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:2010:10/04/09:18 ++ 「強硬中国」が問う成長戦略―頼りすぎは外交をも縛る(核心)
尖閣の一件は日中関係の新しい現実をいささか、どぎつくあぶり出した。
自国の主張を通すため、中国は希土類(レアアース)の輸出制限などで日本に圧力をかけた。強硬姿勢の背景にあるのは、経済力や軍事力の拡大に伴う自信、13億人市場への日本側の期待の高まり、そして日本の国力の相対的な衰えなど様々な変化だ。
おそらく日中関係の歴史的な転換期なのだろう。外交戦略の見直しは欠かせない。中国の成長にあやかろうという政府の成長戦略や企業の経営方針も、脇の甘さを改めざるをえまい。
「新成長戦略を6月にまとめたとき、中国が強硬な経済措置をとるリスクは想定外だった」と担当の官僚が明かす。全54ページの成長戦略に、資源調達先の分散などの項目はない。
そこに書かれているのは中国や東南アジアを強く意識した社会資本の輸出や環境技術の提供、観光客の誘致など。方向はよいとしても「異質な市場経済」中国への警戒は薄い印象だ。
無理もない。中国の変容は急だ。32年前に来日した〓小平氏は中国が主張する尖閣諸島の領有権に関し「次の世代は我々より賢いだろう」と踏み込まなかった。日本からの資金や技術を優先したに違いない。
その後、中国は高成長に入る。この20年でドル表示の国内総生産(GDP)は11倍に増え、今年は日本を超える。ストックホルム国際平和研究所の推計では国防費は日本の倍以上だ。
日本からの新規円借款は2007年度で終わった。欧米など多くの国が投資を申し出ている。
もう日本に遠慮しなくてよい――。それが偽らざる気持ちではないか。
その一方で共産党内部の確執や発展に乗り遅れた人々の不満など国内に難問を抱える。勢い外交面では強く出ることになる。
そのあおりを強く受けるのは、中国との間に多くの外交案件を抱える日本だ。
尖閣諸島は火薬庫だ。船長の処分保留での釈放で、さらなる領海侵犯を招くかもしれない。中国の歴史学者たちは「沖縄にも中国の権利がある」と言い出している。尖閣で譲れば際限がなくなる恐れもある。
また中国政府は日本への賠償請求を放棄したものの、中国人個人の賠償請求権はあると言い始めている。これも厄介だ。
ほかに旧日本軍の遺棄化学兵器の処理が遅いという不満、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りへの反対などもある。
政府が強い国だけに“制裁”の手段も豊富だ。今回、旅行業者に日本への観光旅行販売の自粛を指示した。フジタ社員の拘束やレアアースの制限も圧力の一環だろう。オーストラリアがウイグル族の独立運動指導者カーディル氏の訪問を受け入れたときも観光客の渡航自粛を指示した。
日本企業が悩む現地労働者のストライキでは、行政が労使の仲介を務めることもある。だが労働組合の全国組織、中華全国総工会は共産党の指導下にある。何かの際に政府の意向でスト入りという懸念も残る。
弱みだった経済が強みに変わり、政府がそれを外交にも使う。そんな中国に国際社会のルールを守ってもらうにはどうするか?
外交面では日米同盟の強化や、東南アジア諸国との連携が欠かせない努力だ。
経済の面ではまず、中国にあれこれ依存しすぎないことである。
レアアースは9割を中国からの輸入に頼る。政府は問題の重大さに気づき調達先の多様化や代替素材の開発を急ぎ始めた。
レアアースほどでないが製品の販売先としての対中依存度も増している。
例えば日産自動車の全世界の販売台数の22%が中国だ。各業界とも、ほかの新興国にもっと売りたいのが本音だろう。
成長著しいインドや東南アジア、ブラジルで販売を増やすためのカギは、自由貿易協定(FTA)を軸とする経済連携協定(EPA)で、それは政府の仕事だ。
9月にインドと経済連携で大筋合意した。だが完成車の取引が自由化の対象にならないなど不満が残る。
看護師など人材の受け入れや農産物市場の開放に日本が前向きでないことが、中身の薄い連携協定につながる場合が多い。
これらは政治家が解決すべき国内問題だ。中身の濃い協定ができれば、生産拠点の分散にも役立つ。
我々が中国にとって「必要な存在」になる努力も要る。レアアースは液晶パネルや小型モーターなどに使う。中国企業はこれらの部品を日本から買い、薄型テレビや携帯電話を作る。
今回、輸出制限を早めに撤回した理由の一つには、日本の部品を買う中国企業への配慮もあったといわれる。環境関連を含めて技術を磨き戦略的に使いたい。
さらに研究開発や規制改革など中国に頼らない成長促進策に一段と力を入れる。かの国が理不尽な振る舞いに出たら欧米諸国とともに「友邦の圧力」をかける……。成長の戦略というからには、相手の出方も考えた様々な作戦が要る。
そして成長を通じて財政を改善し、防衛費や対外援助、海上警備予算などを確保するのも大事だ。古今東西、国力を超える外交ができたためしはない。
日本の主権、尊厳を守りながら、中国とともに栄えるため、政治家や経営者が負う荷はじつに重い。
自国の主張を通すため、中国は希土類(レアアース)の輸出制限などで日本に圧力をかけた。強硬姿勢の背景にあるのは、経済力や軍事力の拡大に伴う自信、13億人市場への日本側の期待の高まり、そして日本の国力の相対的な衰えなど様々な変化だ。
おそらく日中関係の歴史的な転換期なのだろう。外交戦略の見直しは欠かせない。中国の成長にあやかろうという政府の成長戦略や企業の経営方針も、脇の甘さを改めざるをえまい。
「新成長戦略を6月にまとめたとき、中国が強硬な経済措置をとるリスクは想定外だった」と担当の官僚が明かす。全54ページの成長戦略に、資源調達先の分散などの項目はない。
そこに書かれているのは中国や東南アジアを強く意識した社会資本の輸出や環境技術の提供、観光客の誘致など。方向はよいとしても「異質な市場経済」中国への警戒は薄い印象だ。
無理もない。中国の変容は急だ。32年前に来日した〓小平氏は中国が主張する尖閣諸島の領有権に関し「次の世代は我々より賢いだろう」と踏み込まなかった。日本からの資金や技術を優先したに違いない。
その後、中国は高成長に入る。この20年でドル表示の国内総生産(GDP)は11倍に増え、今年は日本を超える。ストックホルム国際平和研究所の推計では国防費は日本の倍以上だ。
日本からの新規円借款は2007年度で終わった。欧米など多くの国が投資を申し出ている。
もう日本に遠慮しなくてよい――。それが偽らざる気持ちではないか。
その一方で共産党内部の確執や発展に乗り遅れた人々の不満など国内に難問を抱える。勢い外交面では強く出ることになる。
そのあおりを強く受けるのは、中国との間に多くの外交案件を抱える日本だ。
尖閣諸島は火薬庫だ。船長の処分保留での釈放で、さらなる領海侵犯を招くかもしれない。中国の歴史学者たちは「沖縄にも中国の権利がある」と言い出している。尖閣で譲れば際限がなくなる恐れもある。
また中国政府は日本への賠償請求を放棄したものの、中国人個人の賠償請求権はあると言い始めている。これも厄介だ。
ほかに旧日本軍の遺棄化学兵器の処理が遅いという不満、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りへの反対などもある。
政府が強い国だけに“制裁”の手段も豊富だ。今回、旅行業者に日本への観光旅行販売の自粛を指示した。フジタ社員の拘束やレアアースの制限も圧力の一環だろう。オーストラリアがウイグル族の独立運動指導者カーディル氏の訪問を受け入れたときも観光客の渡航自粛を指示した。
日本企業が悩む現地労働者のストライキでは、行政が労使の仲介を務めることもある。だが労働組合の全国組織、中華全国総工会は共産党の指導下にある。何かの際に政府の意向でスト入りという懸念も残る。
弱みだった経済が強みに変わり、政府がそれを外交にも使う。そんな中国に国際社会のルールを守ってもらうにはどうするか?
外交面では日米同盟の強化や、東南アジア諸国との連携が欠かせない努力だ。
経済の面ではまず、中国にあれこれ依存しすぎないことである。
レアアースは9割を中国からの輸入に頼る。政府は問題の重大さに気づき調達先の多様化や代替素材の開発を急ぎ始めた。
レアアースほどでないが製品の販売先としての対中依存度も増している。
例えば日産自動車の全世界の販売台数の22%が中国だ。各業界とも、ほかの新興国にもっと売りたいのが本音だろう。
成長著しいインドや東南アジア、ブラジルで販売を増やすためのカギは、自由貿易協定(FTA)を軸とする経済連携協定(EPA)で、それは政府の仕事だ。
9月にインドと経済連携で大筋合意した。だが完成車の取引が自由化の対象にならないなど不満が残る。
看護師など人材の受け入れや農産物市場の開放に日本が前向きでないことが、中身の薄い連携協定につながる場合が多い。
これらは政治家が解決すべき国内問題だ。中身の濃い協定ができれば、生産拠点の分散にも役立つ。
我々が中国にとって「必要な存在」になる努力も要る。レアアースは液晶パネルや小型モーターなどに使う。中国企業はこれらの部品を日本から買い、薄型テレビや携帯電話を作る。
今回、輸出制限を早めに撤回した理由の一つには、日本の部品を買う中国企業への配慮もあったといわれる。環境関連を含めて技術を磨き戦略的に使いたい。
さらに研究開発や規制改革など中国に頼らない成長促進策に一段と力を入れる。かの国が理不尽な振る舞いに出たら欧米諸国とともに「友邦の圧力」をかける……。成長の戦略というからには、相手の出方も考えた様々な作戦が要る。
そして成長を通じて財政を改善し、防衛費や対外援助、海上警備予算などを確保するのも大事だ。古今東西、国力を超える外交ができたためしはない。
日本の主権、尊厳を守りながら、中国とともに栄えるため、政治家や経営者が負う荷はじつに重い。
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