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:2009:01/21/14:28 ++ 始動オバマの米国(上)史上最高の期待値―「変革」実現に迫る難題。
これほど発足が待たれた政権は古今東西、そうはない。米メディアの世論調査でオバマ氏の支持率は八〇%を超え、就任前の大統領として史上最高を記録した。先の見えない不安な時だからこそ、「変革」への内外の期待値は高まる一方だ。
先人に自ら重ね
実績のないオバマ氏はどう対処するのか。ケネディ以来となる屋外競技場での大統領候補の指名受諾。リンカーンをまねた列車での首都入り。しばしば採用するのが偉大な大統領との二重写しによる信頼感の獲得だ。
ワシントン、リンカーン、フランクリン・ルーズベルト、ケネディ、レーガン。「ドリーム・ビッグ」「シンク・ビッグ」がモットーのオバマ氏は先人の足跡をなぞり、いずれその仲間入りをしたいと本気で考えているそうだ。
成否は経済再建の行方次第だ。振り返ると偉大な大統領はしばしば経済の変革期に登場した。
リンカーンの奴隷解放が米近代資本主義の発展を後押しし、その行き過ぎをルーズベルトが政府の介入で是正。大きな政府路線が行き詰まると、レーガンは規制緩和などで好況に導いた。金融危機であらわになった超大国の威信の低下。オバマ氏には黒人初にとどまらぬ新たな歴史の扉を開く役回りが求められる。
目下の教科書はルーズベルトだ。オバマ氏は、その政権初期を描いたジョナサン・アルター著「デファイニング・モーメント」、再刊されたルーズベルト自身の著書「ルッキング・フォワード」を取り寄せ、熟読したという。
新政権のスタッフを見ても、経済諮問委員長に起用したローマー氏はニューディール政策の専門家。経済チームの今年の初会合でエマニュエル首席補佐官らを尻目にオバマ氏の左隣を占めた。
「ケインズは私のアイドルだ」。昨年末、ワシントンを訪れたクルーグマン・プリンストン大教授は語った。ノーベル経済学賞の大家をしてそうなのだから、大規模な公共事業の効果に疑問を差し挟む向きは政界、経済界を問わず少数派だ。
オバマ氏が約束する雇用創出は建設業六十七万人、製造業四十万人、行政府二十四万人など。総額八千二百五十億ドルの景気対策法案に裏打ちされたものが多く、全くの空振りにはならないだろう。
支出先も老朽化したインフラの再生や新エネルギー育成などに重点配分した。大きな政府への単なる先祖返りでなく、金融安定化による市場機能回復を最優先しながら新たな成長の芽を育てる戦略を描く。
ただ実施が遅れ、危機が一段と深まればそれですら不十分になる恐れがある。劇的な政権発足を演出しようと、オバマ氏は就任式直後に経済対策法への署名式を催すつもりだった。だが、議会での調整が進まず、法案成立は二月以降にずれ込む。議会首脳を交えた財政改革会議の新設を急きょ提起したのは焦燥感の裏返しだろう。
外交分野も山積
今年度の財政赤字は一兆ドルを超える。膨大な財政出動が効かず、「スタグフレーション(不況下のインフレ)」という新語を生み出しただけに終わったカーター政権の例もある。高い支持率、上下両院とも与党多数の議会。無敵とも言うべき政治状況にして、なおままならぬ政権運営。オバマ氏が最近よく口にする「ジャンプ・スタート」は決してたやすくない。
難題は経済にとどまらない。オバマ氏の外交姿勢を探るかのようにイスラエルはガザに侵攻。中東和平が進まずイラクやアフガニスタンでの戦いが長引けば、財政赤字はさらに膨らむ。米メディアには、イスラエル寄りと目されるクリントン国務長官の起用は「ジャイアント・リスク」(ホワイトハウス特派員協会のラビン会長)との評がある。
クリントン氏は上院の公聴会で日米同盟を「太平洋の平和と繁栄に不可欠な礎石」と力説した。日本もこれまで以上の国際貢献が求められよう。焦点は北朝鮮外交だ。対話外交がオバマ氏の持論とはいえ、米国がなし崩しに融和に突き進めば、両国関係にきしみが生じかねない。
先人に自ら重ね
実績のないオバマ氏はどう対処するのか。ケネディ以来となる屋外競技場での大統領候補の指名受諾。リンカーンをまねた列車での首都入り。しばしば採用するのが偉大な大統領との二重写しによる信頼感の獲得だ。
ワシントン、リンカーン、フランクリン・ルーズベルト、ケネディ、レーガン。「ドリーム・ビッグ」「シンク・ビッグ」がモットーのオバマ氏は先人の足跡をなぞり、いずれその仲間入りをしたいと本気で考えているそうだ。
成否は経済再建の行方次第だ。振り返ると偉大な大統領はしばしば経済の変革期に登場した。
リンカーンの奴隷解放が米近代資本主義の発展を後押しし、その行き過ぎをルーズベルトが政府の介入で是正。大きな政府路線が行き詰まると、レーガンは規制緩和などで好況に導いた。金融危機であらわになった超大国の威信の低下。オバマ氏には黒人初にとどまらぬ新たな歴史の扉を開く役回りが求められる。
目下の教科書はルーズベルトだ。オバマ氏は、その政権初期を描いたジョナサン・アルター著「デファイニング・モーメント」、再刊されたルーズベルト自身の著書「ルッキング・フォワード」を取り寄せ、熟読したという。
新政権のスタッフを見ても、経済諮問委員長に起用したローマー氏はニューディール政策の専門家。経済チームの今年の初会合でエマニュエル首席補佐官らを尻目にオバマ氏の左隣を占めた。
「ケインズは私のアイドルだ」。昨年末、ワシントンを訪れたクルーグマン・プリンストン大教授は語った。ノーベル経済学賞の大家をしてそうなのだから、大規模な公共事業の効果に疑問を差し挟む向きは政界、経済界を問わず少数派だ。
オバマ氏が約束する雇用創出は建設業六十七万人、製造業四十万人、行政府二十四万人など。総額八千二百五十億ドルの景気対策法案に裏打ちされたものが多く、全くの空振りにはならないだろう。
支出先も老朽化したインフラの再生や新エネルギー育成などに重点配分した。大きな政府への単なる先祖返りでなく、金融安定化による市場機能回復を最優先しながら新たな成長の芽を育てる戦略を描く。
ただ実施が遅れ、危機が一段と深まればそれですら不十分になる恐れがある。劇的な政権発足を演出しようと、オバマ氏は就任式直後に経済対策法への署名式を催すつもりだった。だが、議会での調整が進まず、法案成立は二月以降にずれ込む。議会首脳を交えた財政改革会議の新設を急きょ提起したのは焦燥感の裏返しだろう。
外交分野も山積
今年度の財政赤字は一兆ドルを超える。膨大な財政出動が効かず、「スタグフレーション(不況下のインフレ)」という新語を生み出しただけに終わったカーター政権の例もある。高い支持率、上下両院とも与党多数の議会。無敵とも言うべき政治状況にして、なおままならぬ政権運営。オバマ氏が最近よく口にする「ジャンプ・スタート」は決してたやすくない。
難題は経済にとどまらない。オバマ氏の外交姿勢を探るかのようにイスラエルはガザに侵攻。中東和平が進まずイラクやアフガニスタンでの戦いが長引けば、財政赤字はさらに膨らむ。米メディアには、イスラエル寄りと目されるクリントン国務長官の起用は「ジャイアント・リスク」(ホワイトハウス特派員協会のラビン会長)との評がある。
クリントン氏は上院の公聴会で日米同盟を「太平洋の平和と繁栄に不可欠な礎石」と力説した。日本もこれまで以上の国際貢献が求められよう。焦点は北朝鮮外交だ。対話外交がオバマ氏の持論とはいえ、米国がなし崩しに融和に突き進めば、両国関係にきしみが生じかねない。
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