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ひで坊な日々

主に私の仕事と信条に関わるメディアからの備忘録と私の日常生活から少し・・・                             
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:2007:08/19/13:22  ++  【やばいぞ日本】第2部 資源ウオーズ(2)揺らぐレアメタル超大国

「京都の金閣寺と銀閣寺の間に、21世紀のチタン閣寺を建立できないか」。東大生産技術研究所の岡部徹准教授は、熱い口調で提案する。

 銀灰色に輝くチタンは軽くて強く、さびにくいという、すぐれた性質を備えた金属だ。岡部氏は続ける。「白金やタンタル、ニオブなどで、記念コインをつくって発行するのはどうでしょう」「オールチタンのビッグなクリスマスツリーを建てれば、冬の観光名所ができあがる」

 いずれも新しい提案だ。しかし、岡部氏は観光振興や記念事業に力を入れようとしているのではない。レアメタル資源の効果的な備蓄策のアイデアを示しているのだ。

 レアメタルの日本語は「希少金属」。地上の資源量が少なかったり、精錬が難しい金属の総称だ。チタン、白金、タンタル、ニオブはいずれもレアメタルの仲間である。厳密な定義はないが、17種類の希土類元素を1鉱種として数え、全部で約30鉱種とされることが多い。

 どうして岡部氏は、レアメタルの重要性を叫ぶのか。

 「ハイテクの名で呼ばれる機器類は、ほとんどそのすべてに多種多様なレアメタルが使われているからです」

 液晶パネルの透明電極にはインジウムが、リチウムイオン電池にはコバルトが、パソコンのハードディスク用の小型精密モーターにはネオジムがそれぞれ使われている。

 これらは、ほんのわずかな一例。枚挙にいとまがないという表現がふさわしいのがレアメタルとハイテクの関係だ。

 「レアメタルなしに、現代文明社会は成り立ち得ません」

 そして日本は、世界のレアメタルの25%を使う世界一の消費国。同時にレアメタルの研究開発に関する超大国なのだ。

 電子技術情報産業をはじめ、発光ダイオードやディスプレーを生産する光産業、車の排ガスを触媒で処理する環境産業が今の日本経済を支える。

 だが、その日本の足元が揺らぎかけている。

 レアメタルの価格高騰と入手難が原因だ。レアメタルは、地球上に均等分布していない。産出地域は、中国やロシア、南アフリカなど一部の国に限られている。こうした資源国が、自国の需要を優先するとともにレアメタル輸出を控えだした。従来の輸出奨励策を打ち切り、昨年11月以降、逆に輸出税を増やし始めた中国がその代表だ。

 インジウムの価格は5年間で8倍を突破。高張力鋼に使うバナジウムは6倍を超えた。近年の高騰ぶりは、まさに新興国の経済発展と符合する。

 このため国内企業は必要量の確保に躍起になっている。安定入手のためには、独自技術の公開もいとわないという企業も現れているほどである。日本の製造業は中国などの一部の国に首根っこを押さえられかねない危機に直面している。

中国頼みの怖さ思い知る

 もしも、缶ビールが姿を消すと、日本の夏はどうなるだろう。

 そんな空想に現実感を添える出来事が、国内のアルミ缶の3割を生産している神戸製鋼所で起きた。今春のことである。アルミの強度増加に欠かせないマンガンの必要量を調達できない可能性が生じたのだ。

 神戸製鋼は長期契約によって南アフリカから使用するマンガンの半分の安定供給を受けてきた。残りを、中国からそのつど買っていたが、1トン約2000ドルであった年初の価格が、5、6月には7000ドルにまで急騰したのだ。

 マンガン価格はその後4000ドル程度にまで下がったが、中国頼みの怖さを思い知らされた同社は、南アとの長期契約を増やし、中国からの輸入を10%以下に抑える方向に転換し始めた。

 レアメタル確保のために、苦渋に満ちた決断を下した例もある。高性能磁石用合金を製造する昭和電工の場合である。

 高性能磁石に欠かせないレアメタルがネオジムだ。高性能磁石用合金の性能は、結晶の出来具合に左右される。その結晶の作り方にこそ、昭和電工の競争力の源泉があった。

 「だが、増大する需要をまかなうに足る資源確保のためには、ある程度の技術流出はやむを得ない」(海老沼彰電子材料事業部長)と判断した同社は、ネオジム鉱山を保有する中国企業と合弁会社を設立。2003年末、内モンゴル自治区に国内と同水準の工場を稼働させ、今年7月には中国に2カ所目の工場を設立した。

 「レアメタルの急騰には、国際的な投機筋も関与しています」

 レアメタル専門商社、アドバンスト・マテリアル・ジャパン(本社・東京都港区)の中村繁夫社長が舞台裏の一角を明かしてくれた。

 「石油に比べると市場規模が小さいので、一部の思惑で相場の操作が可能なのです」

 中村氏は資源国や投機筋に翻弄(ほんろう)されやすいレアメタル問題の解決に、資源外交の重要性を説く。

 世界のデジタル革命で日本が先導的な役割を果たし、真の平和維持に貢献する。そのうえで、資源国と同一経済圏を構築し、安定供給の道を開くという長期対策だ。

 「短期対策としては、レアメタル備蓄制度の拡充も必要でしょう」

 国は茨城県高萩市に敷地面積3万7000平方メートルの国家備蓄倉庫を備えている。備蓄の対象はニッケル、クロム、タングステン、コバルト、モリブデン、マンガン、バナジウムの7鉱種だ。

 国が備蓄している7鉱種は重要だが、金を出せば手に入る。その一方、インジウムなど、IT(情報技術)時代に不可欠な鉱種の備蓄がない。これらは現代の軍事技術にも不可欠だ。「元素政策の転換が必要です」と中村氏は語る。

 日本政府は6月からレアメタルの安定供給対策に乗り出した。従来の備蓄一辺倒から、リサイクルや代替材料の開発、鉱山開発への公的支援の強化策などを盛り込んだことは評価されている。

 しかし、代替材料の開発には時間がかかるうえ、実効性も不透明だ。

 中村氏は「直面しているのは、かつてのオイルショックのエネルギー危機と異なるレアメタル危機だ。日本人はデジタル時代の新たな危機を実感していない」と警鐘を鳴らしている。

 (長辻象平、飯塚隆志)

 

 

関連サイト

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(2007/08/19 08:27)

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モスクワ市内に立つ「宇宙開発記念塔」。総チタン製で高さ110メートル。旧ソ連が1964年に建設した。250トンのチタン備蓄になっている(長辻象平撮影)

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