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:2009:11/06/09:34 ++ 世界は後戻りしない(冷戦終結20年未完の新秩序)
東西冷戦の象徴だったベルリンの壁が崩れてから9日で20年がたつ。この20年で、ヒト、モノ、カネが自由に動き回るグローバル化が進み、ロシア・東欧、中国などが市場経済に仲間入りした。だが、マネーの暴走や核拡散の不安をどう制御するかなど冷戦後の新秩序づくりは道半ばだ。
マネー解き放つ
「今考えても奇跡としか思えない」。ドイツ連銀総裁として欧州通貨統合を主導したハンス・ティートマイヤー氏は自分にとっての「ベルリンの壁崩壊」をこう振り返る。
1989年11月9日夜。当時、西独大蔵次官だった同氏が「第1報」を聞いたのは西独の首都ボンの執務室。現地からの情報収集にあたりながら、部屋にいた閣僚や議員らとともに祈ったという。「どうか何も起こりませんように」。東独やソ連の警察や軍隊が、壁を壊す群衆に発砲でもすれば大混乱が起こりかねない。だが銃声は鳴らず。28年間、東西を隔てた壁は崩れ去った。
「奇跡」はさらに続く。コール西独首相は壁崩壊から3週間足らずで悲願の東西ドイツ統合を表明。それと歩調を合わせるように、欧州の通貨統合、さらには旧共産圏の民主化、市場経済改革が「ドミノ倒し」のように広がっていった。
冷戦終結は、世界の経済構造に大変革をもたらした。東西に分断されていたヒト、モノ、カネの流れが自由になり、グローバル化と呼ばれる地球規模の市場統合が始まった。90年代のIT(情報技術)革命が連動し、企業は賃金コストなど最適な国に生産拠点をつくり、投資資金もより利回りが高い市場を求めて急回転するようになった。
解き放たれたマネーは旧共産圏などの新興国に流れこみ、成長を促進した。世界の名目国内総生産(GDP)は89年の20兆ドルから2008年には60兆ドルに拡大。このうち新興国を含む途上国のシェアは23%から31%に上昇した。
中国など新興国は低賃金を武器に輸出を拡大。稼いだ外貨(ドル)を米国債に投資し、米国はその借金に頼って住宅バブルを拡大した。そのツケが回ってきたのが今回の世界的な経済・金融危機だ。冷戦終結は市場経済を広げ成長を高める「光」をもたらすと同時に、貯蓄と消費(投資)の不均衡を地球規模で拡散しマネー暴走のリスクを増す「影」も広げた。
核・テロの不安
冷戦後は軍縮が進み世界はより安全になると期待されたが、20年後の世界は必ずしもそうとは言い切れない。冷戦の勝者とされた米国はイラク戦争でつまずき、核拡散やテロの不安は消えない。オバマ米大統領は「核なき世界」の旗を振るが、その道筋を築くのはこれからだ。
だが冷戦終結がもたらした世界的な市場化・民主化・グローバル化の流れは今後も後戻りはしないだろう。世界的に統合した市場経済をどううまく機能させ、グローバル化の光の部分をいかに生かすかの国家間の競争はより激しくなる。
バブルの頂点で冷戦終結を迎えた日本。その後の20年は経済低迷と政治の漂流期に入った。89~08年の日本の名目GDP成長率は年平均1・4%と、この間の世界平均(5・8%)を大きく下回り、20年で13人の首相を「量産」した。
鳩山由紀夫首相は日本を消費者重視、内需主導の経済にするとしているが、グローバル化にどう対応し成長力を高めるかは明確ではない。冷戦終結から20年。世界は大きく変わった。日本も新しい現実に即した戦略再構築を迫られている。
マネー解き放つ
「今考えても奇跡としか思えない」。ドイツ連銀総裁として欧州通貨統合を主導したハンス・ティートマイヤー氏は自分にとっての「ベルリンの壁崩壊」をこう振り返る。
1989年11月9日夜。当時、西独大蔵次官だった同氏が「第1報」を聞いたのは西独の首都ボンの執務室。現地からの情報収集にあたりながら、部屋にいた閣僚や議員らとともに祈ったという。「どうか何も起こりませんように」。東独やソ連の警察や軍隊が、壁を壊す群衆に発砲でもすれば大混乱が起こりかねない。だが銃声は鳴らず。28年間、東西を隔てた壁は崩れ去った。
「奇跡」はさらに続く。コール西独首相は壁崩壊から3週間足らずで悲願の東西ドイツ統合を表明。それと歩調を合わせるように、欧州の通貨統合、さらには旧共産圏の民主化、市場経済改革が「ドミノ倒し」のように広がっていった。
冷戦終結は、世界の経済構造に大変革をもたらした。東西に分断されていたヒト、モノ、カネの流れが自由になり、グローバル化と呼ばれる地球規模の市場統合が始まった。90年代のIT(情報技術)革命が連動し、企業は賃金コストなど最適な国に生産拠点をつくり、投資資金もより利回りが高い市場を求めて急回転するようになった。
解き放たれたマネーは旧共産圏などの新興国に流れこみ、成長を促進した。世界の名目国内総生産(GDP)は89年の20兆ドルから2008年には60兆ドルに拡大。このうち新興国を含む途上国のシェアは23%から31%に上昇した。
中国など新興国は低賃金を武器に輸出を拡大。稼いだ外貨(ドル)を米国債に投資し、米国はその借金に頼って住宅バブルを拡大した。そのツケが回ってきたのが今回の世界的な経済・金融危機だ。冷戦終結は市場経済を広げ成長を高める「光」をもたらすと同時に、貯蓄と消費(投資)の不均衡を地球規模で拡散しマネー暴走のリスクを増す「影」も広げた。
核・テロの不安
冷戦後は軍縮が進み世界はより安全になると期待されたが、20年後の世界は必ずしもそうとは言い切れない。冷戦の勝者とされた米国はイラク戦争でつまずき、核拡散やテロの不安は消えない。オバマ米大統領は「核なき世界」の旗を振るが、その道筋を築くのはこれからだ。
だが冷戦終結がもたらした世界的な市場化・民主化・グローバル化の流れは今後も後戻りはしないだろう。世界的に統合した市場経済をどううまく機能させ、グローバル化の光の部分をいかに生かすかの国家間の競争はより激しくなる。
バブルの頂点で冷戦終結を迎えた日本。その後の20年は経済低迷と政治の漂流期に入った。89~08年の日本の名目GDP成長率は年平均1・4%と、この間の世界平均(5・8%)を大きく下回り、20年で13人の首相を「量産」した。
鳩山由紀夫首相は日本を消費者重視、内需主導の経済にするとしているが、グローバル化にどう対応し成長力を高めるかは明確ではない。冷戦終結から20年。世界は大きく変わった。日本も新しい現実に即した戦略再構築を迫られている。
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