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:2009:08/26/12:40 ++ 第5部ビッグディール号砲(4)未来へ創業家の決断(大転換)終
■■■一国一城」捨て経営拓く
「このディールは“日本株式会社”を変えるかもしれない」。キリンホールディングスとサントリーホールディングスの経営統合交渉が明らかになった7月、英経済誌のエコノミストはこう書いた。
非上場で創業家出身者が社長のサントリーが、好業績にもかかわらず統合を目指す。その動きは「身売り」「乗っ取り」などM&A(合併・買収)にまつわる否定的なイメージを消し「オーナー経営が多い中堅企業でも再編が本格化する」と予測する。
カルビーに外資
すでに予兆はある。6月下旬、非上場で創業家が筆頭株主のスナック菓子大手のカルビーが、米飲料大手ペプシコから20%の出資を受け入れることを決めた。創業家出身者は経営陣を外れ、7人の取締役の5人を社外取締役にした。
カルビーは2008年度も黒字。スナック菓子の国内シェアは約4割に及ぶ。人気商品のポテトチップスでは国内のジャガイモ生産者を囲い込み、他社の追随を許さない。
だが松尾雅彦相談役ら創業家は、その先を見る。国内の菓子市場は少子高齢化で縮小が続く。ジャガイモ生産者も高齢化が進み、これ以上、国内調達を増やすのは難しい。
数年前から海外展開に力を入れるが、米欧の食品メジャーが農家を押さえ、ジャガイモの調達がままならない。「ならば」。売り上げ規模で約30倍のペプシコと組んだ。創業家は未来を拓(ひら)くため設立60年で居心地のいい「一国一城のあるじ」の座を捨てた。
同じ6月、染毛剤最大手のホーユーは、クラシエホールディングス(旧カネボウ)の買収で、クラシエの大株主である国内投資ファンド3社と基本合意した。
非上場のホーユーは白髪染めの「ビゲン」などで国内染毛剤市場の4割を押さえ、実質無借金経営。だが高齢化で安定成長が見込める白髪染め剤には花王も攻勢をかける。いずれは人口減で市場も縮む。創業者の孫にあたる水野新平社長は将来を見据え、リスク覚悟で買収に乗り出した。
中堅・中小企業のM&Aを仲介する日本M&Aセンターは、3月に単月で過去最高の15件を成約、9月も約15件を見込む。昨年までは月平均5~6件だった。「コスト削減や営業強化といった従来の企業努力では生き残れないとの危機感がある」と分林保弘会長は指摘する。
キリンとの統合が報じられた翌日の7月14日。サントリーの佐治信忠社長は本社で投資銀行ロスチャイルド・ジャパン会長のフィリップ・ド・ニコライ氏と会っていた。ロスチャイルドは欧州のM&A助言でトップクラス。2世紀以上にわたって企業の合従連衡を仲介してきた「M&Aの番人」である。
トップ企業同士の統合となるキリンとの交渉に話しが及ぶとニコライ氏は言った。「当然の流れだ」
7月末時点の世界企業の時価総額を業種別ランキングにすると、日本企業が首位なのは自動車(トヨタ自動車)など38業種中3業種だけ。米国は19業種、中国(香港上場を含む)は6業種だ。伸びない国内市場を多くの企業で分け合う日本の弱点が浮かぶ。新興国企業に押し出されてベスト5に日本が1社も入らない業種が24もある。
中小企業も走る
「新興国企業を甘く見てはいけない。トヨタも数十年前には新興国の新興企業だった」。ボストン・コンサルティング・グループ日本代表の水越豊氏はこう警鐘を鳴らす。
日本が新興国だった時代と違い、今は資本がグローバル化している。その分だけ資金調達は容易で、政府の後押しもある。新興国企業は、技術力がなくても「価格勝負」と割り切って、猛烈にシェアを取りに来る。日本企業も成長を目指して新興国市場を目指すが、そこで勝つにはさらなる規模と資本力が必要だ。
「キリン・サントリーに触発されて他業界も動く」。投資銀行業界では今、日本発のビッグディール(大型再編)への予感が高まる。大企業も中堅・中小も、経済危機後の新しい競争に備え、姿を変え始めた。日本株式会社の再編である。
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「このディールは“日本株式会社”を変えるかもしれない」。キリンホールディングスとサントリーホールディングスの経営統合交渉が明らかになった7月、英経済誌のエコノミストはこう書いた。
非上場で創業家出身者が社長のサントリーが、好業績にもかかわらず統合を目指す。その動きは「身売り」「乗っ取り」などM&A(合併・買収)にまつわる否定的なイメージを消し「オーナー経営が多い中堅企業でも再編が本格化する」と予測する。
カルビーに外資
すでに予兆はある。6月下旬、非上場で創業家が筆頭株主のスナック菓子大手のカルビーが、米飲料大手ペプシコから20%の出資を受け入れることを決めた。創業家出身者は経営陣を外れ、7人の取締役の5人を社外取締役にした。
カルビーは2008年度も黒字。スナック菓子の国内シェアは約4割に及ぶ。人気商品のポテトチップスでは国内のジャガイモ生産者を囲い込み、他社の追随を許さない。
だが松尾雅彦相談役ら創業家は、その先を見る。国内の菓子市場は少子高齢化で縮小が続く。ジャガイモ生産者も高齢化が進み、これ以上、国内調達を増やすのは難しい。
数年前から海外展開に力を入れるが、米欧の食品メジャーが農家を押さえ、ジャガイモの調達がままならない。「ならば」。売り上げ規模で約30倍のペプシコと組んだ。創業家は未来を拓(ひら)くため設立60年で居心地のいい「一国一城のあるじ」の座を捨てた。
同じ6月、染毛剤最大手のホーユーは、クラシエホールディングス(旧カネボウ)の買収で、クラシエの大株主である国内投資ファンド3社と基本合意した。
非上場のホーユーは白髪染めの「ビゲン」などで国内染毛剤市場の4割を押さえ、実質無借金経営。だが高齢化で安定成長が見込める白髪染め剤には花王も攻勢をかける。いずれは人口減で市場も縮む。創業者の孫にあたる水野新平社長は将来を見据え、リスク覚悟で買収に乗り出した。
中堅・中小企業のM&Aを仲介する日本M&Aセンターは、3月に単月で過去最高の15件を成約、9月も約15件を見込む。昨年までは月平均5~6件だった。「コスト削減や営業強化といった従来の企業努力では生き残れないとの危機感がある」と分林保弘会長は指摘する。
キリンとの統合が報じられた翌日の7月14日。サントリーの佐治信忠社長は本社で投資銀行ロスチャイルド・ジャパン会長のフィリップ・ド・ニコライ氏と会っていた。ロスチャイルドは欧州のM&A助言でトップクラス。2世紀以上にわたって企業の合従連衡を仲介してきた「M&Aの番人」である。
トップ企業同士の統合となるキリンとの交渉に話しが及ぶとニコライ氏は言った。「当然の流れだ」
7月末時点の世界企業の時価総額を業種別ランキングにすると、日本企業が首位なのは自動車(トヨタ自動車)など38業種中3業種だけ。米国は19業種、中国(香港上場を含む)は6業種だ。伸びない国内市場を多くの企業で分け合う日本の弱点が浮かぶ。新興国企業に押し出されてベスト5に日本が1社も入らない業種が24もある。
中小企業も走る
「新興国企業を甘く見てはいけない。トヨタも数十年前には新興国の新興企業だった」。ボストン・コンサルティング・グループ日本代表の水越豊氏はこう警鐘を鳴らす。
日本が新興国だった時代と違い、今は資本がグローバル化している。その分だけ資金調達は容易で、政府の後押しもある。新興国企業は、技術力がなくても「価格勝負」と割り切って、猛烈にシェアを取りに来る。日本企業も成長を目指して新興国市場を目指すが、そこで勝つにはさらなる規模と資本力が必要だ。
「キリン・サントリーに触発されて他業界も動く」。投資銀行業界では今、日本発のビッグディール(大型再編)への予感が高まる。大企業も中堅・中小も、経済危機後の新しい競争に備え、姿を変え始めた。日本株式会社の再編である。
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