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:2010:09/17/10:23 ++ 政治は再生するか(中)「脱公約」で世界に目を。
本社コラムニスト 岡部直明
リーマン・ショック後のグローバル経済の大きなうねりの中では、まるで「井の中の権力闘争」に見えた。民主党代表選で菅直人首相が圧勝し「四半期首相」を見ずにすんだ。財政ばらまきによる長期金利上昇や日米関係の冷却化という最悪の事態も避けられた。しかし、この3カ月の政治空白で菅政権が抱え込んだ課題はあまりに重い。
代表選終了を待っていたかのように、政府、日銀は大規模なドル買い介入に動いた。円急騰に手をこまぬいたあげくの追い込まれた介入だった。政治主導にこだわるあまり、財務官僚ら「通貨マフィア」の判断を生かせなかった面もある。菅首相は「今後も断固たる措置をとる」というが、介入にはスマートさも必要だ。多極時代の通貨協調を模索するしかない。
グローバル経済はいま冷戦終結を上回る歴史的な大転換期にある。米欧先進国から中国、インドなど新興国へのパワーシフトは鮮明だ。代表選のさなかに世界の視線が集まったのは、温家宝中国首相の「中国は今後も世界経済のけん引役を果たす」という夏季ダボス会議での演説だった。
介入は時間稼ぎ
世界経済危機の震源地、米国の経済は二番底の懸念がある。マーチン・フェルドスタイン教授は「中小企業は低迷し家計が萎縮し失業が増加する」と米景気の先行きに悲観的だ。カギを握るのはオバマ大統領の輸出倍増戦略だろう。それは米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和と相まってドル安戦略に結びつく。
ギリシャ危機で揺らぐユーロ圏は危機打開をユーロ安による輸出増に求めている。タカ派のウェーバー独連銀総裁も金融緩和の継続を主張しユーロ安を後押しする。
世界中が輸出に活路を見いだそうとするから通貨安競争が起きる。そんななかで、小沢一郎氏が「輸出から内需へ」と主張したのには驚かされた。グローバル経済のうねりの中で選択すべきは、むしろ輸出依存度を高める戦略だ。内向きから脱して、世界を向いた経済戦略こそ求められる。
為替介入はあくまで時間稼ぎである。政府の新成長戦略実現会議に参加する伊藤元重東大教授は「直球を真ん中に投げ込むときだ」と指摘する。
第1球は法人税率引き下げだ。世界最高水準の法人税率は企業の国際競争力を奪い外資誘致を阻害し雇用を減らす。ほぼ各党が賛成だから来年度から実施できるはずだ。
第2球は小沢氏も主張する自由貿易協定(FTA)である。それは農業改革を伴う。日中韓を中心にした東アジア自由貿易圏を実現し、それを日米FTAに結合するのが大きな目標である。政局より政策軸
第3球は規制改革による成長力底上げだ。自民党やみんなの党と連携しやすい分野だろう。
重要なのは、消費税率引き上げと社会保障制度改革のための超党派協議である。「増税の前にやることがある」という主張は増税先送りにつながる。先進国最悪の財政状況にある日本にそんな余裕はない。菅首相の要請に自民党もたちあがれ日本も応じられるはずだ。その大前提は財源の裏付けを欠くマニフェスト(政権公約)至上主義を見直すことだ。
デフレ脱却に日銀との連携はますます重要になる。しかし日銀法改正やインフレ目標を振りかざせば、連携はきしむ。脱デフレでどう協力するか間合いを大切にするのが熟達した政治である。
日本が失われた時代から抜け出せないのは、政治の混迷が大きな要因だ。グローバル経済の歴史的展開とはうらはらに政治はますます内向きになった。政治の軸を「政局」から「政策」に転換しない限り、政治の再生も日本の再生もない。
リーマン・ショック後のグローバル経済の大きなうねりの中では、まるで「井の中の権力闘争」に見えた。民主党代表選で菅直人首相が圧勝し「四半期首相」を見ずにすんだ。財政ばらまきによる長期金利上昇や日米関係の冷却化という最悪の事態も避けられた。しかし、この3カ月の政治空白で菅政権が抱え込んだ課題はあまりに重い。
代表選終了を待っていたかのように、政府、日銀は大規模なドル買い介入に動いた。円急騰に手をこまぬいたあげくの追い込まれた介入だった。政治主導にこだわるあまり、財務官僚ら「通貨マフィア」の判断を生かせなかった面もある。菅首相は「今後も断固たる措置をとる」というが、介入にはスマートさも必要だ。多極時代の通貨協調を模索するしかない。
グローバル経済はいま冷戦終結を上回る歴史的な大転換期にある。米欧先進国から中国、インドなど新興国へのパワーシフトは鮮明だ。代表選のさなかに世界の視線が集まったのは、温家宝中国首相の「中国は今後も世界経済のけん引役を果たす」という夏季ダボス会議での演説だった。
介入は時間稼ぎ
世界経済危機の震源地、米国の経済は二番底の懸念がある。マーチン・フェルドスタイン教授は「中小企業は低迷し家計が萎縮し失業が増加する」と米景気の先行きに悲観的だ。カギを握るのはオバマ大統領の輸出倍増戦略だろう。それは米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和と相まってドル安戦略に結びつく。
ギリシャ危機で揺らぐユーロ圏は危機打開をユーロ安による輸出増に求めている。タカ派のウェーバー独連銀総裁も金融緩和の継続を主張しユーロ安を後押しする。
世界中が輸出に活路を見いだそうとするから通貨安競争が起きる。そんななかで、小沢一郎氏が「輸出から内需へ」と主張したのには驚かされた。グローバル経済のうねりの中で選択すべきは、むしろ輸出依存度を高める戦略だ。内向きから脱して、世界を向いた経済戦略こそ求められる。
為替介入はあくまで時間稼ぎである。政府の新成長戦略実現会議に参加する伊藤元重東大教授は「直球を真ん中に投げ込むときだ」と指摘する。
第1球は法人税率引き下げだ。世界最高水準の法人税率は企業の国際競争力を奪い外資誘致を阻害し雇用を減らす。ほぼ各党が賛成だから来年度から実施できるはずだ。
第2球は小沢氏も主張する自由貿易協定(FTA)である。それは農業改革を伴う。日中韓を中心にした東アジア自由貿易圏を実現し、それを日米FTAに結合するのが大きな目標である。政局より政策軸
第3球は規制改革による成長力底上げだ。自民党やみんなの党と連携しやすい分野だろう。
重要なのは、消費税率引き上げと社会保障制度改革のための超党派協議である。「増税の前にやることがある」という主張は増税先送りにつながる。先進国最悪の財政状況にある日本にそんな余裕はない。菅首相の要請に自民党もたちあがれ日本も応じられるはずだ。その大前提は財源の裏付けを欠くマニフェスト(政権公約)至上主義を見直すことだ。
デフレ脱却に日銀との連携はますます重要になる。しかし日銀法改正やインフレ目標を振りかざせば、連携はきしむ。脱デフレでどう協力するか間合いを大切にするのが熟達した政治である。
日本が失われた時代から抜け出せないのは、政治の混迷が大きな要因だ。グローバル経済の歴史的展開とはうらはらに政治はますます内向きになった。政治の軸を「政局」から「政策」に転換しない限り、政治の再生も日本の再生もない。
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