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:2010:09/29/09:34 ++ 岐路の旅行ビジネス(下)航空大競争が波及―販売手数料減、迫る淘汰。
26日まで東京ビッグサイト(東京・江東)で開かれた世界旅行博。会場ではポッカリ空いたスペースが目を引いた。尖閣諸島沖の衝突事件で日本と対立する中国が急きょ出展を取りやめたのだ。
中国人誘致に影
「中国人は訪日客の中で大きなウエートを占めるだけに残念だ」。主催した日本旅行業協会の金井耿会長(日本旅行会長)は24日、記者会見で日中問題についてタイミングの悪さを嘆いた。
イベントの最中だったからだけではない。訪日中国人を増やすのは観光立国のシンボル。日本政府は7月に個人観光ビザ(査証)の発給要件を緩和、中国側も中国人の海外旅行の取り扱いを外資に開放する検討を始めた矢先だっただけに、観光業界は水をさされた。
旅行業協会の金井会長は会見の席上、もう1つの悩みを打ち明けた。格安航空会社(LCC)の台頭だ。「コストを切り詰めて低価格を目指すLCCと旅行会社が組むのは難しい」。実際、全日本空輸の伊東信一郎社長は年内に設立するLCCについて「航空券販売をネットに特化する」と明言し、羽田空港に就航するマレーシアのエア・アジアXも旅行会社経由の販売は2割にとどめる。
アジアを舞台に本格化する空の大競争は旅行会社の経営に波及している。国内外の航空各社は国際線の座席の販売強化を目的に航空券の発券手数料としてチケット代の5%を日本の旅行会社に払ってきたが、09年にこれを廃止。今年4月には国内航空券の手数料も半分に減らした。
00年に約2万の旅行会社があった米国。01年の航空会社による手数料廃止を機に淘汰が進み、廃業は約1万3000社に及んだ。日本の旅行会社数は昨年4月時点で1万400強。02年に比べると約6%減ったとはいえ過剰感は強く、「米国は日本の近未来の姿」(JTBの田川博己社長)というのが業界共通の見方だ。
仲介業の旅行代理店は利益率が低いうえに、ここ数年は航空の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の高騰や新型インフルエンザが重なった。JTBは10年3月期まで2期連続、近畿日本ツーリスト、日本旅行は09年12月期まで3期連続の最終赤字だ。中小・中堅の淘汰だけでなく、大手の再編も現実味を帯びる。
少人数型で打開
厳しい経営環境を打開しようと試行錯誤も始まっている。少人数のための目的型ツアーがその1つだ。全国農業協同組合連合会グループの農協観光(東京・千代田)では、農作物の収穫などを体験できるツアーの参加者が09年度に約8万6千人と04年度から約6割増加。近ツーは10月中旬のショパン国際ピアノ・コンクール(開催場所ポーランド)を観賞する企画が、発売から2週間で売り切れた。いずれも大量送客型ツアーに依存した体質からの脱却を目指している。
手をこまぬいていては縮小均衡に向かうばかり。旅行ビジネスの変革は待ったなしだ。
大型再編として1955年、近畿日本鉄道の子会社と独立系の日本ツーリストが合併して近畿日本ツーリストが発足した。その近ツーは日本旅行(西日本旅客鉄道グループ)と2001年に合併で合意したが、翌年撤回。大手の合併は親会社の方針や社風の違いから起きにくいとされてきた。
これまでは大企業が中堅の旅行子会社を本業集中などで手放す例が大半。西友とキリンビールはJTB、相模鉄道は近ツー、オーエムシーカード(当時)は日本旅行にそれぞれ売却した。大手では東京急行電鉄グループの東急観光(現トップツアー)が04年、ファンド傘下に入った。
この連載は原克彦、杉垣裕子が担当しました。
中国人誘致に影
「中国人は訪日客の中で大きなウエートを占めるだけに残念だ」。主催した日本旅行業協会の金井耿会長(日本旅行会長)は24日、記者会見で日中問題についてタイミングの悪さを嘆いた。
イベントの最中だったからだけではない。訪日中国人を増やすのは観光立国のシンボル。日本政府は7月に個人観光ビザ(査証)の発給要件を緩和、中国側も中国人の海外旅行の取り扱いを外資に開放する検討を始めた矢先だっただけに、観光業界は水をさされた。
旅行業協会の金井会長は会見の席上、もう1つの悩みを打ち明けた。格安航空会社(LCC)の台頭だ。「コストを切り詰めて低価格を目指すLCCと旅行会社が組むのは難しい」。実際、全日本空輸の伊東信一郎社長は年内に設立するLCCについて「航空券販売をネットに特化する」と明言し、羽田空港に就航するマレーシアのエア・アジアXも旅行会社経由の販売は2割にとどめる。
アジアを舞台に本格化する空の大競争は旅行会社の経営に波及している。国内外の航空各社は国際線の座席の販売強化を目的に航空券の発券手数料としてチケット代の5%を日本の旅行会社に払ってきたが、09年にこれを廃止。今年4月には国内航空券の手数料も半分に減らした。
00年に約2万の旅行会社があった米国。01年の航空会社による手数料廃止を機に淘汰が進み、廃業は約1万3000社に及んだ。日本の旅行会社数は昨年4月時点で1万400強。02年に比べると約6%減ったとはいえ過剰感は強く、「米国は日本の近未来の姿」(JTBの田川博己社長)というのが業界共通の見方だ。
仲介業の旅行代理店は利益率が低いうえに、ここ数年は航空の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の高騰や新型インフルエンザが重なった。JTBは10年3月期まで2期連続、近畿日本ツーリスト、日本旅行は09年12月期まで3期連続の最終赤字だ。中小・中堅の淘汰だけでなく、大手の再編も現実味を帯びる。
少人数型で打開
厳しい経営環境を打開しようと試行錯誤も始まっている。少人数のための目的型ツアーがその1つだ。全国農業協同組合連合会グループの農協観光(東京・千代田)では、農作物の収穫などを体験できるツアーの参加者が09年度に約8万6千人と04年度から約6割増加。近ツーは10月中旬のショパン国際ピアノ・コンクール(開催場所ポーランド)を観賞する企画が、発売から2週間で売り切れた。いずれも大量送客型ツアーに依存した体質からの脱却を目指している。
手をこまぬいていては縮小均衡に向かうばかり。旅行ビジネスの変革は待ったなしだ。
大型再編として1955年、近畿日本鉄道の子会社と独立系の日本ツーリストが合併して近畿日本ツーリストが発足した。その近ツーは日本旅行(西日本旅客鉄道グループ)と2001年に合併で合意したが、翌年撤回。大手の合併は親会社の方針や社風の違いから起きにくいとされてきた。
これまでは大企業が中堅の旅行子会社を本業集中などで手放す例が大半。西友とキリンビールはJTB、相模鉄道は近ツー、オーエムシーカード(当時)は日本旅行にそれぞれ売却した。大手では東京急行電鉄グループの東急観光(現トップツアー)が04年、ファンド傘下に入った。
この連載は原克彦、杉垣裕子が担当しました。
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