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:2011:02/08/10:26 ++ 第3部さまよう政党(1)理念なき政治家集団(民主主義を考える)
権謀術数 民意運べず
1月26日昼。官房長官を退いた民主党代表代行の仙谷由人(65)は、議員会館の自室で丼の昼食をほおばりながら、訪れた知人に漏らした。「ごたごたがあっても、政党は綱領があればまとまるもんなんだがなあ」
会社でいえば定款にあたるのが党綱領。結党12年の民主党にそれがない。自民党から旧社会党まで、出身基盤の異なる寄り合い所帯で、安全保障や憲法観などの違いによる摩擦を避けてきたからだ。
あえて言えば、民主党の理念は「反自民党」だった。だが、批判する相手は野党になり、マニフェスト(政権公約)は見直しを迫られている。目指す国家像とは――。ようやく綱領づくりに乗り出した民主党の自問は「親小沢か反小沢か」といった権力闘争が、分裂含みになりかねないもろさの告白でもある。
□ □
存在意義が問われているのは「進歩する保守」を綱領に掲げる自民党も同じだ。ピーク時に500万人を超した党員は2009年に100万人を割りこんだ。そして、既存政党への不信は欧米でも広がっている。
▼米大手メディアの10年5月調査で、民主、共和両党による二大政党制が機能しているとした回答はわずか15%
▼英国の保守党と労働党の合計得票率は1950年代の9割超から10年には6割台にまで低下
冷戦の終結でイデオロギー対立を背景にした政党支持の意味が薄らぐ一方で、幅広い支持を集めるために政策が中道路線に収束し、大きな違いが出せなくなっていったためだ。
「フランスの二大政党は我々の意見をすくいあげてくれなくなった」。パリ郊外に住むタクシー運転手、アラン・パケ(60)は昨年、学生時代から支持してきた社会党から少数政党、欧州エコロジー党に乗り換えた。緑の党が台頭するドイツ、自由民主党が連立参加した英国。第三極が注目されるのは、みんなの党が登場した日本だけではない。
米国の政治学者で中央大教授、スティーブン・リード(63)は政党の使命を選挙に勝つことと政策を動かすことだと指摘する。政治不信の背景にあるのは、民意をくみ上げ、複雑な利害関係を調整し、議会を動かして政策を実現する政党機能の劣化にほかならない。
□ □
「それでも、その役割を果たすことができるのは政党しかない」。パリ政治学院客員教授の吉田徹(36)は力説する。「だから政党が進化できるかどうかが、その国の民主主義の将来を左右する」。政策立案能力を磨き、優れた人材を集めないと政党の未来はない。
民間シンクタンク、構想日本代表の加藤秀樹(61)は、憲法にも明確な記述がない日本の政党を「政党法」で位置付け直すべきだと提言する。党幹部や党機関の役割と責任を明確にし、情報公開や候補者選びを透明化するなどの内容だ。「結社の自由」などの観点から立法措置には是非論があるが、自己統治能力を高める改革は待ったなしだ。
理念なき政党政治の最後はどうなるか。
事実上の二大政党制だった戦前の日本。政友会と民政党は政策論議そっちのけで権力争いを繰り広げた。数合わせの議員引き抜きは日常茶飯事。スキャンダル追及合戦も絶えず、浜口内閣から1940年の大政翼賛会発足までの約11年間で首相は12回も交代した。
昭和史に詳しい麗沢大教授の松本健一(65)は最近、民主党議員と会うたびに警鐘を鳴らす。「政党は汚い、国益を守ってくれない、という失望感が迎合主義(ポピュリズム)を生み、軍部の台頭を招いた。今は当時にそっくりです」(敬称略)
「政党は、一方の端を社会に、他方の端を国家にかけている橋である」
(英国の政治学者、E・バーカー)
1月26日昼。官房長官を退いた民主党代表代行の仙谷由人(65)は、議員会館の自室で丼の昼食をほおばりながら、訪れた知人に漏らした。「ごたごたがあっても、政党は綱領があればまとまるもんなんだがなあ」
会社でいえば定款にあたるのが党綱領。結党12年の民主党にそれがない。自民党から旧社会党まで、出身基盤の異なる寄り合い所帯で、安全保障や憲法観などの違いによる摩擦を避けてきたからだ。
あえて言えば、民主党の理念は「反自民党」だった。だが、批判する相手は野党になり、マニフェスト(政権公約)は見直しを迫られている。目指す国家像とは――。ようやく綱領づくりに乗り出した民主党の自問は「親小沢か反小沢か」といった権力闘争が、分裂含みになりかねないもろさの告白でもある。
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存在意義が問われているのは「進歩する保守」を綱領に掲げる自民党も同じだ。ピーク時に500万人を超した党員は2009年に100万人を割りこんだ。そして、既存政党への不信は欧米でも広がっている。
▼米大手メディアの10年5月調査で、民主、共和両党による二大政党制が機能しているとした回答はわずか15%
▼英国の保守党と労働党の合計得票率は1950年代の9割超から10年には6割台にまで低下
冷戦の終結でイデオロギー対立を背景にした政党支持の意味が薄らぐ一方で、幅広い支持を集めるために政策が中道路線に収束し、大きな違いが出せなくなっていったためだ。
「フランスの二大政党は我々の意見をすくいあげてくれなくなった」。パリ郊外に住むタクシー運転手、アラン・パケ(60)は昨年、学生時代から支持してきた社会党から少数政党、欧州エコロジー党に乗り換えた。緑の党が台頭するドイツ、自由民主党が連立参加した英国。第三極が注目されるのは、みんなの党が登場した日本だけではない。
米国の政治学者で中央大教授、スティーブン・リード(63)は政党の使命を選挙に勝つことと政策を動かすことだと指摘する。政治不信の背景にあるのは、民意をくみ上げ、複雑な利害関係を調整し、議会を動かして政策を実現する政党機能の劣化にほかならない。
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「それでも、その役割を果たすことができるのは政党しかない」。パリ政治学院客員教授の吉田徹(36)は力説する。「だから政党が進化できるかどうかが、その国の民主主義の将来を左右する」。政策立案能力を磨き、優れた人材を集めないと政党の未来はない。
民間シンクタンク、構想日本代表の加藤秀樹(61)は、憲法にも明確な記述がない日本の政党を「政党法」で位置付け直すべきだと提言する。党幹部や党機関の役割と責任を明確にし、情報公開や候補者選びを透明化するなどの内容だ。「結社の自由」などの観点から立法措置には是非論があるが、自己統治能力を高める改革は待ったなしだ。
理念なき政党政治の最後はどうなるか。
事実上の二大政党制だった戦前の日本。政友会と民政党は政策論議そっちのけで権力争いを繰り広げた。数合わせの議員引き抜きは日常茶飯事。スキャンダル追及合戦も絶えず、浜口内閣から1940年の大政翼賛会発足までの約11年間で首相は12回も交代した。
昭和史に詳しい麗沢大教授の松本健一(65)は最近、民主党議員と会うたびに警鐘を鳴らす。「政党は汚い、国益を守ってくれない、という失望感が迎合主義(ポピュリズム)を生み、軍部の台頭を招いた。今は当時にそっくりです」(敬称略)
「政党は、一方の端を社会に、他方の端を国家にかけている橋である」
(英国の政治学者、E・バーカー)
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