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:2008:10/24/09:04 ++ 崩れる価格、電機消耗戦 シャープ・東芝…逆風強まる
◆攻勢のサムスン
「韓国サムスン電子が、一段の安値攻勢に出ている」。最近、薄型テレビの国内メーカーの販売担当者の間に、世界シェア首位のサムスンが各地で進める価格戦略の話題が駆けめぐった。
国内企業は対ドル、対ユーロとも円高に苦しむ。一方、ウォン安を背景にサムスンは優位に立ち、為替メリットを値下げ原資に充てられる。「1社が下げれば他社は追随せざるを得ない」(証券アナリスト)のがテレビ市場の現状で、年末商戦は厳しい販売合戦が必至だ。
世界最大のテレビ市場である米国は年率30%超の成長が見込まれていたが、「直近は液晶テレビで前年比10%増程度に鈍化したようだ」(業界関係者)との見方も出始めた。「欧州は単月で前年割れした国もあり、減産も検討せざるをえない」(中堅首脳)との声も出ている。
日本の電機業界にとって10月は、大きな節目となるはずだった。1日、松下電器産業がパナソニックに社名変更。日本ビクターもAV(音響・映像)メーカーのケンウッドと経営統合した。リストラ局面を終えたソニーやパナソニックなどの大手は、中期経営計画で拡大路線を鮮明にした。それだけに、米国の金融不安を発端とする世界経済の混乱は、業界にとって、門出に足をすくわれた格好だ。
「同じような商品が並ぶ同質化競争では価格下落に見舞われる。明確な差別化が必要だ」。15日、液晶テレビ新製品を発表したシャープの片山幹雄社長はこう述べ、ブルーレイ・ディスク録画再生機を内蔵した製品が、価格下落への対抗策になるとの期待をにじませた。
◆シェア拡大不可欠
国内企業は、消費意欲の減退で需要が低価格品に移り、「単価が低い方に引っ張られる」との懸念を深めている。画質や画面の薄さ、豊富な機能を持つ高付加価値商品に注力し、採算を確保するのが国内勢の戦略。その前提が崩れることがあれば、「業績への影響も少なからず出てくる」(大和総研の三浦和晴アナリスト)とみられる。
低価格シフトはテレビばかりではない。パソコンでは台湾や米国メーカーが5万円前後の小型ノートパソコンを投入し、一気にシェアを広げている。先進国では成熟製品となった携帯電話は、成長の中心は途上国の低価格品に移行。デジタルカメラやビデオカメラも安価な「トイカメラ」と呼ばれる製品が登場し、「市場の撹乱(かくらん)要因」(日本ビクター)になっている。
国内メーカーは、いや応なく対応を迫られ、薄型テレビでは、ソニーや東芝が海外向けに低めの価格のラインアップを拡充。パソコンでは、NECや富士通などの国内勢が一斉に低価格小型機へ参入することを決めた。
「薄利多売」の低価格モデルは、量産効果によるコスト低減が不可欠だ。メーカーはシェア拡大が重要になり、販売拡大と採算確保の間で難しいかじ取りを迫られることになる。
◇
■選択と集中…再編の芽
電機業界では経営基盤強化のための「事業の選択と集中」が引きもきらない。9月末以降でも、富士通がハードディスク駆動装置(HDD)事業の売却検討に入ったことが表面化。電子部品では、富士電機ホールディングスが小型モーター事業を売却し、HOYAと昭和電工というライバル同士もディスク分野で手を結んだ。
今後も再編の芽は残っており、市場環境が悪化する分野を軸に進む可能性がある。NECは22日、「携帯電話の基地局と端末および半導体の低迷」(小野隆男常務)により08年4~9月期の業績予想を下方修正した。
株価下落で保有株式の評価額が低下し、数百億円の含み損を抱えるメーカーもある。金融不安の拡大で「資金調達の柔軟性が奪われるといった影響もありそうだ」(スタンダード&プアーズの中井勝之アナリスト)といい、今後も景気低迷が長引くようなことになれば、不採算分野に大ナタを振るうだけでなく、財務基盤を悪化させた企業を軸に資本提携を含めたM&A(企業の合併・買収)も視野に入ってくる。
景気が世界規模で後退局面へと向かうなか、日本の家電メーカーを特徴づけてきた“総合化”の看板も真価が問われる。パナソニックは技術力や販売力、コスト競争力などの地力を発揮しそうだ。ソニーは「デジタル機器を無線で接続して使いやすくし、米アップルにはない魅力を高める」(ストリンガー会長)と力を込める。年末商戦向けのテレビやデジタルカメラなどは、自社開発部品を搭載し、「世界初」「業界最高」の性能表示が数多く踊った。
少数激戦となるグローバル競争で、「メードインジャパン」の復権を果たせるか。年末商戦は日本メーカーにとって、逆境に打ち勝つ総合力の勝負になりそうだ。
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