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:2011:01/31/10:30 ++ 日中パソコン連合NECの決断(上)実った最後のチャンス―交渉1年、社長の執念。
NECと中国レノボ・グループ(聯想集団)がパソコン事業での提携を決めた。日中首位連合の誕生だ。NECはレノボが51%出資し6月にも発足する合弁会社にパソコン事業を移す一方、通信機器やIT(情報技術)サービスなどに経営資源を集中し成長路線への回帰を目指す。看板事業に大ナタを振るったNECの決断の背景を探る。
「この交渉が最後のチャンスだったかもしれない」。27日のレノボとの共同記者会見から2日後、遠藤信博社長は交渉にかけていた並々ならぬ思いを明かした。
NECが海外のパソコン市場から完全撤退した2009年夏。同社幹部は「もう勝負が付いた」と漏らした。汎用品化が進むパソコン。安定して利益を稼ぐには規模が必要だ。激しい価格競争の下、世界12位のNECが再びシェアを伸ばすにはコスト先行で年間100億円規模の赤字が数年続く――当時のNECの試算だ。単独でこの負担は無理。パートナー探しが本格的に始まった。
懸命に社内説得
NECの交渉相手は複数にのぼった。台湾や国内の企業とも交渉したが折り合わない。最終的に最も熱心なレノボに相手が絞られた。両社の本格交渉が始まったのは1年ほど前だ。
05年に米IBMからパソコン事業を買収し世界3位に躍り出たレノボだが、海外市場の不振で現在のシェアは4位。中国需要で体制を立て直し、再び海外で攻勢に出ようとしていた。同社も世界5位の東芝との提携を模索した経緯がある。「世界3位への復帰」(楊元慶・最高経営責任者)を目標とするレノボにとって世界3大市場の日本で首位に立つNECは魅力的だった。
しかし、NEC社内はまとまらない。「ブランド力の維持にパソコンは不可欠」「赤字でもない2000億円事業をなぜ切り出すのか」。当初、取締役会メンバーの大半が反対した。ITサービスとの相乗効果が失われるのを懸念する声も出た。遠藤社長ら推進派は粘り強く説いて回った。
(1)合弁とする(2)パソコン事業会社、NECパーソナルプロダクツ(東京・品川)の雇用を守る(3)NECブランドは継続する(4)経営の主導権にはこだわらない――。交渉の基本線がこうして固まっていった。
ただ、レノボは当初からパソコン事業を丸ごと買収したいと考えていたフシがある。最大のヤマ場は昨年秋。出資比率を巡り両社の対立は深刻化した。溝はなかなか埋まらず、NEC内部には反対意見が再び巻き起こる可能性もあった。
「パソコンの件は私に任せてくれ。必ずやりとげるから」。遠藤社長はこう言い切り、社内の慎重論を封じ込めた。遠藤社長の決意の裏にはパソコン事業の将来に対する強い危機感があった。
「損失1000億円も」
交渉入り当時の遠藤社長はM&A(合併・買収)を立案する経営企画担当の取締役。今は黒字でも世界シェア1%に満たない事業はいずれじり貧になる。いったん赤字になってから提携交渉しても有利な条件を取り付けられない。「最悪の場合、事業の清算時に発生する損失は1000億円」――こんな試算も内部にはあったという。
基本合意直前の数日間、スタッフが徹夜して合意文書をまとめ上げた。「今回の提携で(レノボから)元気をもらった」。約1年に及ぶ交渉を乗り切った遠藤社長は、27日の記者会見で高揚感を隠せなかった。
「本音を言えばもう一歩進めてほしかった」。同日夜、NECの主要取引銀行の幹部はこう語った。合弁ではなく売却に踏み込めなかったのかとの思いがにじむ。パソコン事業を移管する対価としてNECが受け取るのは2%分のレノボ株。現金は入らない。主力の通信機器やITサービスへのヒト・モノ・カネの集中度を高め、早く業績を立て直すべきだとの声が外部にはある。
NECの10年4~12月期の連結決算は535億円の最終赤字。成長を期待するITサービス部門まで営業赤字に転落した。構造改革は成長戦略の土台を築くため。どう成果を生むかが肝心だ。記者会見から一夜明けた28日、東京株式市場でNECの株価は前日比4%下落した。周囲は早くも次の一手を求めている。
「この交渉が最後のチャンスだったかもしれない」。27日のレノボとの共同記者会見から2日後、遠藤信博社長は交渉にかけていた並々ならぬ思いを明かした。
NECが海外のパソコン市場から完全撤退した2009年夏。同社幹部は「もう勝負が付いた」と漏らした。汎用品化が進むパソコン。安定して利益を稼ぐには規模が必要だ。激しい価格競争の下、世界12位のNECが再びシェアを伸ばすにはコスト先行で年間100億円規模の赤字が数年続く――当時のNECの試算だ。単独でこの負担は無理。パートナー探しが本格的に始まった。
懸命に社内説得
NECの交渉相手は複数にのぼった。台湾や国内の企業とも交渉したが折り合わない。最終的に最も熱心なレノボに相手が絞られた。両社の本格交渉が始まったのは1年ほど前だ。
05年に米IBMからパソコン事業を買収し世界3位に躍り出たレノボだが、海外市場の不振で現在のシェアは4位。中国需要で体制を立て直し、再び海外で攻勢に出ようとしていた。同社も世界5位の東芝との提携を模索した経緯がある。「世界3位への復帰」(楊元慶・最高経営責任者)を目標とするレノボにとって世界3大市場の日本で首位に立つNECは魅力的だった。
しかし、NEC社内はまとまらない。「ブランド力の維持にパソコンは不可欠」「赤字でもない2000億円事業をなぜ切り出すのか」。当初、取締役会メンバーの大半が反対した。ITサービスとの相乗効果が失われるのを懸念する声も出た。遠藤社長ら推進派は粘り強く説いて回った。
(1)合弁とする(2)パソコン事業会社、NECパーソナルプロダクツ(東京・品川)の雇用を守る(3)NECブランドは継続する(4)経営の主導権にはこだわらない――。交渉の基本線がこうして固まっていった。
ただ、レノボは当初からパソコン事業を丸ごと買収したいと考えていたフシがある。最大のヤマ場は昨年秋。出資比率を巡り両社の対立は深刻化した。溝はなかなか埋まらず、NEC内部には反対意見が再び巻き起こる可能性もあった。
「パソコンの件は私に任せてくれ。必ずやりとげるから」。遠藤社長はこう言い切り、社内の慎重論を封じ込めた。遠藤社長の決意の裏にはパソコン事業の将来に対する強い危機感があった。
「損失1000億円も」
交渉入り当時の遠藤社長はM&A(合併・買収)を立案する経営企画担当の取締役。今は黒字でも世界シェア1%に満たない事業はいずれじり貧になる。いったん赤字になってから提携交渉しても有利な条件を取り付けられない。「最悪の場合、事業の清算時に発生する損失は1000億円」――こんな試算も内部にはあったという。
基本合意直前の数日間、スタッフが徹夜して合意文書をまとめ上げた。「今回の提携で(レノボから)元気をもらった」。約1年に及ぶ交渉を乗り切った遠藤社長は、27日の記者会見で高揚感を隠せなかった。
「本音を言えばもう一歩進めてほしかった」。同日夜、NECの主要取引銀行の幹部はこう語った。合弁ではなく売却に踏み込めなかったのかとの思いがにじむ。パソコン事業を移管する対価としてNECが受け取るのは2%分のレノボ株。現金は入らない。主力の通信機器やITサービスへのヒト・モノ・カネの集中度を高め、早く業績を立て直すべきだとの声が外部にはある。
NECの10年4~12月期の連結決算は535億円の最終赤字。成長を期待するITサービス部門まで営業赤字に転落した。構造改革は成長戦略の土台を築くため。どう成果を生むかが肝心だ。記者会見から一夜明けた28日、東京株式市場でNECの株価は前日比4%下落した。周囲は早くも次の一手を求めている。
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