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ひで坊な日々

主に私の仕事と信条に関わるメディアからの備忘録と私の日常生活から少し・・・                             
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:2009:11/10/10:24  ++  【正論】東洋学園大学准教授・櫻田淳 「破局」へ歯車を進める鳩山外交

≪オバマ来日と井上成美の言葉≫

 「アメリカがよくあれまで我慢したものだと思う。資金の凍結や油の禁輸などは窮余の策で、まだまだおとなしい方だ。日本のやり方は傍若無人と云うの外はない」

 井上成美(しげよし)は、戦前、日独伊三国同盟の締結や日米開戦への動きには頑強な抵抗を示し、米内光政や山本五十六と並んで、「海軍左派三羽烏」と称された。井上は、戦時中には海軍兵学校校長、海軍次官を務め、帝国海軍最後の大将に昇進した。井上は、海軍兵学校校長在任時、英語が敵性語として扱われた時節に兵学校での英語教育の続行を指示した。

 前に触れたのは、戦後、昭和30年代後半に、井上が日米開戦に至る過程を回顧して語った言葉の一節である。1940年9月の北部仏印進駐から翌年7月の南部仏印進駐を経て日米開戦に至る過程に関して、一つの解釈は、米国が資産凍結、石油・屑(くず)鉄禁輸といった様々な対日圧力を加え、それが日本を真珠湾攻撃に追い込んだというものである。

 しかし、井上は、第二次世界大戦序盤の欧州戦線の状況に乗じた北部仏印進駐には反対したし、南部仏印進駐を「火事場泥棒」と評した。井上は、当時の米国が加えた様々な対日圧力を呼び込んだのは、実は、そうした「国際慣例」にも違背した日本の対応に他ならなかったと指摘し、それ故にこそ、その過程で「我慢をした」のは米国であったと認めたのである。

 井上の述懐は、他国の反応に細心の注意を払わず、結果として井上が「傍若無人」と評した往時の日本の姿勢にこそ、日米開戦の遠因の一つがあったことを説いている。
然(しか)るに、鳩山由紀夫内閣発足後50日余りの対米政策は、誠に支離滅裂なものであると評する他はない。たとえば、岡田克也外務大臣は、バラク・H・オバマ大統領の「核兵器のない世界」演説以降の国際潮流に乗じてか、米国に核先制不使用を要求する意向を示した。しかし、そうした要求は、米国の「核の傘」の恩恵を明らかに受けている日本の安全保障上の立場と整合しないし、そもそもオバマ演説では、「同盟国に対する『核の傘』の提供」は、明言されているのである。

 ≪対外関係に優先する自己都合≫

 また、普天間基地返還に絡む案件に関しても、普天間基地を拠点にする海兵隊部隊は、在日米軍の「抑止力」の中核を占める存在であるけれども、そうした事情への考慮は、鳩山内閣において、どこまで働いているのか。

 鳩山内閣下の対米姿勢における最大の難点は、結局のところは、民主党という一政党としての「自分の都合」が客観的な対外情勢判断の総(すべ)てに優先していることなのであろう。鳩山内閣には、「政権交代」の結果として登場したという自負を反映した故にか、従来の自由民主党主導内閣で展開されてきた対外政策ですらも転換し、新たな対外政策方針を構築できるという幻想が漂っているのかもしれない。

 しかし、米国をはじめとする他の国々が対日関係の文脈で相手にしてきたのは、日本政府であって、自民党という一政党ではない。自民党であれ民主党であれ、日本政府が他の国々と約束したことは、基本的に踏襲されなければならないのである。対外政策には、「独善」ほど忌むべきものはないのである。
≪国家の利益を背負った交渉≫

 因(ちな)みに、井上は、日独伊三国同盟を推し進めた松岡洋右(ようすけ)の構想を「痴人の夢」と評した。

 松岡は、日独伊三国同盟にソ連を引き込む構想を梃子(てこ)として、「対等な日米関係」を実現させようとしたけれども、そうした松岡の「独善」を絵に描いたような構想は、日米関係における「対等性」を実現するどころか、その「破局」に向けた歯車を決定的に進めたのである。

 目下、「東アジア共同体」構想を唱え、「緊密で対等な日米同盟」を標榜(ひょうぼう)する鳩山総理の言動を前にして、奇妙な既視感を覚えるのは、果たして筆者だけであろうか。

 こうした情勢を前にして、オバマ米国大統領が来日する。鳩山総理は、オバマ大統領に対して、どのような言葉を掛けるつもりなのか。オバマ大統領もまた、米国という国家の利害を背負って来日するのであれば、実質的な成果を期待できない「ビジネス」に本来は付き合っている暇もないであろう。そうした実の伴わない「ビジネス」に付き合わせる弊害には、鳩山総理は、自覚的に向き合うべきであろう。

 米国は、日本とは比較にならないほどに、「我慢が出来ない」国家なのである。

 「アメリカ(オバマ政権)がよくあれまで我慢したものだと思う。…日本(鳩山内閣)のやり方は傍若無人と云うの外はない」

 筆者は、往時の井上が痛憤の念とともに回顧した風景が、このような体裁で再現されないことを切に願っている。
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