更新時期の顧客確保が焦点
携帯電話会社三社の二〇〇八年三月期決算で、ソフトバンクの躍進が目立った。象徴的なのが新規契約から解約を差し引いた純増数。前年同期比三・八倍に伸び、三社で唯一、前年同期を上回った。ただ、携帯契約数は昨年末に一億件を超え、市場の成長ペースは鈍っている。各社とも右肩上がりの契約増を前提とした「純増数ビジネス」からの転換を迫られている。
「連結業績は創業以来最高水準だ」。孫正義社長は八日、決算会見でこう胸を張った。
〇八年三月期の純増数はソフトバンクが二百六十七万件。KDDIは二百十五万件で二割減。NTTドコモは七十六万件で五割近く減った。ソフトバンクとKDDIは〇八年三月期連結決算の売上高と営業利益が過去最高だったのに対し、ドコモは減収。明暗が分かれる結果となった。
ソフトバンク躍進の原動力は、月額九百八十円を支払えば夜間を除いて自社同士の通話が無料になる「ホワイトプラン」。そして、端末を二十四回などの分割払いで購入できる割賦販売だ。割賦販売は端末購入時の初期費用が抑えられるため若年層の支持が集まった。「解約防止につながる」(孫社長)利点もある。
一方、急激な顧客獲得の反動で「ARPU(一契約当たりの月間収入)が低下している」との指摘に対しては「割賦請求分を考慮すると、顧客から支払われているお金はむしろ上がっている」(孫社長)と反論した。
ただ、この勢いが〇八年度も続くかどうかは未知数だ。業界内では市場の飽和感が強まっていることへの警戒感は強い。KDDIは〇九年三月期に、純増数が百二十六万件と前期より四割以上減ると予想している。
ソフトバンクは〇九年三月期の予想を公表していないが、割賦販売の更新時期を迎えた顧客をつなぎとめられるかどうかが焦点となる。また、動画やコミック、スポーツ中継など携帯向けコンテンツ(情報の中身)の拡充で携帯経由のネット接続を促進、囲い込みにつなげる戦略だ。
ドコモも今後は「新規獲得よりも既存顧客の流出を抑える」(中村維夫社長)戦略への転換を鮮明にしている。各社とも顧客基盤を生かす方策が求められそうだ。(中川渉)
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:2008:05/09/10:46 ++ ソフトバンク、好調続くか、ビジネスモデルは転換へ――「契約純増」見込めぬ状況。
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