:2025:02/11/22:20 ++ [PR]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
:2010:09/06/09:16 ++ ニッポンを一歩前に―技術立国担う独創心ある若者を育てよ(社説)
技術立国ニッポンを背負って立つ理工系人材をどう育てるのか。
中国など新興国が急速に技術力をつけ、日本は今まで以上に付加価値の高いモノづくりが求められる。環境や医療など成長産業の種を早く生み出さなければならない。原子力や水処理、鉄道などインフラ輸出に携わる国際感覚のある人材も要る。将来の科学技術を担う若い世代の挑戦心をはぐくみ、独創性に富む研究者や技術者を育てる仕組みが必要だ。
柔軟な頭脳を鍛えよう
千葉大学が12年前に始めた「飛び入学コース」から、今春までに39人が巣立った。うち38人が大学院に進み、情報科学や新素材など最先端分野の研究者を志す。日沼洋陽さん(28)は大学院にも飛び入学し、米マサチューセッツ工科大で博士号を取得。今は米国で次世代の電池材料を研究するが、「いずれ日本企業で製品化するのが夢」だ。
科学技術の優れた成果は20、30歳代の柔らかい頭脳から生まれやすい。意欲ある学生に早くから専門分野を学ばせる仕組みを広げたい。
飛び入学は学校教育法で認められているのに、「特別な教程が必要で学校側の負担が重い」などの理由で広がらず、理工系で導入したのは千葉大など4校だけだ。大学や、生徒を送り出す高校が努力すれば、この制度はもっと活用できるはずだ。
一方で、研究者の卵たちには先行きへの不安感が漂う。ポストドクター(博士研究者)の多くが就職難に直面しているからだ。
ポストドクターとは博士号を取得後、3~5年の任期で教授らを手伝いながら、研究者として腕を磨く制度である。文部科学省が若手を即戦力にしようと「支援」に力を入れ、1995年度の4千人から2008年度には1万8千人まで増やした。しかし、大学の正規教員の枠は増えず、35歳をすぎて次の職探しに苦労する研究者が3割を超える。
その対策として、民主党政権は新成長戦略で「博士号取得者の完全雇用」を打ち出した。奨学金の返済に苦労するポストドクターへの経済支援は必要だろう。だが、身分が安定したからといって、優れた研究が生まれるわけでは必ずしもない。
まず取り組むべきは、年功序列が根強い大学の人事制度を見直し、若手を積極的に登用することだ。
東大の工学系研究科は「スーパー准教授」という制度をつくり、29歳の准教授が誕生した。上役の教授はおらず、研究室運営の一切を若い准教授が仕切る。米国の大学のポストドクターから採用された加藤雄一郎さん(33)は年4千万円近い研究費を差配し、ナノテクノロジー(超微細技術)の研究に携わる。こうした仕組みは若手支援の好例だ。
博士が企業に就職し、活躍できるようにすることも大事だ。それには企業の取り組みに加え、博士課程の見直しや学生の意識改革も要る。
大阪大は今年10月、大学院で2つの学位を同時に狙える学科を新設する。新薬の研究では生物学と化学、情報科学では数学と物理という具合に複数分野の知識が不可欠になっている。「専門が狭い博士を採っても機敏な事業展開に即応できない」と、博士の採用に二の足を踏む企業の不満に応える狙いもある。
既存の学問分野を越える成果が生まれれば、「知の拠点」である大学の活性化にも役立つだろう。
大学も「選択と集中」で
独創性や挑戦心をもつ若者は、教える側の価値観や文化が同質な環境からは育たない。米ハーバード大やエール大では教員のうち外国人の比率が25%、英ケンブリッジ大やオックスフォード大では40%を占める。一方、日本の大学では外国人教員は3・5%(08年度)しかいない。
政府はアジアなどからの留学生を13万人(09年度)から、20年度までに30万人に増やす目標を掲げる。英語による授業など留学生向けの教育環境を整えようと、東大が外国人教員の比率を20年度までに10%以上、慶大が同12%などと、数値目標を打ち出す大学も出てきた。だが何を目的に大学の国際化を進めるのか、戦略が見えてこない。
世界の有力大学は「選択と集中」を掲げ、内外から優秀な教員や学生を集めようと競争を繰り広げる。アジアではシンガポール国立大がバイオテクノロジー、香港科技大が経営工学を戦略的に強化し、国外からノーベル賞級学者を引き抜くのも珍しくない。日本の有力大も大学経営にたけた外国人を学長に起用するぐらい大胆な改革が必要ではないか。
日本が技術立国を続けるには「理系離れに歯止めを」といった後手の発想ではだめだ。上の世代が大学改革などでリスクを取ってこそ、挑戦をいとわない若者が育つ。
中国など新興国が急速に技術力をつけ、日本は今まで以上に付加価値の高いモノづくりが求められる。環境や医療など成長産業の種を早く生み出さなければならない。原子力や水処理、鉄道などインフラ輸出に携わる国際感覚のある人材も要る。将来の科学技術を担う若い世代の挑戦心をはぐくみ、独創性に富む研究者や技術者を育てる仕組みが必要だ。
柔軟な頭脳を鍛えよう
千葉大学が12年前に始めた「飛び入学コース」から、今春までに39人が巣立った。うち38人が大学院に進み、情報科学や新素材など最先端分野の研究者を志す。日沼洋陽さん(28)は大学院にも飛び入学し、米マサチューセッツ工科大で博士号を取得。今は米国で次世代の電池材料を研究するが、「いずれ日本企業で製品化するのが夢」だ。
科学技術の優れた成果は20、30歳代の柔らかい頭脳から生まれやすい。意欲ある学生に早くから専門分野を学ばせる仕組みを広げたい。
飛び入学は学校教育法で認められているのに、「特別な教程が必要で学校側の負担が重い」などの理由で広がらず、理工系で導入したのは千葉大など4校だけだ。大学や、生徒を送り出す高校が努力すれば、この制度はもっと活用できるはずだ。
一方で、研究者の卵たちには先行きへの不安感が漂う。ポストドクター(博士研究者)の多くが就職難に直面しているからだ。
ポストドクターとは博士号を取得後、3~5年の任期で教授らを手伝いながら、研究者として腕を磨く制度である。文部科学省が若手を即戦力にしようと「支援」に力を入れ、1995年度の4千人から2008年度には1万8千人まで増やした。しかし、大学の正規教員の枠は増えず、35歳をすぎて次の職探しに苦労する研究者が3割を超える。
その対策として、民主党政権は新成長戦略で「博士号取得者の完全雇用」を打ち出した。奨学金の返済に苦労するポストドクターへの経済支援は必要だろう。だが、身分が安定したからといって、優れた研究が生まれるわけでは必ずしもない。
まず取り組むべきは、年功序列が根強い大学の人事制度を見直し、若手を積極的に登用することだ。
東大の工学系研究科は「スーパー准教授」という制度をつくり、29歳の准教授が誕生した。上役の教授はおらず、研究室運営の一切を若い准教授が仕切る。米国の大学のポストドクターから採用された加藤雄一郎さん(33)は年4千万円近い研究費を差配し、ナノテクノロジー(超微細技術)の研究に携わる。こうした仕組みは若手支援の好例だ。
博士が企業に就職し、活躍できるようにすることも大事だ。それには企業の取り組みに加え、博士課程の見直しや学生の意識改革も要る。
大阪大は今年10月、大学院で2つの学位を同時に狙える学科を新設する。新薬の研究では生物学と化学、情報科学では数学と物理という具合に複数分野の知識が不可欠になっている。「専門が狭い博士を採っても機敏な事業展開に即応できない」と、博士の採用に二の足を踏む企業の不満に応える狙いもある。
既存の学問分野を越える成果が生まれれば、「知の拠点」である大学の活性化にも役立つだろう。
大学も「選択と集中」で
独創性や挑戦心をもつ若者は、教える側の価値観や文化が同質な環境からは育たない。米ハーバード大やエール大では教員のうち外国人の比率が25%、英ケンブリッジ大やオックスフォード大では40%を占める。一方、日本の大学では外国人教員は3・5%(08年度)しかいない。
政府はアジアなどからの留学生を13万人(09年度)から、20年度までに30万人に増やす目標を掲げる。英語による授業など留学生向けの教育環境を整えようと、東大が外国人教員の比率を20年度までに10%以上、慶大が同12%などと、数値目標を打ち出す大学も出てきた。だが何を目的に大学の国際化を進めるのか、戦略が見えてこない。
世界の有力大学は「選択と集中」を掲げ、内外から優秀な教員や学生を集めようと競争を繰り広げる。アジアではシンガポール国立大がバイオテクノロジー、香港科技大が経営工学を戦略的に強化し、国外からノーベル賞級学者を引き抜くのも珍しくない。日本の有力大も大学経営にたけた外国人を学長に起用するぐらい大胆な改革が必要ではないか。
日本が技術立国を続けるには「理系離れに歯止めを」といった後手の発想ではだめだ。上の世代が大学改革などでリスクを取ってこそ、挑戦をいとわない若者が育つ。
PR
- +TRACKBACK URL+