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:2011:04/08/09:58 ++ 立て直せるか経済政策(4)農業被害すでに5000億円超―復興に併せ農地集約も。
がれきの山、転々と横たわる車、海から流れてきたヘドロ――。大津波などで被害を受けた宮城県名取川周辺の水田地帯を視察した農林水産省の幹部は「復興までいったい何年かかるのか」とつぶやいた。
東日本大震災は農林漁業に甚大な被害をもたらした。水没したり、がれきに埋もれたりした農地は岩手や宮城など6県の合計で約2万4000ヘクタールに達する。首都圏でいえばJR山手線内の約4倍に相当する面積だ。農地や農業施設の損壊は判明分だけで1万2000カ所以上、これに農産物の損失を加えると被害額はすでに5200億円に膨らんでいる。
中間整理先送り
農林漁業政策は足踏み状態にある。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加をにらんで、政府は農地の集約や規模拡大、企業の参入促進などを柱とする農業改革を進める方針だった。3月末には基本方針の中間整理が提示される予定だったが、3月22日、鹿野道彦農相は「中間整理は物理的に難しい」と先送りする意向を示した。
実際、大震災後は閣僚級会議や副大臣級の幹事会などは開催されていない。食料の安定供給が目下の最優先課題であり、6月予定の基本方針の策定も後ずれするとみられる。
農業改革の遅れどころか、食料の供給に支障が出る可能性もある。例えば主食のコメ。被災地の岩手、宮城、福島、茨城4県で年間生産量は156万トンと、全国の約2割を占めている。
これら地域からの農産物の供給が途絶えるわけではないが、東京電力福島第1原子力発電所の事故による風評被害なども考えれば、生産量が落ち込むのはほぼ確実。大震災前の水準に戻るには数年単位の時間がかかりそうだ。
漁業再生も難題
大震災で将来の政策の方向性は見えにくくなったが、被災地の復旧・復興に併せて農業改革を進める案が農水省で出始めた。農水省幹部は「単に被災地を復旧するだけではなく、より強い農業地域をつくる必要がある」と話す。
民主党内には農業の中長期的な復興策として、公的機関が所有者の不明な農地や水没した土地を買い上げる計画などが検討されている。これと並んで農地を集約し、農家当たりの耕地面積を拡大して生産効率を高める案が浮かんでいる。公的機関が買い上げた農地を、企業が設立する農業生産法人などに低価格で譲渡する構想もある。
漁業の再生も課題。大震災では約1万9000隻の漁船が損壊し、施設なども含めた被害額は約3500億円に達している。農水省は主要漁港を中心に大型冷凍設備や水産物の加工・流通網を整備する中長期的な施策を探っている。
八田達夫・大阪大学招聘教授 農業改革は促進すべきだ。例えば、現行の戸別所得補償制度は生産調整(減反)に参加した農家にのみ支払われる形になっている。生産調整をやめ、過去の生産実績に基づいて所得補償する制度に改めれば、東日本大震災で田畑を失った農家への補償制度としても機能する。
東北地方の農業復興には株式会社の参入自由化なども必要だと考える。こうした企業に農地を売却した農家には相続税での恩恵を与えるなどの措置を取れば、農地の集約化を通じて農業の生産性を向上できる。国が被災した農地を買い上げる制度などがあってもよいと考える。大震災で離農した人への支援策も重要だ。
東日本大震災は農林漁業に甚大な被害をもたらした。水没したり、がれきに埋もれたりした農地は岩手や宮城など6県の合計で約2万4000ヘクタールに達する。首都圏でいえばJR山手線内の約4倍に相当する面積だ。農地や農業施設の損壊は判明分だけで1万2000カ所以上、これに農産物の損失を加えると被害額はすでに5200億円に膨らんでいる。
中間整理先送り
農林漁業政策は足踏み状態にある。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加をにらんで、政府は農地の集約や規模拡大、企業の参入促進などを柱とする農業改革を進める方針だった。3月末には基本方針の中間整理が提示される予定だったが、3月22日、鹿野道彦農相は「中間整理は物理的に難しい」と先送りする意向を示した。
実際、大震災後は閣僚級会議や副大臣級の幹事会などは開催されていない。食料の安定供給が目下の最優先課題であり、6月予定の基本方針の策定も後ずれするとみられる。
農業改革の遅れどころか、食料の供給に支障が出る可能性もある。例えば主食のコメ。被災地の岩手、宮城、福島、茨城4県で年間生産量は156万トンと、全国の約2割を占めている。
これら地域からの農産物の供給が途絶えるわけではないが、東京電力福島第1原子力発電所の事故による風評被害なども考えれば、生産量が落ち込むのはほぼ確実。大震災前の水準に戻るには数年単位の時間がかかりそうだ。
漁業再生も難題
大震災で将来の政策の方向性は見えにくくなったが、被災地の復旧・復興に併せて農業改革を進める案が農水省で出始めた。農水省幹部は「単に被災地を復旧するだけではなく、より強い農業地域をつくる必要がある」と話す。
民主党内には農業の中長期的な復興策として、公的機関が所有者の不明な農地や水没した土地を買い上げる計画などが検討されている。これと並んで農地を集約し、農家当たりの耕地面積を拡大して生産効率を高める案が浮かんでいる。公的機関が買い上げた農地を、企業が設立する農業生産法人などに低価格で譲渡する構想もある。
漁業の再生も課題。大震災では約1万9000隻の漁船が損壊し、施設なども含めた被害額は約3500億円に達している。農水省は主要漁港を中心に大型冷凍設備や水産物の加工・流通網を整備する中長期的な施策を探っている。
八田達夫・大阪大学招聘教授 農業改革は促進すべきだ。例えば、現行の戸別所得補償制度は生産調整(減反)に参加した農家にのみ支払われる形になっている。生産調整をやめ、過去の生産実績に基づいて所得補償する制度に改めれば、東日本大震災で田畑を失った農家への補償制度としても機能する。
東北地方の農業復興には株式会社の参入自由化なども必要だと考える。こうした企業に農地を売却した農家には相続税での恩恵を与えるなどの措置を取れば、農地の集約化を通じて農業の生産性を向上できる。国が被災した農地を買い上げる制度などがあってもよいと考える。大震災で離農した人への支援策も重要だ。
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