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:2009:07/23/11:05 ++ 選択09衆院選何が問われるか(1)責任ある成長政策を。
論説委員長 平田育夫
総選挙を経て新内閣ができるころ、リーマン・ショックから1年になる。その傷は実に深かった。
景気なお厳しく
政府は7月の月例経済報告で景気に持ち直しの動きがあることを指摘した。だが日銀の6月の調査では製造業・大企業の業況判断指数は3月より改善したもののマイナス48。金融危機の最中だった1999年春ごろと同じ低水準だ。
市場経済を守るために政府や日銀が経済への関与を強める。そんな皮肉な状況は続く。次期政権は今春に続くもう一段の経済対策を念頭に置かざるを得ないだろう。
それも急場をしのぐ需要追加だけでなく、成長戦略を立てて各種改革をも進める必要がある。
カネがカネを生む金融資本主義には限界が見えた。だが従来型の工業重視、もの作り信仰だけでは新興国の追い上げが激しい。米欧は環境・情報技術を軸とした産業革新を目指している。リーマン・ショック後のこの潮流をどう受け止めて成長戦略を練り直すのか。
このあたり、自民党政権も民主党もはっきりしない面がある。
温暖化対策で日本は太陽光発電や蓄電池など優れた技術を持つ。各国が温暖化ガスの厳しい排出削減で合意できれば日本の技を大いにいかせる。だが麻生政権は電力、鉄鋼などの産業に配慮し目標設定の主導権を握るのを避けている印象だ。
その点、民主党は意欲的な削減目標とその実現に向けた排出量取引の導入を提唱する。ところがガソリン税や軽油引取税の大幅軽減もうたう。温暖化ガスの削減と矛盾しないのだろうか。
再生医療などの医療技術でも日本は世界最先端を行く。患者救済だけでなく医療・医薬品産業の成長を望める。その障害は新薬や新技術に対する長期間の審査など様々な規制だ。麻生政権は規制の改善をうたうものの、目立った進展はない。
そもそも、政治家は民間の創意工夫をどこまで信頼しているのか疑いたくなる昨今である。
民主党は民営化した郵政事業について、政府保有株の売却凍結などを主張する。自民党内にもこれに賛同する声があるのは理解しがたい。
「官から民へ」の象徴である郵政民営化を後退させれば、特殊法人改革にも支障を来すのを含め影響は計り知れない。
また民主党は製造業派遣の大幅な制限を提案する。一部に過酷な労働実態があるとしても、正規社員との格差を縮めるのが筋。派遣制限は問題の解決にならない。民間の活力をそぐだけだ。
企業の力をいかすには国際的に高い法人税の軽減も要る。特に赤字繰越期間(7年、米国は20年)の延長は外国資本を呼び込むためにも欠かせないが、両党とも法人税減税には触れない。
目を海外に転じよう。企業の市場はアジアを中心に世界に広がる。そこで大事なのが通商自由化だが両党の関心は弱い。
日本は東南アジアの国々と自由貿易協定(FTA)を含む経済連携協定(EPA)を結んだが、関税の下げ幅は小幅で国内の製造業者らの不満は強い。大きな原因は日本が農業市場の開放を渋ったことにある。
その農業で民主党は小規模農家も保護する戸別所得補償を掲げる。自民党もこれに引きずられ生産性向上を狙う農地集約政策を半ば放棄した。
これでは、民間の技術力をいかして高齢化時代にも成長を続けるための道筋が全く見えない。
消費税避けるな
そんななか欧州連合(EU)と韓国は先週、FTA交渉で合意した。自動車や薄型テレビの関税が大幅に下がればEU市場で韓国製品が日本製品より有利になる。不況でも先を読んで着々と手を打つ国々もある。
一方、民主党は月2万6000円の「子ども手当」を売り物とするが、財源措置は必ずしも明確でない。消費税増税を4年間は議論しないのならば慎重すぎないか。
破綻に近い財政を積極活用するならば「帰り道」を示さないと、企業も個人も安心できず、財政活用の効果も限られよう。
両党とも内向きで口当たりの良い話ばかりだ。政権選択の選挙ならばこそ、長期を見据えた責任ある政策を聞きたい。
総選挙を経て新内閣ができるころ、リーマン・ショックから1年になる。その傷は実に深かった。
景気なお厳しく
政府は7月の月例経済報告で景気に持ち直しの動きがあることを指摘した。だが日銀の6月の調査では製造業・大企業の業況判断指数は3月より改善したもののマイナス48。金融危機の最中だった1999年春ごろと同じ低水準だ。
市場経済を守るために政府や日銀が経済への関与を強める。そんな皮肉な状況は続く。次期政権は今春に続くもう一段の経済対策を念頭に置かざるを得ないだろう。
それも急場をしのぐ需要追加だけでなく、成長戦略を立てて各種改革をも進める必要がある。
カネがカネを生む金融資本主義には限界が見えた。だが従来型の工業重視、もの作り信仰だけでは新興国の追い上げが激しい。米欧は環境・情報技術を軸とした産業革新を目指している。リーマン・ショック後のこの潮流をどう受け止めて成長戦略を練り直すのか。
このあたり、自民党政権も民主党もはっきりしない面がある。
温暖化対策で日本は太陽光発電や蓄電池など優れた技術を持つ。各国が温暖化ガスの厳しい排出削減で合意できれば日本の技を大いにいかせる。だが麻生政権は電力、鉄鋼などの産業に配慮し目標設定の主導権を握るのを避けている印象だ。
その点、民主党は意欲的な削減目標とその実現に向けた排出量取引の導入を提唱する。ところがガソリン税や軽油引取税の大幅軽減もうたう。温暖化ガスの削減と矛盾しないのだろうか。
再生医療などの医療技術でも日本は世界最先端を行く。患者救済だけでなく医療・医薬品産業の成長を望める。その障害は新薬や新技術に対する長期間の審査など様々な規制だ。麻生政権は規制の改善をうたうものの、目立った進展はない。
そもそも、政治家は民間の創意工夫をどこまで信頼しているのか疑いたくなる昨今である。
民主党は民営化した郵政事業について、政府保有株の売却凍結などを主張する。自民党内にもこれに賛同する声があるのは理解しがたい。
「官から民へ」の象徴である郵政民営化を後退させれば、特殊法人改革にも支障を来すのを含め影響は計り知れない。
また民主党は製造業派遣の大幅な制限を提案する。一部に過酷な労働実態があるとしても、正規社員との格差を縮めるのが筋。派遣制限は問題の解決にならない。民間の活力をそぐだけだ。
企業の力をいかすには国際的に高い法人税の軽減も要る。特に赤字繰越期間(7年、米国は20年)の延長は外国資本を呼び込むためにも欠かせないが、両党とも法人税減税には触れない。
目を海外に転じよう。企業の市場はアジアを中心に世界に広がる。そこで大事なのが通商自由化だが両党の関心は弱い。
日本は東南アジアの国々と自由貿易協定(FTA)を含む経済連携協定(EPA)を結んだが、関税の下げ幅は小幅で国内の製造業者らの不満は強い。大きな原因は日本が農業市場の開放を渋ったことにある。
その農業で民主党は小規模農家も保護する戸別所得補償を掲げる。自民党もこれに引きずられ生産性向上を狙う農地集約政策を半ば放棄した。
これでは、民間の技術力をいかして高齢化時代にも成長を続けるための道筋が全く見えない。
消費税避けるな
そんななか欧州連合(EU)と韓国は先週、FTA交渉で合意した。自動車や薄型テレビの関税が大幅に下がればEU市場で韓国製品が日本製品より有利になる。不況でも先を読んで着々と手を打つ国々もある。
一方、民主党は月2万6000円の「子ども手当」を売り物とするが、財源措置は必ずしも明確でない。消費税増税を4年間は議論しないのならば慎重すぎないか。
破綻に近い財政を積極活用するならば「帰り道」を示さないと、企業も個人も安心できず、財政活用の効果も限られよう。
両党とも内向きで口当たりの良い話ばかりだ。政権選択の選挙ならばこそ、長期を見据えた責任ある政策を聞きたい。
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