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:2011:04/26/09:09 ++ 大震災日本を立て直す(7)東大教授吉川洋氏―財政の懸案、棚上げせず。
――震災が日本経済に大きな影響を与えています。
「すでに輸出が減って消費マインドも冷え込んでいる。原発問題に伴う風評被害で日本製品が敬遠されるなどの影響も出ている。今年前半は経済が下押しされるのは避けられない。ただ影響がパニック的かと言われると、そうではない。年後半からは復興需要も見込まれており、国際機関も来年の成長率は2%程度に戻ると見込んでいる」
「危惧しているのは現在の混乱に伴うマイナス効果が一過性で終わらないことだ。サプライチェーン(供給網)が寸断されて輸出企業は混乱に巻き込まれている。この間にも経済のグローバル化は進んでおり、日本製の部品などが海外製に代替される恐れがある。阪神大震災で打撃を受けた神戸港はシェアを釜山港などに奪われてしまった。復興は時間との闘いだ」
薄れる改革機運
――社会保障制度改革などに取り組む機運も薄れてしまっています。
「震災復興が重要なのは論をまたない。仮設住宅の建設などは最優先されるべきだ。しかし、社会保障制度改革や環太平洋経済連携協定(TPP)への参加問題などを話し合う場合ではないという雰囲気でいいものか。こうした声に賛成するわけにはいかない」
「少子高齢化はゆっくりと進む静かな有事だ。1年たてば年金をもらい始める人は確実に増える。日本の公的債務残高は国内総生産(GDP)比で200%に達しており、経済協力開発機構(OECD)は『未知の領域』という表現で警鐘を鳴らした。日本の中長期的な課題は厳然として我々の目の前にある。震災を理由に棚上げすることは許されない」
破綻の回避を
――復興予算で財政はさらに厳しさを増します。
「政府は第1次補正予算案を決めたが、第2次補正などの編成も予想され、歳出のやり繰りだけでは限界が来る。国債発行もやむを得ないが、長期金利が上昇して財政が行き詰まる事態になってしまっては困る。早いうちに税の裏付けを確保すべきだ」
「税の選択肢は複数ある。時限付きで資産課税や所得課税を強化したり、消費税を引き上げて数年後に社会保障財源に移行したりすることが考えられる。消費税の引き上げは早晩必要になり、議論から逃げてはいけない」
「一般歳出の半分以上を社会保障費が占めており、日本の財政問題は社会保障と裏表の関係にある。雇用保険を非正規社員に広げるなどの社会保障の機能強化は必要だ。その一方で、給付の効率化によって全体の伸びを抑制する視点も重要だ。効率化というと市場原理主義というレッテルを貼られることもあるが、それは建設的な議論の妨げだ。負担の引き上げに限界があるとすれば、どこかで譲る必要がある」
――復興の青写真をどう描きますか。
「関東大震災後の復興の過程で耐震耐火構造の『同潤会青山アパート』が登場した。これが現在のマンションのモデルになっている。帝都復興院を率いた後藤新平が必ずしもすべてをなし遂げたわけではないが、時代を先取りしようという気概で取り組んだ。東北は不幸にして大きな被害を受けたが、住宅や交通、医療も含めて未来を先取りした形で再生を進めなければならない。司令塔となる政治のリーダーシップが重要になる」(聞き手は渡辺康仁)
「すでに輸出が減って消費マインドも冷え込んでいる。原発問題に伴う風評被害で日本製品が敬遠されるなどの影響も出ている。今年前半は経済が下押しされるのは避けられない。ただ影響がパニック的かと言われると、そうではない。年後半からは復興需要も見込まれており、国際機関も来年の成長率は2%程度に戻ると見込んでいる」
「危惧しているのは現在の混乱に伴うマイナス効果が一過性で終わらないことだ。サプライチェーン(供給網)が寸断されて輸出企業は混乱に巻き込まれている。この間にも経済のグローバル化は進んでおり、日本製の部品などが海外製に代替される恐れがある。阪神大震災で打撃を受けた神戸港はシェアを釜山港などに奪われてしまった。復興は時間との闘いだ」
薄れる改革機運
――社会保障制度改革などに取り組む機運も薄れてしまっています。
「震災復興が重要なのは論をまたない。仮設住宅の建設などは最優先されるべきだ。しかし、社会保障制度改革や環太平洋経済連携協定(TPP)への参加問題などを話し合う場合ではないという雰囲気でいいものか。こうした声に賛成するわけにはいかない」
「少子高齢化はゆっくりと進む静かな有事だ。1年たてば年金をもらい始める人は確実に増える。日本の公的債務残高は国内総生産(GDP)比で200%に達しており、経済協力開発機構(OECD)は『未知の領域』という表現で警鐘を鳴らした。日本の中長期的な課題は厳然として我々の目の前にある。震災を理由に棚上げすることは許されない」
破綻の回避を
――復興予算で財政はさらに厳しさを増します。
「政府は第1次補正予算案を決めたが、第2次補正などの編成も予想され、歳出のやり繰りだけでは限界が来る。国債発行もやむを得ないが、長期金利が上昇して財政が行き詰まる事態になってしまっては困る。早いうちに税の裏付けを確保すべきだ」
「税の選択肢は複数ある。時限付きで資産課税や所得課税を強化したり、消費税を引き上げて数年後に社会保障財源に移行したりすることが考えられる。消費税の引き上げは早晩必要になり、議論から逃げてはいけない」
「一般歳出の半分以上を社会保障費が占めており、日本の財政問題は社会保障と裏表の関係にある。雇用保険を非正規社員に広げるなどの社会保障の機能強化は必要だ。その一方で、給付の効率化によって全体の伸びを抑制する視点も重要だ。効率化というと市場原理主義というレッテルを貼られることもあるが、それは建設的な議論の妨げだ。負担の引き上げに限界があるとすれば、どこかで譲る必要がある」
――復興の青写真をどう描きますか。
「関東大震災後の復興の過程で耐震耐火構造の『同潤会青山アパート』が登場した。これが現在のマンションのモデルになっている。帝都復興院を率いた後藤新平が必ずしもすべてをなし遂げたわけではないが、時代を先取りしようという気概で取り組んだ。東北は不幸にして大きな被害を受けたが、住宅や交通、医療も含めて未来を先取りした形で再生を進めなければならない。司令塔となる政治のリーダーシップが重要になる」(聞き手は渡辺康仁)
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