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:2008:05/29/09:17 ++ 企業収益7年ぶりの逆風(上)三重苦に挑む―築いた基盤、今こそ磨く。
拡大を続けてきた企業収益は、円高、資源高、米国景気減速の「三重苦」が逆風となり、二〇〇九年三月期に七年ぶりの減益となる可能性が高い。ただ六年間の増益で製造業を中心に日本企業の収益力が高まったのも事実。環境変化にいかに素早く対応し、世界で稼ぐ力を蓄えるか。それが次の成長へのカギだ。
東京湾に面するJFEスチールの東日本製鉄所(京浜地区)。休止高炉の隣で八月の完成を目指し「新型シャフト炉」の建設が粛々と進む。投資額は百億円と小さいが今後も続く戦略投資の第一歩。鉄鉱石を使わず鉄スクラップから自動車用鋼板など高級鋼を作る、世界最先端の施設だ。
狙いは三つ。一つは二酸化炭素(CO2)の排出量削減で、鉄鉱石を使う高炉に比べ半減できる。鉄スクラップ価格が落ち着けばコスト低減にもなる。世界的な鉄鉱石争奪戦への対応もある。
環境変化に即応
ネガティブとポジティブ。二種類の数字が日本企業の前にある。日本経済新聞社の集計では今期の連結経常利益は六%減る。「三重苦」は厳しく、トヨタ自動車の営業利益二・三兆円の約半分を吹き飛ばすほど。一方で利益水準(金融除く)は六年前の三・三倍。売上高経常利益率は約六%に高まり、手元資金は約六十兆円に積み上がった。
この六年、鉄鋼大手は高級鋼シフトを加速。市況変動に強い収益構造を作った。ナノテクの品質創造で付加価値を付け自動車メーカーとの値上げ交渉も鉄優位で通る。JFEの新施設は環境問題など情勢変化に対応した微修正。高級鋼戦略をさらに磨く意味を持つ。
ゲームの任天堂やデジタルカメラのニコン……。全体が減益でも今期最高益を見込む企業が三割あるのは技術とマーケティングで本業の競争力を着実に高めてきたことの表れだ。任天堂の岩田聡社長は「(顧客が)飽きるよりも早く次の提案を続ける」と力を込める。
カギは変化への即応だ。千代田化工建設、IHIなど前期、大半が減益のプラント会社。理由は皮肉にも中東など世界的に盛り上がる需要だ。積極受注で仕事量は膨らんだが建設ラッシュは人手不足を生み工期が長期化。赤字案件が続出した。世界の労働力需給の変化を読めなかったのだ。
住友化学の米倉弘昌社長は「これからはリアルタイムの交渉が大事」と、三カ月ごとだった価格転嫁のペースを速める手段の検討に入った。鉄鋼業界にも自動車など需要家との価格交渉を現在の年一回から、二回に増やそうという動きがある。
雪印乳業は中期経営計画に、急きょ「海外メーカーとの連携強化」を盛り込んだ。「限りある乳資源の高騰は構造的」(高野瀬忠明社長)。ここで乳資源の安定調達の道を確保できなければ、競争からふるい落とされるとの危機感がある。
成長へ原点回帰
決算発表で株価が急騰した、いわゆる「サプライズ企業」の代表格、松下電器産業。価格下落などによる減益要因は約六千五百億円と営業利益を上回る。しかし一〇年三月期に売上高十兆円、自己資本利益率一〇%という大目標は変えない。
裏にはこれまでの「中村改革」で縦割りの悪弊を排した自信がある。大坪文雄社長が陣頭指揮を執る、材料の板金や樹脂にまで立ち返った原価低減活動を全社で進め、四千七百億円の合理化効果を出す。その上で、デジタル・白物家電を「全世界でバランスよく増販する」(大坪社長)。
お家芸の原価低減と売れる商品作りを並行で進め、世界市場で良いものをより安く作り、売る。この原点回帰こそ三重苦を乗り越え、次の成長をつかむための出発点だ。
企業が期初に出す見通しは常に慎重。正攻法を積み重ねれば、予想以上に利益はついてくる。
東京湾に面するJFEスチールの東日本製鉄所(京浜地区)。休止高炉の隣で八月の完成を目指し「新型シャフト炉」の建設が粛々と進む。投資額は百億円と小さいが今後も続く戦略投資の第一歩。鉄鉱石を使わず鉄スクラップから自動車用鋼板など高級鋼を作る、世界最先端の施設だ。
狙いは三つ。一つは二酸化炭素(CO2)の排出量削減で、鉄鉱石を使う高炉に比べ半減できる。鉄スクラップ価格が落ち着けばコスト低減にもなる。世界的な鉄鉱石争奪戦への対応もある。
環境変化に即応
ネガティブとポジティブ。二種類の数字が日本企業の前にある。日本経済新聞社の集計では今期の連結経常利益は六%減る。「三重苦」は厳しく、トヨタ自動車の営業利益二・三兆円の約半分を吹き飛ばすほど。一方で利益水準(金融除く)は六年前の三・三倍。売上高経常利益率は約六%に高まり、手元資金は約六十兆円に積み上がった。
この六年、鉄鋼大手は高級鋼シフトを加速。市況変動に強い収益構造を作った。ナノテクの品質創造で付加価値を付け自動車メーカーとの値上げ交渉も鉄優位で通る。JFEの新施設は環境問題など情勢変化に対応した微修正。高級鋼戦略をさらに磨く意味を持つ。
ゲームの任天堂やデジタルカメラのニコン……。全体が減益でも今期最高益を見込む企業が三割あるのは技術とマーケティングで本業の競争力を着実に高めてきたことの表れだ。任天堂の岩田聡社長は「(顧客が)飽きるよりも早く次の提案を続ける」と力を込める。
カギは変化への即応だ。千代田化工建設、IHIなど前期、大半が減益のプラント会社。理由は皮肉にも中東など世界的に盛り上がる需要だ。積極受注で仕事量は膨らんだが建設ラッシュは人手不足を生み工期が長期化。赤字案件が続出した。世界の労働力需給の変化を読めなかったのだ。
住友化学の米倉弘昌社長は「これからはリアルタイムの交渉が大事」と、三カ月ごとだった価格転嫁のペースを速める手段の検討に入った。鉄鋼業界にも自動車など需要家との価格交渉を現在の年一回から、二回に増やそうという動きがある。
雪印乳業は中期経営計画に、急きょ「海外メーカーとの連携強化」を盛り込んだ。「限りある乳資源の高騰は構造的」(高野瀬忠明社長)。ここで乳資源の安定調達の道を確保できなければ、競争からふるい落とされるとの危機感がある。
成長へ原点回帰
決算発表で株価が急騰した、いわゆる「サプライズ企業」の代表格、松下電器産業。価格下落などによる減益要因は約六千五百億円と営業利益を上回る。しかし一〇年三月期に売上高十兆円、自己資本利益率一〇%という大目標は変えない。
裏にはこれまでの「中村改革」で縦割りの悪弊を排した自信がある。大坪文雄社長が陣頭指揮を執る、材料の板金や樹脂にまで立ち返った原価低減活動を全社で進め、四千七百億円の合理化効果を出す。その上で、デジタル・白物家電を「全世界でバランスよく増販する」(大坪社長)。
お家芸の原価低減と売れる商品作りを並行で進め、世界市場で良いものをより安く作り、売る。この原点回帰こそ三重苦を乗り越え、次の成長をつかむための出発点だ。
企業が期初に出す見通しは常に慎重。正攻法を積み重ねれば、予想以上に利益はついてくる。
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