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:2008:11/28/10:22 ++ 景気後退(1)世界同時不況の影――連続マイナス成長、現実味。
金融危機が各国経済を下押しし、世界同時不況の様相が広がっている。日本も景気後退局面に入り、二〇〇九年に日米欧がそろって戦後初のマイナス成長に陥るとの観測が浮上。企業は減産と設備投資の減額を急ぎ、消費者心理も冷え込んでいる。景気停滞が深く長くなるおそれが出てきた。
危機の震源地、米国でなお強い逆風が吹いている。
▼自動車大手ビッグスリーの本拠、デトロイトを抱えるミシガン州の十月の失業率は九・三%と、全米最高になった。三社は関連業界も含めて四百万人以上を雇用しており、同州の苦境はいまの米国を象徴する。
▼ウォール街の混乱にも歯止めがかからない。シティグループは五万人削減などリストラを打ち出しても危機を止められず、政府に救済されることになった。
負の連鎖鮮明に
米国では民間エコノミストだけでなく米連邦準備理事会も景気後退の長期化を予想。十―十二月期の実質国内総生産(GDP)は大幅に落ち込むとみられ、〇九年も通年でマイナス成長の恐れがある。来年中に出口が見えなければ、景気後退が四十三カ月続いた一九三〇年代の大恐慌以来の長さとなる可能性もある。
リーマン・ブラザーズが破綻した九月中旬以降、世界的な金融危機と景気減速の負の連鎖が鮮明になっている。外需頼みの日本も例外でなく、製造業の現場は変調をきたしている。
十月から七年ぶりの二割減産を始めた森精機製作所の三重県・伊賀事業所。生産ラインから通路にはみ出すようにして増産していた九月までの活況が一変し、歯の抜けたような空きスペースが目立つ。主力顧客の自動車産業の不振を受け、国内工場の派遣社員三百人の削減にも着手した。
家計の生活防衛にも拍車がかかる。首都圏でクリーニング店を百六十店展開する喜久屋(東京・足立)は十―十一月の売上高が前年比で五―一〇%減った。「客数は変わらないのに持ち込む数が減っている」。美容室チェーンのアルテサロンホールディングスも得意客の来店頻度が四カ月に一回と、まる一カ月延びた。
十月以降の景気悪化は経済指標をみても鮮明だ。貿易統計の輸出総額は七年ぶりの減少幅を記録し、鉱工業生産の予測指数も大幅なマイナスになった。
日本の景気後退はどのくらい深刻になるのか。国際通貨基金(IMF)は世界経済の〇九年の実質成長率見通しを二・二%に下方修正した。成長ペースは〇七年までの半分で、世界不況の目安といわれる三%割れになる。日本はマイナス〇・二%と予想しており、〇八、〇九年度にかけ、戦後二度目の二年連続マイナス成長が現実味を帯びる。
日本経済は山一証券破綻やアジア通貨危機で九七、九八年度にマイナス成長に見舞われた。九八年度は実質GDPが前年比一・五%減少。法人企業統計でみた企業全体の純損益も五千三百億円の赤字に陥った。日本経済研究センターは今回も二年間で実質GDPが一・一%減ると予想する。
大企業には体力
だが大企業はバブル崩壊後に過剰な設備・雇用・債務を解消し、稼ぐ力をつけている。収支がトントンになる売上高の水準を示す損益分岐点比率(金融を除く資本金十億円以上の全産業)をみると、九三年度の八八%から、経営効率化で〇七年度は七〇%に改善した。売上高が減っても一定の利益を確保できる。
原材料高で〇八年度の損益分岐点は八〇%前後になるとみられるが、いまの企業体力なら「〇九年度に売上高が五%減っても、二〇%弱の減益ですむ」(野村証券の松浦寿雄氏)。
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は特別声明で世界経済について「十八カ月で危機を克服できる」と強調した。地方や中小企業の景況はより厳しいものの、世界同時不況が一年半ですめば大企業を中心に持ちこたえられる。
年末にかけ中小企業の資金繰りなど金融面の不安が高まる中で、政治の機能不全のリスクは残る。審議中の金融機能強化法改正案など経済対策が実行できなければ、危機を増幅する懸念がある。(景気動向研究班)
危機の震源地、米国でなお強い逆風が吹いている。
▼自動車大手ビッグスリーの本拠、デトロイトを抱えるミシガン州の十月の失業率は九・三%と、全米最高になった。三社は関連業界も含めて四百万人以上を雇用しており、同州の苦境はいまの米国を象徴する。
▼ウォール街の混乱にも歯止めがかからない。シティグループは五万人削減などリストラを打ち出しても危機を止められず、政府に救済されることになった。
負の連鎖鮮明に
米国では民間エコノミストだけでなく米連邦準備理事会も景気後退の長期化を予想。十―十二月期の実質国内総生産(GDP)は大幅に落ち込むとみられ、〇九年も通年でマイナス成長の恐れがある。来年中に出口が見えなければ、景気後退が四十三カ月続いた一九三〇年代の大恐慌以来の長さとなる可能性もある。
リーマン・ブラザーズが破綻した九月中旬以降、世界的な金融危機と景気減速の負の連鎖が鮮明になっている。外需頼みの日本も例外でなく、製造業の現場は変調をきたしている。
十月から七年ぶりの二割減産を始めた森精機製作所の三重県・伊賀事業所。生産ラインから通路にはみ出すようにして増産していた九月までの活況が一変し、歯の抜けたような空きスペースが目立つ。主力顧客の自動車産業の不振を受け、国内工場の派遣社員三百人の削減にも着手した。
家計の生活防衛にも拍車がかかる。首都圏でクリーニング店を百六十店展開する喜久屋(東京・足立)は十―十一月の売上高が前年比で五―一〇%減った。「客数は変わらないのに持ち込む数が減っている」。美容室チェーンのアルテサロンホールディングスも得意客の来店頻度が四カ月に一回と、まる一カ月延びた。
十月以降の景気悪化は経済指標をみても鮮明だ。貿易統計の輸出総額は七年ぶりの減少幅を記録し、鉱工業生産の予測指数も大幅なマイナスになった。
日本の景気後退はどのくらい深刻になるのか。国際通貨基金(IMF)は世界経済の〇九年の実質成長率見通しを二・二%に下方修正した。成長ペースは〇七年までの半分で、世界不況の目安といわれる三%割れになる。日本はマイナス〇・二%と予想しており、〇八、〇九年度にかけ、戦後二度目の二年連続マイナス成長が現実味を帯びる。
日本経済は山一証券破綻やアジア通貨危機で九七、九八年度にマイナス成長に見舞われた。九八年度は実質GDPが前年比一・五%減少。法人企業統計でみた企業全体の純損益も五千三百億円の赤字に陥った。日本経済研究センターは今回も二年間で実質GDPが一・一%減ると予想する。
大企業には体力
だが大企業はバブル崩壊後に過剰な設備・雇用・債務を解消し、稼ぐ力をつけている。収支がトントンになる売上高の水準を示す損益分岐点比率(金融を除く資本金十億円以上の全産業)をみると、九三年度の八八%から、経営効率化で〇七年度は七〇%に改善した。売上高が減っても一定の利益を確保できる。
原材料高で〇八年度の損益分岐点は八〇%前後になるとみられるが、いまの企業体力なら「〇九年度に売上高が五%減っても、二〇%弱の減益ですむ」(野村証券の松浦寿雄氏)。
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は特別声明で世界経済について「十八カ月で危機を克服できる」と強調した。地方や中小企業の景況はより厳しいものの、世界同時不況が一年半ですめば大企業を中心に持ちこたえられる。
年末にかけ中小企業の資金繰りなど金融面の不安が高まる中で、政治の機能不全のリスクは残る。審議中の金融機能強化法改正案など経済対策が実行できなければ、危機を増幅する懸念がある。(景気動向研究班)
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