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:2008:05/28/09:28 ++ 鉄鋼、8割を価格転嫁、3兆円のコスト増分、家電とも大筋合意(景気がわかる)
新日本製鉄など鉄鋼大手が主要ユーザー業界と進めていた今年度の鋼材価格交渉が決着の見通しとなった。自動車などに続き家電大手とも二十七日までにほぼ妥結。石炭や鉄鉱石の原料急騰による年三兆円強のコスト増を産業界でどう分担するかが注目されたが、鉄鋼業界はその八割近くを顧客企業に転嫁できるもよう。今後は自動車業界などが最終製品への価格転嫁に動くかが焦点になる。
家電業界向けの交渉は新日鉄と松下電器産業との間で二〇〇八年度上期(〇八年四―九月)に前年度比二割強にあたる一トンあたり二万円の値上げをまず実施、下期(〇八年十月―〇九年三月)に同一万円積み増し、上げ幅を四割弱に拡大することで大筋合意した。他の家電大手とも同様の水準で妥結する方向だ。
新日鉄など鉄鋼大手四社はすでにトヨタ自動車と前年度比三五%高い一トンあたり二万八千円の値上げで合意。トヨタ以外の自動車メーカーとも同水準で合意し始めている。造船各社も家電業界と同水準の値上げ幅を大筋で受諾している。これにより各業界向けの鋼材価格は初めて一トン十万円の大台に乗る。
「建設」6000億円強
一トン約三万円とみられていた鉄鉱石と石炭の大幅な価格上昇によるコスト増加分をほぼ「満額」転嫁したかにみえる鉄鋼業界だが、家電、造船向けなどは値上げ時期を一部ずらして顧客負担を軽減するほか、鉄スクラップの値上がりなどでコストが当初想定より膨らむ可能性も出ている。日本鉄鋼連盟の宗岡正二会長(新日鉄社長)は二十七日、記者団に「鉄鋼業界の負担割合が全体の二割を下回ることはないだろう」と指摘。同業界の自己負担分は六千億円以上になる見通しだ。
一方、主要ユーザー業界には大きな負担がのしかかる。鉄鋼業界が顧客企業に転嫁したコストを三兆円の八割の二兆四千億円と想定。業界別の鋼材受注量を基に計算すると自動車業界の負担増は国内生産分だけで五千億円弱になり、海外生産分を含めると計一兆円前後になる。建設業界が六千億円強の負担増になるほか、造船は千百億円強、家電は六百億円程度になるとみられる。
今期業績上ぶれ
値上げ交渉の決着は鉄鋼各社の今期業績を上ぶれさせそうだ。
新日鉄の場合、四月二十五日の決算発表で一トン二万円弱の値上げを前提にして〇九年三月期の連結経常利益が前期比三四%減の三千七百億円になるとの見通しを出していた。それを上回る値上げの実現で自動車業界向けだけでも数百億円規模の利益押し上げ要因となり、減益幅が縮小しそう。大手各社は七月下旬の第一四半期業績発表時に通期予想を上方修正する可能性がある。
ただ株式市場の反応は冷静だ。多くの証券アナリストは以前から二万円台半ばから後半の値上げを織り込み、鉄鋼大手の今期業績は一割前後の経常減益にとどまると予想していた。このため市場関係者は鉄鋼各社が転嫁しきれなかったコスト増分を生産合理化などでどう吸収するかに注目し始めている。
【図・写真】鉄鋼大手と主要ユーザー業界の価格交渉がほぼ終了した(JFEスチールの東日本製鉄所)
家電業界向けの交渉は新日鉄と松下電器産業との間で二〇〇八年度上期(〇八年四―九月)に前年度比二割強にあたる一トンあたり二万円の値上げをまず実施、下期(〇八年十月―〇九年三月)に同一万円積み増し、上げ幅を四割弱に拡大することで大筋合意した。他の家電大手とも同様の水準で妥結する方向だ。
新日鉄など鉄鋼大手四社はすでにトヨタ自動車と前年度比三五%高い一トンあたり二万八千円の値上げで合意。トヨタ以外の自動車メーカーとも同水準で合意し始めている。造船各社も家電業界と同水準の値上げ幅を大筋で受諾している。これにより各業界向けの鋼材価格は初めて一トン十万円の大台に乗る。
「建設」6000億円強
一トン約三万円とみられていた鉄鉱石と石炭の大幅な価格上昇によるコスト増加分をほぼ「満額」転嫁したかにみえる鉄鋼業界だが、家電、造船向けなどは値上げ時期を一部ずらして顧客負担を軽減するほか、鉄スクラップの値上がりなどでコストが当初想定より膨らむ可能性も出ている。日本鉄鋼連盟の宗岡正二会長(新日鉄社長)は二十七日、記者団に「鉄鋼業界の負担割合が全体の二割を下回ることはないだろう」と指摘。同業界の自己負担分は六千億円以上になる見通しだ。
一方、主要ユーザー業界には大きな負担がのしかかる。鉄鋼業界が顧客企業に転嫁したコストを三兆円の八割の二兆四千億円と想定。業界別の鋼材受注量を基に計算すると自動車業界の負担増は国内生産分だけで五千億円弱になり、海外生産分を含めると計一兆円前後になる。建設業界が六千億円強の負担増になるほか、造船は千百億円強、家電は六百億円程度になるとみられる。
今期業績上ぶれ
値上げ交渉の決着は鉄鋼各社の今期業績を上ぶれさせそうだ。
新日鉄の場合、四月二十五日の決算発表で一トン二万円弱の値上げを前提にして〇九年三月期の連結経常利益が前期比三四%減の三千七百億円になるとの見通しを出していた。それを上回る値上げの実現で自動車業界向けだけでも数百億円規模の利益押し上げ要因となり、減益幅が縮小しそう。大手各社は七月下旬の第一四半期業績発表時に通期予想を上方修正する可能性がある。
ただ株式市場の反応は冷静だ。多くの証券アナリストは以前から二万円台半ばから後半の値上げを織り込み、鉄鋼大手の今期業績は一割前後の経常減益にとどまると予想していた。このため市場関係者は鉄鋼各社が転嫁しきれなかったコスト増分を生産合理化などでどう吸収するかに注目し始めている。
【図・写真】鉄鋼大手と主要ユーザー業界の価格交渉がほぼ終了した(JFEスチールの東日本製鉄所)
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