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:2009:07/07/09:24 ++ 日本の軸を問い直す(上)今こそ「賢い政府」に。
最悪期は脱したものの、日本経済の視界は開けない。世界経済危機は日本に最も深刻な打撃を与えた。輸出立国に傾斜したためだが、それだけではない。政治の劣化が経済の足を引っ張り、大衆迎合主義が政策のブレを大きくしている。「日本の軸」とは何かを想起し、それを立て直すことから危機打開は始まる。
リーマン・ショック後の危機のなかで「世界の軸」も動いた。オバマ米政権は市場本位から政府介入にカジを切った。主要金融機関の公的管理に続いて、ゼネラル・モーターズ(GM)まで国有化した。保護主義と紙一重の選択だった。
経済政策の基調も百八十度変わった。レーガン米大統領、サッチャー英首相以来の「小さな政府」から大胆な財政刺激への転換である。一度は死んだケインズ主義が世界中でよみがえった。
戦後最悪の危機に緊急避難のための政府介入や財政出動は避けられない。麻生太郎政権がグローバル・ケインズ主義による協調の一翼を担い、財政出動に踏み切ったのは当然である。ケインズのいう「賢い支出」とは思えぬ支出が含まれるのは問題だが、麻生政権が歴史的危機に一定の使命を果たしたのはたしかだ。
ぶれない政策を
麻生政権の致命的な誤りは「構造改革」の4文字を政策メニューから消し去ったことだ。財政出動と構造改革は相反しない。不況脱出には財政出動と構造改革の結合こそ重要だ。それに企業家精神をかみ合わせた三位一体で「需要創出型イノベーション」(吉川洋東大教授)は生まれる。
麻生政権は脱小泉改革をめざしたが、小泉改革の負の遺産は改革の行きすぎではない。郵政民営化の一点豪華主義で規制改革も地方分権も不十分だった点にある。消費税率引き上げに手をつけず、肝心の社会保障改革も置き去りにした。冷戦後の改革大競争で日本は出遅れた。それが失われた時代の背景にある。
郵政民営化まで逆行させる動きを、麻生政権は抑え切れず、大衆迎合主義のもとで揺れに揺れた。成熟国家の首相として内外の信頼を失ったのはこのためである。
総選挙で問われるのは、日本の将来を決める出口戦略と成長戦略である。日本は先進国最悪の累積債務を抱え超高齢社会に突入する。冷厳な現実から逃れられない。口当たりはよくても整合性のない政策ではなく、苦くてもビジョンある政策こそ選択すべきだ。
まず超高齢社会に備えて公的年金など社会保障制度を抜本的に改革することだ。社会保障目的の消費税率引き上げなら国民の理解を得やすい。超党派で安心社会を築くのは政治の責務である。
社会保障改革とあわせて税制改革に取り組む必要がある。世界最高水準の法人税率を引き下げ、日本経済を活性化するテコにすることだ。
人口と人材カギ
成長戦略のカギを握るのは「人口と人材」だ。出生率目標を掲げ、安心して子育てできる社会をつくる総合的な少子化戦略が必要になる。人材開国もめざすことだ。企業家精神を育てる教育投資の拡充も欠かせない。
地球温暖化を防ぐ低炭素革命は21世紀の産業革命である。新エネルギーから電気自動車まで技術革新の芽はあちこちにある。ハードルが高いほど環境技術を蓄積してきた日本の好機になる。
危機にあっても力強い東アジアの活力を取り込むことも肝心だ。東アジア経済統合の工程表を提案する段階である。
大不況の時代が終わったあと、行きすぎた振り子はかならず戻る。「小さな政府」か「大きな政府」かではなく「賢い政府」こそ求められる。「市場の失敗」に政府の介入は避けられないが、「経営の失敗」を政府が救済しては資本主義の倫理が破綻する。市場メカニズムが資本主義の核であることに変わりはない。必要なのは市場を生かす「賢い規制」である。
政治経済の連鎖危機は日本の信認を低下させた。G8やG20では毎年変わる首相は固有名詞ではなく「日本の首相」としてしかとらえられない。20年先、30年先を見据え「日本の軸」を立て直すため有権者は政治を鍛え直すときである。
リーマン・ショック後の危機のなかで「世界の軸」も動いた。オバマ米政権は市場本位から政府介入にカジを切った。主要金融機関の公的管理に続いて、ゼネラル・モーターズ(GM)まで国有化した。保護主義と紙一重の選択だった。
経済政策の基調も百八十度変わった。レーガン米大統領、サッチャー英首相以来の「小さな政府」から大胆な財政刺激への転換である。一度は死んだケインズ主義が世界中でよみがえった。
戦後最悪の危機に緊急避難のための政府介入や財政出動は避けられない。麻生太郎政権がグローバル・ケインズ主義による協調の一翼を担い、財政出動に踏み切ったのは当然である。ケインズのいう「賢い支出」とは思えぬ支出が含まれるのは問題だが、麻生政権が歴史的危機に一定の使命を果たしたのはたしかだ。
ぶれない政策を
麻生政権の致命的な誤りは「構造改革」の4文字を政策メニューから消し去ったことだ。財政出動と構造改革は相反しない。不況脱出には財政出動と構造改革の結合こそ重要だ。それに企業家精神をかみ合わせた三位一体で「需要創出型イノベーション」(吉川洋東大教授)は生まれる。
麻生政権は脱小泉改革をめざしたが、小泉改革の負の遺産は改革の行きすぎではない。郵政民営化の一点豪華主義で規制改革も地方分権も不十分だった点にある。消費税率引き上げに手をつけず、肝心の社会保障改革も置き去りにした。冷戦後の改革大競争で日本は出遅れた。それが失われた時代の背景にある。
郵政民営化まで逆行させる動きを、麻生政権は抑え切れず、大衆迎合主義のもとで揺れに揺れた。成熟国家の首相として内外の信頼を失ったのはこのためである。
総選挙で問われるのは、日本の将来を決める出口戦略と成長戦略である。日本は先進国最悪の累積債務を抱え超高齢社会に突入する。冷厳な現実から逃れられない。口当たりはよくても整合性のない政策ではなく、苦くてもビジョンある政策こそ選択すべきだ。
まず超高齢社会に備えて公的年金など社会保障制度を抜本的に改革することだ。社会保障目的の消費税率引き上げなら国民の理解を得やすい。超党派で安心社会を築くのは政治の責務である。
社会保障改革とあわせて税制改革に取り組む必要がある。世界最高水準の法人税率を引き下げ、日本経済を活性化するテコにすることだ。
人口と人材カギ
成長戦略のカギを握るのは「人口と人材」だ。出生率目標を掲げ、安心して子育てできる社会をつくる総合的な少子化戦略が必要になる。人材開国もめざすことだ。企業家精神を育てる教育投資の拡充も欠かせない。
地球温暖化を防ぐ低炭素革命は21世紀の産業革命である。新エネルギーから電気自動車まで技術革新の芽はあちこちにある。ハードルが高いほど環境技術を蓄積してきた日本の好機になる。
危機にあっても力強い東アジアの活力を取り込むことも肝心だ。東アジア経済統合の工程表を提案する段階である。
大不況の時代が終わったあと、行きすぎた振り子はかならず戻る。「小さな政府」か「大きな政府」かではなく「賢い政府」こそ求められる。「市場の失敗」に政府の介入は避けられないが、「経営の失敗」を政府が救済しては資本主義の倫理が破綻する。市場メカニズムが資本主義の核であることに変わりはない。必要なのは市場を生かす「賢い規制」である。
政治経済の連鎖危機は日本の信認を低下させた。G8やG20では毎年変わる首相は固有名詞ではなく「日本の首相」としてしかとらえられない。20年先、30年先を見据え「日本の軸」を立て直すため有権者は政治を鍛え直すときである。
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