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:2008:10/17/14:29 ++ 変わる潮目(1)苦渋の値上げ凍結――崩れるコスト転嫁の法則(価格攻防)
モノやサービスの値上げを巡る風景が変わりつつある。金融危機の影響で原油価格はピークの半値に下がり、景気の先行き不安も広がる。「値上げ一辺倒」の局面は終わりを告げ、メーカー、流通、消費者間の攻防は複雑さを増す。変わる潮目を追った。
外食店や総菜店が使う業務用食用油。大手卸の出荷量が九月以降、例年の七割前後に落ち込んでいる。背景にあるのは原料である大豆の価格急落だ。高騰していた国際価格が八月以降、四割強も下落。食用油の価格が過去二年で六割強上昇したことに反発していた外食店などが「先安を見越して買い控えに動いた」(都内の卸売業者)。
値上げに突き進んできた食用油メーカーは一転、悲鳴を上げている。「通常、原料値上がり分が食用油の出荷価格に反映されるには四―五カ月かかる」(食用油大手のJ―オイルミルズ)。まだ過去の原料費上昇分を転嫁しきれていないため、さらに値上げしたいのが本音だが、ユーザーから思わぬ揺さぶりを受けた。商社が輸入する割安なアジア産も出回り、環境は厳しくなるばかり。やむなく数量を限って、水面下で値引きに応じ始めた。
値上げの常連だった石油化学も、かつての強気が鳴りを潜めた。DVDなどに使う高機能樹脂の基礎原料となるフェノール。最大手の三井化学は、ユーザーの合成樹脂メーカーに八月から求めていた今年二回目の値上げを凍結した。
石化製品も転嫁までに数カ月のタイムラグがある。七月の値上げは受け入れられたものの、原油価格の急落により、八月分はユーザーから反発を受けた。今後は値上げどころか、値下げ要求の大合唱も予想される。三井化学は足元の値上げ要求を凍結、「貸し」をつくる苦肉の策に出た。
昨春以降の小麦の国際価格高騰と連動して、店頭価格が上がってきたパンとめん類。今年十月にも政府の輸入小麦価格が一〇%上がったにもかかわらず、山崎製パン、日清食品の最大手二社は転嫁を見送った。両社には「これ以上の値上げは通りにくい」とのあきらめムードも漂う。
「明らかに消費者は安い商品に流れている」(山崎製パンの飯島延浩社長)。同社が昨年十二月に二十四年ぶりの値上げに踏み切ったところ、食パンの売れ筋は高価格帯の「超芳醇(ほうじゅん)」から、割安な「芳醇」にシフトした。菓子パンも百円程度の値ごろ商品に人気が集中する。
目算が狂ったのは製粉会社だ。小麦価格の上昇に対応し、従来のやり方に従って十月末から平均七%前後の小麦粉値上げを打ち出した。ところが、価格を据え置いた製パン・めん会社から強い抵抗を受けて交渉が難航。一部で上げ幅の圧縮を余儀なくされている。
上げたくても上げられない――。コストに基づく単純な転嫁の法則は崩れ、消費マインドや交渉の力関係が攻防を複雑にしている。
外食店や総菜店が使う業務用食用油。大手卸の出荷量が九月以降、例年の七割前後に落ち込んでいる。背景にあるのは原料である大豆の価格急落だ。高騰していた国際価格が八月以降、四割強も下落。食用油の価格が過去二年で六割強上昇したことに反発していた外食店などが「先安を見越して買い控えに動いた」(都内の卸売業者)。
値上げに突き進んできた食用油メーカーは一転、悲鳴を上げている。「通常、原料値上がり分が食用油の出荷価格に反映されるには四―五カ月かかる」(食用油大手のJ―オイルミルズ)。まだ過去の原料費上昇分を転嫁しきれていないため、さらに値上げしたいのが本音だが、ユーザーから思わぬ揺さぶりを受けた。商社が輸入する割安なアジア産も出回り、環境は厳しくなるばかり。やむなく数量を限って、水面下で値引きに応じ始めた。
値上げの常連だった石油化学も、かつての強気が鳴りを潜めた。DVDなどに使う高機能樹脂の基礎原料となるフェノール。最大手の三井化学は、ユーザーの合成樹脂メーカーに八月から求めていた今年二回目の値上げを凍結した。
石化製品も転嫁までに数カ月のタイムラグがある。七月の値上げは受け入れられたものの、原油価格の急落により、八月分はユーザーから反発を受けた。今後は値上げどころか、値下げ要求の大合唱も予想される。三井化学は足元の値上げ要求を凍結、「貸し」をつくる苦肉の策に出た。
昨春以降の小麦の国際価格高騰と連動して、店頭価格が上がってきたパンとめん類。今年十月にも政府の輸入小麦価格が一〇%上がったにもかかわらず、山崎製パン、日清食品の最大手二社は転嫁を見送った。両社には「これ以上の値上げは通りにくい」とのあきらめムードも漂う。
「明らかに消費者は安い商品に流れている」(山崎製パンの飯島延浩社長)。同社が昨年十二月に二十四年ぶりの値上げに踏み切ったところ、食パンの売れ筋は高価格帯の「超芳醇(ほうじゅん)」から、割安な「芳醇」にシフトした。菓子パンも百円程度の値ごろ商品に人気が集中する。
目算が狂ったのは製粉会社だ。小麦価格の上昇に対応し、従来のやり方に従って十月末から平均七%前後の小麦粉値上げを打ち出した。ところが、価格を据え置いた製パン・めん会社から強い抵抗を受けて交渉が難航。一部で上げ幅の圧縮を余儀なくされている。
上げたくても上げられない――。コストに基づく単純な転嫁の法則は崩れ、消費マインドや交渉の力関係が攻防を複雑にしている。
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