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:2010:09/06/09:10 ++ 混迷ニッポン民主代表選(5)企業をどう生かすのか。
「一に雇用、二に雇用、三に雇用」と菅直人首相が語った先週。スズキが静岡で計画していた部品工業団地の建設を断念した。インドには完成車の新工場をつくるという。
届かない悲鳴
円高で自動車の輸出が増やしにくくなり、鈴木修会長兼社長は「官邸に悲鳴は聞こえないのか」と批判を強めていた。このタイミングで決めたのも「民主党代表選にぶつけた」との見方を呼んだ。
その2週間前、パナソニックはプラズマパネルの生産を中国に一部移転すると発表した。同社の幹部は「前の世代の技術だから海外に出して問題ない。だが国内で作り続ける選択肢もあった」と話す。背中を押したのは円高だった。
日本企業が国内投資を控え、海外生産の拡大に軸足を置きつつある。聞こえてくるのは、円高を放置し続けることへの不信感やあきらめだ。
菅首相は6月の就任直後に日本経団連など経済3団体のトップを呼んだ。鳩山由紀夫前首相が門前払いだったのに対し、「10日前に言ってもらえば時間はつくる」と応じた。だがその後、経済界との距離が縮まった様子はない。
6月に「新成長戦略」を閣議決定し、円高が加速した先月30日には経済対策を打ち出した。だが、企業経営者は「補助金を続けたら国内にとどまると思っている」としらけ気味だ。
円高だけではない。高い法人税、雇用形態への規制、二酸化炭素の25%削減……。大企業にも中小企業にも冷たい風が吹く。当たり前のことだが、企業が減れば仕事も減る。海外から来る企業が少ないうえに、日本に根ざした企業までいなくなるような事態を改めず、いくら「雇用」と叫んでも何も生まれない。
日産自動車は今年、タイに主力車「マーチ」の生産を移したが、韓国の双竜自動車に提携先の仏ルノーと出資する計画も並行して進めていた。
タイは東南アジア諸国連合(ASEAN)の域内と豪州、韓国は欧州連合(EU)との間に自由貿易協定(FTA)があり、関税なしで車を輸出できる。最後は入札から降りはしたが、志賀俊之最高執行責任者は「日本は最も投資しにくい国になった」と話す。
日本でなくても品質の高い製品を作れる時代が訪れ、拠点選びのカギは通商政策や税制になろうとしている。政府に求められるのは雇用を連呼することより、雇用を生む企業の目線で政策を考えることではないか。
ハンディ厳しく
新日本製鉄の幹部は「世界でもっとも厳しいハンディ戦を強いられている」と漏らす。海外に出ていける企業はまだいい。高炉を何本も抱える同社は為替や税制、FTAの恩恵がない国内にとどまる以外ない。
鉄鋼は中国の躍進で地位が危うい。新日鉄の2009年の粗鋼生産は前の年の2位から7位以下に後退した。世界でみれば新日鉄のシェアは3%程度だが、再編で規模を追求しようにも独占禁止法の運用が厳しい日本ではそれも容易ではない。
韓国は1990年代の「国際通貨基金(IMF)ショック」を機に法人税や独禁政策を見直し、最近はFTA戦略も活発だ。例えば法人税の実効税率は24%台で日本より15%低い。さらに産業ごとに企業を1、2社に集約し、力を蓄えさせて世界に送り出す。
韓国だけではない。世界で今、官民挙げての国家戦略がぶつかり合う。そんな重要な時期に政府に無関心を決め込まれ、日本が埋没しては困る。
「代表選までは動けない」。そんなため息が経済界を覆う。日本には有力な企業が多い。その企業をどう生かすのか。成長戦略をどう実行するのか。政治の空白は最大のハンディである。
届かない悲鳴
円高で自動車の輸出が増やしにくくなり、鈴木修会長兼社長は「官邸に悲鳴は聞こえないのか」と批判を強めていた。このタイミングで決めたのも「民主党代表選にぶつけた」との見方を呼んだ。
その2週間前、パナソニックはプラズマパネルの生産を中国に一部移転すると発表した。同社の幹部は「前の世代の技術だから海外に出して問題ない。だが国内で作り続ける選択肢もあった」と話す。背中を押したのは円高だった。
日本企業が国内投資を控え、海外生産の拡大に軸足を置きつつある。聞こえてくるのは、円高を放置し続けることへの不信感やあきらめだ。
菅首相は6月の就任直後に日本経団連など経済3団体のトップを呼んだ。鳩山由紀夫前首相が門前払いだったのに対し、「10日前に言ってもらえば時間はつくる」と応じた。だがその後、経済界との距離が縮まった様子はない。
6月に「新成長戦略」を閣議決定し、円高が加速した先月30日には経済対策を打ち出した。だが、企業経営者は「補助金を続けたら国内にとどまると思っている」としらけ気味だ。
円高だけではない。高い法人税、雇用形態への規制、二酸化炭素の25%削減……。大企業にも中小企業にも冷たい風が吹く。当たり前のことだが、企業が減れば仕事も減る。海外から来る企業が少ないうえに、日本に根ざした企業までいなくなるような事態を改めず、いくら「雇用」と叫んでも何も生まれない。
日産自動車は今年、タイに主力車「マーチ」の生産を移したが、韓国の双竜自動車に提携先の仏ルノーと出資する計画も並行して進めていた。
タイは東南アジア諸国連合(ASEAN)の域内と豪州、韓国は欧州連合(EU)との間に自由貿易協定(FTA)があり、関税なしで車を輸出できる。最後は入札から降りはしたが、志賀俊之最高執行責任者は「日本は最も投資しにくい国になった」と話す。
日本でなくても品質の高い製品を作れる時代が訪れ、拠点選びのカギは通商政策や税制になろうとしている。政府に求められるのは雇用を連呼することより、雇用を生む企業の目線で政策を考えることではないか。
ハンディ厳しく
新日本製鉄の幹部は「世界でもっとも厳しいハンディ戦を強いられている」と漏らす。海外に出ていける企業はまだいい。高炉を何本も抱える同社は為替や税制、FTAの恩恵がない国内にとどまる以外ない。
鉄鋼は中国の躍進で地位が危うい。新日鉄の2009年の粗鋼生産は前の年の2位から7位以下に後退した。世界でみれば新日鉄のシェアは3%程度だが、再編で規模を追求しようにも独占禁止法の運用が厳しい日本ではそれも容易ではない。
韓国は1990年代の「国際通貨基金(IMF)ショック」を機に法人税や独禁政策を見直し、最近はFTA戦略も活発だ。例えば法人税の実効税率は24%台で日本より15%低い。さらに産業ごとに企業を1、2社に集約し、力を蓄えさせて世界に送り出す。
韓国だけではない。世界で今、官民挙げての国家戦略がぶつかり合う。そんな重要な時期に政府に無関心を決め込まれ、日本が埋没しては困る。
「代表選までは動けない」。そんなため息が経済界を覆う。日本には有力な企業が多い。その企業をどう生かすのか。成長戦略をどう実行するのか。政治の空白は最大のハンディである。
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