東芝とシャープはテレビ用の液晶パネルで提携する。シャープが堺市に建設中の新工場から、東芝がパネルを調達してテレビに組み込む。東芝は松下電器産業、日立製作所の二社とパネル生産で提携しているが、これを解消して新たにシャープと組む。競争が激化するパネル市場は「東芝―シャープ―パイオニア」「松下―日立―キヤノン」「ソニー―韓国サムスン電子」の三グループが競う構図に一気に塗り替わり、電機再編が一段と加速する。(関連記事15面に)
二十一日に両社の社長が記者会見して発表する。シャープは三千八百億円を投じて堺市で液晶パネルの新工場を建設中で、二〇〇九年度に稼働させる計画。東芝は長期契約を結んでシャープから40―60型台の大型パネルを大量調達し、東芝ブランドのテレビに搭載して国内外で販売する。
東芝は現在シャープのテレビ向けに画像処理用半導体を供給しており、同分野で協力を深めることも検討するとみられる。
東芝は日立、松下との共同出資会社であるIPSアルファテクノロジ(千葉県茂原市)でテレビ用の液晶パネルを共同生産している。これまで主にIPSと韓国LGフィリップスLCDからパネルを調達してきたが、新たにシャープの最新鋭工場から購入し、調達コストを下げる。当面は現在の調達体制を維持するが、〇九年度以降はIPSなどからの購入を縮小、シャープ製を主軸にしていく見込みだ。
IPSの工場は「第六世代」と呼ばれ、32―37型パネルの生産には適しているが、今後市場拡大が予想される40型以上ではコスト競争力で劣る。シャープが建設する「第十世代」工場から調達すれば、テレビ事業の競争力強化につながると判断したもようだ。
IPSには現在、日立が五〇%、松下が三〇%、東芝が一五%出資している。東芝はシャープとの提携に伴い、日立―松下連合から離脱する考えで、保有するIPS株を松下に売却する方向で検討に入った。投資のかさむパネル製造から手を引き、外部からの調達に切り替えていく。松下は株式取得などを通じ、日立に代わってIPSの経営権を握る方針だ。
薄型パネル分野では松下、キヤノン、日立の三社が包括提携に向け最終調整に入り、年内の合意を目指している。日立の全額出資パネル子会社、日立ディスプレイズ(東京・千代田)に松下とキヤノンが出資して、液晶パネルや、次世代パネルの有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)を共同で開発・生産する方針だ。
松下―日立連合にキヤノンが加わる代わりに東芝が離脱することで競争の構図は一変。液晶パネルを合弁生産しているソニー―サムスン電子を含めた三陣営が生き残り競争を展開していく。
電機業界では製品価格が急落する中で、投資競争が激化。日本ビクターとケンウッドが経営統合で合意したほか、シャープとパイオニアが資本・業務提携するなど再編の動きが広がっている。日本の電機各社が主力分野と位置付けている薄型パネルで大型提携が相次ぐことで、今後再編が加速するのは必至だ。
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:2007:12/21/13:44 ++ 東芝、シャープと提携、液晶パネル、堺新工場から調達――松下・日立連合を離脱。
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