省、防衛省は軍事転用が可能と気付いていないケースが多い」と米国防総省関係者は指摘する。

 米国では、相手がたとえ、日本のような同盟国であっても、議会が国家安全保障を盾に外国企業による企業の合併・買収(M&A)を阻止する。 無防備な市場国家・日本なのである。日本は5月に「三角合併」を解禁した。このM&A手法の決め手になるのは、自身の株式そのものである。日本に設立した子会社が親会社の株式を使って日本企業を買収できる。

 つまり自社の株価に発行株式数を乗じた時価総額が財力となる。その点でも中国の国有企業の多くが日本企業を圧倒する。国有商業銀行は北京から、世界一の外貨準備の一部の注入を受けて、不良債権を償却して財務内容を改善する。それで香港、上海と上場し、投資家の人気を集めて株価を引き上げる。時価総額は膨らむ一方だ。

 国有商業銀行最大手の中国工商銀行の時価総額はみずほフィナンシャルグループの3倍近い。

 中国最大のエネルギー会社、中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)の時価総額は、日本の石油会社で時価総額が最大の国際石油開発帝石ホールディングスの10倍以上だ。

 優位にある中国企業をさらに利するのを承知で、日本の証券市場は中国企業の上場を懇願するしかないのである。

 

 

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(2007/07/25 08:05)

 

:2007:07/28/09:39  ++  【やばいぞ日本】見えない敵(9)官僚自ら「柔軟な発想無理」

「海洋国家ニッポンと言いながら、海の監視システムが十分でない。早急に整備すべきだ」。日本版国家安全保障会議(NSC)創設をめざす官邸機能強化会議のメンバーで軍事アナリストの小川和久さん(61)が、首相官邸にこんな提言メモを送ったのは先月中旬。青森県で起きた北朝鮮を脱出した一家の漂着事件から間もないころだった。

 周囲を海に囲まれた日本の海岸線の総延長はざっと3万5000キロ。米国(2万キロ)や中国(1万5000キロ)よりも長いことはあまり知られていない。

 現状は海上保安庁や自衛隊を中心に海と空から監視しているが、人員も装備も限界がある。あやしい船の侵入を常時監視する態勢づくりは積年の課題だ。

 大きな予算をかけずに国籍不明船の監視システムを作る方法はある、というのが小川さんの発想だ。(1)領海の要所にすべての船に通過を義務づけたチェックポイントを設ける(2)そこに無人の電子ブイや巡視船などを配置して船の行き先や身元を電子認証する。この方式で取りこぼした船を補完的に衛星情報などでチェックすれば監視効果が飛躍的に高まるという。

 青森県に漂着した船は全長約7・4メートル。日本上空にはこんな小舟の識別にも使える民間衛星が10個以上あり、一定の解像度のレーダーや赤外線センサーを積んだ機種もある。これらの衛星情報を活用すればいい、と小川さんはメモに記した。

 監視強化というと「巡視船を増やせ」といった話になりがちだが、役所の買い物は時間もカネもかかる。要は省庁、官民の垣根を越えて知恵と工夫を柔軟に組み合わせることだ。チェックポイントや無人ブイ、衛星情報を組み合わせた監視システムについて、海上保安庁当局者も「簡単ではないが、検討する価値はある」と関心を示す。

 「でも、無理でしょうね…」と小川さんはこぼす。縦割り行政の壁は厚く、政治は調整機能を欠いている。「役人に任せていたら、いつまでも具体策は出てこない。それが日本の『見えない敵』と言っていい」

 小川さんはトップクラスの官僚たちと議論するが、次官級の官僚が「私たちの前頭葉では柔軟な発想ができない」ともらす。内閣官房の出向者も外務省は外務省、警察庁は警察庁と出身官庁を向いた縦割りの中で動かざるを得ない。即効性のあるアイデアは出てこない構造になっている。

 船舶監視システムにしても、実現するには外務省、防衛省、警察庁、海上保安庁、法務省、水産庁と海上自衛隊、航空自衛隊など少なくとも8省庁・機関の調整をクリアしなければならない。

 「官僚がダメというのではない。官僚制度の限界を理解した上で、優秀な頭脳を国民のために生かす政治の営みが必要だ」。小川さんは日本版NSCがその有力なツールだと指摘する。だが、日本版NSC設置法案は参院選に向けた政治の荒波にのみこまれ、先の通常国会で継続審議になってしまった。

 

「縦割り」是正の司令塔を

 

 小川さんは3年前にも縦割り行政の弊害を痛感した。イラクのサマワに派遣された陸上自衛隊の活動が本格化した2004年のことだ。

 前年秋、当時の小泉純一郎首相はメソポタミア湿原の復元構想に大規模雇用創出プランを盛り込むよう外務省などに指示した。

 飯島勲首相秘書官と共同作業した小川さんは「早く実行に移してほしい」と何度も外務省に要求した。

 だが、外務省の回答は「民間人が現地に入れるようになってから、国際協力機構(JICA)に任せても事業適地の調査には1年以上かかる」というものだった。

 小川さんは「それなら自衛隊が調査をすればよい」と、外務省に承諾させた上で現地部隊に指示してもらったところ、わずか1週間で地図を添えた調査データが上がってきたという。

 だが、そこまでだった。防衛庁(当時)には政府開発援助(ODA)を実施する権限はなく、外務省の動きはそのまま止まってしまった。

 外務省側にも事情がなかったわけではない。前年秋、日本人外交官2人がテロの犠牲になった後遺症もあった。自衛隊駐屯地内に外務省サマワ出張所が設置されたが、陸自約600人に比べて外務省は5人で1チームを組み、復興支援担当は2人しかいない。駐在も1カ月交代だった。

 そこで、復興支援のための作業に自衛官を外務省職員として投入する話もあったが、なぜか立ち消えになった。

 「自衛隊に大きな顔をされたくない」という一部外務省職員の姿勢が見えるようでハラが立った、と小川さんは言う。

 これらは日本が総力を挙げて懸案に取り組むシステムが確立していないことに起因している。

 米国がNSCを設置したのは1947年。国務省、国防総省、軍などの意見や提案を横断的に検討し、直属の情報機関として米中央情報局(CIA)も設けられた。それ以来、大統領が官僚機構や専門家の頭脳を駆使して機動的に決断を下す司令塔の場として機能している。

 NSC型の政策調整機関を置いていなかった英国も最近、ブレア氏の後を継いだブラウン首相が「英国版NSCを設置する」という構想を明らかにした。

 「省庁間の権益を調整し、政治が決断を下す。それが日本版NSCに期待されたシステムだ」。強化会議の報告を受けて政府が設置法案を国会に提出したのが4月。継続審議となったために、日本版NSCの骨格ができるのは早くても来年以降になる。

 「米国に60年も後れをとっている」。小川さんの悩みは深い。(高畑昭男)

:2007:07/28/09:36  ++  【2007参院選】何たる選挙戦(5)どこへ行ったマニフェスト

さすがは小沢一郎である。

 昨年4月、民主党の最後の切り札として代表に選ばれた小沢氏はすぐに29ある参院選の1人区巡りを始めた。

 民主党議員の何人もが「勝ち目のない地方をこまめにまわっても意味がない。人口の多い大都市対策にもっと力を入れないといけないのに」と陰口をたたいたが、その戦術を疑う者はいま誰もいなくなった。

 これまで自民党を支えてきた郵便局や農家、建設業界が、小泉純一郎前首相が推進した構造改革によって既得権益を失い、自民党離れを始めたのを見逃さなかったのだ。

 「私の政治生命すべてをかけて戦う」と言い放ち、野党が過半数を獲得できなければ、政界を引退すると退路を断ったのも効いた。

 それに比べ、安倍晋三首相率いるチーム安倍は、「小沢との戦い」以前に政権運営の未熟さを露呈してしまった。

 くどくどと書かないが、赤城徳彦農水相の「絆創膏(ばんそうこう)事件」がすべてを象徴している。

 野党が閣僚のスキャンダルや失言を攻撃するのは当然としてもメディアの一部がことさら大きくとりあげ、与党がその対応に追われ続けたのは、有権者にとっても不幸だった。与野党双方による誹謗(ひぼう)中傷合戦もひどかった。小紙もその風潮に惑わされかけ、警鐘を十分に鳴らせなかったことは、率直に反省したい。

 残念ながら、憲法改正や教育改革といった山積する重要な政治課題は、ほとんど論議されずに選挙戦は終わろうとしている。与野党ともに最大の争点として位置付けた年金問題でさえ、将来的に年金制度をどうするか、その財源として、消費税率を上げるのか上げないのかといった具体的論議は生煮えのままだった。

 その結果、ようやく定着したかにみえた各政党が具体的な数値目標を伴った公約を提示して政策を競い合う「マニフェスト選挙」は大きく後退してしまった。

 がっかりしたのは、これまで意欲的な試みをしてきた民主党のマニフェストがすっかり退化してしまったことだ。

 まともに議論をすれば党が割れかねない憲法問題にはほとんど触れず、消費税率引き上げも封印した。むろん、安全保障問題もだ。

 8年前、小沢氏は雑誌「プレジデント」(平成11年2月号)のインタビューにこう答えている。

 「国政とは国民の生命や生活を守ることにほかならず、それは突き詰めれば国防、安全保障ということになる。国政から安全保障をマイナスしたらゼロになる、と言ってもいい」

 だが、遊説で「生活第一主義」を繰り返し強調する小沢氏は、安全保障に触れようとしない。政策論議よりも政権交代、つまり権力闘争にすべてを集中した「小沢戦略」はある意味立派だが、かつて本人が「国政の基本」と強調した安全保障政策を詳しく示さなかったのは、どうしたことだろう。

 「側近と言われ、最も身近にいた人がいつのまにか仇敵(きゅうてき)になる、小沢氏が描く人間模様の不可解なところだ」

 かつて渡部恒三氏から「小沢親衛隊」と呼ばれた元側近記者の田崎史郎氏は13年前、文芸春秋誌上(平成6年10月号)で小沢氏の人物像をこう記している。

 歳月を経て、人格円満となり、党首として懐が深くなったかどうかも小沢氏が目指す二大政党制が日本で根付くかどうかを占うポイントとなろう。

 平成5年、小沢氏主導によって誕生した非自民連立政権は、敵と味方を峻別(しゅんべつ)する小沢手法に反発した社会党とさきがけの離反によって翌年、あっけなく瓦解したからだ。

 本紙を含め報道各社は参院での与党過半数割れは濃厚と予測している。そうなれば、与野党対決法案は参院でことごとく塩漬けとなり、国政が停滞するのは必至だ。

 27日、東京株式市場の株価が急落した。参院選後の政治情勢が不安定になるとの市場の読みが下げ幅を広げたとの見方が強い。

 当面の政治の混乱という痛みを承知で政権交代に望みを託すか、ミス続きの安倍政権に再チャレンジの機会を与えるのか、あす有権者が投じる1票はかつてない重い意味を持つことになった。(乾正人)

 =おわり

(2007/07/28 08:17)

:2007:07/28/09:31  ++  【2007参院選】何たる選挙戦(4)首相の理念 継続が大事

安倍晋三首相は、明治時代以来続いてきた官僚主導の政治を国民に取り戻すという意義ある政策を実行に移してきた。そのひとつが、先の国会で成立した公務員制度改革関連法である。また、集団的自衛権の行使についても、これまでは内閣法制局の解釈によって手足を縛られていたが、これを見直す検討を始めた。

 一部の知識人やメディアは安倍首相に「ネオコン的」「強権的」「右翼的」などといった形容詞でレッテルを張る。だが、改正教育基本法、国民投票法といった国家の屋台骨を作る部分だけでなく、安倍首相はこれまでの政権が背を向けてきた中国残留日本人孤児の国家賠償訴訟で和解したり、薬害肝炎訴訟で和解の意思を示すなど「優しさ」「思いやり」を感じさせる政策も実行している。残念ながらこうした高い評価を与えていい政策が参院選で争点になっていない。

 年金問題は国民の国家への信頼感を受け止めきれなかったという意味で大事な問題ではある。だが、今回選ばれる参院議員の任期は6年間ある。その任期の中では、憲法改正が非常に重要なテーマになるだろう。そうした論点を抜きにして、年金制度などの技術論だけで参院議員を選ぶのはあまりにも残念だ。

 漠然とした空気の中で安倍首相、安倍政権批判が渦巻いている。年金問題、故松岡利勝前農水相の自殺や事務所費問題、果ては赤城徳彦農水相の「絆創膏(ばんそうこう)問題」といった事柄で、ムードができている。安倍政権は信頼できないという空気が蔓延(まんえん)し、本質的な議論がなされることが少なくなっている。

 このような形で安倍首相が批判される一因は、人事の拙(まず)さであろう。小泉純一郎前首相も人脈が狭く、「人を知らない人だ」「勉強していない人だ」と思ったが、安倍首相はそれ以上ではないか。

 首相の「人事力」の不足が、閣僚のスキャンダルなどの些末(さまつ)な問題を引き起こし、本来評価されるべき政策、法案を通してきた実績がつまらない形で帳消しにされている。

 首相が参院選後に政権を維持するのであれば、有力なアドバイザーを置くことが必要だ。首相と価値観を共有し、加えて世の中のことがもう少し分かる人材を脇に置かなければいけない。はっきり言って、今のままの人事力では政権はもたないだろう。どんなに良い理想を持っていても、内閣や党の要に、上手に人材を配置できなければ、それを実現するのは無理だ。

 参院選で、年金に議論が集中しているのは、国民にとって切実であるとともに、民主党が選挙戦の争点に年金問題を設定し、それを朝日新聞をはじめとする一部メディアがあおった面はある。しかし、安倍首相・自民党も憲法改正でなく、年金を最大の争点にした。6年間の任期で解散がない参院議員を選ぶ選挙では外交や安全保障など、国家の基本的な問題を考えなければいけないのに、それを問い続ける覚悟がない。争点を年金にしたのは首相のある種の弱さの反映ではないか。

 首相には、堅固な価値観を貫くことが政治的強さにつながることを認識してほしい。

 たとえば、北朝鮮は安倍首相の失脚を願っているが、それは、安倍政権は歴代政権で唯一、北朝鮮が恐れた政権だということだ。対北政策で決して揺らがなかったからこそ、ようやく金正日政権から、軽んじられない政権になったことを忘れてはならない。

 これらも含めて、有権者が安倍首相の実績を総合的に正当に判断して、それでも信頼できないとするのであれば、首相は甘んじて受けるしかない。しかし、閣僚スキャンダルや年金問題だけをみて、投票するのは全体像を見失っている。

 私は、安倍政権が続いてほしいと考えるが、大事なのは首相が掲げた理念、価値観、憲法改正による自立した国家を目指すといった考えが継続されることだ。安倍首相の継続を好ましいと思いつつも、万一の場合、まだ52歳なのだから、一度、退陣し、強靭(きょうじん)なる精神を身につけてから再チャレンジするというほどの余裕を持ってほしい。(ジャーナリスト・櫻井よしこ氏 談)

(2007/07/27 07:48)

:2007:07/27/23:40  ++  【2007参院選】何たる選挙戦(1)誰を利する「国家」なき迷走

年金記録紛失問題、閣僚の相次ぐ失言などで苦境に立つ安倍晋三首相をほくそ笑んでいる国がある。

 23日付の北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、安倍政権が赤城徳彦農水相の事務所費問題で「さらに苦境に陥った」と論評。そのうえで、「安倍一味(政権)は腐敗政治と決別し、自ら権力の座から退くのが良いだろう」との「安倍退陣論」を展開した。

 北朝鮮メディアが日本の首相退陣を求める論評を出すのは極めて異例だ。言論の自由のない北朝鮮では、労働新聞の論評は、金正日総書記をはじめとする北朝鮮指導部の意思と同義といってもいい。つまり、北朝鮮指導部は、拉致問題解決を強く迫る安倍政権を煙たがり、早期退陣を待ち望んでいるのだ。

 なぜ今回の参院選が北朝鮮の望む展開となっているのか。

 一つには、社会保険庁のずさんな労働実態がクローズアップされたが、その批判の矛先が労働組合や歴代の社会保険庁長官より、現政権に向いていることが大きい。特に選挙戦序盤で与野党が責任を押しつけ合う「泥仕合」の印象を有権者に与えたのも安倍政権にはマイナスとなった。

 野党が「政治とカネ」問題で攻勢をかけると、与党側は、民主党の小沢一郎代表の資金管理団体による不動産購入問題で応酬した。

 政治評論家の屋山太郎氏は「小沢氏が政治とカネを追及するのは、強盗が家人に『戸締まりが悪い』と説教するようなものだ」と語るが、結果的に国民の「政治不信」は深まった。

 それに追い打ちをかけたのが、「赤城問題」への対応だった。説明責任を十分に果たしていない農水相をかばった首相の支持率はさらに低下。17日、絆創膏(ばんそうこう)姿で報道陣の前に姿をあらわした農水相をテレビのワイドショーをはじめとするメディアは嘲笑(ちょうしょう)の対象として大々的にとりあげ、税財政や社会保障といった政策論争はどこかに消し飛んでしまった。

 「日本ではディベート(討論)型の選挙は定着しないのかなあ…」

 参院選が中盤戦に入った7月中旬のある夜。何カ所もの全国遊説をこなして首相公邸に戻った安倍首相はため息交じりにつぶやき、ソファに体を深く沈めた。

 首相は「選挙サンデー」の22日に積極的なテレビ出演を検討していた。小沢氏が、地方という「川上」を回る作戦に徹していることに対抗するためだ。

 ところが、自民党執行部は「年金や『政治とカネ』の問題で揚げ足を取られかねない」と頑強に反対し、22日の首相の日程は首都圏での街頭遊説に差し替えられた。

 首相には忸怩(じくじ)たる思いが残ったが、これまでのテレビや日本記者クラブ主催の党首討論会での首相の評判は自民党内でも芳しくなかった。

 「堂々と政策論争に挑みたい」という首相の思いは空回りし、年金問題などで反論すればするほど、視聴者には「高圧的」「言い訳がましい」と映った。

 首相はもともと今回の参院選で「国家の根幹にかかわるテーマを正面から問いたい」と考えていた。年初に「参院選では、私の内閣が憲法改正を目指していくことも当然訴えていきたい」と明言したのもそのためだ。

 だが、年金問題をはじめとする「負のスパイラル」に陥り、選挙戦では「憲法改正」はほとんど語られなくなった。

 自民党内の足並みも乱れ始めた。高知選挙区の田村公平候補は16日、「絵に描いた(安倍首相の掲げる)『美しい国』で応援にこられて適当なことを言われたら、バカにされたような気がする」と痛烈に批判した。

 首相批判の急先鋒(せんぽう)である加藤紘一元幹事長は、民主党若手と情報交換を続けるとともに、18日には古賀誠元幹事長を地元・山形に招き、連携をアピール。古賀氏は22日、福岡で谷垣禎一前財務相とひそかに会談した。「党内の話題は選挙情勢ではなく、首相の『退陣ライン』になりつつある」(中堅)との声もある。

 参院選の「政策論争なき迷走」はいったい誰を利するだろうか-。(石橋文登)

(2007/07/24 07:36)

:2007:07/27/23:39  ++  【2007参院選】何たる選挙戦(2)「醜聞・年金だけの争点は恥だ」

「今回の参院選は、日本が今後国際的にどんな役割を果たすべきか、安倍晋三首相が示したビジョンへの賛否が問われるべきだと思っていたら、一連のスキャンダルと年金制度の管理ミスだけが争点のようになってしまった。これはシェーム(恥)だと思う」

 今の選挙のキャンペーンを「恥」という激しい言葉で評したのは、米国の若手日本研究学者マイケル・オースリン氏である。米国大手紙への7月上旬の寄稿だった。

 エール大学の准教授から首都の主要シンクタンクAEIの日本政治・外交専門の研究員となり、2週間前にワシントンに居を移したばかりの同氏は30代後半だが、日本側でおなじみの米国の日本専門家たちに比べれば、ずっと若い。とはいえ日本とのかかわりは大学卒業後すぐに日本政府の外国語指導助手招請の「JETプログラム」に参加して、兵庫県で2年を過ごし、数年後にはフルブライト留学で東京へ。そのまた後に神戸大学での研究と、長く、深い。

 そのオースリン氏をAEIに訪ね、改めて問うと、いかにもこの世代の日本研究者らしい知日度の高さと従来の枠からの脱却を思わせる解説がはね返ってきた。

 「宮崎県に住む日本人の妻の両親とよく話すので、年金問題の重要性もよくわかります。しかし、米国のスカートの背後から足を踏み出すという意味の『戦後レジーム(体制)からの脱却』を戦後生まれの若い安倍首相が唱えたいまの日本は、まさに歴史的な分岐点にあると思う。日米同盟をどうするか。中国の拡張にどう対応するか。憲法9条や防衛政策をどうするか。世界にどう貢献するか。今後の30年ほどの国の進路を決めるエキサイティングな時期でしょう。そんな時の国政選挙なのに醜聞と年金だけ、というのはあまりに残念という意味で『恥』と評したのです」

 ワシントンの戦略国際研究センター(CSIS)研究員でオースリン氏と同じ世代の日本の政治・安保の専門家ニック・セーチェーニ氏は「どの国の選挙でも主要な争点は国内問題になりがちですが」と前置きしながらも、「いまの日本は日米関係の在り方一つとっても、どんな政策が適切なのか、さらに国際的により大きな役割をどう果たすか、非常に重要な課題に直面しているのに、参院選では目先の問題にのみ込まれた観です」と、類似した失望をにじませた。

 ただし、今後誰が首相になっても、そうした対外的な重要課題からは逃れられないだろうという。

 米国のマスコミの参院選に対する関心もきわめて低い。大手紙誌で日本の今の選挙戦を詳しく報道や論評した記事はごく少数である。

 その理由について、日本の安保政策などを長年研究してきた60代のベテラン学者、国防大学国家安全保障研究所のジム・プリシュタップ上級研究員は「選挙戦が、米国側でも関心の深い日本の長期の外交戦略、つまり北朝鮮の核武装や中国の勢力拡大への対処法などを論じず、スキャンダルだけが大きく投射され、もっぱら安倍首相への信任投票となったからでしょう」とみる。

 プリシュタップ氏はそして、安倍首相自身も憲法や安保という論題を、公明党の反応などに懸念して正面から後退させた一方、民主党も党内の政策見解一致がないために、安保や外交を論じたくないのだろうという考察を述べた。

 この点、オースリン氏は次のように語る。

 「民主党も政権の獲得を真剣に考えるならば、世界における日本というビジョンを大きく描かねばならないが、代表の小沢一郎氏は『永遠の革命家』という感じです。いつも闘いを挑むけれども、自分自身がどんな政策を有しているのか、不明という意味です」

 一方、オースリン氏によれば、安倍氏は「より強い日本、より自信ある日本」を目標に、民主主義や市場経済を基盤とし、安保努力の増強や日米同盟の強化を目指すという点で、是非は別にしても、政策の方向は明確だという。

 そうした政策目標は、これまた是非は別にして、日本という国家の在り方、そして日本国民の生き方の根幹にかかわる選択であろう。

 だがその是非が少しも論じられない日本の参院選の現状を、オースリン氏は「恥」という言葉で率直に批判したのだった。(ワシントン 古森義久)

 

:2007:07/27/23:30  ++  【正論】中国軍事研究家・平松茂雄 海洋基本法発効に思う

■「海洋国家」めざし周辺海域守れ

 ≪日本人は海洋民族か?≫

 7月20日「海洋基本法」が発効した。海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために(1)海洋に関する基本理念を定め(2)国・地方公共団体・事業所、国民の責務を明らかにし(3)海洋に関する基本的な計画の策定その他の海洋に関する施策の基本となる事項を定めている。これを施行する機関として、総合海洋政策本部が設置され、首相が本部長、その下に内閣官房長官と新設される海洋相が副本部長、それ以外の閣僚全員が本部員となる。

 このように海洋基本法は、わが国が国家のすべての要素を動員して「海洋権益」を守り、これから海洋国家として発展していくための方向を包括的に示している。安倍首相は基本法制定の意義を、「日本は海洋国家だから、海洋権益は国益にとっても国民にとっても、極めて重要だ。その意味で意義深い法律が成立した」と記者団に語った。

 この数年来、日本は海洋国家だとか、日本人は海洋民族だとかいわれるようになった。だが中国の海洋進出を20年近くも前から指摘して関心を持つように呼びかけてきたにもかかわらず、何の関心も示さず、むしろバカバカしいことをいっていると相手にされなかった筆者には、にわかに日本は海洋国家だとか、日本人は海洋民族だとかいいだしたことに、むしろむなしさを感じる。

 日本は海洋国家でもなければ、日本人は海洋民族でもない。日本は島国であり、日本人は勤勉な農耕民族であって、周りを海に囲まれているところから「海の幸」にも恵まれ、また周りの国との間に適当な距離があったため、外国の脅威にさらされたこともほとんどなかった。それは海洋国家、海洋民族とはなんの関係もない。

 ≪権益侵され初めて関心≫

 1973年に国連海洋法条約会議が開かれた時、日本では魚が食べられなくなるとか、魚の値段が上がるとか、これまで貧乏人は魚を食べていたが、これから魚は贅沢(ぜいたく)品になるとかいわれたように、海洋法条約を魚の問題としてしかとらえなかった。その直前に、尖閣諸島周辺海域の大陸棚に「中東に匹敵する石油資源が埋蔵されている可能性がある」との国連極東経済委員会の報告が出たことについても、関係者以外に関心を持つものはいなかった。中東の石油があるから、そんなところの石油はいりませんよというのが、大方の意見であった。中東の原油国に政情不安が生じた場合どうするとか、それを輸送する海上ルートが危険にさらされた時どうするか、とかいったことも問題とならなかった。

 それから三十余年を経てようやく海洋基本法が制定された直接の契機は、日本近海における中国の海洋活動で日本の「海洋権益」が侵されたことにある。海洋基本法の制定と同時に、それと一体となって「海洋構築物安全水域設定法」が制定されたことは、日本の「海洋権益」が侵されてはじめて日本政府が関心を持ったことをよく示している。だが東シナ海大陸棚の領有権については、わが国と中国との間に決定的な考え方の相違があるから、海洋構築物安全水域設定法が制定されたからといって、問題が片付いたのではない。

 海洋基本法には、わが国が有している「海洋権益」を活用して「海洋国家」として発展していくことばかりが規定されていて、わが国の「海洋権益」が外国によって侵害された時の対処については、なにも規定されていない。そのような事態を想定していないのか。そのような事態を想定したくないのか。これが一番厄介で、難しい問題ではないのか。

 ≪安全脅かされる離島≫

 日本がこれまで島国として安閑としていられたのは、日本の海域を形成していた離島の安全が脅かされることがなかったからだ。だが第二次大戦後北方領土はソ連に占領され、竹島は韓国に占拠され、尖閣諸島は日本が領有しているものの、70年代以後中国の「民間人」によって意図的に何回もその領海を侵犯され、上陸されている。最西端の与那国島上空には、台湾との間の防空識別圏が通っていて、自衛隊の飛行機は台湾からスクランブルをかけられるため、接近することを自制している。最南端の沖ノ鳥島については、多くの日本人は西太平洋海域に進出してきた中国の海洋活動がニュースになるまで、その存在すら知らなかったし、自衛隊は哨戒すらしていなかった。

 日本がこれから「海洋国家」として発展していくには、国土とその周辺海域をしっかり守る必要がある。(ひらまつ しげお)

(2007/07/26 05:14)

 

:2007:07/27/23:23  ++  【正論】拓殖大学海外事情研究所所長・森本敏 参院選挙後の日米同盟関係

■厳しい周辺情勢下どう信頼維持する

 ≪すぐ直面する重要な課題≫

 政治には国家や国民が直面する問題を解決するとともに将来の展望を示して、今なすべきことを示す責任がある。そのため政治家には優れた洞察力と先見の明が必要であり、我々は近代以降、優れた政治家に導かれて今日の国家を作ってきた。ところで今回の選挙の争点である年金問題が国家と国民の最大問題とは思えず、問題の本質はむしろ政権の信頼性にある。

 安倍政権が発足以来、日中関係を改善し日米関係を信頼性の高いものにするため米軍再編支援促進法やイラク人道復興支援法延長を決め、防衛庁を防衛省にし、国民投票法を成立させ、北大西洋条約機構(NATO)、中東・湾岸諸国、インド・豪州との関係をダイナミックに変え、サミットでイニシアチブをとり、国家安全保障会議設置のための法案を提出し集団的自衛権問題に取り組んだが、すべては選挙の争点になっていない。国民が適切に評価しなかったからであり、これは説明不足といわれてもしかたがない。他方、国内には自然災害、周辺地域は待ったなしの状況が続いている。

 朝鮮半島では6カ国協議が再開されたものの北朝鮮は核を放棄する気はなく、米中両国は現状肯定で、わが方は核抑止力と防衛体制を万全の状態にするしか方途はない。ただ、北朝鮮は時間稼ぎをしつつ、米政権の交代を待つつもりであり、すぐに混乱が起こるとは思えない。中国も当面、共産党大会を乗り切って、オリンピック成功に国威をかけている限り、日米両国に気を遣わざるを得ず、中台関係もすぐに混乱するとは考えにくい。むしろ深刻な問題は、日米同盟の信頼性をいかにして維持するかである。

 ≪対テロ特措法の更新は?≫

 当面する課題は、まず日本の防衛情報管理とF22売却問題である。米国は日本から重要な軍事秘密がリークされるのを懸念している。日本としては、秘密保護を厳重にする法的措置を取るとともに情報管理を厳しくして、米国が信頼するようにならなければF22を日本に売却しないであろう。しかし、秘密保護の法体系を整備することはさほど容易ではない。

 また、米国はアフガニスタンへの陸自ヘリの派遣を求めているが、現状下では難しい。しかし、アフガンでは日本の国際協力機構(JICA)要員が活動しており、危険というだけでは理由にならず、国際平和協力分野でどんな協力があり得るかを日米間で十分協議する必要がある。

 さらに対テロ特別措置法は11月1日に失効するが、秋の臨時国会で同法の更新をしなければ海上自衛隊のインド洋における活動は終結せざるを得ない。これは国際社会全体がテロ対策に取り組んでいる現状下で、できる話ではないが、参院選後の国会運営の中で、これを採決することも容易でない。

 ≪政治空白つくる余裕なし≫

 本年度末の接受国支援(HNS)に関する日米地位協定特別協定の改定と、国会承認も今後の課題である。米国は、イラク戦費で財政に苦しみ、同盟国の貢献を迫っているが、日本側には米軍再編もあって、HNS減額への意見があり、この問題は微妙な問題に発展する可能性がある。

 また米軍再編については、すでに米軍再編支援促進法が成立しているものの、日米間の役割分担は日本の防衛力のあり方とあいまって、今後の重要課題である。ミサイル防衛と日米間の共同運用要領も、我が国に対する弾道ミサイル脅威が存在する限り重要政策の一つであり、是非とも解決しなければならない。

 このように、日本を取り巻く客観情勢は厳しく防衛力の役割や国際任務は増える一方であるが、日本の防衛費減額は続いている。我が国としては米軍再編と関連して防衛大綱再見直しを必要とする時期に来ている。

 外交面では、6カ国協議の進展があるとしても日本には拉致問題があり、外交の手が縛られている。韓国は北朝鮮支援にのめりこんでおり、米国も中国と協力して北朝鮮の核問題につき妥協を続けている。このままいくと、日米間の温度差がますます広がり、難しい局面になるであろう。

 いうまでもなく日本にとり日米同盟は外交・安全保障の基本であり、日米同盟を常に信頼性の高いものにしておかなければならない。臨時国会前に集団的自衛権問題についての考え方が整理できたとしても、これを一般法の形で法整備をしなければ、実効性を伴わない。参院選挙後に日米同盟を万全なものにするために日本として取り組むべき課題はあまりにも多い。政治的空白を作る余裕はないはずである。(もりもと さとし)

(2007/07/24 05:04)

:2007:07/23/15:10  ++  【正論】元沖縄担当首相補佐官・岡本行夫 なんのための教科書修正か

■歴史をどんな主観で語るかが焦点に

 ≪慰安婦問題の争点は何か≫

 故堀米庸三東京大学名誉教授は、歴史というものはばらばらの事実を年代順に並べることではなく、現在の人間が主観的な契機をもって過去の史料を取捨選択するものであると40年も前に説かれていた。歴史というものは主観の産物になる宿命にある。例えば慰安婦問題について何万人もの慰安婦の事例すべてを検証することは不可能である。だからそれを一般化して語る時には、解釈者の主観が問われてしまう。慰安婦の境遇に同情しているのか、それとも何万人かの慰安婦は全員が自由意思、つまり金銭目当てだったと言っているのかと。

 慰安婦問題について米下院で審議されている対日謝罪要求決議案。4月末に安倍首相が訪米した際の謝罪姿勢によって事態は沈静化し、決議案成立はおぼつかない状況になっていた。しかし日本人有志が事実関係について反論する全面広告をワシントン・ポスト紙に出した途端、決議案採択の機運が燃えあがり、39対2という大差で外交委員会で可決され、下院本会議での成立も確実な状況になった。正しい意見の広告だったはずなのに何故なのか。それは、この決議案に関しては、すでに事実関係が争点ではなくなっているからである。過去の事象をどのような主観をもって日本人が提示しようとしているかに焦点があたっているからである。

 ≪沖縄の歴史の大局的流れ≫

 沖縄の教科書検定問題も似たところがある。軍の集団自決命令はあったのか。現代史について優れた業績を残されている秦郁彦氏が、軍による自決命令はなかった、情緒過剰の報道は慎めと本欄で説かれた主旨に異論はない。

 しかし、一方で、沖縄が本土防衛のために「全島要塞(ようさい)化」されて凄惨(せいさん)きわまりない状況に置かれ、住民の死傷者が戦闘員を上回った歴史は存在する。私は60回を超えた沖縄行きを通じて戦時中の話を聞く機会も多かった。住民たちが日本軍に殺された話も、沖縄の至るところに残っている。残念ながら自衛隊員に対する反感が沖縄県民のあいだに今も根強いのは、そうした背景のためである。

 誰の命令か発意かは別にして、痛ましい集団自決があったのも渡嘉敷、慶良間だけではない。たとえば、戦争中に特に激しい米軍の攻撃を受けた伊江島では、島に残った住民3000人の半数が死んだ。軍によって米軍への投降を厳しく戒められていた島民たちの中には、絶望的な状況下で手榴弾(しゅりゅうだん)や爆雷を囲んで集団自決していった人々も少なくない。

 沖縄の悲劇は、戦時中の被害ばかりではなく、戦後も同県が不公平な立場に置かれてきたことにある。本土が高度成長していた時代に沖縄は占領下で閉塞(へいそく)状況におかれ、1972年の本土復帰後も米軍基地の重圧にあえいできた。面積にして米軍基地の75%が、日本全体の0・6%の面積しかない沖縄にいまなお集中している。日本政府が、本土にある米軍基地の過半をアメリカから返還させたのに、沖縄の米軍基地には手をつけなかったためである。重要なのは、こうした大局的な歴史の流れである。

 ≪事実関係が問題ではない≫

 そもそも、私にも「軍命令による集団自決」は、教科書にわざわざ書くほどの事象だったのかという疑念はある。しかし、既に書かれていた教科書の記述を、論争のある時に修正することは、「軍の関与はなかった」とする史観を新たに採択した意味を持つ。否定できない犠牲の歴史が沖縄にある時に、修正しなければならないほど重大な過誤が従来の記述にあったのか。歴史とは事実の羅列ではない。それを通じて生まれてくる主観である。

 原爆投下の歴史的意義を個人がどう判断しようと思想の自由である。しかし公的立場の防衛相がこれを「しようがない」と述べることは、日本政府の基本政策に背馳(はいち)するばかりでなく、今も苦しむ原爆被災者の感情から、許されることではなかった。

 今年は憂鬱(ゆううつ)な年である。秋以降には米国で製作された映画「南京」が劇場公開され、さらにインターネットで世界中に配信される。アメリカの民間人が南京市民を日本軍の暴虐から救う「英雄物語」だが、観客の反応は目に見える。南京事件の実態については、犠牲者を数万人とみる秦氏の著作が最も客観性があるように思われるが、それとて、もはや数字の問題ではなくなってきている。日本人からの反論は当然あるが、歴史をどのような主観をもって語っていると他人にとられるか、これが問題の核心であることに留意しなければならない。(おかもと ゆきお)

(2007/07/23 05:04)

:2007:07/23/15:06  ++  【やばいぞ日本】見えない敵(8)米議員の足が遠のいている

首脳同士の緊密さなどもあって、一般にはかつてないほど良好といわれる日米関係だが、日米交流に携わる人々の間ではその現状と将来を危ぶむ声が聞かれる。

 日本国際交流センター理事長の山本正さん(71)もその一人だ。日米民間対話の草分けともいえる下田会議を、米フォード財団や日本の経済界からの支援で1967年に立ち上げ、翌68年からは議員交流も始めるなど日米交流歴は長い。

 とくに議員交流は、政策決定に大きな役割を担う議員こそ相手国への理解を深め、また欧米間のように議員の個人的な信頼関係を築くためにも必要性を痛感してきた。

 13回も参加したフォーリー元下院議長はついに駐日大使となったし、ラムズフェルド前国防長官は第1回の参加者だ。

 ところがいま、その歴史ある議員交流がピンチだ。去年は、他のプログラムすべて合わせても10人来たか来ないかだった。

 山本さんは言う。

 「とにかく(日本へ)連れて来るのがひと苦労。昔と比べて議員たちが内向きになった上に、忙しすぎる。議会の日程が長くなり拘束日数も増えた。長期で外に出られない。3日ならと言う」

 物見遊山との批判の声も以前より強まった。その標的になったことのあるフォーリー氏は山本さんに、「どこが物見遊山か、日程を見せてやりたい」と嘆いたほどだ。

 だが問題は、そんな逆風下でも同じアジアの中国にはむしろ増えていることだ。国際交流センターによると、昨年は訪日(9人)の倍強の22人の議員が訪中している。議員スタッフはもっと深刻だ。2001年から5年の連邦予算拠出以外の事業による訪日は75%減ったのに同時期の訪中は2・7倍も増えた。

 さらに山本さんの懸念に拍車をかけるのが日米関係専門家のポストの減少だ。米中関係専門家の3分の1程度、このままでは先細りしやしないか。ワシントンのシンクタンクにおける日本プログラムも減少している。

 これに対して中国との共同研究や対話は、米国のほぼすべての外交関連シンクタンクで行われ、中国政策の専門家以外からも関心が集まる。

 米国人にとって中国は好奇心や経済的好機の対象と同時に、安全保障や脅威の対象でもある。つまり、いろいろな意味で知らなくてはいけない国が中国なのだ。結局、米国の財団、企業から資金は中国プログラムに流れ込む。

 「米国は新しいプライオリティー(優先)ができると、金を集中して注ぎ込む。常にプライオリティーは何かを考えている。予算レベルでしか考えない日本とは違う。米国は強いなと思います」と山本さん。

 いま山本さんの最大の仕事は金集め。良好な日米関係の水面下で日本の存在感の低下が静かに進行する。

 

「日米」維持には特別な努力

 

 日本では交流予算が縮小している。例えば1991年に発足した日米センターの予算(事業費)は、90年代半ばに比べて約75%減だ。活動資金は政府出資金の500億円の運用益で賄う方式が取られたが、金利低下やバブル崩壊、財政再建などが追い打ちをかけた。

 もっとも予算の問題は氷山の一角かもしれない。前出の山本正さんは、日本における交流の在り方自体に疑問を投げかける。

 「文化交流が多く知的交流が少ない。例えば日本が東アジアの中で進もうとする方向について、それは米国との対比ではどうかとか、日本の政策決定のプロセスやキーマンは誰かなど、いま米国が日本について本当に知りたい課題に答えられる政策志向的な組織やシンクタンクが足りない」

 人材不足もある。この点は日米センターの沼田貞昭所長も同感だ。

 「ワシントンではセミナーやシンポジウムで、世界が直面するさまざまな課題を日々、しかも各所で議論している。その時に日本はこうだと発言する日本人をあまり見かけないというのです」

 つまり発信力が弱い。日本の立場を踏まえて理を尽くした議論のできる人が少ない。いても顔触れが決まっている。

 官庁も大学も企業も、そういう形で派遣する制度はない。国際会議を発信の場ととらえ、人材をどんどん送り込む中国と、ここでも差は明らかだ。どうしたらよいのか。

 外務報道官を務め、外務省きっての英語の使い手といわれた沼田さんはズバリ、場数だと言う。

 日本人は完璧(かんぺき)主義者が多いが、下手でも構わず発言する。場数を重ねる中で度胸もつくし、うまくもなっていく。

 「国会答弁ばかり書かされていて突如、発言しろといわれてもできません。魅力的にしゃべれる人が少ない。若い時から場数を踏むことです」

 米国が日本への関心を失ってしまったとは言い切れない。ワシントンでも日本人の議論への参加を期待する人は少なくないと言う。

 自由度も含めて中国との知的対話にはやはり限界がある。それに東アジアの議論が日本抜き、米中関係だけで進められては、正当な認識を著しく欠くことにもなる。

 山本さんはいまこそ議員交流も含め日米交流にあらためて取り組むべき時と考える。日米関係がなぜ重要か、深い理解を備えたキーパーソンを育てたい。そのためには米国の地方や他の機関とも協力して、と新たな想を練る。

 日米と欧米との決定的な違いは距離、資金、歴史の積み重ねだ。また日本からアジアへ行く人も、放っておいても増えるだろう。

 「日米関係の維持、向上には特別な努力が要るということです」。長い日米交流の経験を通じた山本さんの実感である。(千野境子)

(2007/07/23 07:42)

:2007:07/23/11:26  ++  グーグル、携帯電話向けのコンテンツ連動型広告にまもなく参入

グーグルが携帯電話向けに、コンテンツ連動型広告「AdSense」をまもなく開始する計画であることが分かった。すでに米国ではベータサービスを開始しており、日本でも今夏に提供する。

 モバイル版AdSenseは、携帯電話向けのサイトに設置できる広告プログラムで、サイトの内容を解析し、似た内容の広告を表示する。対象となるモバイルサイトはWML(WAP 1.x.)、XHTML(WAP 2.0)、CHTMLで記述されていること、PHPなどのサーバサイドのスクリプト言語で開発されていることが条件となる。広告は1ページに1枠のみ設置される。

 米国では大規模なモバイルサイトを運営している事業者らに対して、モバイル版AdSenseへの参加を呼びかける招待メールがグーグルから送られている。現在のところ、このメールを受信した人だけがベータプログラムに参加可能だ。

 グーグルは2006年7月にKDDIと共同でモバイル検索サービスを開始し、検索結果に連動した広告を掲載していた。携帯電話向けのコンテンツ連動型広告は2007年2月にオーバーチュアとNTTデータが共同で展開したのを皮切りに、ウェブドゥジャパンやエフルートも提供している。

:2007:07/23/10:41  ++  第3部塗り替わる産業地図(3)中東に淡水、日本には石油を(環境力)

水造りの技術、世界で商機
 三月、徳島県阿南市の富岡港に全長四十四メートルの巨大な“水枕”が入港した。和歌山県新宮市で化学繊維の袋に一千トンの淡水を詰め込み、タグボートで紀伊水道沿いの百七十キロメートルを運んだ。水資源が豊富な新宮市と工業地帯で夏場、毎年のように取水制限が実施される阿南市をつなぐ、国内初の水の海上輸送実験だ。
温暖化で水不足に
 独立行政法人の水資源機構と組んで実験を手掛けたのは日本郵船子会社のMTI(東京・千代田)。高橋泰彦プロジェクトマネージャーは「中東や中南米からも問い合わせが多い。早く実用化したい」と言う。大言壮語ではない。原油の輸送を大きな収益源とする海運会社にとって、淡水輸送が十分に元を取れるビジネスになりつつあるのだ。
 温暖化が水を貴重な戦略資源に押し上げる。国連などの推計では現在は世界人口のほぼ三分の一が水不足の状況に置かれ、それが二五年には三分の二に達する恐れがある。安全な水の供給を受けられない人の比率は低下しているが、十億人以上が飲み水にすら困る状況が依然続いている。
 実際、水は海外で天然資源を手に入れるための「通貨」になってきた。「油田権益の入札で優位に立ちたいなら、水の安定供給に協力してほしい」。日本の石油大手には石油輸出国機構(OPEC)加盟国首脳からこんな要請が相次ぐ。オイルマネーで潤う中東では金を積むだけでは不十分。「油」が欲しければ「水」を積め、というわけだ。
 丸紅はアラブ首長国連邦(UAE)で海水淡水化と発電を組み合わせた事業を始める。総事業費は約三千六百億円。日本の家庭なら百八十八万人分に相当する水を供給する。中東では大手商社による同様のプラント受注が目白押しだ。
 着々と水ビジネスを拡大する日本企業の視線の先には中国市場がある。約六百六十都市のうち四百以上が水不足とされ、安定供給のために官民が投じる資金は一〇年までで約十六兆円と予測される。日本勢もこれに呼応。旭化成は水処理膜の大型受注を次々と決め、東レは上海に開設した研究所で現地の水質に合った膜を開発。日立製作所は四川大学と環境技術を共同研究する契約を結んだ。
 「水造り」で高い技術力を発揮する日本企業。だが、大きな死角がある。中国各地の水道局が次々と外資系に生まれ変わるなかで、そのほとんどを欧州勢に押さえられている。
 水道事業の世界三大メジャーの一角を占める仏ヴェオリア。中国では天津、深〓、成都など二十近くの都市の水道事業に出資しており、累積の投資額は千六百億円に達した。
IBMが参入準備
 水道事業は水処理技術に加え、建設や運営のための巨額投資、顧客管理や課金の細かなノウハウが欠かせない。アンリ・プロリオ会長は「我々は長期間にわたり様々な事業を一括受託できる」と胸を張る。同社の水道事業の営業利益は毎年二割のペースで拡大し、〇六年は二千億円弱。売上高に対する利益率は二ケタを維持する。
 思わぬライバルも登場した。米IBMが水ビジネスへの参入準備を進めている。スーパーコンピューターを駆使して水の需給や汚染状況などを予測、自治体や水道会社などに対応策を指南する。IT(情報技術)サービスでの成功体験を水ビジネスに持ち込む。
 日本で水道事業に民間参入が認められたのは〇二年。百五十年の民営化の歴史があるフランスとの違いは大きい。モノとサービスの両輪をどう回していくか。日本企業が技術力での先行に安住していては、急成長する水ビジネスで主役になることはできない。

:2007:07/23/10:35  ++  買い物も「指静脈」で、日立が決済システム開発

日立製作所は指静脈の形で本人確認できる新しい決済システムを開発した。消費者はクレジットカードを使わずに小売店などに設置した読み取り装置に指をかざすだけで決済が完了する仕組み。カード会社のジェーシービー(JCB)と協力し9月から実証実験を始め、年度内に事業化する方針。他のカード会社とも組みシステム普及を促す。

 日立は銀行のATMで偽造や盗難カードによる被害を防ぐため「指静脈認証」で本人確認するシステムを開発、みずほ銀行などが導入を進めている。(07:00)

:2007:07/22/08:39  ++  【やばいぞ日本】第1部 見えない敵(7)「世界のメディアを虜に」




「グッチ・ガールの新たな人生」という見出しに、美女とトラのツーショット写真が踊った。2006年7月30日付の英大衆日曜紙メール・オン・サンデーだ。

 絶滅の危機に瀕(ひん)する華南トラに対する世界初の保護組織「華南トラ救済基金」代表者、ロンドン在住華僑、全莉(ぜんり)さん(45)の活動が好意的に報道されていた。彼女については、02年から今まで延べ約600の国内外のメディアが報じている。

 伊有名ブランド・グッチで特許事業の責任者を務めた7カ国語を操るビジネスウーマンは今、トラ保護に人生をかけるNPO(民間非営利団体)代表だ。それだけで興味はそそられるが、北京に一時帰国した際に実際に会ってみるとメディアが夢中になるのがわかる。

 虎柄のパーカー、アフリカの民族工芸風ネックレスという、さりげなく個性的で洗練されたファッション。荒唐無稽(むけい)に思えた「動物園生まれの華南トラを野生化させる」という計画も彼女の快活で自信にあふれた声で聞くと、壮大なロマンに思えてくる。

 中国南部原産の野生華南トラは生存数30頭を切っている。そこで動物園生まれの子供のトラをアフリカの自然の中に放ち、狩りの仕方などを仕込んで、野生種の絶滅を先延ばしにしようという試みだ。それに資金と人が続々と集まっている。

 北京の軍人家庭に生まれ、北京大学在学中にベルギー留学生と結婚。ベルギーに移住するも離婚、その後、米ペンシルベニア大ウォートンスクールでMBAを取得。ベネトン、グッチなどで築いた社交界人脈と交渉力が彼女の強みだ。

 後に夫となる米国人投資銀行家による400万ドル(約4億8000万円)の援助で、南アフリカに330平方キロメートルの土地を買った。

 映画スターのジャッキー・チェンや英ロックバンド、デュラン・デュランのニック・ローズ、世界的な著名指揮者、クリストフ・エッシェンバッハ氏らが次々と賛同。香港、英国政府、米内務省国立公園局も彼女の活動を支持している。

 中国政府は02年、全面的なバックアップを宣言し、上海動物園の華南トラの子4頭の出国を快諾した。密猟や生態系破壊のイメージがつきまとう中国はチベットカモシカの保護などにそれなりに力を入れているが、海外メディアが好意的には取りあげることは少ない。

 ところが全さんの活動とタイアップしたトラ保護活動は世界のセレブが応援した。

 全さんは言う。「このトラ救済計画ほど世界のメディアがこぞって報道した中国のプロジェクトがほかにあって?」

 隣の大国は、プロパガンダとはひと味もふた味も違う洗練された広報外交を展開しはじめている。

巧みな中国の広報戦略

 魅力的な人物を“広告塔”にして国家のイメージアップを図る手法は中国ではこれまでもあった。例えば、昨年4月の胡錦濤国家主席の訪米時、ホワイトハウスの歓迎式典にはハリウッド映画「SAYURI」で芸者役を務めた中国人女優、チャン・ツィイーも参加、五星紅旗と星条旗を持ちながらAPのカメラに笑顔を向けた。

 中国が禁止する法輪功への支援活動などで結果的にイメージアップ効果は相殺されたが、ハリウッドで人気のオリエンタル・ビューティーで政治に彩りを添える巧みさは中国らしい。

 先の戦争中は、蒋介石夫人の宋美齢氏がワシントンで連邦議員を前に熱弁を振るった。流暢(りゅうちょう)な英語と米国の価値観を理解する美しい帰国子女の魅力が米国世論を中国に引きつけた。一方で日本は辛酸を極めた。その伝統を今も見る思いだ。

 これを「プロパガンダ」と言ってしまえばそれまでだが、欧米諸国でも、政府が外国の世論に働きかけるかたちで国家の対外イメージを改善する方法は「パブリック・ディプロマシー」(広報外交)として重視されている。民間で活躍する魅力的な文化人やNGO、NPO活動に政府広報がのるのは当然なのだ。

 4月に北京の名門大学・清華大学でパブリック・ディプロマシーに関する国際会議「国のイメージと2008年北京五輪」が開かれた。参加した前在中国日本大使館広報文化センター長の井出敬二公使は「中国の広報外交にかける意気込みに驚いた」という。それだけにとどまらない。

 対外文化交流の予算は日中間で中身が違うものの、06年の中国の文化体育放送事業支出は前年比24%増の123億元(約1968億円)。これに対し、日本は同6%増の287億円だった。

 昨年11月、中国はアフリカ53カ国中、48カ国を招き、北京で中国アフリカ首脳会合を開いた。国家元首か首相が出席したのはうち41カ国。日本はこの会合に出席する首脳に対し、東京まで足を延ばすよう呼びかけたが、応じた大統領は9カ国にとどまった。相手国の人権問題には口を出すことなく、カネや人をつぎ込み、原油などを確保しようという中国の攻勢はさておき、吸引力の差をみせつけたことは否定できない。

 日本にも元国連難民高等弁務官の緒方貞子・国際協力機構(JICA)理事長のように国際的に通用する人材はいる。今年のミスユニバースは日本代表の森理世さん。若い世代にも魅力を持つ国際的な人材が育っている。日本が発信するアニメ、ゲームといったソフトパワーはいわずもがなだ。ただ、それらを国家の広報戦略と結びつけるという発想は日本にあまりない。そういう政治性のなさが日本人や日本文化の魅力だが、中国の巧妙といえる広報外交には脅威を感じた方がよいのではないか。

 英BBC放送などが昨年11月から今年1月にかけて世界27カ国、2万8000人を対象に実施した「世界に好影響を与えている国」調査によれば、ダルフール虐殺への間接的支援や人権問題、環境汚染や温室効果ガスの垂れ流しなどマイナスイメージの要因を山のように抱える中国がイメージのよい国(42%)として第5位に食い込んだ。

 それが中国の広報戦略の結果であるとすれば、同じ調査で日本の国家イメージがカナダと並ぶ第1位(54%)だったことを喜んでもいられない。(福島香織)

(2007/07/22 08:24)

 

:2007:07/21/12:11  ++  【やばいぞ日本】第1部 見えない敵(6)科協がさらう頭脳と技術

東京都文京区白山の白山通り沿いにどっしりと構える地上13階建てビル。屋上には、巨大な短波用のアンテナがそびえ立つ。朝鮮総連の傘下団体が数多く入居する同ビル6階に「在日本朝鮮人科学技術協会」(科協)の本部がある。

 本紙カメラマンが写真を撮ろうとしたところ、ビルからすぐに男が出てきて、「何のために撮るのか」と詰め寄ってきた。

 この科協の幹部数人が北朝鮮の首都・平壌で万雷の拍手で迎えられたのは、1999年3月、人民文化宮殿で開かれた「全国科学者・技術者大会」だった。前年の8月末、北朝鮮は日本上空を越えて三陸沖に着弾した中距離弾道ミサイル「テポドン1号」を発射した。

 壇上に立った崔泰福朝鮮労働党書記は「われわれの技術で初めて人工衛星『光明星1号』を成功裏に発射した」としたうえで、申在均会長(当時)ら科協代表団を次のように称賛した。

 「在日本朝鮮人科学者、技術者たちは社会主義祖国の富強発展と祖国統一のために愛国的活動を活発に展開し、主体朝鮮の公民となった栄誉を胸深く刻み、祖国の科学者、技術者たちと経済建設に大きく寄与した」

 『光明星1号』という日本国民を震撼(しんかん)させた弾道ミサイル打ち上げに成功したのは、科協の「愛国的活動」のたまものと、労働党幹部が認めたのである。

 実は、「カーギー」と総連関係者が呼ぶこの組織の活動は、秘密のベールに包まれていた。

 そのベールを警視庁公安部がはいだのは、一昨年10月、科協役員らによる薬事法違反事件で科協本部を初めて捜索したときだった。押収した資料から驚くべき実態が明らかになった。

 まず科協が朝鮮労働党の工作機関・対外連絡部の直轄下にあり、本国の内閣の一機関である国家科学院などと共同研究を指示されていたことがわかった。

 対外連絡部による科協への活動指示書は「科学技術は祖国を強盛大国にする柱」だった。「強盛大国」とは金正日総書記の国家目標であり、軍事や技術面などで大国化を目指すスローガンだ。具体的には核やミサイルの技術向上への貢献を科協に求めたのである。

 科協が共同で研究していた国家科学院は、ウラン濃縮の有力施設と米国が韓国に通告したと過去に韓国紙が報じたことがある。科協は核などの大量破壊兵器(WMD)開発の物資調達機関といえよう。

 愛知県に本社があるA社はミサイルや核の開発に欠かせない特殊鋼のメーカーだ。エンジン部品やトランスミッション部品の軽量化の開発などで知られる。北朝鮮は約10年前、A社に調査団を派遣したいと申し入れたが、A社は拒否したという。

 だが、北朝鮮は軽量化技術に固執し、どうやら、科協関係者がA社などの定年退職者にターゲットを絞って接触していると公安当局者はいうのだ。科協の上部組織である対外連絡部は、有本恵子さん拉致に関与した工作員の所属先でもある。目に見えないところで浸透工作が続いているといえないか。(高木桂一、川瀬弘至)

「北」に無頓着な研究者

 科協の驚くべきもう一つの実態は、そのネットワークの広がりだ。

 警視庁が押収したのは全国12支部の科協の会員1200人弱の名簿だった。うち約300人の幹部級名簿は比較的詳細で、学歴も朝鮮大学校のほか、日本の旧帝大の校名が記載されていた。

 勤務先として、複数の国立大や独立行政法人の研究機関、電機メーカーや重機大手など日本を代表する企業名があった。工学や化学、農学などの分野で専門家がそろい、軍事技術に転用ができる分野の会員もいた。

 問題は、こうした科協のネットワークを通じて、日本の先端技術や知識が恒常的に北朝鮮に流出してきたことだ。

 警視庁は2003年6月、ミサイルの固形燃料開発に転用可能な超微粉砕機「ジェットミル」をイランなどに不正輸出したとして機械メーカー「セイシン企業」を捜索した。科協の元幹部が関与し、ジェットミルを北に不正輸出していたことも明らかになった。

 その1カ月前の5月、米上院政府活動委員会小委員会で北朝鮮の兵器輸出に関する公聴会が開かれた。北朝鮮の弾道ミサイル開発に携わり、テポドン1号発射の前年97年に亡命した元技師は「ミサイル部品の90%は日本から輸入された。朝鮮総連を通じ、万景峰号で3カ月ごとに運ばれていた」と証言した。

 押収された文書にも、科協の幹部級が万景峰号で祖国訪問した際に接触した北の研究者から、研究に必要な具体的な技術情報を求められたとの記載があった。

 さらに朝鮮労働党の軍需工業直属機関である「第二委員会」から物資調達指示を示唆する文書や「今度帰国の際には〇〇の資料を本国に持ってくるように」と直接命じた文書も見つかった。

 問題は、「北朝鮮の軍事を支える産業スパイ工作集団」(公安関係者)とみられる科協が、日本人科学者を直接、間接に取り込んでいることだ。

 科協の初代会長、李時求氏は、京都大学から大阪大学大学院に進み、日本の原子力研究の第一人者、伏見康治博士の下で原子物理学を学んだ。公安関係者によると、李氏は86年に宇宙工学の権威で東大名誉教授の故糸川英夫氏を、87年には伏見博士をそれぞれ北朝鮮に招聘(しょうへい)した。

 伏見氏は月刊「日本の進路」01年1月号で「北の方々が、現に(日本)国内で活躍されておられる。その方々はひんぱんに祖国を往来しておられる。それなのに半世紀たったいまでも国交が回復しないのはどういうわけか」などとつづった。

 科協関係者は国立大学などの日本人研究者に巧みに近づき、日本の先端技術を吸収してきたと公安当局者は指摘する。

 今年6月、北朝鮮は短距離弾道ミサイルを3発発射した。いずれも固形燃料を使用したとされる。日本の企業が不正輸出したジェットミルが何らかの役割を果たしたといえなくはない。

 固形燃料を使用するミサイルは液体燃料に比べ、機動性を格段に増す。トラックの荷台に積み込み、いつでも自由に発射できる。捕捉は格段に困難になる。日本向けのミサイルに転用されれば、日本の平和と安全への重大な脅威になる。脅威に無頓着な日本人自らが、結果的に祖国に対して弓を引いている。

 

 

関連サイト

北朝鮮は今年4月25日の軍創建75周年パレードで新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」を初公開した(ロイター)

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(2007/07/21 08:21)

:2007:07/21/12:08  ++  【やばいぞ日本】第1部 見えない敵(5)モノいわず静かに静かに

2005年2月23日、高野紀元駐韓日本大使がソウル外信記者クラブの昼食会で、竹島(韓国名・独島)問題に関連した質問に答え、「竹島は歴史的にも国際法的にも日本の固有の領土というのが日本の考えである」と述べ、大騒ぎになったことは記憶に新しい。

 当時、竹島が所属する島根県の県議会で「竹島の日」条例制定の動きがあり、この話が韓国に伝わって官民挙げて「日本ケシカラン」の雰囲気が高まりつつあった。

 高野大使は問われるままに従来の日本の公式立場を説明した。そして、「しかし、この問題では日韓両国の立場が対立しているため、問題が両国関係に悪影響を及ぼさないようお互い冷静に対処すべきだ」と付け加えた。日本大使としては外交的に配慮の行き届いた適切な発言だった。

 したがって、この発言はニュースにはならない。ソウル外信クラブを構成する外国メディアのほとんどは当然、聞き流したが、韓国のメディアが飛びついた。「日本大使がソウルのど真ん中で妄言」と非難し、反日感情を煽(あお)った。高野大使の写真が街頭で火あぶりにされ、テロのウワサも流れた。

 以後、大使公用車は「日の丸」の国旗をはずして走行し、大使は各種行事への出席中止などの外出を控える事態となった。韓国で繰り返されてきた日本外交”反日受難”の風景である。

 この時、高野大使の発言について韓国外務省当局者から「外交官としては洗練されない発言だった。あそこまで具体的に述べる必要はなかったのではないか。日本の方でもそういう反省が出ているようだが」という話を聞いた。

 竹島・独島問題について韓国の一部には「韓国が半世紀以上にわたって実効支配しているのだから騒がない方が得策」という考えがある。したがって高野発言にそういう批判が出てもおかしくはない。

 しかし日本の方でも高野発言に批判があるとは?

 在韓日本大使館筋によるとそれは事実だった。「韓国では反日感情を刺激するような発言は慎むべきだ。質問に対する大使の答えも『従来の日本政府の立場に変わりありません』といった、抽象的な言及で済ませるべきだったとの声が当方でも出ている」というのだった。

 あれ以来、大使館では大使以下、竹島発言はタブーになってしまった。”箝口(かんこう)令“に近い。韓国であれだけ話題になったのなら、これを機に日本の主張をさらに伝達すればいいのに、逆に萎縮(いしゅく)してしまった。

 ある大使館幹部は「日本大使の発言はできるだけニュースにならないようわれわれは日夜努力している」と苦笑していた。 日本の対韓外交は相変わらず「モノもいわず静かに静かに」というわけだ。(黒田勝弘)

 

竹島を論議する好機だった

 一国の大使が自国の公的立場を、任地国で表明できないなどということはあってはならないことだ。外交的配慮とは別問題だ。それを”妄言”として日本非難に動員する韓国マスコミに対しては、日本政府として抗議すべきだろう。

 いや、むしろあの機会に、高野発言は国家として当然のことであり、その内容も決して“妄言”ではないことを、竹島領有権問題の歴史的経緯や日本側の主張の根拠とともに、韓国マスコミおよび世論に積極的にアピールすべきだった。

 竹島・独島問題で反日感情が盛り上がった2005年以来、筆者(黒田)はタクシーの運転手をはじめ韓国人から「日本が独島を自分のものだという根拠は何か。日本は先進国だからでたらめを言っているはずはない。それなりに理由があるはずだ。韓国政府やマスコミが隠しているかもしれないので、それが知りたい」といった意味の話を何回か聞かされた。

 隣国なのに、そして自由な民主主義国なのに、日本の主張が伝わっていないのだ。

 歴史教科書や慰安婦問題、靖国神社問題を含め、日韓の懸案について韓国マスコミはいまなお相手の立場や主張を正確に紹介しようとしないが、だからといってあきらめてはいけない。

 反日感情を恐れ萎縮していては相互理解など成立しない。

 外国では反論し自己主張しないと相手に同意したことになる。

 ソウルの日本大使館には公報文化院というのがある。大使館の広報、文化業務を担当し院長は公使だ。本館とはかなり離れたところにあり、スタッフは必要に応じて本館に出かける。

 この公報文化院の活動が“歌舞音曲”など文化交流中心で政策広報に弱い。竹島問題をはじめ厳しく微妙な“懸案”で積極的な政策広報をやっている形跡はない。物理的にも担当公使が大使館中枢と離れていては、臨機応変の効果的な政策広報は展開できない。

 公報文化院は今、地方都市での日本文化紹介の「ジャパン・ウイーク」が終わり、今度は秋の「日韓交流お祭り」の準備に忙しい。文化への熱中(?)は懸案からの逃避に見える。文化では国際交流基金の「日本文化センター」もある。日本大使館は政策広報に集中してはどうか。

 日本外交の事なかれ主義は竹島問題に象徴される。今年2月22日の「竹島の日」に向け、日本政府は問題を島根県に押し込めようとしたフシがある。日本大使館スタッフは韓国側に「あれはローカルの動き」と説明していた。松江での記念式典に出席した地元国会議員たちも、どこからか言い含められたように誰もあいさつに立たなかった。

 韓国では日本が竹島問題を「国際司法裁判所の判断に委ねては」と主張(注)してきたことさえほとんど知られていない。韓国はこれを拒否し続けているが、このことなどもっと内外にアピールしていい。

 韓国の世論に日本をいかに理解させるか、対立や論争覚悟の“攻めの外交”が求められている。

(注)日本政府は1954年と1962年に2度、オランダ・ハーグの国際司法裁判所への提訴を韓国に提案したが、韓国は応じていない。日本政府は敗訴の場合、「結果に従う」(小坂善太郎外相答弁)としている。

竹島には韓国警備隊が駐屯している

竹島には韓国警備隊が駐屯している

(2007/07/20 07:53)