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:2008:07/17/09:42 ++ ニッポン漁業の構造問題(上)疲弊する現場――燃料高直撃、廃業の波。
魚価が低迷するなか燃料価格が急騰し、日本の漁業が苦境に陥っている。一斉休漁で支援を求めたが、対症療法では済まないほど問題の根は深い。明らかになった構造的なもろさを克服する改革が迫られている。
自宅待機の日々
全国一のイカ水揚げ量を誇る青森県八戸市では、過去一年で約四十隻の中・大型イカ釣り船のうち一割が休廃業。第三十開洋丸は六月から船に「休漁中」の看板を掲げたまま。人件費削減のため雇ってきたインドネシア人船員十二人は一時帰国させ、日本人八人は自宅待機を続ける。船主の河村桂吉さんは「生き残るための休漁」と言い切るが、再開のメドは立たない。
マグロ価格低迷で宮城県北部鰹鮪漁業組合に所属するマグロ漁船は一九九二年の百二十五隻をピークに三十五隻まで減少した。ここにきて燃油高が追い打ちをかける。
「六月末に帰港した船を漁に出すか、休ませるか。いまの油代では操業計画が立てられない」。同組合には属さず七隻の遠洋・近海マグロはえ縄漁船を経営する福洋水産(宮城県気仙沼市)の斎藤徹夫社長は悩む。昨年は燃油代が平均一キロリットル七万円で収まっていたが、現在は十万円以上に跳ね上がっているからだ。
漁業の生産コストのうち燃油代は三―四割に達した。天然魚の漁獲が厳しければ養殖魚を増産すればいいという意見もある。しかし、エサやりなどに一日何度も養殖場と漁港を往復するため、燃料負担は決して小さくない。
さらに生産コストの約六割を占める飼料の価格は二年前より五割以上、上昇。中国の需要拡大などでエサとなるカタクチイワシなどの不足感が高まった。今年、ブリやカンパチなどの稚魚の飼育数は約一割減少する見込み。「大量に飼育すると途中で運転資金が不足する懸念が高い」(全国海水養魚協会)ためだ。
仲卸業者3割減
流通業者も疲弊している。東京・築地市場では二〇〇七年の水産物取扱量は約五十七万トンで、わずか五年間で一一%減少した。手数料収入を経営の柱にする卸会社には死活問題だ。
仲卸業者の数は二十年前に比べて三割減って約七百八十社になった。「鑑札」と呼ばれる店舗営業権の取引価格も暴落。一時は一億円を超す価格で取引されたが、今は一千万円以下に下がっても買い手がつかないこともあるという。ある仲卸は「魚が安いうえに売れない。もはやうまみはない」とこぼす。
水産物は多段階の流通を通すなかで、生産者、流通業者が少ない利益を分け合っている状況だ。魚価の上昇を期待する声は多い。しかし、食料・燃料高で消費者は一段と生活防衛色を強めている。
台湾船の休漁情報をきっかけに、築地市場では冷凍メバチマグロの卸値が四月以降、二割前後上がった。しかし、今月初めに日本のマグロはえ縄船団が休漁方針を決定しても反応は鈍い。卸会社は「これ以上の値上がりは簡単には進まない。消費者は受け入れないのでは」と分析する。
〇七年の漁業の就業者は二十万人で十年前より二六%減った。全国漁業協同組合連合会は燃油代が一キロリットル十三万円になれば三割が廃業すると警鐘を鳴らす。世界では健康志向を背景に魚食が急拡大し、海外からの安定調達は難しくなっている。生産性が低く、コスト高が経営を直撃する日本の漁業の体質強化が求められる。
自宅待機の日々
全国一のイカ水揚げ量を誇る青森県八戸市では、過去一年で約四十隻の中・大型イカ釣り船のうち一割が休廃業。第三十開洋丸は六月から船に「休漁中」の看板を掲げたまま。人件費削減のため雇ってきたインドネシア人船員十二人は一時帰国させ、日本人八人は自宅待機を続ける。船主の河村桂吉さんは「生き残るための休漁」と言い切るが、再開のメドは立たない。
マグロ価格低迷で宮城県北部鰹鮪漁業組合に所属するマグロ漁船は一九九二年の百二十五隻をピークに三十五隻まで減少した。ここにきて燃油高が追い打ちをかける。
「六月末に帰港した船を漁に出すか、休ませるか。いまの油代では操業計画が立てられない」。同組合には属さず七隻の遠洋・近海マグロはえ縄漁船を経営する福洋水産(宮城県気仙沼市)の斎藤徹夫社長は悩む。昨年は燃油代が平均一キロリットル七万円で収まっていたが、現在は十万円以上に跳ね上がっているからだ。
漁業の生産コストのうち燃油代は三―四割に達した。天然魚の漁獲が厳しければ養殖魚を増産すればいいという意見もある。しかし、エサやりなどに一日何度も養殖場と漁港を往復するため、燃料負担は決して小さくない。
さらに生産コストの約六割を占める飼料の価格は二年前より五割以上、上昇。中国の需要拡大などでエサとなるカタクチイワシなどの不足感が高まった。今年、ブリやカンパチなどの稚魚の飼育数は約一割減少する見込み。「大量に飼育すると途中で運転資金が不足する懸念が高い」(全国海水養魚協会)ためだ。
仲卸業者3割減
流通業者も疲弊している。東京・築地市場では二〇〇七年の水産物取扱量は約五十七万トンで、わずか五年間で一一%減少した。手数料収入を経営の柱にする卸会社には死活問題だ。
仲卸業者の数は二十年前に比べて三割減って約七百八十社になった。「鑑札」と呼ばれる店舗営業権の取引価格も暴落。一時は一億円を超す価格で取引されたが、今は一千万円以下に下がっても買い手がつかないこともあるという。ある仲卸は「魚が安いうえに売れない。もはやうまみはない」とこぼす。
水産物は多段階の流通を通すなかで、生産者、流通業者が少ない利益を分け合っている状況だ。魚価の上昇を期待する声は多い。しかし、食料・燃料高で消費者は一段と生活防衛色を強めている。
台湾船の休漁情報をきっかけに、築地市場では冷凍メバチマグロの卸値が四月以降、二割前後上がった。しかし、今月初めに日本のマグロはえ縄船団が休漁方針を決定しても反応は鈍い。卸会社は「これ以上の値上がりは簡単には進まない。消費者は受け入れないのでは」と分析する。
〇七年の漁業の就業者は二十万人で十年前より二六%減った。全国漁業協同組合連合会は燃油代が一キロリットル十三万円になれば三割が廃業すると警鐘を鳴らす。世界では健康志向を背景に魚食が急拡大し、海外からの安定調達は難しくなっている。生産性が低く、コスト高が経営を直撃する日本の漁業の体質強化が求められる。
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