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:2010:10/18/10:42 ++ 第1部噴き出す矛盾(1)経済危機と民意の迷路(民主主義を考える)
「そんなこと、あり得ない」。ギリシャの外交官はあきれ顔で語る。深刻な財政危機に陥った同国が、地中海に点在する島々を売りに出す――。英紙報道をきっかけに、ロードス島、ミコノス島などのリゾート地が注目を集めた一件だ。
買い手として取りざたされたのは中国だ。結局「国土の切り売り」は憶測の域を出なかったが、中国は別の手で助け舟を出す。ベルギーで開いたアジア欧州会議(ASEM)直前。アテネを訪問した首相の温家宝(68)は2日、ギリシャ国債の買い増しを宣言した。
緊縮財政策に市民が反発するギリシャでは、デモやストが頻発して傷口を広げた。民主主義発祥の地ともされる国を一党独裁の中国が助ける皮肉。首相の菅直人(64)は財務相当時の5月、自らのホームページに書いた。「日本がギリシャのようにならないために、民主主義の力が問われている」
それから1カ月後。首相になった菅は「脱小沢路線」で支持率をV字回復させたが、唐突な消費税増税発言で窮地に陥る。「政治は怖い。ちょっとしたことで流れが変わる」。参院選に惨敗した直後、そう漏らした菅の執務室には今、世論調査などの資料を携えた内閣情報官、植松信一(56)が足しげく通う。
□ □
「あなたが約束したチェンジ(変革)を全く実感できない」。11月に中間選挙を控えた米国。テレビ局が9月20日に主催した対話集会で、大統領のオバマ(49)を激しくなじったのは、中年の黒人女性だった。
フランス、スペイン、ベルギー、ポルトガル……。リーマン・ショックの後遺症がある欧州各国ではデモが相次ぐ。3年前の就任当初、7割を超した仏大統領、サルコジ(55)の支持率は2割台に低下。英国やオーストラリアでは、選挙でいずれの党も多数を得られない「ハング・パーラメント(中ぶらりん議会)」が生じた。
民意を前に苦悩する政治リーダーたち。共通するのは、前政権の停滞を打ち破る「改革」に期待を込めた世論の失望だ。グローバル化が進み、貿易や金融、環境など一国では解決できない難題が増える一方、世論は短期間に成果を求める。
米国の政治学者、ダール(94)は著書「デモクラシーとは何か」で「経済成長はデモクラシーに有利に作用する」と指摘した。貧困の解消などを通じ、民主的な制度を支持する傾向が強い中流層を生むからだ。米国のエコノミスト、ラインハート夫妻(53、55)が言うように「経済危機がいったん起きると10年は経済停滞が続く」とするなら、欧米の苦境は根が深い。
「失われた20年」からなかなか抜け出せない日本の危機も深刻だ。4年で5人目となる首相交代や参院で野党が過半数を持つ「逆転国会」の前に成長への道筋を描けない。
□ □
民主主義と資本主義は親和性が高い。しかし、非民主主義国家が資本主義を採用することもある。成長路線をひた走る中国はその代表格だ。中国共産党は15日、2011年からの「第12次5カ年計画」を話し合う会議を始めた。選挙の心配をすることなく、一党独裁が続くことを前提に5年先までを見通す。
同志社大教授の浜矩子(58)は「民主主義の裏打ちのない資本主義はより大きな格差を生む」と言う。経済危機と新興国の台頭。先進各国は政治への信頼を取り戻し、民主主義の優位性を再確認できるだろうか。
買い手として取りざたされたのは中国だ。結局「国土の切り売り」は憶測の域を出なかったが、中国は別の手で助け舟を出す。ベルギーで開いたアジア欧州会議(ASEM)直前。アテネを訪問した首相の温家宝(68)は2日、ギリシャ国債の買い増しを宣言した。
緊縮財政策に市民が反発するギリシャでは、デモやストが頻発して傷口を広げた。民主主義発祥の地ともされる国を一党独裁の中国が助ける皮肉。首相の菅直人(64)は財務相当時の5月、自らのホームページに書いた。「日本がギリシャのようにならないために、民主主義の力が問われている」
それから1カ月後。首相になった菅は「脱小沢路線」で支持率をV字回復させたが、唐突な消費税増税発言で窮地に陥る。「政治は怖い。ちょっとしたことで流れが変わる」。参院選に惨敗した直後、そう漏らした菅の執務室には今、世論調査などの資料を携えた内閣情報官、植松信一(56)が足しげく通う。
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「あなたが約束したチェンジ(変革)を全く実感できない」。11月に中間選挙を控えた米国。テレビ局が9月20日に主催した対話集会で、大統領のオバマ(49)を激しくなじったのは、中年の黒人女性だった。
フランス、スペイン、ベルギー、ポルトガル……。リーマン・ショックの後遺症がある欧州各国ではデモが相次ぐ。3年前の就任当初、7割を超した仏大統領、サルコジ(55)の支持率は2割台に低下。英国やオーストラリアでは、選挙でいずれの党も多数を得られない「ハング・パーラメント(中ぶらりん議会)」が生じた。
民意を前に苦悩する政治リーダーたち。共通するのは、前政権の停滞を打ち破る「改革」に期待を込めた世論の失望だ。グローバル化が進み、貿易や金融、環境など一国では解決できない難題が増える一方、世論は短期間に成果を求める。
米国の政治学者、ダール(94)は著書「デモクラシーとは何か」で「経済成長はデモクラシーに有利に作用する」と指摘した。貧困の解消などを通じ、民主的な制度を支持する傾向が強い中流層を生むからだ。米国のエコノミスト、ラインハート夫妻(53、55)が言うように「経済危機がいったん起きると10年は経済停滞が続く」とするなら、欧米の苦境は根が深い。
「失われた20年」からなかなか抜け出せない日本の危機も深刻だ。4年で5人目となる首相交代や参院で野党が過半数を持つ「逆転国会」の前に成長への道筋を描けない。
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民主主義と資本主義は親和性が高い。しかし、非民主主義国家が資本主義を採用することもある。成長路線をひた走る中国はその代表格だ。中国共産党は15日、2011年からの「第12次5カ年計画」を話し合う会議を始めた。選挙の心配をすることなく、一党独裁が続くことを前提に5年先までを見通す。
同志社大教授の浜矩子(58)は「民主主義の裏打ちのない資本主義はより大きな格差を生む」と言う。経済危機と新興国の台頭。先進各国は政治への信頼を取り戻し、民主主義の優位性を再確認できるだろうか。
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