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ひで坊な日々

主に私の仕事と信条に関わるメディアからの備忘録と私の日常生活から少し・・・                             
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:2008:10/20/13:29  ++  主役なき時代の金融危機―だれが世界を救うのか(核心)

米国発の金融危機が世界を揺るがせる。そのなかで、ときには米国の古き良き時代に思いをはせたくなる。そんな時代の名画にフランク・キャプラ監督の「素晴らしき哉、人生」がある。第二次大戦さなか、破綻の危機に直面する小さな町の住宅金融機関。ジェームス・スチュアート扮(ふん)する経営者は窮地に陥る。金融機関と主人公の人生を救ったのは善良な町の人々の寄付だった。
 いまのささくれだった金融危機には、そんな米国の良き時代のかけらもみられない。それどころか大恐慌以来のこの危機は、冷戦後の米国一極集中の時代に終わりを告げている。問題は、多極化する世界にあって米国に代わる主役が見当たらないことだ。だれが世界を救うのか。混迷の時代を抜け出す新たな協調の枠組みが求められる。
 このグローバル金融危機は「米国の失敗」というしかない。ウォール街の失敗に金融当局の失敗が重なり、基軸通貨ドルの信認を揺さぶった。
 第一に、米金融当局は巨大な金融機関破綻の影響を軽くみすぎていた。ポールソン財務長官は証券大手リーマン・ブラザーズ救済は念頭になく最初から破綻させる腹を決めていた。このリーマン・ショックが金融市場を疑心暗鬼に陥れ、市場機能をマヒさせた。
 第二に、ブッシュ共和党政権は危機打開の切り札である公的資金注入をためらい続けた。金融安定化法も不良債権買い取りを優先する枠組みになっていた。市場の失敗には政府が断固介入するしかない。それは「反市場」ではなく市場を維持するための避けられない手段である。「市場の自由」をめぐる勘違いが危機を増幅したといえる。
 そんな「米国の失敗」を救った影の主役はゴードン・ブラウン英首相である。大手金融機関への公的資金注入、銀行間市場の保証、預金保護というブラウン方式はユーロ圏、欧州連合(EU)、そして七カ国(G7)合意の基調になった。なにより公的資金注入をいち早く断行、もたつくブッシュ政権の背中を押した。
 前任のブレア首相に比べていかにも地味で支持率は下がり放しだった。しかし主要国首脳のなかで唯一、財務相を長く務めた経験と危機感覚が物を言った。
 グリーンスパン前米連邦準備理事会(FRB)議長も著書「波乱の時代」のなかで「イギリス経済の柔軟性がめざましく回復したのはゴードン・ブラウンの功績」と絶賛する。ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン教授は「ゴードン・ブラウンは世界金融システムを救ったか」と問い、「危機克服の道を示した」と結論づけた。
 ブラウン首相の先導もあり、金融危機を食い止める枠組みはともかく整ったが、金融危機が世界同時不況に波及する中で英国に主役を任せるのは無理がある。
 金融・経済危機の軌跡はdeで表せる。最初はdecoupling(デカップリング=非連動)である。サブプライム危機が表面化したころ、米国が金融不安に陥っても中国、インドなど新興国の成長は影響を受けないという考え方があった。これはすぐに間違いだと気づく。新興国への打撃も大きかった。
 次に、d〓j〓 vu(デジャビュ=既視感)である。米国の金融危機は一九九〇年代の日本の金融危機とそっくりだ。不良債権処理と公的資金注入を遅らせれば、日本のように失われた時代を招くという警告である。
 そして、deleverage(デレバレッジ=テコの原理による信用膨張の巻き戻し)である。小さな元手で高収益をあげる米国の投資銀行モデルが崩れ、信用収縮への逆回転が始まる。
 最後に、depression(デプレッション=不況)の不安である。
 米国をアンカー役にした世界経済の成長モデルが崩れるなかで、問われるのは新たな協調体制である。サルコジ仏大統領の呼びかけで主要国に新興国を加えた緊急サミットが開かれる。ブラウン英首相は新ブレトンウッズ体制の構築を提唱する。
 一九四四年、ブレトンウッズ会議は第二次大戦後の国際金融通貨体制の枠組みを決め、国際通貨基金(IMF)、世界銀行が創設された。しかし米欧主体のこの機関は金融危機に機能しなかった。米欧にはアジア通貨危機のような注文を突きつけられず、危機を放置する結果になった。
 金融政策の意見交換や銀行監督で重要な役割を担う国際決済銀行(BIS)も、グローバル市場のリスク管理に十分な責任を果たしたとはいえない。
 「二十一世紀型の金融・経済危機」に対して「二十一世紀型の国際金融体制」が求められる。
 新たな協調体制の構築にあたって、金融システムが相対的に安定している日本の役割は重い。米国、英国、ユーロ圏、新興国を束ねる新たなルールを提案するうえで、日本は好位置にいる。「市場対規制」といった単純な図式ではなく「賢い規制」を模索することだ。金融と経済のバランスを正常化させる「新しい資本主義」を目指すときでもある。
 主役なき時代は混迷の時代に陥る危険をはらむ。日米欧、新興国それぞれが積極的に役割分担しないかぎり、この歴史的危機から世界を救えないだろう。
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