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:2009:02/23/10:47 ++ 先が見えない企業決算―「横並び」今度こそ脱却を(経営の視点)
米ゼネラル・モーターズ(GM)の経営問題と日本企業の決算。同列に比較するのはやや乱暴だが、少なくとも「着地点が見えない」という点では共通する。
GMは先週、再建策を公表した。米国民が驚いたのは同社が政府に求めた追加の公的融資だった。当初受けることが決まったのは一兆六千億円。だがGMが今回求めた金額は、それより一兆円以上も積み増した規模になっていた。
ワゴナー会長は「最近の車を見てもらったら将来ある企業と考えてもらえる」と訴えた。だが米国民の何割がその言葉に納得したか。爆発的に売れそうな車やビジネスが本当にあれば別だが、過去数十年、車開発や経営の方向性を見誤ったとされるGMに突破口は簡単には見つからない。
一方、日本の大手企業の決算。こちらも投資家には衝撃だった。二〇〇九年三月期の最終損益は自動車大手七社が合計六千億円超の赤字。電機は九社合計の赤字が二兆円に迫り、「もう一段の下方修正もありうる」(大手メーカー幹部)状況だ。
先が見えない原因は景気の悪化か構造問題か。GMは間違いなく後者だが、もしかすると日本企業も後者の懸念がある。
例えば日立製作所やパナソニックが数千億円規模の最終赤字になる電機。野村証券の山崎雅也アナリストは業績悪化のドミノ現象を「横並び的な経営体質が変わらなかったのが原因」と指摘する。選択と集中が進んだとされる電機大手も、実際はテレビや携帯電話などでプレーヤー過剰が続いた。その結果が恒常的な家電事業の赤字体質だ。
誤算は自動車事業にもあった。自動車向けビジネスは成長性が高い。そう読んだ電機大手はここでも横一線で突き進んだ。だが最大の米国自動車市場から景気悪化が広がると、部品需要が一斉に冷え込み、総崩れになってしまった。
昨年十―十二月の国内総生産(GDP)は一二・七%の大幅なマイナス。その原因を「電機も機械も素材も自動車事業に一斉に殺到した反動が出た」と自動車大手の首脳は見る。右にならえの単一文化(モノカルチャー)が景気の谷を深くしてはいまいか。
もちろん最終損益の悪化には構造改革の影響もある。ウミを出し切る「良い赤字」は財務体質がしっかりしていないとできない側面もあるが、それも程度問題。日本の産業界が一斉に良い赤字を追求し始めたら、消費も雇用も低迷に歯止めがかからなくなる恐れがある。
今後十年を見据えれば最大の問題は次の成長ストーリーを打ち出せずにいる点だ。電機の勝ち組は十年前も今も変わらない。ハードからサービスへカジを切った米IBMは不況知らず。新興国戦略が奏功した韓国サムスン電子も家電・半導体でシェアを上げている。日本はなぜ両社を凌駕できなかったのか。横並びを脱せず、突き抜けた戦略を打ち出せなかった体質に原因があったのではないのか。
次の十年にどう巻き返すか。その問いは日本の産業すべてに向けられる。モノカルチャーから脱皮し、世界で勝てる戦略をどう練り直すか。すべてはまたそこから始まる。
GMは先週、再建策を公表した。米国民が驚いたのは同社が政府に求めた追加の公的融資だった。当初受けることが決まったのは一兆六千億円。だがGMが今回求めた金額は、それより一兆円以上も積み増した規模になっていた。
ワゴナー会長は「最近の車を見てもらったら将来ある企業と考えてもらえる」と訴えた。だが米国民の何割がその言葉に納得したか。爆発的に売れそうな車やビジネスが本当にあれば別だが、過去数十年、車開発や経営の方向性を見誤ったとされるGMに突破口は簡単には見つからない。
一方、日本の大手企業の決算。こちらも投資家には衝撃だった。二〇〇九年三月期の最終損益は自動車大手七社が合計六千億円超の赤字。電機は九社合計の赤字が二兆円に迫り、「もう一段の下方修正もありうる」(大手メーカー幹部)状況だ。
先が見えない原因は景気の悪化か構造問題か。GMは間違いなく後者だが、もしかすると日本企業も後者の懸念がある。
例えば日立製作所やパナソニックが数千億円規模の最終赤字になる電機。野村証券の山崎雅也アナリストは業績悪化のドミノ現象を「横並び的な経営体質が変わらなかったのが原因」と指摘する。選択と集中が進んだとされる電機大手も、実際はテレビや携帯電話などでプレーヤー過剰が続いた。その結果が恒常的な家電事業の赤字体質だ。
誤算は自動車事業にもあった。自動車向けビジネスは成長性が高い。そう読んだ電機大手はここでも横一線で突き進んだ。だが最大の米国自動車市場から景気悪化が広がると、部品需要が一斉に冷え込み、総崩れになってしまった。
昨年十―十二月の国内総生産(GDP)は一二・七%の大幅なマイナス。その原因を「電機も機械も素材も自動車事業に一斉に殺到した反動が出た」と自動車大手の首脳は見る。右にならえの単一文化(モノカルチャー)が景気の谷を深くしてはいまいか。
もちろん最終損益の悪化には構造改革の影響もある。ウミを出し切る「良い赤字」は財務体質がしっかりしていないとできない側面もあるが、それも程度問題。日本の産業界が一斉に良い赤字を追求し始めたら、消費も雇用も低迷に歯止めがかからなくなる恐れがある。
今後十年を見据えれば最大の問題は次の成長ストーリーを打ち出せずにいる点だ。電機の勝ち組は十年前も今も変わらない。ハードからサービスへカジを切った米IBMは不況知らず。新興国戦略が奏功した韓国サムスン電子も家電・半導体でシェアを上げている。日本はなぜ両社を凌駕できなかったのか。横並びを脱せず、突き抜けた戦略を打ち出せなかった体質に原因があったのではないのか。
次の十年にどう巻き返すか。その問いは日本の産業すべてに向けられる。モノカルチャーから脱皮し、世界で勝てる戦略をどう練り直すか。すべてはまたそこから始まる。
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