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:2007:08/27/13:04 ++ インタビュー編(1)漫画家弘兼憲史氏―崩れた終身雇用(サラリーマン)
企業で働く人らの姿をドキュメンタリータッチで描く「サラリーマン」は、第一回の一九七九年七月以来、連載期間が二十八年を超えた。この間、サラリーマンは社会や家庭でどのような役割を果たしたのか。時代の変容とともに働き方はどう変わっていくのか。各界の識者に聞いた。
■
――サラリーマンの働き方はどう変わったか。
決定的な変化は終身雇用制度がなくなったこと。僕らは親から、良い会社に入ると良い人生になるから勉強して良い大学に入れと言われて育った。大企業で安定した生活を送ることが人生の目標だった。今は良い大学を出て良い会社に入っても、いつリストラされるか、会社がつぶれるか、M&A(合併・買収)で乗っ取られるか分からない。
若い人の中には、最初に就職した会社で定年まで働くと思っている人はそんなにいないのではないか。サラリーマンといえども、いつ自分が放り出されて一人になるか分からない。外国語の能力を身につけるなど、転職先に自分を売り込むスキルを身につける必要が出てきた。
僕らのころの会社は、いわば王国であり家庭のようなものでもあり、よって立つところだったが、今は違う。労働力を提供しておカネをもらうだけの手段。一九八三年に「週刊モーニング」で連載を始めた「課長 島耕作」も、今だったら“フリーのサラリーマン”として会社を渡り歩く「事務屋 島耕作」にでもなるのだろうか。
――時代も大きく変わった。
島耕作は私と同い年で、大学卒業後の一九七〇年に社会に出た団塊世代の設定。連載を始めたころは、日本が「ジャパン・アズ・ナンバーワン」として世界に君臨していた。我々の人生は日本経済と同じ曲線を描いていったような気がする。
青年期には日本経済も右肩上がりの成長を享受し、下り坂など想像もしていなかった。その後、バブル経済を迎えて、すぐに崩壊。自分たちの体にガタがきたころ、経済も右肩下がりになった。気が付いたら、かつては日本の金看板だった製造業も韓国に抜かれてしまった。我々は天国から地獄まで、バブルからリストラまで味わった貴重な世代かもしれない。
■
――順調に昇進していくサクセスストーリーはサラリーマンの究極の夢でもある。
島耕作もこれから社長になり、相談役にもなる。余談だが、リタイアしたら「ボランティア 島耕作」や「そば打ち 島耕作」もあるかもしれない。ただ、社長の実態をリアルに描きすぎると、昼間は会議、夜はパーティーばかりで、全く漫画にならない。やはり現場の指揮官の課長が一番描きやすい。舞台が変わるし、上下に人もいる。
しかし、今の若い人に、会社での出世はどう映るのだろう。「オレはオレでいいんだ」と自分の幸せ、目の前の風景以外に興味がないということになれば、「出世なんてしなくてもいいよ」となってしまう。向上心がないと人間は偉くなれない。現状満足型だったらもう終わってしまう。それが豊かさの中で育ったことの怖さだ。
(聞き手は
社会部 窪田淳)
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――サラリーマンの働き方はどう変わったか。
決定的な変化は終身雇用制度がなくなったこと。僕らは親から、良い会社に入ると良い人生になるから勉強して良い大学に入れと言われて育った。大企業で安定した生活を送ることが人生の目標だった。今は良い大学を出て良い会社に入っても、いつリストラされるか、会社がつぶれるか、M&A(合併・買収)で乗っ取られるか分からない。
若い人の中には、最初に就職した会社で定年まで働くと思っている人はそんなにいないのではないか。サラリーマンといえども、いつ自分が放り出されて一人になるか分からない。外国語の能力を身につけるなど、転職先に自分を売り込むスキルを身につける必要が出てきた。
僕らのころの会社は、いわば王国であり家庭のようなものでもあり、よって立つところだったが、今は違う。労働力を提供しておカネをもらうだけの手段。一九八三年に「週刊モーニング」で連載を始めた「課長 島耕作」も、今だったら“フリーのサラリーマン”として会社を渡り歩く「事務屋 島耕作」にでもなるのだろうか。
――時代も大きく変わった。
島耕作は私と同い年で、大学卒業後の一九七〇年に社会に出た団塊世代の設定。連載を始めたころは、日本が「ジャパン・アズ・ナンバーワン」として世界に君臨していた。我々の人生は日本経済と同じ曲線を描いていったような気がする。
青年期には日本経済も右肩上がりの成長を享受し、下り坂など想像もしていなかった。その後、バブル経済を迎えて、すぐに崩壊。自分たちの体にガタがきたころ、経済も右肩下がりになった。気が付いたら、かつては日本の金看板だった製造業も韓国に抜かれてしまった。我々は天国から地獄まで、バブルからリストラまで味わった貴重な世代かもしれない。
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――順調に昇進していくサクセスストーリーはサラリーマンの究極の夢でもある。
島耕作もこれから社長になり、相談役にもなる。余談だが、リタイアしたら「ボランティア 島耕作」や「そば打ち 島耕作」もあるかもしれない。ただ、社長の実態をリアルに描きすぎると、昼間は会議、夜はパーティーばかりで、全く漫画にならない。やはり現場の指揮官の課長が一番描きやすい。舞台が変わるし、上下に人もいる。
しかし、今の若い人に、会社での出世はどう映るのだろう。「オレはオレでいいんだ」と自分の幸せ、目の前の風景以外に興味がないということになれば、「出世なんてしなくてもいいよ」となってしまう。向上心がないと人間は偉くなれない。現状満足型だったらもう終わってしまう。それが豊かさの中で育ったことの怖さだ。
(聞き手は
社会部 窪田淳)
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