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:2011:04/11/09:50 ++ 東日本大震災1ヵ月、続く危機、復興へ総力を、再生の青写真迅速に。
東日本大震災が起きてから1カ月になる。突然の地震や津波は被災地に深い爪痕を残し、日本を痛めつけた。東北地方、そして日本経済のダメージは計り知れず、危機克服の見通しもはっきりしない。足元の状況と課題を直視し、二歩先、三歩先の展望を描き始めるときだ。
4月上旬。東北地方の中堅部品メーカーの社長が日産自動車にやってきた。「これ以上、迷惑はかけられませんから……」。静かに差し出したのは、長年蓄積してきた開発・製造ノウハウが詰まった大切な仕様書だ。
震災の被害はあまりに大きく、自社工場の復旧をあきらめざるを得なかった。「せめて日産の足を引っ張るまい」。代替生産を依頼した。
そんな被災企業は一つや二つではない。自動車各社は中小企業の重みをかみしめている。バッテリーの電解質、ゴムの弾性を強化する添加剤、塗料の顔料。ハイテクでも高額でもないが「それがないと品質が保てない」(日産幹部)。
部品と素材生産の集積地を襲った大震災。トヨタ自動車は部品が一時、500点不足した。在庫が切れるか、部材メーカーが立ち直るか。各社手探りの果て、産業構造そのものが崩れかねない。
地域には大胆で速やかな復興策が必要だ。とりわけ苦境の「東北」に何を興すか。大企業、中小企業、サービス業、そして大切な地域産業である農業や水産業。燃料はあるか。資金繰りは大丈夫か。担い手の目線で対策を急がねばならない。
部品や電力
重い足かせ
働き手たちは今、震災という自然災害とは違う肌寒さを感じている。
「日本の半導体会社はサプライチェーン(供給体制)をやられた。あと1年は立ち直れない」。ライバル会社が吹き込む不確かな情報が、世界のデジタル機器メーカーの危機感をあおっている。
半導体大手エルピーダメモリは疑心暗鬼の海外顧客からの質問攻めに苦しんだ。「東北から何を調達しているのか全て教えてほしい」。坂本幸雄社長は4月上旬、米西海岸のアップル本社に乗り込んだ。「日本は大丈夫」と念を押すためだ。
震災を境に、海外から日本を訪れる人はめっきり減った。食品だけでなく、工業製品も海外から敬遠されている。グローバル化へ新たに歩み出そうとした矢先、震災はとても痛い。インフラ輸出や環境技術などを柱にした経済活性化策も見通しにくくなった。
潜在する危機にも目を凝らさないと、未来が台無しになる。安全なら安全と、政府が内外に表明しないと、風評に日本がむしばまれる。産業立地の支援を早く打ち出さないと、脱ニッポンに拍車がかかる。
足元にはなお厄介な問題がある。「電力」だ。原子力発電所の事故により、東京電力の管内では夏にかけ最大25%の電力が不足する。これでは日本は得意の“ものづくり”の力をふるえない。
第一生命経済研究所によると電力不足で今年度の実質国内総生産は最大0・7%落ち込む。損失額は3兆円余り。「復興そのものの足かせになる」(永浜利広主席エコノミスト)。政府は計画停電の原則終了を宣言したが、不足解消のメドが立ったわけではない。電力不足への対応にはもう一段上の精度が求められる。
「不要不急の商品の買い控えが、拡大して長期化する恐れはないか」。セブン&アイ・ホールディングスの村田紀敏社長は不安を口にする。
この1カ月、日本人はうつむきがちな日々を過ごした。小売りや旅行、外食は軒並み低調だ。家計心理が悪化し、あちこちに自粛の動きが広がり、消費はふるわない。
世界の不安
解消を急げ
経済活動の正常化が急がれる。まずは原発不安の解消だ。危機がくすぶったままでは本格的な復興モードに移れない。日本を称賛した世界も原発の行方に不安を抱く。それが不信に変わるのは時間の問題。原子炉の冷却機能の回復、廃炉への段取り、再発防止の抜本策など、危機封じ込めに英知を注ぎ、具体的な工程表を示す必要がある。
先行きの展望が見えないままでは、将来の不安はぬぐえない。
被災地ではすでに仮設住宅への被災者受け入れや、壊れた施設の建て直しが始まっている。被災者の平穏を一刻も早く取り戻す必要がある。「もっと素晴らしい東北、日本をつくる」。菅直人首相は11日に「復興構想会議」を立ち上げる。
必要なのは中身だ。いつ、どこで、なにをするか。壊れた道路や港をどう修復し、地域の生活基盤をどう復旧するか。こちらにも工程表がいる。政府の対応は後手に回っている。司令塔がふらついたまま会議ばかり増やしても意味はない。
復興財源の調達方法も焦点になる。いたずらに国債を増発すれば市場の信認を失う。国際基督教大の八代尚宏教授は「子ども手当など民主党の政策を棚上げし、財源を捻出すべきだ」と話す。
民主党内には「この時点で予算を組み替えるなら内閣総辞職だ」と事態を政局がらみでとらえる向きもある。与党内も、対野党も、対立は後回しにして、今こそ聖域なく予算を見直すときだ。
1995年の阪神大震災の直接的な被害は約10兆円だった。今回は16兆~25兆円と内閣府は試算する。
間接的な被害はどれほどだろうか。阪神では復旧が遅れ、神戸港が担っていた貨物機能を近隣国に奪われた。
日本を再建するためのグランドデザインを早く描かねばならない。成長戦略や税財政改革の方向も見据えた新しい海図が要る。誰がやるのか。政治はもちろん、官僚の知恵も総動員しないと間に合わない。そして民間の力も。政官民の知恵と工夫を編みだし、積み上げるときだ。
関東大震災後、帝都復興院総裁を務めた後藤新平は「復旧」ではなく「復興」という言葉を使った。古きに戻すのではなく、新たに創る――。国を高める機会にもなる。
4月上旬。東北地方の中堅部品メーカーの社長が日産自動車にやってきた。「これ以上、迷惑はかけられませんから……」。静かに差し出したのは、長年蓄積してきた開発・製造ノウハウが詰まった大切な仕様書だ。
震災の被害はあまりに大きく、自社工場の復旧をあきらめざるを得なかった。「せめて日産の足を引っ張るまい」。代替生産を依頼した。
そんな被災企業は一つや二つではない。自動車各社は中小企業の重みをかみしめている。バッテリーの電解質、ゴムの弾性を強化する添加剤、塗料の顔料。ハイテクでも高額でもないが「それがないと品質が保てない」(日産幹部)。
部品と素材生産の集積地を襲った大震災。トヨタ自動車は部品が一時、500点不足した。在庫が切れるか、部材メーカーが立ち直るか。各社手探りの果て、産業構造そのものが崩れかねない。
地域には大胆で速やかな復興策が必要だ。とりわけ苦境の「東北」に何を興すか。大企業、中小企業、サービス業、そして大切な地域産業である農業や水産業。燃料はあるか。資金繰りは大丈夫か。担い手の目線で対策を急がねばならない。
部品や電力
重い足かせ
働き手たちは今、震災という自然災害とは違う肌寒さを感じている。
「日本の半導体会社はサプライチェーン(供給体制)をやられた。あと1年は立ち直れない」。ライバル会社が吹き込む不確かな情報が、世界のデジタル機器メーカーの危機感をあおっている。
半導体大手エルピーダメモリは疑心暗鬼の海外顧客からの質問攻めに苦しんだ。「東北から何を調達しているのか全て教えてほしい」。坂本幸雄社長は4月上旬、米西海岸のアップル本社に乗り込んだ。「日本は大丈夫」と念を押すためだ。
震災を境に、海外から日本を訪れる人はめっきり減った。食品だけでなく、工業製品も海外から敬遠されている。グローバル化へ新たに歩み出そうとした矢先、震災はとても痛い。インフラ輸出や環境技術などを柱にした経済活性化策も見通しにくくなった。
潜在する危機にも目を凝らさないと、未来が台無しになる。安全なら安全と、政府が内外に表明しないと、風評に日本がむしばまれる。産業立地の支援を早く打ち出さないと、脱ニッポンに拍車がかかる。
足元にはなお厄介な問題がある。「電力」だ。原子力発電所の事故により、東京電力の管内では夏にかけ最大25%の電力が不足する。これでは日本は得意の“ものづくり”の力をふるえない。
第一生命経済研究所によると電力不足で今年度の実質国内総生産は最大0・7%落ち込む。損失額は3兆円余り。「復興そのものの足かせになる」(永浜利広主席エコノミスト)。政府は計画停電の原則終了を宣言したが、不足解消のメドが立ったわけではない。電力不足への対応にはもう一段上の精度が求められる。
「不要不急の商品の買い控えが、拡大して長期化する恐れはないか」。セブン&アイ・ホールディングスの村田紀敏社長は不安を口にする。
この1カ月、日本人はうつむきがちな日々を過ごした。小売りや旅行、外食は軒並み低調だ。家計心理が悪化し、あちこちに自粛の動きが広がり、消費はふるわない。
世界の不安
解消を急げ
経済活動の正常化が急がれる。まずは原発不安の解消だ。危機がくすぶったままでは本格的な復興モードに移れない。日本を称賛した世界も原発の行方に不安を抱く。それが不信に変わるのは時間の問題。原子炉の冷却機能の回復、廃炉への段取り、再発防止の抜本策など、危機封じ込めに英知を注ぎ、具体的な工程表を示す必要がある。
先行きの展望が見えないままでは、将来の不安はぬぐえない。
被災地ではすでに仮設住宅への被災者受け入れや、壊れた施設の建て直しが始まっている。被災者の平穏を一刻も早く取り戻す必要がある。「もっと素晴らしい東北、日本をつくる」。菅直人首相は11日に「復興構想会議」を立ち上げる。
必要なのは中身だ。いつ、どこで、なにをするか。壊れた道路や港をどう修復し、地域の生活基盤をどう復旧するか。こちらにも工程表がいる。政府の対応は後手に回っている。司令塔がふらついたまま会議ばかり増やしても意味はない。
復興財源の調達方法も焦点になる。いたずらに国債を増発すれば市場の信認を失う。国際基督教大の八代尚宏教授は「子ども手当など民主党の政策を棚上げし、財源を捻出すべきだ」と話す。
民主党内には「この時点で予算を組み替えるなら内閣総辞職だ」と事態を政局がらみでとらえる向きもある。与党内も、対野党も、対立は後回しにして、今こそ聖域なく予算を見直すときだ。
1995年の阪神大震災の直接的な被害は約10兆円だった。今回は16兆~25兆円と内閣府は試算する。
間接的な被害はどれほどだろうか。阪神では復旧が遅れ、神戸港が担っていた貨物機能を近隣国に奪われた。
日本を再建するためのグランドデザインを早く描かねばならない。成長戦略や税財政改革の方向も見据えた新しい海図が要る。誰がやるのか。政治はもちろん、官僚の知恵も総動員しないと間に合わない。そして民間の力も。政官民の知恵と工夫を編みだし、積み上げるときだ。
関東大震災後、帝都復興院総裁を務めた後藤新平は「復旧」ではなく「復興」という言葉を使った。古きに戻すのではなく、新たに創る――。国を高める機会にもなる。
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