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:2009:08/31/10:34 ++ あえて言う「消えるな!自民」 政治部長・乾正人
8・30総選挙は、凄(すさ)まじい、という表現が陳腐に感じられる結末となった。
民主党などの刺客候補が、元首相を含む自民党や公明党の幹部をバッタバッタと斬(き)っていくさまは、民主党に一票をいれた有権者には痛快時代劇を見るようだったろう。政権交代を掲げた民主が善玉で、既得権益にまみれた与党が悪玉というわけだ。
「何の政治経験もない若造になぜオレが負けたのか」と納得いかないベテラン候補も数多いだろう。確かに刺客の多くは、今年に入ってから擁立され、公示日の3週間前に決まった候補さえいる。何人かの演説を聞いたが、拍手もまばらで「政権交代」以外に心に響いてくるものがなかった。
実は、それこそが、良くも悪くも候補より政党が主役の小選挙区制の特性なのである。4年前の郵政選挙で「小泉チルドレン」と呼ばれる新人議員が大量に生まれたのと同じ現象が起こっただけの話である。
果たしてそれが良いことかどうかの議論はひとまず置く。
客観的にいえば、昭和63年に明るみに出たリクルート事件に端を発した政治改革運動のひとつの到達点である二大政党による「政権交代」が、20年の歳月を経て実現したといえる。
政治改革運動の主柱である小選挙区比例代表並立制導入の立役者だった小沢一郎氏が、民主党代表代行として政権交代の原動力となったのは偶然ではない。一方で、小沢氏が自民党幹事長として支え、小選挙区制導入に熱心だった海部俊樹元首相が民主党候補に大敗した事実には、歴史の皮肉と政治の酷薄さを感じざるを得ない。
自民党がなぜ歴史的敗北を喫したかは、7月の都議選大敗以来、折に触れて書いてきた通りである。「100年に1度」の経済危機への対応が十分でないと多くの有権者が感じ、年金・医療への不安を解消できなかった。
郵政民営化をはじめとする「小泉改革」を推進するのか、大幅に見直すかも党として結論を出せず、中途半端なままだった。
しかも麻生太郎首相は、古くからの自民党支持者の心をつなぎ留めることもできなかった。これまた何度も書くが、靖国神社を終戦記念日に参拝しなかったことへの保守層の失望は大きい。出口調査では、自民党支持者の約3割が民主党に投票している。つまり、時々の風に流されやすい無党派層だけではなく、自民党の常連まで愛想を尽かしたというわけだ。
自民党は負けるべくして負けた。それより問題なのは、かつてない敗北を喫した自民党の行く末である。
党の理念にではなく、商売上の利益をもたらしてくれるだろうとの期待感で物心両面から自民党を支持してきた業界団体は、早晩、民主党に走るだろう。既にその兆候は顕著に出ている。
人材面での課題も深刻だ。辛うじて徳俵で残ったのは、ほとんどがベテランで、小泉チルドレンは多くが落選、新人もほとんどいない。よほど抜本的な党改革を断行し、新人候補を発掘しない限り、恐らくは4年後になる次回総選挙での巻き返しは絶望的だ。
政治改革運動は、民主党政権樹立で終わりであってはならない。
むろん、有権者から圧倒的な支持を得た民主党には、しっかりと国政にあたってほしい。ただ、残念ながら、政党の背骨ともいえる党綱領を持たず、安全保障政策も定かでない民主党がつまずく可能性はかなり高い、と私は思う。
その際に政権交代可能な政党がないと、日本の議会制民主主義は大きな危機を迎える。民主党が緊張感を持って政権運営にあたるためにも、あえて「消えるな! 自民党」とエールを送りたい。
民主党などの刺客候補が、元首相を含む自民党や公明党の幹部をバッタバッタと斬(き)っていくさまは、民主党に一票をいれた有権者には痛快時代劇を見るようだったろう。政権交代を掲げた民主が善玉で、既得権益にまみれた与党が悪玉というわけだ。
「何の政治経験もない若造になぜオレが負けたのか」と納得いかないベテラン候補も数多いだろう。確かに刺客の多くは、今年に入ってから擁立され、公示日の3週間前に決まった候補さえいる。何人かの演説を聞いたが、拍手もまばらで「政権交代」以外に心に響いてくるものがなかった。
実は、それこそが、良くも悪くも候補より政党が主役の小選挙区制の特性なのである。4年前の郵政選挙で「小泉チルドレン」と呼ばれる新人議員が大量に生まれたのと同じ現象が起こっただけの話である。
果たしてそれが良いことかどうかの議論はひとまず置く。
客観的にいえば、昭和63年に明るみに出たリクルート事件に端を発した政治改革運動のひとつの到達点である二大政党による「政権交代」が、20年の歳月を経て実現したといえる。
政治改革運動の主柱である小選挙区比例代表並立制導入の立役者だった小沢一郎氏が、民主党代表代行として政権交代の原動力となったのは偶然ではない。一方で、小沢氏が自民党幹事長として支え、小選挙区制導入に熱心だった海部俊樹元首相が民主党候補に大敗した事実には、歴史の皮肉と政治の酷薄さを感じざるを得ない。
自民党がなぜ歴史的敗北を喫したかは、7月の都議選大敗以来、折に触れて書いてきた通りである。「100年に1度」の経済危機への対応が十分でないと多くの有権者が感じ、年金・医療への不安を解消できなかった。
郵政民営化をはじめとする「小泉改革」を推進するのか、大幅に見直すかも党として結論を出せず、中途半端なままだった。
しかも麻生太郎首相は、古くからの自民党支持者の心をつなぎ留めることもできなかった。これまた何度も書くが、靖国神社を終戦記念日に参拝しなかったことへの保守層の失望は大きい。出口調査では、自民党支持者の約3割が民主党に投票している。つまり、時々の風に流されやすい無党派層だけではなく、自民党の常連まで愛想を尽かしたというわけだ。
自民党は負けるべくして負けた。それより問題なのは、かつてない敗北を喫した自民党の行く末である。
党の理念にではなく、商売上の利益をもたらしてくれるだろうとの期待感で物心両面から自民党を支持してきた業界団体は、早晩、民主党に走るだろう。既にその兆候は顕著に出ている。
人材面での課題も深刻だ。辛うじて徳俵で残ったのは、ほとんどがベテランで、小泉チルドレンは多くが落選、新人もほとんどいない。よほど抜本的な党改革を断行し、新人候補を発掘しない限り、恐らくは4年後になる次回総選挙での巻き返しは絶望的だ。
政治改革運動は、民主党政権樹立で終わりであってはならない。
むろん、有権者から圧倒的な支持を得た民主党には、しっかりと国政にあたってほしい。ただ、残念ながら、政党の背骨ともいえる党綱領を持たず、安全保障政策も定かでない民主党がつまずく可能性はかなり高い、と私は思う。
その際に政権交代可能な政党がないと、日本の議会制民主主義は大きな危機を迎える。民主党が緊張感を持って政権運営にあたるためにも、あえて「消えるな! 自民党」とエールを送りたい。
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