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:2007:09/04/13:37 ++ 玄独言録
ユビキタス時代の陥穽―品質保証の原点回帰を、松下のバッテリーリコールに思う
最近すこし下火になった印象がある「ユビキタス・シンドローム」である。その代表選手は、RFIDと携帯電話である。 ユビキタス時代の陥穽は、デジタル機器は電気、電池がないと動かないことである。とくに携帯機器では電池である。 好事魔多しと、先人は喝破してきた、絶好調の松下電器の供給する携帯電話用のバッテリーで再び事故が発生した。実際は、松下電器の子会社である、松下電池工業が開発製造している。 先般も、ソニーのバッテリーを搭載したデルのPCが焼損して、ソニー電池を採用しているPCメーカを含めての大規模なリコールが発生したばかりである。 問題となったのはリチウム電池である、小型大容量化技術を限界ギリギリまで使っているところから技術的問題が発生している。 現在、毎年27億個のリチウム電池が出荷されている、市場規模は6500億円程度とされている。日本では、三洋、ソニー、松下が御三家で国内全体の75%を占める。 世界市場の60%を日本企業が占めている。 今回は携帯電話の最大手のノキアに搭載した松下のバッテリーで事故が発生した。 その対象数は4600万台という。 回収費用はまだ不明であるが、バッテリー単価は400円前後と言われノキアは国内単価の30-40%値引きであるという、単純計算ですると、184億円の製品コストとなるがこれにハンドリングコストがその倍以上は懸かるであろうから、500億円前後の損失が発生する。 また、4700万という数字は、松下の年間製造量に匹敵するというので、リコール作業に伴う、機会損失も発生するし、さらに、ブランド毀損や、損害賠償も発生する可能性もある。 そう考えると、インタンジブルの効果を含めると、この数字はさらに数倍になろう。 松下は、石油温風器で最後の一台まで回収すると、いまでも執念の回収作業を進めている。人命に関することであり、CSRの本音が問われるという決断である。 さて、今回はどのような対応を見せるであろうか、ユビキタス時代に起きうる、「ユビキタス時代の陥穽」のモデルとなるか強い関心をもってみていたい。 経産省の肝いりで、業界4団体が自主的なJISを越える厳しい安全基準を作成する準備に入った。 政府の音頭取りで、内容も中途半端なままで浮かれてばかりいた、ユビキタス・シンドロームの陰にやっと少しメスが入ることになる。 年間、27億個ということは、5年で、135億個となる、トラブルが偶発か、必然か、その判断で躊躇することもあろう。 日本産業の強みといわれる部品産業であり、世界市場を席巻するような部品を製造する中堅企業が日本には沢山ある、そうしたところは、このユビキタス時代の陥穽に陥ると倒産となると同時に、それをSCMに組み込んでいる関連企業もまた製造が止まる。 中にはセカンドソースのないものもある。 規模が拡大したときは偶発という概念は捨てて懸かるべきである。 一件のトラブルを真剣に追求するところから巨大損失を最小限に押さえ込むことが出来るものである。 開発・製造段階で100%の品質を保証することは不可能なのである、だからこそ、 一件が全てという姿勢で取り組むという品質保証の原点に立ち戻ることがいかに重要であるかを示唆している。 それが日本の品質の強さであったはずであるが、どこかで、そのタガがゆるんでいるのではなかろうか。
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