忍者ブログ

ひで坊な日々

主に私の仕事と信条に関わるメディアからの備忘録と私の日常生活から少し・・・                             
忍者ブログ [PR]
(10/31)
(09/07)
(09/07)
(09/07)
(09/07)
(09/07)
(08/26)
(08/26)
(08/26)
(08/26)
(08/26)
(08/26)
(08/26)
(08/26)
(08/26)
(08/26)
(08/26)
(08/22)
(08/08)
(08/05)
(08/05)
(08/05)
(08/05)
(08/05)
(08/03)
04 2024/05 1 2 3 45 6 7 8 9 10 1112 13 14 15 16 17 1819 20 21 22 23 24 2526 27 28 29 30 31 06

:2024:05/14/07:34  ++  [PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

:2008:06/23/10:41  ++  「safe」が不安のタネ―過熱原油が景気を冷やす(核心)

天災は忘れる暇もなくやってくる。中国・四川省の大地震の悲惨な状況がまだ生々しいところに岩手・宮城内陸地震。天変地異は必ずしも不可抗力ではない。備えに抜かりはなかったろうか。安全・安心を確保する制度や仕組みは高齢化社会に向かう中でとりわけ重要な社会のインフラだ。
 中国製ギョーザ事件はもう話題の外にあるが、食品の安全性を疑わせる姑息(こそく)な品質のごまかしは後を絶たない。住宅や鋼材・建材・紙などの品質偽装・検査の手抜きも横行する。毒物の無許可の製造や環境汚染物質の垂れ流し。頼みの綱の保険会社の保険金不払い。業界を代表する有力企業までもが食や住の安全、命の安心に対する消費者の信頼を裏切る。企業のホームページで麗々しくうたう企業の社会的責任(CSR)がむなしい。「安全」が大きな不安だ。
 企業経営の安全を脅かしているのは天井知らずの原油価格や一次産品の高騰だ。米国発のサブプライムローン問題の影響で、輸出など需要が冷え込み始めているところに、一バレル一四〇ドルに迫る原油高騰は企業へ強烈なコストプッシュ圧力を及ぼす。それでなくとも息切れしていた景気は調整色を見せている。六月の月例経済報告は景気判断を下方修正し踊り場から後退への懸念をにじませている。
 企業は二〇〇七年度までの六年連続増益から一転、今年度は減益の公算が大きい。どれくらいの減益幅になるか、景気への影響はどうか、産業界のマインドは。カギを握るのは鉄鋼、自動車、食品、エネルギーの四業界。英語の頭文字をつなげば「safe」の産業だ。
 広範な用途に基礎資材を供給する鉄鋼業界は鉄鉱石と石炭の高騰などでトン当たり約三万円の値上げに追い込まれた。多くの産業に波及するが、一台につき約一トンも使う大手需要家の自動車では鋼材コストは十万円に跳ね上がった。その自動車業界は、燃費の良い小型車中心とはいえガソリンの大幅な値上がりで、国内や米市場などで需要に強いブレーキがかかっている。
 小麦、トウモロコシなどの農産物や原燃料の高騰で水産も含めた食品業界の打撃は大きい。やむなく値上げすると家計の台所を直撃するので、有力ブランドであっても消費者の反撃は厳しい。エネルギー業界は震源の直下であり需要家に転嫁し損ねると経営を危うくする。安直に転嫁を図ると痛いしっぺ返しを食う。
 経営の効率化を進めて、消費者や川下の業界との負担の痛み分けを工夫しなければ、「safe」という産業が産業界や社会の安全・安心を脅かす。
 「safe」産業が注目されるのは収益や経営面だけではない。鉄鋼、エネルギーや自動車は二酸化炭素(CO2)の大口排出産業であるだけでなく、経済界の責任ある有力リーダーをも輩出している業界だ。それら産業の対応が地球温暖化防止、CO2排出削減問題に対して、日本の実行策を技術的にも戦略的にも大きく左右するからだ。
 カナダの大手銀行CIBCの調査会社の主席エコノミストのJ・ルービン氏らは最近、「高騰する輸送コストはグローバル化を逆転するか」という興味深いリポートをまとめた。中国から北米東海岸へのコンテナの運賃コスト(内陸輸送分を含む)が数年前の三千ドルから八千ドルに急上昇し、関税が三%から九%に引き上げられたのと同じ、という。このため中国から米国へのかさ高い商品の輸送が急減し始める一方、中国に立地した米企業の国内・メキシコ回帰の機運を生んでいるともいう。
 インターネットと低コストの大量輸送手段の利用により距離や時間の壁を越えたグローバル化が実現し、米コラムニストのT・フリードマン氏は「地球は平らになった」と断じた。しかし、平らな地球に交易を阻むオイルフェンスが足もとで広がってきたのである。
 値上げ連鎖はまだ始まったばかりで、景気の視界に明るい材料は見えない。当面、為替レートの一ドル一〇〇円割れが遠のいた分、日本経済にへそくりができたように見えるが、原油など資源高でごっそりはき出させられる。オイルフェンスを乗り越える輸出などで資源国がかき集めるマネーの還流を図る必要がある。
 この景気問題や資源高騰問題には政府も主導力を発揮して立ち向かわないといけない。福田康夫政権は十分それに応えているか。
 先週に閉会した国会で、衆参ねじれの政治構造とはいえ年金、高齢者医療をはじめ次々に出てくる課題に対して国民の理解を得られる有効な対策を提示できていない。決断力を欠いたまま支持率は超低水準に張り付いている。七月の先進国首脳会議(洞爺湖サミット)に向け、遅ればせながらも地球環境問題への「福田ビジョン」を打ち出したが、こと景気、経済に関しては規制改革も進まず、日銀の総裁人事ひとつスムーズに処理できない。現に副総裁のいすは空いたまま。
 副総裁ポストが盲腸に見えるほど経済が順調なら問題はないが、財政再建などの構造問題に加えて、値上げの連鎖からインフレやスタグフレーションの懸念など、経済運営の力量を問う難局に直面しそうな雲行きだ。経済にきしみが生じたときの、最後のよりどころである「政府が不安」では話にならない。
PR

+コメントの投稿+

+NAME+
+TITLE+
+FONT+
+MAIL+
+URL+
+COMMENT+
+PASS+
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

+TRACK BACK+

+TRACKBACK URL+