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ひで坊な日々

主に私の仕事と信条に関わるメディアからの備忘録と私の日常生活から少し・・・                             
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:2007:09/19/11:40  ++  【正論】安倍首相辞任 大阪大学大学院教授・坂元一哉 テロ特措法に職を賭して

■「挫折」は構造的な原因にあった

 ≪短命政権による社会的停滞≫

 湾岸戦争(1991年)から9・11米中枢同時テロ事件(2001年)に至る10年余の間に、日本では首相が8回交代した。「失われた90年代」とよく言われるが、それだけ最高指導者が交代したのでは、政治も経済も低迷しないはずはない。1990年代以上に首相交代劇があった年代を現代史の中に見つけようとすれば、戦争と占領で混乱した30年代や40年代まで遡らねばならないのである。

 私は、小泉前首相の功績としてまずあげるべきは5年4カ月にわたって政権を維持し、それまで続いた短命政権の流れを押し返したことだと考えている。久しぶりの長期政権で政治は曲がりなりにも安定し、経済ははっきり回復軌道に乗った。国際的な影響力の低下にも歯止めがかかった。だから後継首相にも、長く政権を維持してもらいたいと思っていた。

 安倍首相の辞任はその意味でたいへん残念なことである。在任中に何もできなかったわけではない。むしろ、教育基本法改正、国民投票法、米軍再編法、国家公務員法改正など重要な法律をいくつも通したし、アジア外交や環境外交で新機軸を打ち出した。憲法改正を政治日程に乗せると宣言し、安全保障の法的基盤の再構築にも取りかかった。他の内閣なら数年分の業績と言えるだろう。だがそれでも、日本の政治にとって、首相がわずか1年で交代するのはよいことではない。

 ≪自民の支持基盤衰弱で敗北≫

 就任当初は、戦後生まれ初の首相として国民の期待を集め、内閣支持率は7割もあった。それが1年もしないうちに、3割を切るまで落ち込み、参院選大敗後は続投を支持しない世論が支持する世論より多くなっての退陣である。

 そうなった原因として、政治手腕の未熟さも指摘されている。たとえば、メディアを通じて国民との意思疎通をはかる能力は、小泉前首相のそれと比べる国民の目には、物足りなく映ったかもしれない。年金記録、閣僚の不祥事、失言、政治とカネ、すべてそのためにダメージを大きくしてしまったところがある。

 しかし首相の挫折は基本的には、構造的な原因によるものだろう。首相は小泉改革の継続を政権の旗印に掲げた。厳しい財政事情と、グローバリゼーションへの対応を考えれば、改革の必要は明白である。だがこれまでの改革は、自民党の伝統的な支持基盤、とくに地方の保守層や業界団体を衰弱させるものであった。参院選大敗の原因になった一人区での自民党惨敗にそれが表れている。

 安倍首相は、やがて改革にともなう経済成長の果実を実感できるようになる、と訴えた。だがそれは、そうなるにしても少し時間がかかる。実際に痛みを受ける人々の不満はおさまらず、首相の訴えは、あなたの「生活より大事なものはない」という民主党のスローガン(と農家戸別所得補償など即効性のありそうな提案)に敗れた。

 参院選大敗後、安倍首相はいま一度、国民に自らの政策の正しさを訴えようとした。「反省すべきは反省」して、よく説明すればわかってもらえる、との自信があったからだろう。

 それに、民主党のスローガンの背後には、国家の浮沈にかかわる、首相として絶対に見過ごすことのできない問題があった。小沢代表のテロ特措法延長に対する固い反対姿勢である。

 ≪「国民の安全」という国益に≫

 「生活より大事なものはない」というのは「安全保障」の確保を前提にした話である。しかし、アフガン戦争はアメリカの勝手な戦争だとする小沢氏の延長反対論は、単に「テロとの戦い」における日本の国際的立場を苦しくするだけでなく、安全保障の要である日米同盟を根底から揺るがす。

 国民の安全を守ることこそ、政治家としての自分の使命と考える安倍首相が、小沢氏の議論に危機感を覚えないはずがない。外遊中の記者会見で首相は、職を賭してもインド洋における多国籍軍への給油継続を実現すると明言した。

 だがその3日後、国会での所信表明演説をすませ、国会論戦が始まる直前になって突然、辞意を表明する。健康状態が悪化する中、状況を再検討し、自分がこのまま続けるより辞任した方が給油継続を実現しやすいと判断したのである。

 突然の辞意表明にはタイミングが悪く、無責任だとの批判が噴出した。首相自身、そうした厳しい批判が出ることは十分承知していただろう。それでも、辞任した方が国益にかなうと見定めたとき、首相の決断に迷いはなかったと、私は思う。

 (さかもと かずや)

(2007/09/19 05:01)

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