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:2009:02/20/09:45 ++ 収益悪化企業は変革急ぐ(上)円高を超えて―製造業、世界で生産再編。
企業収益の悪化が急だ。二〇〇九年三月期は製造業が初の連結最終赤字に転落、非製造業を合わせても九割弱の最終減益に落ち込む見通しだ。足元の採算改善と成長に向けた事業の再構築を同時に進める。しかも急いで。難題克服に向け、企業の格闘が始まった。
90円時代に対応
「コスト競争力のある国々を最大限活用する」。今期に九期ぶりの最終赤字となる日産自動車。カルロス・ゴーン社長は一ドル=九〇円時代にも対応できる生産体制への転換を掲げた。
柱となるのは小型低燃費車の中国やタイ、インドでの本格生産だ。主力小型車「マーチ」の国内生産を一〇年に打ち切りタイへ移管する。将来は新興五カ国から世界百五十カ国に年百万台を販売する体制を目指す。海外生産の拡大と現地調達の活用でコストを下げながら円高抵抗力を高め、再成長を実現する戦略だ。
土砂降り決算に見舞われた製造業。今期の営業減益要因を自動車や電機、化学、機械など主要二十七社で調べたところ、需要減が五兆六千億円、円高が二兆六千億円。世界で同時進行した景気後退に円高が加わり、業績を直撃した。
輸出企業はこれまでも円高対策を進めてきた。日本企業の海外生産比率は年々高まり、〇八年度は三一・四%と過去最高の見込み。だが、円高抵抗力は企業によってはむしろ低下している。
典型例は自動車。停滞する内需を補おうと、世界市場に打って出たが、新興国などの需要増が想定以上で輸出に頼った。新車販売で昨年初の世界首位となったトヨタ自動車は、輸出比率が六四%と五年前の五二%から上昇。対ドルで一円の円高がもたらす減益要因は二百六十億円から四百億円程度に拡大した。
取引通貨がドルからユーロに広がり、手を打ちにくくなった面もある。ソニーは北米やアジアで生産・部品調達を増やし対ドルの円高抵抗力を磨いた。ところが「(現地化が遅れていた)欧州では部品調達が進まず対応が難しい」(大根田伸行・最高財務責任者)。一円円高に傾いた場合の減益要因は、対ドルで四十億円だが対ユーロでは七十五億円となる。今期はユーロ安で千五百億円の利益が目減りする。
海外需要を取り込んだ製造業をけん引役に、上場企業は前期に最高益を更新した。だが、一ドル=一二〇円前後、一ユーロ=一六〇円程度まで進んだ円安は、輸出企業の国際競争力を実力以上に底上げしていたのだ。今後は円高の定着を前提に、グローバルでの効率的な調達・生産体制をいかに速く確実に再構築できるかが成長のカギを握る。
モデルは二輪車
「円高への抵抗力はせいぜい一ドル=一〇〇円程度」(福井威夫社長)というホンダは、国内外で自動車の生産体制の見直しに着手した。モデルはアジアでほぼ一〇〇%の現地生産を実現した二輪車だ。リコーの三浦善司・最高財務責任者は「一ドル=九〇円、一ユーロ=一二〇円を受け入れなければならない」と話す。
製造業の生産海外移転は痛みを伴うが、日本経済全体で見れば円高には輸入コスト低下などの利点も多い。日本の主要メーカーは今、円高でも国内で可能な限りモノを作り続けるための革新に挑んでいる。自動車各社は国内工場で海外などからの安い部品調達を増やすことを検討し始めた。
個々の企業がこの難関を突破できれば国際競争力を高められ、日本経済の構造転換にも道を開く。その時、ニッポン株式会社には再成長の軌道がぐっと近づく。
90円時代に対応
「コスト競争力のある国々を最大限活用する」。今期に九期ぶりの最終赤字となる日産自動車。カルロス・ゴーン社長は一ドル=九〇円時代にも対応できる生産体制への転換を掲げた。
柱となるのは小型低燃費車の中国やタイ、インドでの本格生産だ。主力小型車「マーチ」の国内生産を一〇年に打ち切りタイへ移管する。将来は新興五カ国から世界百五十カ国に年百万台を販売する体制を目指す。海外生産の拡大と現地調達の活用でコストを下げながら円高抵抗力を高め、再成長を実現する戦略だ。
土砂降り決算に見舞われた製造業。今期の営業減益要因を自動車や電機、化学、機械など主要二十七社で調べたところ、需要減が五兆六千億円、円高が二兆六千億円。世界で同時進行した景気後退に円高が加わり、業績を直撃した。
輸出企業はこれまでも円高対策を進めてきた。日本企業の海外生産比率は年々高まり、〇八年度は三一・四%と過去最高の見込み。だが、円高抵抗力は企業によってはむしろ低下している。
典型例は自動車。停滞する内需を補おうと、世界市場に打って出たが、新興国などの需要増が想定以上で輸出に頼った。新車販売で昨年初の世界首位となったトヨタ自動車は、輸出比率が六四%と五年前の五二%から上昇。対ドルで一円の円高がもたらす減益要因は二百六十億円から四百億円程度に拡大した。
取引通貨がドルからユーロに広がり、手を打ちにくくなった面もある。ソニーは北米やアジアで生産・部品調達を増やし対ドルの円高抵抗力を磨いた。ところが「(現地化が遅れていた)欧州では部品調達が進まず対応が難しい」(大根田伸行・最高財務責任者)。一円円高に傾いた場合の減益要因は、対ドルで四十億円だが対ユーロでは七十五億円となる。今期はユーロ安で千五百億円の利益が目減りする。
海外需要を取り込んだ製造業をけん引役に、上場企業は前期に最高益を更新した。だが、一ドル=一二〇円前後、一ユーロ=一六〇円程度まで進んだ円安は、輸出企業の国際競争力を実力以上に底上げしていたのだ。今後は円高の定着を前提に、グローバルでの効率的な調達・生産体制をいかに速く確実に再構築できるかが成長のカギを握る。
モデルは二輪車
「円高への抵抗力はせいぜい一ドル=一〇〇円程度」(福井威夫社長)というホンダは、国内外で自動車の生産体制の見直しに着手した。モデルはアジアでほぼ一〇〇%の現地生産を実現した二輪車だ。リコーの三浦善司・最高財務責任者は「一ドル=九〇円、一ユーロ=一二〇円を受け入れなければならない」と話す。
製造業の生産海外移転は痛みを伴うが、日本経済全体で見れば円高には輸入コスト低下などの利点も多い。日本の主要メーカーは今、円高でも国内で可能な限りモノを作り続けるための革新に挑んでいる。自動車各社は国内工場で海外などからの安い部品調達を増やすことを検討し始めた。
個々の企業がこの難関を突破できれば国際競争力を高められ、日本経済の構造転換にも道を開く。その時、ニッポン株式会社には再成長の軌道がぐっと近づく。
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