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:2011:01/20/09:25 ++ TPP日本の覚悟(下)反対を叫ぶだけでは――閉塞打破への道議論を。
「小麦や豚は壊滅。農業生産額は半減し、農家は7割減……」
北海道による環太平洋経済連携協定(TPP)参加の影響試算だ。道農政課は「道経済は立ち行かなくなる」と強調する。
非現実的な悲観
全国各地から上がるTPP反対の声。農業の盛んな県ほど「TPP参加はありえない」(鹿児島県の伊藤祐一郎知事)と訴えるが、“壊滅シナリオ”の現実味は乏しい。試算は世界中で関税がゼロになり、あらゆる農産物が自由に取引されるとの極端な前提に立つ。農林水産省は国産米の9割、約760万トンが外国産に替わるというものの、「それだけの主食用米を日本へ輸出できる国はない」(本間正義東大教授)。
地方にも「国際競争力の低下は国の衰退を招く。経済連携の推進と農業振興の両立が必要」(新潟県の泉田裕彦知事)との意見もある。何より、TPPに参加しても即時にすべてが関税撤廃されるわけではない。現加盟国でも、例えばチリは小麦や砂糖、乳製品などに10~12年の猶予期間を設けている。農業強化策を講じるには十分な時間だ。
活路の一つは輸出。JA東西しらかわ(福島県白河市)は昨年11月、それまでの香港に続き、オーストラリアにコシヒカリ5トンを初めて輸出した。鈴木昭雄組合長は「品質の高い国産米は海外でも通用する」との手応えを感じている。
「農業も積極的に海を渡るべきだ」。農業組合法人、和郷園(千葉県香取市)の木内博一代表は言う。縮小していく国内市場にとどまっていては成長できないとの思いからだ。和郷園も香港に現地法人をつくって日本の野菜などを販売。2010年の年商は8億円で、前年比3割増えた。
08年の農業総産出額はピーク時の1984年から約3割減り、農業就業者の平均年齢は65歳を超えた。就業人口や耕地面積は半世紀にわたって減り続ける「失われた50年」の状態だ。それでも「戸別所得補償の対象を絞り込んだり、担い手の若返りと規模拡大を進めたりすれば、日本の農業は再生できる」(日本総合研究所の藤波匠主任研究員)との見方は多い。
そのためには一定の財政支援も必要だ。コメ市場の部分開放を決めた93年のウルグアイ・ラウンド合意では農業対策に8年間で約6兆円が使われたが、一部は26カ所の温泉施設建設に充てられるなど競争力強化につながらなかった。今度こそ、メリハリの利いた使い道が求められる。
農業だけでなく
TPPが日本に覚悟を問うのは農業だけではない。TPP拡大交渉でテーマになっているのは関税だけでなく、人やサービスなど計24分野に及ぶ。
455人中3人――。経済連携協定(EPA)に基づいて08年度から受け入れているインドネシア、フィリピン人の看護師候補者のうち、資格試験に合格した人は1%に満たない。91人のインドネシア人は2月の試験を通らなければ帰国の可能性もあったが、政府は1年間の在留延長を認める方針だ。人材受け入れでも日本の本気度が試される。
一方、「日本がルールづくりを主導できる」(経済産業省幹部)と期待されるのが環境政策。環境規制を緩めて投資を呼び込むような動きを抑えるルールを作れれば、日本の存在感は一気に高まる。
TPP参加を求める日本経団連は昨年末、反対の先頭に立つ全国農業協同組合中央会(全中)との対話を始め、農業の潜在力を引き出し、成長産業にするために協力していく考えを伝えた。必要なのは「日本の閉塞感を打ち破らなければならない」との共通認識に立った冷静な議論だ。
北海道による環太平洋経済連携協定(TPP)参加の影響試算だ。道農政課は「道経済は立ち行かなくなる」と強調する。
非現実的な悲観
全国各地から上がるTPP反対の声。農業の盛んな県ほど「TPP参加はありえない」(鹿児島県の伊藤祐一郎知事)と訴えるが、“壊滅シナリオ”の現実味は乏しい。試算は世界中で関税がゼロになり、あらゆる農産物が自由に取引されるとの極端な前提に立つ。農林水産省は国産米の9割、約760万トンが外国産に替わるというものの、「それだけの主食用米を日本へ輸出できる国はない」(本間正義東大教授)。
地方にも「国際競争力の低下は国の衰退を招く。経済連携の推進と農業振興の両立が必要」(新潟県の泉田裕彦知事)との意見もある。何より、TPPに参加しても即時にすべてが関税撤廃されるわけではない。現加盟国でも、例えばチリは小麦や砂糖、乳製品などに10~12年の猶予期間を設けている。農業強化策を講じるには十分な時間だ。
活路の一つは輸出。JA東西しらかわ(福島県白河市)は昨年11月、それまでの香港に続き、オーストラリアにコシヒカリ5トンを初めて輸出した。鈴木昭雄組合長は「品質の高い国産米は海外でも通用する」との手応えを感じている。
「農業も積極的に海を渡るべきだ」。農業組合法人、和郷園(千葉県香取市)の木内博一代表は言う。縮小していく国内市場にとどまっていては成長できないとの思いからだ。和郷園も香港に現地法人をつくって日本の野菜などを販売。2010年の年商は8億円で、前年比3割増えた。
08年の農業総産出額はピーク時の1984年から約3割減り、農業就業者の平均年齢は65歳を超えた。就業人口や耕地面積は半世紀にわたって減り続ける「失われた50年」の状態だ。それでも「戸別所得補償の対象を絞り込んだり、担い手の若返りと規模拡大を進めたりすれば、日本の農業は再生できる」(日本総合研究所の藤波匠主任研究員)との見方は多い。
そのためには一定の財政支援も必要だ。コメ市場の部分開放を決めた93年のウルグアイ・ラウンド合意では農業対策に8年間で約6兆円が使われたが、一部は26カ所の温泉施設建設に充てられるなど競争力強化につながらなかった。今度こそ、メリハリの利いた使い道が求められる。
農業だけでなく
TPPが日本に覚悟を問うのは農業だけではない。TPP拡大交渉でテーマになっているのは関税だけでなく、人やサービスなど計24分野に及ぶ。
455人中3人――。経済連携協定(EPA)に基づいて08年度から受け入れているインドネシア、フィリピン人の看護師候補者のうち、資格試験に合格した人は1%に満たない。91人のインドネシア人は2月の試験を通らなければ帰国の可能性もあったが、政府は1年間の在留延長を認める方針だ。人材受け入れでも日本の本気度が試される。
一方、「日本がルールづくりを主導できる」(経済産業省幹部)と期待されるのが環境政策。環境規制を緩めて投資を呼び込むような動きを抑えるルールを作れれば、日本の存在感は一気に高まる。
TPP参加を求める日本経団連は昨年末、反対の先頭に立つ全国農業協同組合中央会(全中)との対話を始め、農業の潜在力を引き出し、成長産業にするために協力していく考えを伝えた。必要なのは「日本の閉塞感を打ち破らなければならない」との共通認識に立った冷静な議論だ。
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