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ひで坊な日々

主に私の仕事と信条に関わるメディアからの備忘録と私の日常生活から少し・・・                             
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:2007:09/04/13:30  ++  オラクルの業績

 
日本のIT企業の業績はすでにレポートしたがいずれも低迷状態を脱却できていない。 その理由もすでに分析されている通りであり、情報産業振興議員連盟の見当結果をはじめ何度もレポートしているのでいまさら繰り返すこともあるまい、最近では総務省が「我が国のICT国際競争力強化戦略」で整理している通りである、しかし、一向に抜本的な対応は出てこないというジレンマにある。 国家の司令塔であるIT担当大臣である高市早苗氏は当初から予想されたとおりこの分野でなんの仕事もせずに1年未満で交代していった。 つまり政府のIT政策優先度は決定的に上がらず、抜本的な対応が取れないほど業界ががんじがらめになっているということではあるまいか。 そんな中で起死回生のTOBを富士通はフランスで仕掛けたがあっさりと退けられた。 そんな日本のIT業界をあざ笑うかのように米国のIT企業は史上空前の業績をあげている。 IBMについてはすでにレポートした通りである。  知人で、優秀なる現役の業界アナリストのO氏が米国のIT企業の業績を整理して送ってくれたのでその資料を引用しつつ、IBM以外の主要な企業の業績を紹介してみたい。 そこから浮かびあがるのは、圧倒的な収益力の差であり、そこから生み出される巨額のキャッシュと、それを活用した積極的なM&Aと研究開発投資である。 その結果、日米の収益格差は拡大の一途となる。 
 
その第1報は、オラクルを紹介する。 オラクルは6月末に業績を発表した、O氏の資料から抜粋してそのポイントを紹介する。 ソフトウエアビジネスモデルを確立したのはマイクロソフトを初めとする米国のIT企業である。 その端緒を小生は、1985年のヤングレポートに見いだしている。 そこで、知財を武器にしたプロパテント戦略が米国の新しい時代の戦略として提案されている。 その範囲がビジネスモデルにまで敷衍したことは行きすぎの感があるが、マイクロソフトを筆頭に、米国が開発したといっても過言ではない、ソフトウエアのビジネスモデルがいかに卓越したモデルであるか、この結果が雄弁に物語っている。 知的財産を販売せずにその利用権をライセンスという形でエンドユーザ単位に提供するというものであり、一度提供すると、バージョンアップと、利用技術料という、プリンタービジネスで言えば媒体ビジネスのようなうまみがある。 いうまでもあるまいが、プリンタービジネスはかつてゼロックスが開発したモデルであり、コピーの枚数に応じて課金するモデルであり、トナーと用紙と保守で儲けるモデルでもある。 そして収益の圧倒的な部分はこの媒体から獲得している。 ソフトウエアもこのモデルと近似するところがある。  
 
この戦略に気づかずに、日本が決定的に出遅れたモデルである。 国家も企業もソフトウエア戦略を軽視した日本のツケはあまりにも大きい。 今のままでは世界のソフトウエア企業と戦うことは絶望的な気分となる。 すべてはソフトウエアの時代となっているが、日本は、国家も企業も完全に時代の到来を見損なったのである。 そのソフトウエアが、セールスフォース・ドットコムの飛躍的発展で、ソフトウエアの本質である「機能をサービスとして提供する」というモデルへと進化している。 ネットワークが高度化して高性能化すればソフトウエアをエンドユーザ個別に配布する必要がなくなる。 それは、膨大なエンドユーザが膨大なソフトウエアを自分で管理するというこれもまた地球規模でいえば膨大な管理とメンテナンスの労力のロスから開放することになる。 その便利さを利用料として提供者が獲得するというモデルへの進化である。 そしてその先には、膨大なデータがシステム提供者の手元に人質にされるという事態が生じる。 便利さと経済性への対価としてのリスクである。 それを犯しても時代はそのように動くであろう。 それは、オラクルのようなソフトウエア企業に新たなビジネスをもたらすことになる。
売りあげは、2.2兆円、成長率は25%とまだまだ成長している。 粗利益率は、76.7%と驚異的である。営業利益は33.2%とこれも驚異的である。 そして、純利益は23.7%とこれも驚異的である。この2年間でSiebelやPeopleSoftなど大手のソフトウエア企業をはじめ、6社を買収して、基盤ソフトの一層の充実を積極的に進めている。
利益の経年推移である。 安定した収益を確保できるモデルであることが判る。
 
セグメント別に見たものである。 ソフトウエアとサービスが二本の柱であるが、圧倒的にソフトウエアビジネスが主軸である。全体の80%がソフトウエアビジネスである。 営業利益をみると、ソフトウエアは71.5%であり、いかに汎用ソフトエアビジネスが高収益モデルであるかが判る。 その高収益を支えるのはライセンスビジネスではなく、アップデート&サポートであり、これがソフトウエアビジネスの60%を占めているが、ソフトウエアビジネスの利益の75%を占めている。 そして、オラクル全体の利益の71%を占めている。 これから、ソフトウエアビジネスのうまみが鮮明に理解出来るのではなかろうか。 ソフトウエアは生き物であり常に成長し続けるものであり、顧客の知恵や、法制度など環境の変化が自己増殖を加速する。 そして、一度、データベースをオラクルで構築してしまうと完全なる囲い込みとなり、企業はオラクルの虜になりあとは、アップデートで継続して金が採られる仕組みである。 これを怠るとサポートが得られないという脅しがきいてくるのである。 だから、企業は人質に捕られたと同じことになるのである。 これが、ソフトウエアビジネスの神髄である。 こうした企業を沢山もつ国家がこれからの世界の覇権を握ることになる。 米国は新しい時代、軍事力と合わせて、このソフトパワーを確実に手中にしつつある。
 
 
地域別の売上げである。全体の53%が米国地域からの売上げである。どの地域においても平均で25%の高い成長率をみせている。特に、欧州の伸びが目立つ。
 
 
これを国別に展開したものであるが、日本は1090億円であり、伸び率は他地域に比較するともっとも悪いが、それでも、8%の成長をみせており、国内のIT企業の平均を上まっている。日本のシェアは、すこしずつ改善しているというものの、全体の5%である。 これでは、本社から檄が飛ぶことになろう。
 
u       感想
 
データベースのソフトウエア会社が、コアのデータベース技術を中心に次第に関連したソフトウエア企業を買収し、それをコアの部分にたくみにインテグレートして基盤を充実しつつ、じわじわと基幹業務を取り込んでいる。 データベースを握るものは強い。 時代はソフトウエアの時代である、人間が考えるプロセスやそのノウハウは形式化するとソフトウエアとなる。 そして、その形式化された知識や知恵は、広く、高度に活用されれば、されるほどに自己増殖、自己成長するという基本的な性質をもっている。 世界中の知恵がどんどん蓄積出来るという、世界レベルのTQC活動がITにより可能となっている。  ユーザーはライセンス料と、アップデート料と、保守料と、さらにはコンサル料まで喜んで?支払う、それで居ながらそこから生まれる知識、知恵は、オラクルに吸い取られますます製品は高度化するので、それを使わざるを得なくなる。 これがソフトウエアビジネスである。 
 
グローバル化はそうしたソフトウエアビジネス市場を国家が牽引して作り出している。 米国の農業が広大な土地を巨大なトラクターで耕作して収穫するかのように、グローバル経済はその土地を強引に創り出して、そこにソフトウエアという工作機械をがんがん売り込んでいる。 その工作機械は頻繁にモデルチェンジをして顧客につぎつぎと買い換えを迫る。 下取りが不要なバージョンアップという手法である。 さらには、工作機械が高度化すると、そのオペレーションは複雑となり高度化するので、指導員が必要となりこれがまた、技術料とかサポートという金儲けとなる。 これがソフトウエアビジネスである。 そして、気付いたときには、企業活動も、国家の経済活動も、データベースとして、人質とされ、虜になっている。 
 
日本がこうした世界に生き残るには、二つの方法があると思う。 一つは、オラクルや、マイクロソフトを買収することである。 30年近く日本のソフトウエア産業の振興をやってきていまだにグローバルブランドのソフトウエアを生み出すことが出来ない日本にこれから生み出すチャンスは稀有というより皆無のような気分となるためである。  しかし、いまの日本のIT企業でそれを出来る財源をもつ企業は存在しないし、米国と正面切って敵対的TOBを仕掛ける勇気もない。 トヨタあたりが挑戦してくれれば。。。。という夢物語はあるが。 より実現性があるもう一つは、逆転の発想で、このモデルをハードウエアで実現することである。 いまや、世界の市場で日本の建設機械は大変な勢いである。 世界の進歩は、後退することはない、発展し続けるのであるから、建設という市場はグローバル市場と同じである。 そこに通用するオラクルに相当する建設機械を日本企業が生み出しているから世界市場を相手にビジネスができている。 同じことを、ITの世界のHWでやればよいのである。 それならば、まだ、残されたチャンスを生かすことが出来ると思う。 世界の叡智を取り込むべく、M&A、人材確保でもよかろう、世界のどこの市場にも通用する、ユニバーサル・プラットフォームの開発である。 それが日本のハードウエア・ビジネスモデルであり、世界のソフトウエアを虜にすることが出来る戦略であると思う。 このオラクルの業績をみていると、このモデルから何故土俵を変えて、日本は学ぶことが出来ないのであろうかと思う。 それがベンチマーキングだと思うのであるが。
 
「参考」
最後に、この世界で最大のビジネスを展開しているマイクロソフトの最新の業績を紹介しておく。オラクルの3倍の規模である。 6兆1400億円の売上げ、営業利益が2兆2200億円、営業利益率が36.2%、純利益率が、27.5%というまさに驚異的な業績内容である。
 
2006
2007
 
売上げ
M$
営業利益M$
営業利益率
売上げ
M$
営業利益M$
営業利益率
売上内訳
利益内訳
Client
13089
10277
78.5%
14972
11603
77.5%
29.3%
62.6%
Server&Tools
9652
3035
31.4%
11175
3900
34.9%
21.9%
21.1%
Online Services
2299
-74
-3.2%
2474
-732
-29.6%
4.8%
-4.0%
Business Division
14486
9620
66.4%
16396
10838
66.1%
32.1%
58.5%
Entertainment&Devices
4756
-1284
-27.0%
6083
-1893
-31.1%
11.9%
-10.2%
合計
44282
16452
37.2%
51123
18524
36.2%
100.0%
100.0%
純利益
12599
 
28.5%
14065
 
27.5%
 
 
 
いかにこの世界のモデルの構築に失敗した日本のソフトウエアに対する取り組みが欠落していたかをこれほど雄弁に物語るものはあるまい。 オンラインサービスやゲームは後発であり、まだまだ投資の段階で、利益を創出する段階にない。 この分野が黒字転換したときには、この業績はさらに改善することになる。
 
以上。

参考書籍 ― 紀伊国屋書籍データベースから引用
官邸崩壊―安倍政権迷走の一年
ISBN:9784103054719 (4103054719) 236p 19cm(B6)新潮社 (2007-08-25出版)
上杉 隆【著】
[B6 判] NDC分類:312.1 販売価:\1,470(税込) (本体価:\1,400)
二〇〇六年九月、支持率七〇%を誇り華麗なる船出を果たした安倍政権。直後、前任者が果たせなかった中韓への電撃訪問を成し遂げ、輝かしいスタートダッシュを見せていた。その十ヶ月後、支持率が二〇%台に落ち込む惨状を、誰一人想像していなかった…。機能強化を謳いあげた首相官邸は、いかにして坂道を転げ落ちていったのか。安倍政権迷走の一年を検証する。
 
序章 錯誤
第1章 華麗なる船出
第2章 瓦解の萌芽
第3章 破綻する側近政治
第4章 自縄自縛
第5章 ドミノ倒し
終章 呪縛
 
まさか、ここまで……。わが国の「司令塔」に生じていた、信じ難い亀裂の数々!
辞任、自殺、更迭、次々と「離脱」する閣僚、暴走を止めない「チーム安倍」、そして襲い掛かる危機に何ら有効な手を打つことのできない首相――。支持率七〇%で華麗なる船出を果たした安倍官邸は、一年を持たずして沈没した。一体、その深淵で何が起きていたのか? 気鋭のジャーナリストによる、驚愕の内幕ドキュメント!
上杉隆[ウエスギタカシ]
1968年福岡県生まれ。NHK報道局勤務、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者を経て、2002年よりフリーランスのジャーナリストとして活躍
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