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:2010:10/18/10:37 ++ 第1部噴き出す矛盾(3)「安定」見失った中間層(民主主義を考える
9月下旬。フランス全域で広がった100万人規模の反政府デモに参加した自動車大手ルノーの社員ディディエ・ボンバ(53)は大統領、サルコジ(55)への不満に声を荒らげた。「裏切られた。外国に雇用を奪われ、みな将来の不安でいっぱいなのに政府は無策だ」
千葉県の市原ワークプラザ。この春、失業して職探しに通う49歳の男性は「変える、という言葉に期待したが、鳩山さんは口ばっかりだった」と憤る。ずっと自民党に投票してきた。昨年の衆院選で前首相、鳩山由紀夫(63)率いる民主党に初めて入れたが、今は「誰が首相になっても変わらないよ」。
2人の嘆きは、欧州と日本が共に抱える構造問題を映し出す。少子高齢化と低成長、中国など新興国との競争、輸出依存経済の限界……。賃金の減少や雇用不安がもたらすものは何か。
ドイツの外務省国務相(副大臣に相当)、ホイヤー(58)は「中間層が痛めつけられ、民主主義を不安定にする」と懸念する。産業革命のころから増大した中間層は社会の多数層として民主主義を支える主役だったからだ。企業の海外移転などが進み「ドイツではここ数年で中間層から10%がこぼれ落ちてしまった」。
□ □
右肩上がりの成長によって「一億総中流」といわれた日本も例外ではない。厚生労働省の2009年調査によると、世帯所得の中央値は427万円と10年前と比べ100万円を超す減少。300万円未満の世帯の割合が約10ポイント増え、33%を占める。高齢者世帯や単身世帯の比率が高まっている側面もあるが、デフレ進行や年功序列の崩壊が、長く続いた自民党の政権基盤を弱体化させた。
安定した生活を展望できなくなった中間層は「変革」を求めて大きく振れる。「常在戦場」の衆院選、3年に1度の参院選――。大型国政選挙が頻繁にやってくる日本では「民意の振れ」が際立つ結果を生んだ。自民党は小泉劇場といわれた05年衆院選で大勝した後、07年参院選で惨敗。09年に政権を奪取した民主党は10年参院選で大敗した。
埼玉大教授の松本正生(55)は「年齢が増すほど安定志向になり、自民党を支持するようになる傾向が崩れてしまった」と分析する。国内の選挙は無党派層がカギを握るといわれてきたが「今は選挙のたびに政党支持を変える『そのつど支持層』が増えていると言ったほうがしっくりくる」。
□ □
政治は迎合主義(ポピュリズム)に走りがちだ。民主党は高速道路無料化などを、財源に確証がないまま衆院選マニフェスト(政権公約)に盛った。欧州では、雇用不安を背景に、反イスラムや反移民など過激な考え方が目立ち始めた。支持率低下に悩むサルコジは国際的な批判にもかかわらず、少数民族ロマ人の国外追放を強行。オランダやデンマークなどでは極右政党が影響力を増している。
局面打開には経済の立て直しが欠かせない。9月中旬。欧州連合(EU)は都内で開いた日本とのハイレベル協議で「経済統合を大胆に進めるべきだ」と呼びかけた。目指すのは非関税障壁などの解消も視野に入れた「単一市場」。中国など新興国への競争力強化が狙いだ。
改革の痛みに耐えて市場を拡大しないと、経済ばかりか民主主義までが脅かされる――。EU側は危機感を強めるが、日本側の関心はもっぱら自動車や家電の関税率引き下げ。議論はかみ合わなかった。
欧州委員会幹部はいらだちを隠さない。「今、進行中の脅威を、日本は認識していないのではないか」(敬称略)
会構造の激変の真の原動力は、常に中産階級の中に存在する」
千葉県の市原ワークプラザ。この春、失業して職探しに通う49歳の男性は「変える、という言葉に期待したが、鳩山さんは口ばっかりだった」と憤る。ずっと自民党に投票してきた。昨年の衆院選で前首相、鳩山由紀夫(63)率いる民主党に初めて入れたが、今は「誰が首相になっても変わらないよ」。
2人の嘆きは、欧州と日本が共に抱える構造問題を映し出す。少子高齢化と低成長、中国など新興国との競争、輸出依存経済の限界……。賃金の減少や雇用不安がもたらすものは何か。
ドイツの外務省国務相(副大臣に相当)、ホイヤー(58)は「中間層が痛めつけられ、民主主義を不安定にする」と懸念する。産業革命のころから増大した中間層は社会の多数層として民主主義を支える主役だったからだ。企業の海外移転などが進み「ドイツではここ数年で中間層から10%がこぼれ落ちてしまった」。
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右肩上がりの成長によって「一億総中流」といわれた日本も例外ではない。厚生労働省の2009年調査によると、世帯所得の中央値は427万円と10年前と比べ100万円を超す減少。300万円未満の世帯の割合が約10ポイント増え、33%を占める。高齢者世帯や単身世帯の比率が高まっている側面もあるが、デフレ進行や年功序列の崩壊が、長く続いた自民党の政権基盤を弱体化させた。
安定した生活を展望できなくなった中間層は「変革」を求めて大きく振れる。「常在戦場」の衆院選、3年に1度の参院選――。大型国政選挙が頻繁にやってくる日本では「民意の振れ」が際立つ結果を生んだ。自民党は小泉劇場といわれた05年衆院選で大勝した後、07年参院選で惨敗。09年に政権を奪取した民主党は10年参院選で大敗した。
埼玉大教授の松本正生(55)は「年齢が増すほど安定志向になり、自民党を支持するようになる傾向が崩れてしまった」と分析する。国内の選挙は無党派層がカギを握るといわれてきたが「今は選挙のたびに政党支持を変える『そのつど支持層』が増えていると言ったほうがしっくりくる」。
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政治は迎合主義(ポピュリズム)に走りがちだ。民主党は高速道路無料化などを、財源に確証がないまま衆院選マニフェスト(政権公約)に盛った。欧州では、雇用不安を背景に、反イスラムや反移民など過激な考え方が目立ち始めた。支持率低下に悩むサルコジは国際的な批判にもかかわらず、少数民族ロマ人の国外追放を強行。オランダやデンマークなどでは極右政党が影響力を増している。
局面打開には経済の立て直しが欠かせない。9月中旬。欧州連合(EU)は都内で開いた日本とのハイレベル協議で「経済統合を大胆に進めるべきだ」と呼びかけた。目指すのは非関税障壁などの解消も視野に入れた「単一市場」。中国など新興国への競争力強化が狙いだ。
改革の痛みに耐えて市場を拡大しないと、経済ばかりか民主主義までが脅かされる――。EU側は危機感を強めるが、日本側の関心はもっぱら自動車や家電の関税率引き下げ。議論はかみ合わなかった。
欧州委員会幹部はいらだちを隠さない。「今、進行中の脅威を、日本は認識していないのではないか」(敬称略)
会構造の激変の真の原動力は、常に中産階級の中に存在する」
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