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:2009:03/18/09:04 ++ 情報通信市場で30―40万人雇用、総務省骨子、3年で創出。
同プロジェクトは、鳩山総務相の私的懇談会である「ICTビジョン懇談会」が二月にまとめた緊急提言を踏まえ策定、内容は提言をほぼ踏襲した。今後、新たな経済成長戦略や追加経済対策に向け政府内の調整を急ぐ。
プロジェクトでは具体的事業として、最先端通信技術を集中投入する「ユビキタスタウン」の創設を提言。定住自立圏構想を進める地方自治体の情報インフラ整備にも役立てる。このほか中央省庁の情報システムを集約・統合する「霞が関クラウド」構想も掲げ、行政の効率化を目指すとした。
:2009:03/18/08:59 ++ 太陽光発電、官民で強化策、世界シェア3分の1超に――シリコン安定調達へ融資。
政府は太陽光発電を将来の日本の成長エンジンと位置付ける。経産省と、シャープや三洋電機、東京電力などで構成する「ソーラー・システム産業戦略研究会」が報告書をまとめ、二階俊博経済産業相が十八日に開く政府の経済財政諮問会議でこの内容を公表する。
日本企業は世界に先駆けて太陽電池を事業化。〇〇年代前半は世界の生産シェアの半分程度を占めたが、足元は欧米や中国のメーカーの追い上げが急だ。
世界の太陽電池生産量が〇七年で三千七百三十三メガワットと二年前に比べ二倍以上に増えるなか、日本企業のシェアは首位ながらも全体のほぼ四分の一に落ち込んだ。
報告書では、太陽光発電の普及促進を図る具体策を提示。全量を中国などからの輸入に頼る太陽電池パネルの原材料である金属シリコンについて、安定調達に向けて日本政策金融公庫の国際部門である国際協力銀行を通じた融資や、日本貿易保険の貿易保険を活用し、企業の事業リスクの一部を国が負担することを検討する。
一方で、設置済みの太陽光パネルが老朽化すれば、大量の廃棄物が発生する。官民が協力して、シリコンなどを再利用できる工場や仕組みもつくる方向だ。
また、一定規模の工場に緑地面積や環境施設を決まった比率で確保するよう求めている工場立地法も見直す。
太陽光パネルを使うことで緑地を設けたり、環境施設を造ったりしたのと同じ効果があったと見なすように、同法の準則などで示し、工場への設置を促す。
家庭などで太陽光を使ってつくった電力の余剰分を、電力会社が今後十年程度にわたって現在の一キロワット時二十四円の約二倍の五十円弱で買い取る新制度も導入。このほか、太陽光でつくった電力をためるための蓄電池の研究開発の加速や、太陽光発電システムの国際標準化の推進、途上国の太陽光パネル導入の支援なども盛った。
これらの施策によって二〇年には日本企業の太陽電池の生産シェアを世界の三分の一超に高める目標を設定。現在の国内市場規模は一兆円、雇用は一万二千人程度だが、目標を達成すれば、経済効果は最大で十兆円、雇用規模は十一万人になると試算している。
:2009:03/17/09:29 ++ 日立トップ事実上引責、業績悪化で「続投」撤回、長期低迷、財務も弱体化。
「二〇〇九年度の業績もかなり厳しく、人心一新で再建を目指したい」。十六日夕の記者会見で古川社長は突然の交代の理由をこう説明した。
3年で社長退任
同社は二月三日に四月一日からの経営体制をすでに発表ずみだった。執行役のトップとして古川社長が続投し、四人の副社長が支える体制。この時点で「(新体制への移行は)まったく考えていなかった」(古川社長)が、わずか一カ月半弱で翻意を余儀なくされ、自らも歴代最短となる就任三年で社長を退くことになった。
背中を押したのは急速な経営環境の悪化だ。〇九年度予算を策定する二月末以降になって新年度も業績が極めて厳しいことが判明、「社内から経営責任を追及する声が高まった」(日立関係者)という。「庄山会長と相談し、人心一新が必要と判断した」と古川社長は説明する。
庄山氏が社長の時代に日立本体の副社長を務め、現在はグループ上場会社の日立プラントテクノロジーと日立マクセルの会長を務める川村氏は古川現社長より七歳上。さらにかつての庄山社長体制を同じく役員として支え、現在はグループ会社に転じている八丁地隆氏(62)と三好崇司氏(61)も四月一日付で日立本体の副社長に戻す。
時計の針を戻す
「若返りの時代にベテランで臨み、昔の強みを戻す」。庄山会長は今回の人事をこう説明した。それは過去十年が日立にとっての「失われた時代」だったことを実質的に認め、時計の針を元に戻す動きともいえる。
一九九九年に社長に就任した庄山氏は二〇〇三年、二千五百億円を投じて米IBMからハードディスク駆動装置(HDD)事業を買収。〇五年には松下電器産業(現パナソニック)、東芝と共同で液晶パネルの製造会社「IPSアルファテクノロジ」を設立した。これらの事業がその後、日立の業績の足を引っ張り、〇七年度までの赤字の大きな原因となった。
〇六年に社長になった古川氏は赤字事業の構造改革を進めたものの経営資源を振り向けた自動車部品事業が未曽有の不況で失速。「今期は単体ベースで二千八百億円の売上高ながら、数百億円規模の営業赤字となる見通し」(幹部)という。
庄山氏が社長になって以降、〇九年三月期までの十年間の連結最終損益を合算すると一兆円を超す赤字。その結果、十年前に三〇%近くあった自己資本比率は〇八年十二月末に一七・四%に下がり、かつての強みだった財務基盤は大幅に弱まった。「物静かで目立つタイプではない」(日立OB)と評され、経営手腕も未知数の川村氏に残された時間は多くない。
:2009:03/16/11:47 ++ 【竹中平蔵 ポリシー・ウオッチ】政権の正統性を問う
政治の世界において、まず問われるべき重要問題がある。政権を担う「正統性」(レジティマシー)の問題だ。郵政問題への対処を見るかぎり、麻生内閣は民主主義と自由主義の根本を無視している。この2点を無視した内閣には、いまや政権を担う「正統性」が問われる。
現政権は、平成17年の総選挙において与党が3分の2の多数を得たことに基盤を置いて成立している。いうまでもなくその選挙は、郵政公社を4分社化し民営化することの是非を問う選挙だった。現政権の経済無策は深刻だが、それ以前に、選挙で公約した郵政民営化を実直に進めようとしていないのが問題なのだ。
まず実績をみておこう。日本郵政が民営化されてからまだ1年半ではあるが、西川(善文社長)体制は短い期間にかなりの実績を挙げている。第1は収益力の向上である。公社時代の国庫納付金に比べると、民営化された後の納税額はおおむね3倍になる計算だ。
郵便需要の構造的な減少の中、郵政を公社のままで続ければ極めて深刻な赤字体質となることが予想されていた。民営化による業務多様化の本番はこれからであるが、出だしの収益力向上は朗報だ。第2に収益向上の結果として、郵便局の閉鎖が一気に減少した。国営であれば郵便局は減らないという「迷信」に反し、公社の4年間、年平均約50局の郵便局が閉鎖された。しかし民営化後の閉鎖はわずか1局のみ。簡易局の一時閉鎖も減少しはじめた。
極めつきは、民間基準で「実質関連会社」を精査し、利権の巣窟(そうくつ)のような219社の関連会社をあぶり出したことだ。これまで国民に明らかにされてこなかったこうしたファミリー会社に、実に2000人もが天下っていた。日本の郵便料金はアメリカの約2倍の水準だが、こうした国民負担によって、ファミリー会社の権益が維持されてきた。民営化された郵政は、そうした膿を出させたのである。
こうした中、今回のかんぽの宿売却問題が生じた。民営化決定の当時、かんぽの宿は105カ所、うち61カ所が運営収支(償却前)の段階で赤字、償却後はすべて赤字という信じがたい内容だった。つまりかんぽの宿は、地元への政治的な利益誘導や利権確保のために採算を度外視して作られたものであり、正真正銘の「不良資産」なのだ。だからこそ5年以内の処分が法律で義務づけられた。持っているだけで赤字がかさむものを一刻も早く処分するのは、当然の経営判断でもある。
そのプロセスに、もしも問題があるなら、これをすみやかに解決し、売却を実現するのが郵政を所管する鳩山邦夫総務相の責務である。にもかかわらず鳩山総務相は、日本郵政の経営者を批判し、関係者の風評リスクをあおるような行為を重ねてきた。
赤字を垂れ流し国民負担を増やすような施設をここまで作ってきた人間こそ批判されるべきである。にもかかわらず、メディアでもそれを売却しようとする側への批判ばかりが目立つようになった。そこに、麻生太郎首相自身が「郵政民営化に反対だった」と発言したのである。既得権益者の高笑いが聞こえるようだ。郵政民営化選挙で得た議席の上に内閣を運営する正統性はもはや存在しない、と言うほかない。
■自由な経営判断を脅かす
民主主義からの正統性に加え、自由主義の視点からも正統性が疑われる。自民党は党則で「自由主義」の政党であることをうたっている。そもそも民営化とは「民間の経営に任せること」であったはずだ。たとえ政府が100%の株式を持っていようと、自由な“経営判断”を政治家や官僚がゆがめてはならない。経営判断は経営者に任せること、政府は介入しないという点は、過去の国会答弁でも確認されている。しかるに担当相は、経営判断に立ち入った介入を行っている。
いつ資産を売却するかは、経営者が判断すべき問題だ。極めつきは東京中央郵便局再開発への介入だ。この問題は、増田寛也前総務相の下で協議され、民間ベースの契約も終えているものだ。現地視察の様子はテレビにも映し出されたが、現場の関係者に大声をあげる鳩山総務相の姿は、さながら恐怖政治のようである。さすがに経済同友会代表幹事からも総務相批判の声があがった。政治の権力で民間の経営が脅かされるようでは、党の掲げる“自由主義”は有名無実だ。
自由な市場という観点から言えば、そもそも「かんぽの宿の売却価格が安すぎる」という発言そのものが、常識を外れている。かんぽの宿は、かつて年間100億円超もの赤字を出していた。これがかなり改善されたが、それでも年間40億円の赤字を計上している。資産の価値は、それが生み出す収益の割引現在価値で決まる。そんな事業に100億円というのは、売り手から見ればむしろ相当よい条件といえよう。入札をやり直すことになったが、その間の機会費用まで考えると、今回の事案で実質国民負担が増えることはまず間違いない。何より、資産価格は何で決まるかという市場経済のイロハが理解されていない点に、政策当局への絶望的な不信感が広がる。
麻生内閣の下で、日本経済のパフォーマンス(前四半期のGDPマイナス12・7%成長)は主要国で最悪のものとなった。一方で経済政策の規模はアメリカの半分以下だ。しかしこうした政策の失敗以前に、民主主義と自由主義の観点から、政権の正統性そのものが問われているのである。=おわり
:2009:03/16/10:24 ++ 来春採用、本社調査―新興企業、7年連続増、金融上位は大幅に削減。
ジャスダックなど新興市場に上場している企業の大卒採用は七年連続のプラスとなった。サービスや外食など国内市場で事業を展開する企業を中心に人材獲得意欲は依然として旺盛だ。特に理工系学生の採用計画数は〇九年に比べて二〇・三%伸びる。ただ、文系学生は一〇・五%減とマイナスに転じるなど一部で陰りも見え、全体の伸び率は一八・五ポイント減の七・七%となった。
採用計画数が最も多いのは病院給食最大手の日清医療食品。大卒は三百四十八人で、短大や高校卒を含めた総合計は八百十五人を採用する。経営コストを抑えるため給食サービスを外注する医療機関が増えており、採用拡大で対応を急ぐ。
増加数首位は給食・カラオケ大手のシダックスグループ。学校や老人ホームなどからの給食受託の拡大に向け、栄養士の資格を持った学生らを中心に〇九年比四・三倍に増やす。ホームセンター大手のナフコも同三・四倍の百二十人に増やす。〇八年は出店計画の延期があり新卒採用を抑えたが、〇九年は新規出店ペースが元に戻り、採用も拡大に転じる。
新興企業の大卒採用を文系・理工系別でみると、文系は〇九年実績に比べてマイナスに転じた。特に製造業の文系採用が三三・七%減とマイナス幅が大きくなった。
理工系の採用は高水準が続く。製造業は一二・五%増、非製造業も二六・五%増やす。〇九年の採用計画と実績を比べた充足率は、文系が八五・七%なのに対し、理工系は五八・五%。大手との獲得競争が激しかった理工系学生の確保に力を入れる企業が増えているようだ。
一方、大手の採用計画は総じて低調だ。東証一部上場企業なども含めた全体の採用計画者数ランキングで上位に並ぶ企業も、〇九年より採用を減らす例が目立つ。
首位のみずほフィナンシャルグループは、大卒は〇九年より二五%少ない約千七百五十人を採用する。三井住友銀行も千人を超える採用を維持するが、〇九年の水準からほぼ半減する。〇八年七月に派遣社員二千人を正社員に切り替え、人員の不足感が薄れているのも理由だ。
東京電力は昨年の二十七位(一次集計)から六位に上昇した。青森県の東通原子力発電所の新設など一四年以降に新規原発の稼働が控えているため、運転や保守要員を増やす。
製造業で採用人数が最も多いのは三菱重工業。航空機事業などで人材を確保するため高水準の採用を維持する。ただ、〇九年の大卒採用を当初計画に比べて約百人増やしたため、大卒は一九%減らすなど採用数は前年より減らす。
【図・写真】リクルートが開催した10年春卒業予定の学生向け合同会社説明会には多くの学生が詰めかけた(08年11月)
二〇〇九年春入社の大卒社員の平均初任給は、〇八年に比べて〇・四%(八百九十七円)増の二十万六千七百六十七円となった。景気の急減速を受けて前年並みとする企業が多く、伸び率は前年から半減した。
業種別の伸び率首位は銀行で一・七%(三千二百四十四円)。〇八年春も一位だったが、伸び率は三・八ポイント下がった。次いで建設の一・四%増。大成建設や大林組、熊谷組などがそろって五%(一万円)引き上げて二十一万円とする。
個別企業の伸び率トップは、北陸銀行グループなど地方銀行五行。一七・八%(三万一千円)増の二十万五千円だった。十位までの七社を地銀が占めた。他業種に比べて初任給の低い銀行は〇八年、都市銀行や信託銀行を中心に大幅引き上げに踏み切った。〇九年も地銀の一部が追随した格好だ。
初任給額が最も多いのは楽天、サイボウズ、グローバルダイニング、日興コーディアル証券の三十万円。次にリクルートの二十九万七千七百五十五円だった。
▼調査の方法 日経リサーチの協力を得てアンケート方式で実施した。調査対象は上場企業及び日本経済新聞社が独自に選んだ有力な非上場企業で、合計4817社。一次集計は3月3日までの回答を基にしており、回答企業数は採用人数の未確定企業を含めて2291社。伸び率の計算は採用計画が確定した企業で算出した。
:2009:03/13/11:20 ++ 第2部NOリターン(2)政府依存は解ならず(世界この先)
伏木を含む同県の三つの港は中古車輸出の海の玄関。中でも伏木は輸出量の九八%がロシア向けだ。ロシアにも不況が及び、売れなくなったのは事実だが、それだけでは説明がつかないほどの落ち込みだった。
輸入関税2倍に
港湾関係者から返ってきたのは嘆き節だった。「プーチンさんに聞いてよ」
ロシア政府が一月に実行に移した国内自動車産業保護のための輸入関税引き上げが背景だった。税額は五年超の中古車で二倍弱に。大統領補佐官のドボルコビッチは言う。「自国産業の保護はどの国だって進めているではないか」
あちこちで安易な政府依存の動きが出始めた。国境を越えられない民主政治は国内産業や雇用に目を向けざるを得ないからだ。
米景気対策法には国内製品購入を義務付ける「バイアメリカン」条項が入り、米政府はシティグループの普通株式の三六%を保有する支援策を発表。日本でも政府系金融機関の緊急融資や政府保証が景気対策で多用され、「大きすぎる官」への逆戻りを懸念する声はかき消されつつある。
今年二月、仏政府は「仏国内の生産拠点を存続すること」を条件に仏自動車メーカーへの低利融資を実施。すると、仏メーカーが進出するチェコから「自国内で雇用不安が起きる」との不満が噴き出した。
先進国だけではない。みずほ総合研究所によると、中国は約三千七百品目で輸出品付加価値税の還付率を引き上げた。アルゼンチンは一部農産物の輸出税を五%下げ、ウクライナは一三%の輸入課徴金賦課法案を議会が可決した。
需要不足を穴埋めする緊急避難の財政出動などはやむを得ない。だが、それは民間の活力が高まり、新たな成長の道筋が見えたところで政府が舞台から退く「出口戦略」があってこそ効果を発揮する。目的を終えた後も政府が力を持ちすぎる状態が続けば経済全体の活力はそがれてしまう。
歴史に学べば保護主義の末路は悲惨である。一九二九年の株価大暴落を受けた米国は翌年、産業保護を目的にスムート・ホーレー関税法を制定、世界が自国保護に走る口実を作った。大恐慌研究で知られるキンドルバーガーは著作「大不況下の世界」で、「各国がそれぞれの個別的な国益を擁護することに転じたとき、世界全体の利益は失われた」とした。世界は経済ブロック化を経て第二次世界大戦に突き進んだ。
二人の共犯の囚人がいる。自分だけが有利になるように自白すると結果的に二人で黙秘するより刑が重くなる。「囚人のジレンマ」だ。今の世界も「自国優先で全体の利益が損なわれるジレンマに直面しかねない」と経済産業研究所の小林慶一郎(42)はみる。
「悪い民主主義」
株式市場に不気味な予測が出始めている。今年一月、米メリルリンチの主席投資戦略家、R・バーンスタインは世界の投資家にあるメモを送った。「新興国経済は打撃を受ける。だが軍需株は世界的に買いだ」
公的支援を受けた米金融機関は国内融資に傾き、新興国から資金を引き揚げる。各国が内向きになり、排外主義が高じると国家と国家が衝突するリスクが高まる。大恐慌は結局のところ第二次大戦による膨大な需要創出があって終わりを告げた、それなら今も……。そんなシナリオだ。
今の世界でまさか戦争に期待をかけるわけにはいかない。だからこそ財政出動の国際協調などが必要だ。英経済政策研究センターは日米欧と新興国で構成する二十カ国・地域(G20)で「保護主義を防ぐための相互監視」を提言した。百年に一度の危機は保護主義を助長する「悪い民主主義」に陥らない自制心を世界に求めている。
:2009:03/12/12:10 ++ 景気と環境エコカー普及で両立めざせ(社説)
日本政府は来年度の税制関連法案に、燃費性能の高い新型車について自動車取得税などの減免措置を盛り込んだ。例えばホンダのハイブリッド車「インサイト」を買う場合、購入時の税負担が十万円強軽減され、一定の需要喚起が期待できる。
だが、個人消費の落ちこみは厳しい。税の減免にとどまらず、もう一歩踏み込み、購入の際の補助金支給を時限措置として検討できないか。
その点で参考になりそうなのが「スクラップ補助金」と呼ばれるドイツの事例だ。独政府は一年間の期間限定で、車齢九年以上の古いクルマを廃車にし、新車に買い替える際に、二千五百ユーロ(約三十一万円)の補助金を支給している。効果は予想以上で、二月の新車販売は前年同月比二二%増に跳ね上がった。
日本でも車齢九年以上の古いクルマは全国で約二千万台ある。これを燃費性能が高く、排ガスもきれいな新型車に置き換えることは、環境対策の点からも意義は大きい。
「なぜ自動車を特別扱いし、補助金を出すのか」という疑問は当然あるだろう。一つの理由は自動車産業のすそ野の広さ、波及効果の大きさだ。ゼネラル・モーターズなどが経営危機に陥った米国では、政府資金の投入を余儀なくされた。
日本における自動車産業の存在感はさらに大きい。自動車関連の雇用は約五百万人に達し、その浮沈は国内の景況感を大きく左右する。
もう一つは技術革新を後押しする効果だ。自動車産業は百年に一度の転機を迎え、ハイブリッド車や電気自動車など二酸化炭素の排出の少ない次世代車が次々に実用化されつつある。だが、次世代車は当初は値段が高い。補助金が需要拡大の呼び水となり、量産によるコスト低減に弾みがつけば、政府として「賢明な投資」といえるのではないか。
仕組み作りには細心の注意を要する。ドイツの場合は車齢基準さえ満たせば、ほぼすべての新車購入に補助金を出しているが、環境対策の観点からは、一定の燃費基準などを満たす新車に限るべきだ。
そうすれば、メーカー間の環境技術の開発競争も一段と熱を帯びるだろう。さらに環境性能の高いクルマであれば、国産車か輸入車かを問わず補助の対象とし、内外無差別の原則を貫くことは言うまでもない。
:2009:03/12/12:06 ++ セブン&アイ、大衆薬で低価格店、調剤最大手と共同展開、コンビニにも供給。
セブン&アイは昨年八月にアインと資本・業務提携した。今回はセブン&アイが過半を出資し五月をメドに運営会社を設立。新会社はイトーヨーカ堂の一部店舗の医薬品販売とアインのドラッグストア約十店を引き受け、売上高六百億円規模で立ち上げる。
新店は郊外などに単独で出すほか、ヨーカ堂やヨークベニマルなどグループのスーパー内に入居する。コンビニのセブン―イレブン・ジャパンとの共同出店も進め、二年以内に年間売上高をドラッグストア業界で十位前後に当たる一千億円まで増やす。
セブン&アイが参入するのは、六月から「登録販売者」という新設資格を持つ担当者を店に置けば、医師の処方せんのいらない一般用医薬品(大衆薬)の大半を販売できるため。高度な知識を持つ薬剤師は新たに採用する必要があるが、登録販売者は既存の社員でも資格が取りやすく、新店は人件費や運営経費を抑えられる。売上高の六-七割を見込む食品や日用品ではセブン&アイのPB「セブンプレミアム」も販売。他のドラッグストアに対し価格面で優位に立てるとみている。
セブン&アイは将来的には一万二千店あるセブンイレブンでも大衆薬の取り扱いを始める考え。コンビニは加盟店が深夜まで運営する形態が多く、現状では登録販売者の確保など医薬品販売は難しい。ただ今後の医薬品販売の一段の規制緩和しだいでは販売機会が広がるとみて、大衆薬販売を準備する。
主に大衆薬と化粧品、日用品を販売するドラッグストアの市場規模は二〇〇八年度に五兆二千億円に達する見込み。過去八年間で二倍に増えるなど、小売業界では数少ない成長分野だ。品ぞろえの中核の大衆薬は一兆円前後の市場規模があり、社会の高齢化で中長期的にも拡大が予想される。これまでは大衆薬は薬剤師がいないと販売できなかったため、価格競争が進まなかった。
:2009:03/12/12:00 ++ 第2部NOリターン(1)グローバル化に罪はない(世界この先)
グローバル化は本当に世界に格差や貧困をばらまいたのだろうか?
貧困層から脱出
インドの大手IT(情報技術)企業の日本法人で働くフナチギリ(34)は、同国南部の小村の出身者で最初に異国の地を踏んだ。「以前なら日本で働くなんて考えられなかった」
三千年超の歴史を持つインドのカースト制度は格差と階層固定化の象徴だった。身分が低ければ望む仕事にも就けず、子供はまともな教育を受けられない。フナチギリも高いとはいえない階層の出身だった。
そんな彼の人生が変わり始めるのは一九九一年。きっかけは外貨危機を受けた経済自由化政策だ。規制緩和、外資開放、人材育成。数学史に「ゼロの発見」を刻むインドはもともと理数に強いお国柄でもあり、効果はてきめんだった。
大学を卒業し、プログラム開発能力を身に付けたフナチギリの年収は七百万円。約二十万円で暮らす村での生活では考えられない水準だ。「過去二十年でインドはカースト・フリー社会に近づいた」と彼はいう。
豊かさをつかみ取る新中間層が爆発的に増えている。中国、ブラジル、インドネシア、メキシコ……。グローバル化で世界経済が融合し、先進国に富が集中する構図が変わり始めた。
一に近いほど所得格差が大きいことを示すジニ係数。米コロンビア大教授のサライマルティン(45)によれば世界全体の係数は七〇年には〇・六七だったが、二〇〇六年には〇・六一に下がった。世界銀行によると一日一ドル二十五セント未満で暮らす貧困層も過去二十五年間で五億人減った。過去の経済成長の恩恵は広く及んだ。マクロで見ればグローバル化が人々を不幸にしたと断ずる理由は乏しい。
サライマルティンは「今世紀にはアフリカでも貧困脱出が始まった」と言う。グローバル化の恩恵を享受してきた先進国が不況に苦しむ今になって反グローバル化を唱えるのは、貧困国が豊かになる権利を奪うエゴと紙一重ともいえる。
一方で、グローバル化が一人ひとりの個人に厳しい現実を突き付けるのは紛れもない事実である。
岩手県盛岡市で昨年十一月に電気機器メーカーから雇用契約を解除されたA(44)はぽつりぽつりと語り始めた。一月末に介護サービスのツクイで仕事を見つけるまでに送った履歴書は三十。慣れ親しんだ製造業で職を見つけたかったが、すべて断られた。企業が「労働力の世界最適調達」志向を強めてきたところに世界不況が重なり、欲しい仕事は“蒸発”してしまった。
切ない現実はグローバル化を敵視する風潮を生む。米ピュー・リサーチ・センターによれば、〇七年と〇二年の比較で「世界貿易が自国にプラス」とした比率が最も落ち込んだのは、自由市場信仰が最も強いといわれる米国だった。
鎖国でいいのか
グローバル化には光も影もある。だからといって鎖国的な政策を採用すれば世界は分断され、縮小均衡に陥る。必要なのはグローバル化の負を抑えつつ、効用を引き出す知恵だろう。
貧困層や失業者への生活保障、非正規労働者らの自立支援、労働市場のミスマッチ解消。実は社会民主主義志向の国も市場重視の国も課題に上る政策にさしたる違いはない。弱者に支援の手を差し伸べるだけではなく、再び市場に戻す「トランポリン政策」。帝塚山大教授の柏野健三(60)は「安全網の整備は自由市場を守るコスト」と言う。
民主主義が富裕層への課税強化による所得再分配を重視するのに対し、市場主義の立場は成長や投資の呼び水になる法人減税などを是とする傾向が強い。労働規制の対立も残る。だが、越えがたい壁ではない。
◇
反グローバル化、安易な政府依存、そして反市場。世界には内向きの機運がまん延する。だが、それでは事態は改善しない。苦し紛れのUターンを避ける意義を再考する。=敬称略
:2009:03/12/11:53 ++ 日立と東芝、定昇維持へ。
定昇は年齢や勤続年数、資格などに基づき年を追って賃金が増える仕組み。定昇が凍結・減額されると生涯賃金が減り実質的な賃下げになる。
減産に伴う賃金カットなどで社員の収入はすでに目減りしており、定昇見直しに踏み込めば現場の士気低下や労使関係の悪化につながりかねないと判断した。
日立などの経営側は賃金改善見送りなどと併せ、十八日に一斉回答する。今後は年間一時金が交渉の焦点になる。
:2009:03/12/09:03 ++ 三洋電機、希望退職者が殺到…想定2倍の988人
当初は半導体のグループ従業員1万人のうち、国内で500人程度とみていた。60億円を見込んでいた割り増し退職金は85億円に膨らむ見通しで、2009年3月期連結決算の税引き後利益は2年ぶりの赤字に陥る公算が大きい。
1月に発表した09年3月期の業績予想では、税引き後利益をゼロとしていた。 三洋は、不況で再就職が難しく、応募者は少ないと見ていたが、パナソニックの子会社になるのを前に同事業の先行きが不透明なことなどから、応募が想定を上回ったようだ。
:2009:03/11/09:55 ++ 中小企業、資金繰り正念場――金融庁、年度末へ銀行融資促す(景気がわかる)
この対策は与謝野馨財務・金融・経済財政相が同日の経済財政諮問会議後の記者会見で発表した。与謝野氏は「三月期末を控えた企業の資金繰りの問題もあるし、期末をうまく越えても四―六月にかけ、危険な局面になるとの見方もある」と対策の重要性を強調した。
対策の最大の柱は、大手銀行などを対象にした「貸し渋り」や「貸しはがし」についての集中検査だ。四―六月に実施し、露骨な貸し渋りがある場合は是正を促す。銀行の融資姿勢に対象を絞った検査は過去に例がない。事前に検査実施を発表することで、貸し渋りをしないよう銀行にけん制する効果も狙っている。
9行を対象に
集中検査の対象は三メガバンクの傘下銀行のほかに、りそな銀行、中央三井信託銀行、住友信託銀行の九行。融資先から「苦情の著しく多い地域金融機関」(検査局)も対象に含める。
検査では、中小企業のほかに、金融危機の影響で資金調達が難しくなっている中堅・大企業や個人(住宅ローン)にも適切に融資しているかどうかを点検する。信用力のある企業や個人に対しても銀行が融資を一方的に断っているようなことがないか調べる。検査は本部のほか、支店などの営業現場にも入る。問題が多く見つかった銀行には改善を促す。ただ、個別の案件の融資判断の是非には介入しない。
運用を弾力化
金融庁は二〇〇九年三月期から、自己資本比率規制を弾力化する。政府の緊急保証制度を使った融資について、自己資本比率規制の計算上の資産のリスク比率を現在の一〇%からゼロに下げ国債と同じ扱いにする。その分だけ銀行に貸し出しをする余力が増す効果を期待できる。
金融庁は、銀行に「財務制限条項」(コベナンツ)という融資条件の弾力運用も要請する。急激な業績悪化で一時的に自己資本が目減りした企業に同条項を機械的に適用して、不良債権と認定しないよう求める。
銀行が融資を続けやすいように同条項を見直した場合でも、金利減免などの措置をとらない限り不良債権には該当しないようにする。金融機関には、新しい金融機能強化法による公的資金の予防注入をできるようにする定款変更を検討するよう促す。
:2009:03/09/13:46 ++ 【2030年】第1部 働く場所はありますか(5)30代社員の憂鬱 「企業は老化する一方だ」
「もう慣れましたが、腹が立つのは僕より給料が高い40歳以上のバブル入社の連中です。数は多いのに優秀な人は少ない。彼らの使い走りばかりで責任ある仕事も回ってこない。僕らは少子高齢化って呼んでんですけどね」
8年入社で、大手食品メーカーの自販機営業を担当する三浦雅之さん(38)=仮名=も同じ部署の後輩は2人だけ。自身の同期は18人だが、40代以上は各年次に100人ずつほどいるという。「バブル世代もポスト不足でだぶついてるが、うちの社の50代はさらにボリュームがある。彼らが退職すれば重しはとれるけど、雇用延長とかでなかなか出て行かない。ものすごい閉塞感ですよ」
実際、三浦さんらが入社した当時の大卒者の求人倍率は過去20年でも最低水準で、バブル世代に比べれば半分以下の年もあった。その下の世代にしても、多くの企業で採用が抑制され、社員のいびつな年齢構成が続いている。
「氷河期世代」もすでに30代半ば。妻子を持ち、住宅ローンを抱えるようにもなった。ただ、会社内での“世代間闘争”はいつの時代にも付きものであり、彼らにしてもいつかは部下を従え、給料も上がる日がくるのではないか。
「残念ながら、一握りの幹部候補生を除けばその可能性は低い。下手をすれば彼らは一生下働きになってしまう」。そんな指摘をするのは「若者はなぜ3年で辞めるのか?」などの著書がある人事コンサルタントの城繁幸さん(35)だ。「なぜなら、日本企業の代名詞だった定期昇給と年功序列という2つの賃金モデルがすでに破綻しているからです」
「ポスト」足りず
大手コンピューターメーカーに「平成9年組」として就職した城さんが、その「事実」に気づいたのは人事部にいた入社3年目のころだった。社内の人員構成をみれば、どう考えても将来のポストは足りない。生涯賃金を計算しても現在の60歳に比べ3割は減る。理由は根本的な問題だった。
「つまり勤続年数に応じて賃金が上がるというシステムは、組織も同様に成長を続けていかねば維持できないわけです。昭和の時代ならそれも通用したが、経済全体が縮小しつつある今、そんな企業は数えるほどしかない」
実際、定期昇給はすでに多くの企業が見送っており、年功序列型の給与体系は崩壊しつつある。現在の不況下では賃下げすら現実味を帯びている。一方で、「ポスト」だけは、多くの企業で年功序列型が絶対的なものになっている。しかも「上」にはポストを待つ大量のバブル世代たちが長蛇の列をつくっている。
「年功序列型組織で定期昇給がなく、序列も上がらないのなら、基本的に報酬も上がらない。能力給などの制度も同年代と比べているだけでたいした差はつかない。つまり30代の会社人生のレールは非常に微妙なところを走っているのに、会社側はそれをはっきり言わないわけです」
永遠に続くと思われていたシステムが実はすでに破綻している。このカラクリは、年金問題ともよく似ている。ただ「20年後」を今の賃金のまま迎えかねないのは決して30代だけではない。40代にしても数が多いだけ、より少ないパイの奪い合いとなる。そんな先輩たちの姿を追う20代は、会社や自身にどんな未来を描けばいいのだろうか。
新卒主義脱却を
「日本企業は、不況になれば新規採用を抑制して人件費を抑えてきた。それはすでにいる正社員の雇用を守るためです。そのツケがいま、派遣社員も含め若い人たちの未来を直撃している」。城さんはそう指摘し、彼らの閉塞感を取り除く方法を述べた。
「本来なら、正社員であっても解雇しやすい社会にするしかありません。雇用の流動化と言ってもいい。残酷に聞こえるかもしれないが、今のまま進めば企業は老化する一方だ。それこそ今の40代が定年を迎える2030年までの20年間、若い世代は上の世代の既得権と終身雇用を守るためだけに働かされてしまう」
法政大学大学院の小峰隆夫教授(61)=日本経済論=は「少なくとも採用面での新卒主義は改めるべきだ。たまたま卒業時に景気が悪ければ就職できないという不平等があり、その時点ではじき出された年齢層がそのまま社会で滞留してしまう」と指摘する。
これは裏を返せば、好景気のバブル採用も同様である。当時手当たり次第に採用した22歳の若者たちに、その後何億円もの生涯賃金を払っていかねばならないことに、企業側はどこまで覚悟を決めていただろうか。
20年後を50代半ばで迎える冒頭の平野さんに「あなたの2030年」を問うと、「上の世代が持っていくから退職金も足りなくなるかも。小会社への出向ポストもないと思う」と話し、こう付け加えた。
「解雇しやすい社会には大賛成。明日からでもやってもらいたい。ただ、いずれ自分にも降りかかってくるのなら、今のままで我慢するしかない。僕らだって正社員という既得権は手放したくないですから…」
:2009:03/09/13:39 ++ 【2030年】第1部(3)希望退職に「希望」は… 公認された「肩たたき」
課長は席に着くなり「あなたの業績評価は悪い」と告げた。それまでの5段階の真ん中から1ランク下がり、今後の年収は最大200万円減るという。課長は「特別セカンドキャリア支援プログラムのご案内」と題した1枚の用紙を取り出し、こう迫った。
「会社の外へキャリアを求めてみませんか。退職金に加えて割増金を勤続年数に応じて最大15カ月分支給し、会社指定の再就職支援会社を紹介するプログラムを実施します」
右近さんが「定年まで勤めたい」と断ると、今度は同年代の女性部長に呼ばれ「GBS&GDEビジネス推進」という新設の部署への異動を命じられた。“業務”は退職勧奨を断った社員を集め、社内で自分の新しい仕事を探させること。俗に言う「リストラ部屋」である。ただし机は元のままで、名前だけの「バーチャル部屋」だった。
「私にも家族があり小学生の子供もいる。マンションのローンも残っている。鬱(うつ)病になるくらいのストレスです…。経験しないと分かってもらえないでしょうね」
40代の同僚は、執拗(しつよう)な退職勧奨を受けた後、次のようなメールを残して「自主退職」した。《私はもう決めました。割り増しもらって辞めようと。背に腹はかえられませんわ。闘う気力もうせました。いろいろお世話になりました》
あいまいな線引き
急速な景気悪化を背景に、雇用調整の波が正社員にも及んでいる。厚生労働省は先月末、昨年10月からの半年間で職を失うか、失った正社員が約1万人に上ると公表した。これは倒産などを含め一度に100人以上が職を失った大きな企業だけの集計で、実際はそれ以上だろう。
「犯罪でもしない限り、正社員の解雇は難しい」「裁判闘争になりかねない」。派遣社員などと比べ、正社員が「整理解雇の4要件」と呼ばれる判例などで保護されているわが国の雇用システムは今も変わっていない。ではなぜ右近さんのようなケースが生まれるのか。
大手企業がこぞって進めているのが「肩たたき」の退職勧奨ではなく、希望退職と呼ばれるものだ。東京商工リサーチの調べでは今年に入って希望・早期退職の募集を公表した上場企業は50社を超え、早くも前年の68社に迫っている。
希望退職とは企業が「解雇」を回避するため、退職金割り増しなどの優遇措置を設けて退職者を募る制度だ。希望退職があくまで本人の自由意思によるものなのに対し、退職勧奨は、本人の希望にかかわらず退職を勧められる。ただ、その線引きがあいまいになることもあり、右近さんの会社も、リストラを始めた当初は希望退職制度だったという。
今後そうした流れはさらに加速するのか。仮に定年まで20年以上を残したサラリーマンの場合、2030年に今の会社で働き続けていられるのだろうか。「正社員に優しい」といわれた日本企業が変わり始めたのは8年前の法改正が1つのきっかけだった。
今の会社だけか
「自民党をぶっ壊す」。平成13(2001)年4月、絶叫とともに発足した小泉純一郎政権に85%以上の国民の支持が集まる中で施行された改正雇用保険法。以降、会社を離職した後、ハローワークが交付する「離職票」と呼ばれる書類の離職理由の記入欄に「希望退職の募集又は退職勧奨」という新たな項目が加わった。それまでは「解雇」と、懲戒解雇にあたる「重責解雇」の2項目しかなく、「第二の人生」のスタートに“傷”を付けかねなかったのだ。
ただ、自身も大手金属メーカーの子会社でリストラと闘った経験を持つフリーライター、中森勇人さん(45)は「この項目ができたことで、希望退職や退職勧奨がいわば公認された」と指摘し、今後の流れについて「解雇をマイナスイメージとして嫌っていた企業が正社員を辞めさせやすくなった。わずかな法改正が針の一穴になったように、正社員にとって厳しい世の中になるのは間違いないと思う」。
一方、労働問題に詳しい古川景一弁護士(56)は「希望退職は本来、労働者の自発的な意思が尊重されるなら悪い制度ではない」としたうえで、正社員の解雇が難しいわが国の現状についてこう述べる。
「本人がつらいのと同じくらい、会社もつらい。なぜなら、重大な落ち度のない社員には、解雇の理由が見つからないからです。だからこそ希望退職や退職勧奨が拡大解釈されて使われる恐れがある。どうしても辞めたくない人は『辞めない』で押し通せばいい。ただし閑職に追いやられ、会社側と闘う覚悟を求められることもある」
現在バーチャルリストラ部屋へと通勤する右近さんに20年後の日本を占ってもらうと、「人間が部品になる」「使い捨て人間が増える」と過激な言葉ばかりが飛び出してきた。まるで「派遣切り」にあった労働者のようだった。
ただ、今の会社に居続けることはそれほど至上のものなのか。1本のレールだけが、本当に幸福な未来につながっているのか。希望退職に「希望」を求めた人たちを訪ねた。
:2009:03/09/12:00 ++ 西松献金事件、小沢代表に世論の風圧、民主内、進退論広がる、他。
「周りの雑音は気にしない方がいい」。民主党の西岡武夫参院議院運営委員長は八日、都内の小沢氏の事務所を訪れ、こう激励した。小沢氏は元気に「うん、うん」と応えたという。六、七両日は記者団の前で説明したが、八日は事務所と自宅にこもった。
執行部では、政治資金規正法違反での秘書の大久保隆規容疑者の逮捕に関して「あっせん利得など別件での逮捕などが無ければ続投を支える」との声が多い。小沢氏が連日、説明責任を果たす姿勢を見せたことも好意的に受け止めている。
ただ、報道各社の世論調査では、小沢氏が辞任すべきだとの回答が多く、政党支持率も下落した。「下落は想定の範囲内。二階俊博経済産業相の問題が出たので雰囲気も変わる」との声もあるが、党内は再び動揺し始めた。鳩山氏は八日夜、福島市内で記者団に「説明責任を十分果たしていないとの思いが辞めるべきだとの世論を強めている。党として踏ん張らないといけない」と語った。
中堅・若手には「選挙の先頭に立たないといけないのに続投はとても無理」との声がくすぶり、「起訴が一つのタイミング」という見方もある。ある執行部は「相当にしんどい」と語り、別の幹部は「早ければ週内になんとかしないといけなくなるかもしれない」と話す。小沢氏周辺には「政権交代が実現できないと思えば辞任するかもしれない」との声も漏れる。
民主党は一九九八年の結党以来、五回の代表交代のうち四回が引責辞任だ。前代表の前原誠司氏は二〇〇六年に偽メール問題の責任を取って辞任した。メールの虚偽性が明らかになるにつれて執行部の責任論を巡って混乱した。
〇四年には当時の菅直人代表が年金未納問題で、福田康夫官房長官の辞任直後、一気に辞任に追い込まれた。党内には西松献金事件を年金未納騒動に重ねる声もあり「経産相が辞任すれば小沢氏も厳しい」との見方が出ている。
細野豪志政調副会長は八日のテレビ朝日番組で「これまで党内で問題が出るたびに大変な騒ぎになってコントロールが利かなくなった。我々も少しずつ成熟し、ピンチだが小沢代表の決断を見守ろうという雰囲気になっている」と強調した。
小沢氏は引責辞任の続く歴史に終止符を打てるのか。九日には地元の声を聞いた党所属議員が国会に戻るが、党内で再び緊張が高まる可能性も否定できない。
自民党の菅義偉選挙対策副委員長は八日、千葉県船橋市で開いた同党議員パーティーで講演し、西松建設の巨額献金事件が衆院解散・総選挙に与える影響について「解散の時期が左右されることはない」との認識を示した。「麻生太郎首相が五月から九月に景況感などを見ながら判断する」とも述べ、二〇〇九年度補正予算案の提出後を模索することを強調した。
小沢一郎民主党代表の説明責任については、「どこからもらったかわからないでは世の中通じない」と批判した。
:2009:03/09/11:55 ++ 正社員退職募集2万人、昨秋以降、雇用調整の動き広がる、倒産で失職4万7000人。
上場企業が発表した希望退職の募集計画を個別に拾って集計した。昨年九月からほぼ半年間の募集数は計一万九千九百五十三人。このうち五千二百人余りが既に応募し、退職が決まっている。東京商工リサーチによると、直近で希望退職の募集が最も多かったのは二〇〇二年の二百社、二万八千人だった。半年で百十七社、二万人という今回の募集規模はかなりの高水準といえる。
企業別ではJVC・ケンウッド・ホールディングスがグループで五百八十人の希望退職を募ると発表。セガサミーホールディングスは業績不振が続く子会社のセガで五百六十人の希望退職を募集。さらにパイオニアやNECトーキン、OKIなど生産急減に直面する電機や機械で募集に踏み切る企業が多い。
集計では人員削減を希望退職の募集を通じて実施すると公表した企業だけを対象にした。大幅なリストラを打ち出したものの具体的な手法を明らかにしていないソニーやパナソニックなどは含んでおらず、職を失う正社員は今後千人単位で膨らむ可能性がある。
倒産による失職も急増している。帝国データバンクによると昨年九月以降に破産または特別清算で消滅した企業は五千社超。これにより失職した正社員は計四万七千人で、前年同期比五二%増となった。増加ペースが加速した一、二月は既に同六七%増の約一万六千五百人に達している。
:2009:03/06/14:07 ++ 日本企業全体、赤字の瀬戸際、消費に下押し圧力、賃金・雇用を圧迫。
〇八年十―十二月期は、全産業の経常利益は前年同期比六四・六%減に落ち込んだ。製造業では、石油・石炭、電気機械、半導体などの情報通信機械、自動車などの輸送用機械の四業種が赤字に転落した。資本金十億円以上の製造業は、初の経常赤字に陥った。
最大の要因は輸出減による売り上げの減少。米欧の景気悪化で〇八年十―十二月期の輸出額が前年に比べ二割減るなど、外需の低迷が業績の足を引っ張った。
大和総研の渡辺浩志氏は「〇九年一―三月期は全規模・全産業で赤字に陥る可能性がある」とみる。企業が赤字に陥るかどうかの分水嶺(ぶんすいれい)である損益分岐点売上高比率は、大和総研の試算では九〇・〇%に上昇した。経済産業省がまとめた生産予測調査では、二月まで企業の減産は避けられない。「売上高が前年同期比三割減の可能性もあり、赤字転落のリスクは高い」(渡辺氏)という。
収益が急速に悪化する中、企業にとって人件費が重荷になっている。〇八年十―十二月期の人件費は前年同期比四・九%減と三期連続で減少したが、売り上げ減のスピードに追いつけない。売上高人件費比率は一三・二%となり、前年同期に比べ約一ポイント上昇した。
企業が生み出す利益のうち、どれだけ雇用者に支払われたかを示す労働分配率は、ニッセイ基礎研究所の試算では七一・三%と金融機関の相次ぐ破綻で深刻な不況に陥った一九九八年十―十二月期を上回り、過去最高水準になった。
「今後、企業にとって人員の過剰感は急速に高まる」とニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏は指摘する。その結果、賃金カットや人員の削減につながる公算が大きい。個人消費への下押し圧力は避けられない。
:2009:03/04/10:33 ++ SaaSの真実 CIOはバズワードに惑わされるな
その5つの仮説と真実とは、次のようなものである。
1.SaaSは自社内運営ソフトより廉価である | |
真実:最初の2年間は廉価であっても、5年間のTCO(総コスト)では大半の場合はNOだ。SaaSは企業に資本投資を要求しない(サービスモデルだから)ため、最初の2年はTCOが低いが、3年目からは会計的には自社運営ソフトの方が低廉になる。 |
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2.SaaSは自社開発ソフトより迅速に運営を開始できる | |
真実:単純な要求に対しては真実だが、複雑なビジネスプロセスやインテグレーションに対応させようとすれば、両者の差は小さくなる。ベンダーは30日間で利用開始できるというが、7カ月以上もかかっているケースがあることを忘れたがる。カスタマイズや複雑なシステム構成に対応するには、どちらの方法をとっても手間がかかるものだ。 |
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3.SaaSの価格モデルは従量課金制である | |
真実:大半の場合はNOだ。電力使用のように従量課金と説明されることがあるが、従量課金制とは別の固定費がかかるような契約を結ばされることが多い。 |
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4.SaaSは自社運営のアプリケーションやデータソースと連携できない | |
真実:バッチ連携やWebserviceを使ったリアルタイム連携によって実現可能だ。 |
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5.SaaSは単純で基本的な業務にしか向かない | |
真実:誤りだが、限界もある。SaaSはメタデータレベルで高度なカスタマイズ機能を提供できる。しかし、複雑なワークフローやビジネスプロセスマネジメントを要求する場合への対応には限界がある。 |
同じガートナーの2008年10月の調査によると、世界のSaaS売上高は、07年の51億ドルが08年には27%増の64億ドルへ伸びるという。さらに12年には2倍以上の148億ドルに達すると見込まれている。どのような範囲のサービスをSaaSと呼ぶかによって市場規模は異なるが、アプリケーションのユーティリティー化が相当の速度で進行するのは間違いないだろう。
ここでバズワード「SaaS」の定義の議論をするつもりはないが、この未定義語に関してあまりにも多様な評判が流布し過ぎているのではなかろうか。企業のCIOもそれらの真偽を見極めるのが困難になっている。場合によっては、誤った認識に基づいたままSaaSを展開している企業もあるという。
そういう現状を見て出されたのが先のレポートだが、この5つの仮説と真実、かなり当たり前のことが述べられている。こんなことで悩んでいるとすれば、業務内容とITの両面で、対象となるサービスの評価がきちんとできていないCIOが多すぎるということだ。単なるバズワードを聞いて、どう対処すべきか悩むだけなら能力、専門性が疑われる。
■「ERP」や「ASP」で置き換えてみよう
たしかに、新しい技術やサービスに対する評価は難しいものだが、意表を突くような新しいものが続出してくるわけではない。ITの歴史的発展過程をきちんと理解していれば、対処方法も分かるというものだ。
例えば、先のレポートの中の「SaaS」を「ERP」や「ASP」に置き変えて読んでみてはいかがか。「3」の従量課金についてはやや違うところがあるかもしれないが、他は何となく当てはまる。ERPやASPの出始めのころもこのような議論が盛んだった。時間とともに単なるバズワードとしての論点は減少し、適切な利用に関する議論へと転換していったと思う。
ERPについて言えば、初期段階のERP万能説は影を潜め、従ってシステムを一気に入れ替える「ビッグバン導入」なる言葉も流行らなくなった。ERPの可用性と限界が明らかになるにつれ、ERPという衣に企業の形を合わせるという「無理」を行うケースは少なくなり、可能性と限界を見極めながらうまく使うことができるようになってきた。
もちろんトップマネジメント指揮の下、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)という「無理」を利かせてERPをはめ込むというケースは散見される。また、ERPベンダーも、カスタマイズの容易性やコンポーネント化、テンプレート化、アプリケーションライブラリー化を進展させ、各種利用シーンに容易に適合できる進化を遂げてきた。
SaaSも、今後ERPのような進化が見られるであろう。ただし、今のSaaSに関する議論の中では、インフラのユーティリティー化と、その上で展開されるアプリケーションのユーティリティー化が区別して議論されていない。「クラウド」というバズワードも同様だ。
ややもすると、ユーティリティーとして厳格に運営されるべきインフラプラットフォームの詳細が、アプリケーションの話で覆い隠され、どこまで真にユーティリティー化されているか判明しない点が不安だ。まだグーグルにしても、セールスフォース・ドットコムやアマゾンにしても、この点が明確になっているとはいえない。
■グーグルのインフラは「真のインフラ」ではない
たとえば先日のグーグルの「Gmail」のトラブルがよい例だ。以下のようにグーグルは公表している。
Gmail 復旧についてのご報告
2008年2月25日
(中略) Gmail の不具合は日本時間(24日) 18:30 からおよそ 2 時間 30 分間続きました。皆さまにご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳なく思っています。今回の不具合の根本的な原因については、現在も Gmail のエンジニアが調査しています。
Gmail 復旧についてのご報告(2)
2月26日
(中略)ヨーロッパのあるデータセンターで定期メンテナンスが行われていました。通常、定期メンテナンスが行われている間は他のデータセンターに処理が引き継がれるため、Gmail としてサービスが中断することはありません。
しかしながら、今回、システムの処理速度を向上する動作の不具合が、定期メンテナンスに支障をきたし、サービスの中断を招きました。影響範囲につきましては、Gmail のみとなっており、カレンダーなどその他の機能に関してはご利用頂ける状況でした。また、この障害によるデータの損失はありません。
24日のトラブル報告が翌25日になることも、定期メンテナンスのトラブルが全世界に影響を及ぼすことも、業務システムを運用する場合であれば、まずい対応である。Gmailは無料のサービスであるから文句も言いにくいが、企業がグーグルのアプリケーションをSaaSとして日常業務で利用している時に、インフラプラットフォームがトラブルになったら大問題だ。
全世界で一斉に止まってしまうようなインフラは、インフラとは言えない。となると現在のグーグルの(もっと言えば他の業者も同様)「クラウド的」アプローチは間違っているかもしれない。電力は欧州で起きた停電で日本が停電することはない。真のインフラになるにはまだまだ詰めが足りないというところである。
今後、業務アプリケーション市場におけるSaaS導入は、既存業者(ERPベンダーなど)に対する新規参入業者(SaaS業者)の挑戦や、SaaSビジネスモデルへの関心の高まりなどが要因となって急速に進行するであろう。しかし依然として、業務アプリケーションの可用性、セキュリティー、サービスの運用性能や機能といった問題は残っている。
これらの懸念が徐々に解決されれば、現在の経済状況からくるITコスト削減の機運もあり、アプリケーションとインフラプラットフォームのユーティリティー化という新しい時代の到来が促進されることにはなろう。
[2009年3月4日]
:2009:03/04/10:27 ++ 日立、「無給の休日」導入 毎月平日の1日、労組に提案
電機や自動車など製造業では、生産調整の一環として工場を中心に賃金を一定割合カットして所定労働日に休む「休業日」を設ける企業はあるが、無給扱いの休日を増やすのは珍しい。
:2009:03/03/14:22 ++ 日本郵政、新たな難題、東京中央局再開発、総務相「待った」、中止なら巨額損失。
「米国流の利益追求主義で、壊すのは国の恥」。鳩山総務相は二日、取り壊し工事が始まった旧東京中央局を視察し、報道陣の前で声を荒らげてみせた。一九三一年に完成した旧東京中央局は「重要文化財指定を検討する価値がある」(文化庁)ともいわれる昭和を代表する建造物。しかし郵政民営化前は、東京駅の目の前の一等地に郵便集配の拠点があることに「資産の無駄遣い」との批判が強かった。
■民営化計画の大前提 日本郵政が進めているのは、地上三十八階の高層ビルへの建て替え。建物の一部を保存し、低層階の駅側の外壁はすべて現状を再現する計画で、建築家や国会議員の間で高まった保存を求める声に配慮した。歴史あるビジネス街の開発では、東京銀行協会ビルなど外観の一部だけを残して再開発する例が少なくない。
総務相は「文化」を理由に異議を唱えたが、文化行政は総務相の所管ではない。昨年六月に計画を公表した際は、総務省も含め関係者の多くから了解を得ていた。しかも都市計画を審議する東京都も同意済みなのに、着工直後に突然、「待った」がかかった形だ。
今回の再開発そのものについても、会社分割を伴う「かんぽの宿」譲渡問題と違って総務相の認可は不要だ。日本郵政にとって、旧東京中央局の活用は民営化計画を推進するうえで大前提。同局を保有する郵便局会社は全国の郵便局網を統括しているが、収支が厳しく赤字転落も懸念される。高層ビルに建て替えることで生まれる年百億円超の利益を使って、郵便局網を守る計画だった。
■将来の国民負担にも 総務相に期待されているのは、日本郵政が収益をあげられるよう経営を監督することだ。郵政が自力で稼げる組織にならないと、将来の国民負担にも跳ね返る。
すでに動き出した開発を仮に中止した場合、目に見えた損失が生じる。まず八百七十六億円(税抜き)の工事契約を結んでいる大成建設から損害賠償を求められる可能性が高い。さらに開発を前提に簿価が二千百三十七億円の旧東京中央局は資産価値が大きく損なわれ、千二百億円と試算される空中権を売却しても、会計処理で数百億円規模の損失が出るとみられる。
鳩山総務相は二日、「損失が出ても残すべきか、利益追求のみで壊すべきか。世論に聞いてみたい」と話した。しかし今回の件は民営化企業の経営判断で何年もかけて調整しながら進めていた開発に、総務相がいきなりストップをかけた構図だ。
「かんぽの宿」に続き、民営郵政の結んだ契約が総務相の突然の主張で覆る事態になっている。これでは「海外投資家をはじめ投資家は、上場されても民営化企業株を安心して買えなくなる」(M&Aの専門家)。
郵政民営化に携わる有識者の間でも、「個別事業に一方的に待ったをかけるのではなく、総務相は郵政が長期的に事業を続けるための整合的な代案を示す必要がある」との声が出ている。
:2009:03/02/13:01 ++ IT企業、ユーザー企業ともにIT人材は「量」より「質」を求める傾向
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)は2月26日、2008年度に実施した調査の報告書「IT人材市場動向調査 調査報告概要版 No.1」を公開した。この調査は8種類の対象別に実施されており、4回に分けて公開される。第1弾となる今回はIT企業とユーザー企業のIT人材動向調査結果がまとめられている。
調査の結果、ITスキル標準の利用が着実に浸透していることがわかったという。また、IT人材の質と量に対する過不足感では、IT企業では人材の量が「大幅に不足している」と回答したところが2007年度の28.3%から16.2%へと10ポイント以上減少した。逆に人材の質に対する不足感は前年度よりも高まっており、人材の質が「大幅に不足している」と回答した企業は前年度の23.5%から32.4%へと増えた。
ユーザー企業では量、質ともに「(大幅に/やや)不足している」と答えた企業が8割を超えた。特に量よりも質について、「大幅に不足している」という回答が多くなっている。
この調査は、日本国におけるIT人材の職種やレベルなどの偏在状況やオフショア活用状況、産学におけるIT教育の状況などの調査し、今後のIT人材育成施策の立案などの基礎資料とするためのもの。調査対象は、ITベンダー3000社、ユーザー企業として上場企業3000社で、このうち回答した企業はIT企業が全体の18.3%にあたる549社、ユーザー企業が同11.2%の335社となっている。
:2009:03/02/11:35 ++ 政府原案、IT分野40―50万人雇用、3ヵ年プラン、官民で3兆円投資。
麻生太郎首相が目指す「全治三年」の景気回復を実現するためのIT分野の具体策を提示する狙いで検討を進めてきた。水面下で検討を進める追加経済対策にも反映させたい考えだ。二日のIT戦略本部(本部長・麻生首相)の専門調査会に原案を提示。関係省庁の調整を経て、四月上旬に正式決定する。
医療分野の目玉は、電子化した個人の健康情報を各地の医療機関で共有する「日本健康情報スーパーハイウエー構想」(仮称)。医療機関同士をつなぐ光ファイバー網を新たに整備。画像診断情報などを瞬時にやり取りできるようにすることで、地域医療や救急医療の改善にもつなげる。
IT人材の育成では、全国のネットカフェなどでコンピューターや通信などに関する基礎知識をインターネットを通じて教える。電子教材を活用した授業やIT人材の育成に取り組む教育機関への物資や資金面の支援も検討する。
電子行政の分野では、行政機関が持つ紙文書の徹底した電子化を要請。省庁間での情報の共有も進め、企業や国民が何度も窓口に出向いたり、同じ書類を提出したりする無駄を省く。環境対応型の新産業創出については、道路渋滞などの情報を提供する高度道路交通システム(ITS)の普及拡大などを提案する。
:2009:02/27/12:15 ++ コンビニ転換点(下)「脱皮」迫られる大手―ネットや海外、活路探す。
品ぞろえは無限
実際の店舗での話ではない。同社が始めたインターネット通販への注文件数だ。十数本の限定販売だったがその反響に担当者は驚いた。コンビニでは商品はせいぜい三千品目しか並べられない。特に酒類など嗜好(しこう)性の強い商品は、売り場の効率性を落とすため、常時そろえるのが難しい。だがネットなら品ぞろえは無限に広がる。
現在の商品構成は酒、菓子、調味料など四千五百品目。名産品など付加価値の高い商品が中心で、「仮想デパ地下」とも言える。客は注文後に店で商品を受け取るが、通常の物流網を使うため、送料・手数料は無料。鈴木敏文会長は「二〇〇九年はネットサービス元年にする」と話す。
日本上陸から三十五年。コンビニは店舗作業や商品などを標準化することで大量出店を続け、市場規模はいまや百貨店を抜き去った。ただ四万五千店近くの同質化した店舗があふれ、「従来と同じ店を増やすのは厳しい」(新浪剛史ローソン社長)。飽和は各社に事業モデルの変革を迫る。
」ローソンは商品の大半が百円均一(税抜き)という低価格コンビニ「ローソンストア100」の出店を推し進める。コンビニの主要顧客層が十―三十代であるのに対し、ストア100は四十代以上が約六割。生鮮食品も扱い、スーパーの顧客を引き込む。景気後退による生活防衛意識の高まりを受け、一〇年度末までに店舗数を三割増の千二百店に引き上げる計画。
ただストア100が初出店から三年後の昨年夏、ようやく単月で営業黒字転換したように、新モデル確立は容易ではない。サークルKサンクスやミニストップなどが挑戦した女性向けや都心向けなどの新型店も軌道に乗っていない。ローソンが買収するエーエム・ピーエム・ジャパンは、DVDレンタルとの複合店やオフィス向けコンビニなど多角化を進めたが、収益の底上げは果たせなかった。
海外店舗1000店増
消費不振に人口減、「タスポ効果」の消失。コンビニが脱皮を模索しなければいけない理由はまだある。「法的には問題ないと認識している」。二十日、セブンイレブンの顧問弁護士は記者会見で主張した。加盟店の値引き販売を不当に制限した疑いがあるとして、公正取引委員会が独占禁止法違反容疑で調査に入った。どんな結論が下されるかは不透明だが、価格競争に巻き込まれれば定価販売で利益を稼ぐコンビニの事業モデルは大きく狂う。
インド、ベトナム、マレーシア……。ファミリーマートはアジアなど未進出の国で自社の商標登録を急ぐ。機動的に出店するための準備で、すでに四十カ国で登録した。これまで韓国やタイなど五カ国に進出、〇九年度は海外店舗を約千店増やし、国内外の店舗数は年度末に逆転する。
上田準二社長は国内コンビニ市場は「五万店で完全に飽和し、出店余地がなくなる」と言い切る。活路を海外に求めるのか、それとも国内で競合と差異化できる店をつくりあげるか。新たな成長へ向けた転換点が各社に訪れている。
:2009:02/27/12:06 ++ コンビニ転換点(上)消費不振、おびえる中堅――「タスポ」後、展望開けず。
再建コスト多額
当初両社の提示額には、百億円以上の開きがあったもよう。「うちは無理をしませんから」(新浪ローソン社長)。買収を持ちかけられてから半年。ローソンは一貫して強気の姿勢で交渉に臨んだ。昨秋実施した資産査定を通じて、買収後の再建に多額のコストがかかることに気付いていたからだ。
am/pmは有力コンビニとしては最後発。集客力の高い都心部への集中出店で成長したが、その過程で抱えたひずみは小さくなかった。コンビニ間で都内の優良物件の取り合いになった際は「am/pmはけた外れの賃料を提示していた」(コンビニ関係者)など無理な出店を重ねた。
このため不採算店舗も多く、二〇〇七年十二月期末時点で百二十億円の債務超過。レックスは投資を抑制するよう指示したが、必要な店舗改装なども後回しになった。「空調機の修理が一年以上放置されている」(都内の加盟店オーナー)店すらあり、客足がさらに遠ざかる悪循環にはまった。
スーパーと異なり、コンビニではあまり再編が進まなかった。その背景には、コンビニが主にフランチャイズチェーン(FC)で展開されることがある。FC店は商標使用や経営指導の見返りに、利益の一部を本部へ払うが、チェーンによって契約内容は異なる。契約条件が突然変わることや、近隣のライバル店が同じグループになることへのFCオーナーの抵抗感がネックだった。
ただ、今回は「FC店の多くもローソンへの売却に賛同した」(am/pm関係者)という。九州地域でam/pmFC店の運営・管理を担当しているJR九州リテール(福岡市)は一月、am/pmとの契約更新の際、「株主構成を安定させる」ことを条件に出し、暗にローソンへの身売りを促した。
規模の格差拡大
大手の傘下に入れば、店舗投資のみならず、商品の仕入れ条件の改善などが期待できる。コンビニは総店舗数が四万店を超え、飽和感が漂う。出口の見えない消費不振のなか、タスポ効果がはげ落ちる今年後半以降をもっとも案じているのは、独立系の中堅・中小チェーンのオーナーだ。年百億円単位で情報システムへ投資し、電子マネーや金融サービス、安価なPB商品など飽和市場を戦い抜く武器を店に供給する大手は魅力的。大手各社の首都圏の平均日販(一店舗一日当たり売上高)は六十万―七十万円と、am/pmのそれを十万円以上上回る。
「西日本の有力チェーンが売りに出た」「ファミリーマートが北日本の独立系チェーンと提携しそうだ」。市場ではこんな憶測が多く流れるようになった。規模格差が生む営業力の差が再編・淘汰をコンビニ業界にももたらそうとしている。
:2009:02/25/10:03 ++ 大衆薬ネット販売、検討会委員に聞く、楽天三木谷浩史社長、日本薬剤師会児玉孝会長。
改正薬事法に「対面販売」という文言はない。ネットでも安全は確保できる。安全性をより高めるため、個数制限や都道府県への店舗の届け出制などを導入する業界ルール案をまとめたが、検討会では説明する機会も与えられなかった。
薬は他の消費財とは違うというが、問題となっているのは処方薬ではなく一般用医薬品だ。「薬は違う」ということを免罪符に業界統制をしようとしている。
ネット通販は多くの消費者のライフラインであり、(販売網に使っている)中小薬局・薬店にとっても生活の糧。それを断つのは業界の利権や省益のためだ。法律ではなく省令での規制も納得いかない。ネット販売がより危険という科学的根拠も立法事実もない。消費者の声も聞かず、業界の人間や官僚だけで決める方が危険だ。
省令案へのパブリックコメントは九七%が規制反対だったが、その事実を厚労省は隠ぺいした。十九人の委員のうち十五人が旧来の顔ぶれで、結論ありきの厚労省のアリバイづくりと感じる。リスクを低くする方策は何か、実効性のある現実的な議論をすべきだ。
インターネット販売はどんな医薬品も好ましくないと考える。今回の省令では(副作用リスクの少ない)第三類の販売が可能となったが、本来はすべて禁止すべきだ。
医薬品の販売は安全性を最優先に考えている。安全性を確保するには対面販売が基本だ。患者と対面し、双方向で情報を得る必要がある。安全のためには薬を売らないのも選択肢だ。
へき地に住む人や高齢者への解決策としては、本人が難しい場合は介護者や両親に対面で説明するなど様々な方法が考えられる。店頭に足を運べない障害者や高齢者、妊婦などの方こそ薬には注意が必要だ。
医薬品の販売制度について厚労省は二〇〇四年に議論を始めた。四年間の議論を尽くしたうえでの結論だ。〇五年の検討部会の報告書にも通信販売に対する考え方が示されており、反対意見があれば言う機会があったのではないか。ネット販売の是非を根本的に議論するなら二、三年はかかる。店頭で医薬品を購入できない人へどう提供するかの議論に絞れば、六月までに何らかの結論が出せるかもしれない。