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:2008:04/28/10:10 ++ 土建国家から環境立国へ―国柄を転換する好機に(核心)
ねじれは摩擦も生むが、時にパワーになることもある。ねじれ国会に利点があるとすれば、混迷のなかからおぼろげながら日本の針路が見えてきたことだろう。道路特定財源の一般財源化というこれまで誰も成し遂げられなかった政策転換が与野党の共通目標に浮かび上がった。それは戦後体制を象徴する「土建国家」からの脱却を意味する。
しかし、それだけでは十分ではない。「何のための一般財源化か」を明確にし、新しい目標を定めることだ。七月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)で日本は地球温暖化防止のため指導力を試される。ポスト京都議定書の枠組み作りを先導する地球責任を担っている。「土建国家」から「環境立国」へ――。この政局混迷を、国柄を転換する好機にしたい。
とかくあいまいで、まるでひとごとのように語る福田康夫首相だが、見えを切る場面が二度あった。ひとつは道路特定財源の一般財源化。与党内の不満に目もくれず、二〇〇九年度からの実施を明言した。
もうひとつは「低炭素革命」だ。東京でのG8ビジネス・サミットで「二酸化炭素の低排出型に社会を抜本的に変革する『低炭素革命』にチャレンジしてほしい」とビジネスリーダーに呼びかけた。その語調は排出削減の「国別総量目標」導入をうたった一月末のダボス会議での演説よりずっと力強く感じられた。
この福田首相の二度の本気をどう結びつけるか。新しい時代に向けて、資源配分をどう転換するかだ。
まず、いったん下がったガソリン(揮発油)税などの暫定税率は元に戻すしかない。消費者のなかには不満があるかもしれないが、温暖化防止にガソリン消費の抑制は欠かせない。
合わせて、道路特定財源の一般財源化を実効あるものにするため十年間で五十九兆円という道路整備中期計画を期間、規模とも大幅に圧縮する。そのうえで財源の「環境シフト」を鮮明にする。事実上の環境税に切り替え、環境技術開発などにあてる。
これを一体として打ち出せれば、日本の国柄は大きく変わるはずだ。
社会インフラの整備は大事だが、経済の発展段階と成熟段階では位置づけが違う。発展段階なら建設先行はわかるが、成熟段階では建設から補修・管理に比重が移っていい。いつまでも「土建国家」であり続けるのは、「変われない日本」の象徴と映るだろう。
新しい成熟国家として生まれ変わり、国際社会の信認を回復するうえで、日本は絶好のチャンスを迎えている。洞爺湖サミットで地球温暖化防止の旗を振れば、「忘れられた日本」などとやゆされなくなる。
「世界は昨年末のバリ会議を境に環境の時代にカジを切っている」と鴨下一郎環境相はみる。
欧州連合(EU)は環境の時代に先手を打つ。中期の厳しい総量目標を掲げ、排出量取引をいち早く導入した。首脳主導の決断に対して、昨秋までは経済界に不満もあった。ところが、最近のビジネス・サミットの場では「目標を上回る削減も可能だ」(ユルゲン・トゥーマン独産業連盟会長)という声があがった。経済界の後押しでEU先導は鮮明になっている。
米国も変わる。ブッシュ政権の姿勢には落胆させられるが、各州や有力企業は削減に積極的だ。民主、共和を問わず大統領候補はブッシュ時代の遅れを取り戻す前向きの環境戦略を競っている。ポスト京都の枠組みを決める来年末のコペンハーゲン国連気候変動枠組条約第十五回締約国会議に向けて、米欧連携が動き出す可能性もある。
世界の潮目が変わるなかで、日本は国内調整に手間取っている。セクター別方式はEUなどで認知されつつあるが、それだけでは指導力は発揮できない。鴨下環境相は「総量目標が大きな概念だ。セクター別方式は総量目標の代替にはならない」と指摘する。
洞爺湖サミットでは少なくとも米中印を含む世界全体で二〇二〇年までに排出量を増加から減少に転換する「ピークアウト」で合意すべきだろう。それには議長国として日本は中期、長期の総量目標を自ら明示することが望ましい。
温暖化防止にはあらゆる手段が必要になる。環境技術開発を誘導する環境税や市場機能を生かす排出量取引は基本的な手段である。中国、インドという大排出国をポスト京都の枠組みに取り込むには思い切った技術移転が欠かせない。
洞爺湖サミットで日本の存在感を示すには「低炭素革命」を掲げた福田首相の本気を政府、経済界が結束して支えることだ。
低炭素革命について鴨下環境相は「産業革命以来、炭素(石油、石炭)を燃やしてエネルギーをつくり生産してきた社会から、炭素に依存しない経済社会に変える。数百年に一度の潮目の始まり」とみる。
カギを握るのはイノベーション(革新)である。それは日本のビジネスチャンスだ。シュンペーターは発展の源泉であるイノベーションを技術革新に限らず経営組織の革新なども含めてとらえた。広く考えれば、それは経済社会システム全体の革新である。
戦後体制をひきずる古い体質の国にとどまるか、地球環境危機の打開で先頭に立つ新しい成熟国家をめざすか。混迷のなかで、日本の革新が試されている。
しかし、それだけでは十分ではない。「何のための一般財源化か」を明確にし、新しい目標を定めることだ。七月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)で日本は地球温暖化防止のため指導力を試される。ポスト京都議定書の枠組み作りを先導する地球責任を担っている。「土建国家」から「環境立国」へ――。この政局混迷を、国柄を転換する好機にしたい。
とかくあいまいで、まるでひとごとのように語る福田康夫首相だが、見えを切る場面が二度あった。ひとつは道路特定財源の一般財源化。与党内の不満に目もくれず、二〇〇九年度からの実施を明言した。
もうひとつは「低炭素革命」だ。東京でのG8ビジネス・サミットで「二酸化炭素の低排出型に社会を抜本的に変革する『低炭素革命』にチャレンジしてほしい」とビジネスリーダーに呼びかけた。その語調は排出削減の「国別総量目標」導入をうたった一月末のダボス会議での演説よりずっと力強く感じられた。
この福田首相の二度の本気をどう結びつけるか。新しい時代に向けて、資源配分をどう転換するかだ。
まず、いったん下がったガソリン(揮発油)税などの暫定税率は元に戻すしかない。消費者のなかには不満があるかもしれないが、温暖化防止にガソリン消費の抑制は欠かせない。
合わせて、道路特定財源の一般財源化を実効あるものにするため十年間で五十九兆円という道路整備中期計画を期間、規模とも大幅に圧縮する。そのうえで財源の「環境シフト」を鮮明にする。事実上の環境税に切り替え、環境技術開発などにあてる。
これを一体として打ち出せれば、日本の国柄は大きく変わるはずだ。
社会インフラの整備は大事だが、経済の発展段階と成熟段階では位置づけが違う。発展段階なら建設先行はわかるが、成熟段階では建設から補修・管理に比重が移っていい。いつまでも「土建国家」であり続けるのは、「変われない日本」の象徴と映るだろう。
新しい成熟国家として生まれ変わり、国際社会の信認を回復するうえで、日本は絶好のチャンスを迎えている。洞爺湖サミットで地球温暖化防止の旗を振れば、「忘れられた日本」などとやゆされなくなる。
「世界は昨年末のバリ会議を境に環境の時代にカジを切っている」と鴨下一郎環境相はみる。
欧州連合(EU)は環境の時代に先手を打つ。中期の厳しい総量目標を掲げ、排出量取引をいち早く導入した。首脳主導の決断に対して、昨秋までは経済界に不満もあった。ところが、最近のビジネス・サミットの場では「目標を上回る削減も可能だ」(ユルゲン・トゥーマン独産業連盟会長)という声があがった。経済界の後押しでEU先導は鮮明になっている。
米国も変わる。ブッシュ政権の姿勢には落胆させられるが、各州や有力企業は削減に積極的だ。民主、共和を問わず大統領候補はブッシュ時代の遅れを取り戻す前向きの環境戦略を競っている。ポスト京都の枠組みを決める来年末のコペンハーゲン国連気候変動枠組条約第十五回締約国会議に向けて、米欧連携が動き出す可能性もある。
世界の潮目が変わるなかで、日本は国内調整に手間取っている。セクター別方式はEUなどで認知されつつあるが、それだけでは指導力は発揮できない。鴨下環境相は「総量目標が大きな概念だ。セクター別方式は総量目標の代替にはならない」と指摘する。
洞爺湖サミットでは少なくとも米中印を含む世界全体で二〇二〇年までに排出量を増加から減少に転換する「ピークアウト」で合意すべきだろう。それには議長国として日本は中期、長期の総量目標を自ら明示することが望ましい。
温暖化防止にはあらゆる手段が必要になる。環境技術開発を誘導する環境税や市場機能を生かす排出量取引は基本的な手段である。中国、インドという大排出国をポスト京都の枠組みに取り込むには思い切った技術移転が欠かせない。
洞爺湖サミットで日本の存在感を示すには「低炭素革命」を掲げた福田首相の本気を政府、経済界が結束して支えることだ。
低炭素革命について鴨下環境相は「産業革命以来、炭素(石油、石炭)を燃やしてエネルギーをつくり生産してきた社会から、炭素に依存しない経済社会に変える。数百年に一度の潮目の始まり」とみる。
カギを握るのはイノベーション(革新)である。それは日本のビジネスチャンスだ。シュンペーターは発展の源泉であるイノベーションを技術革新に限らず経営組織の革新なども含めてとらえた。広く考えれば、それは経済社会システム全体の革新である。
戦後体制をひきずる古い体質の国にとどまるか、地球環境危機の打開で先頭に立つ新しい成熟国家をめざすか。混迷のなかで、日本の革新が試されている。
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