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:2007:12/05/11:18 ++ そもそもブログはだれが何のために書いているんだろう--消化局面が見えたブログ界

11月の2週めに、MarshallとわたしはBlog World Expoカンファレンスに出席した。この集会はラスベガスで開かれ、米国内外から1500人以上のブロガーが集まった。このカンファレンスは1日半ほどで、ブログツールから収益化まで、ブロガーの興味を引きそうな幅広い話題を取り上げたセッションが開かれた。
カンファレンスは有意義なもので、われわれはいくつか興味深い会話を交わしたが、わたしは去るときに奇妙な感じを味わった。なぜか、ブログがもうそんなに新しいものとは思えなくなったのだ。この感触は、最近のニュースが減っていることを見つけて、ますます強まった。わたしのニュースフィードは、最近では以前ほど頻繁に更新されなくなっているのだ。消化局面は、新興企業だけでなくブログにも当てはまるのだろうか?この記事では、ブログ界が消化局面に入っているかどうかを検証していく。
ブログに関するトレンドと統計
さまざまなユースケースを見る前に、いくつかのトレンドと図を見てみよう。Google Trendによれば、「blog」という語のトレンドは勢いを失いつつある一方、「blogging」という語はそもそも本当に大きな勢いを得たことはない。

他方、「blog」と「newspaper」を比較すると、blogは上昇傾向にあり、newspaperは下降傾向にあることは明らかだ。

2007年4月のDavid Sifry氏の記事によれば、ブログ界は指数関数的成長を続けている。下の図はTechnorati単独で、この3年間だけで3500万本のブログをインデックス化したことを示している。これはかなり大きな数だ。ブログ界は約6カ月ごとに倍の大きさになっており、もしこの傾向が続いていれば、今では7000万以上のブログがあることになる。

この驚異的な成長は、職業的にブログを書いている人の人数がそれほど多くないことを考えれば、さらに驚くべきものだと言える。確かに広告で得られる収入はあるが、その額はトラフィックの量と直接的な相関がある。そしてトラフィックは均等に分布しているわけではなく、いくつかの人気ブログに集中している。Sifry氏の図を見る際には、分布がロングテールになっていることを考慮に入れなくてはならない。自分の生活について語り、家族や友人とだけ繋がっている人たちは、ブログを読者の数が少なくても気にしないものだ。
他のことと同様に、ブログを続けるには強い意欲が必要だ。ブログ界の背後にある原動力は何だろうか。異なるブロガーのグループを見ていき、なぜ人々がブログを書くのに時間を費やしているかを考えてみよう。
職業的ブログ
Technoratiのトップ100リストの中で、何人が職業的にブログを書いているブロガーかを考えてみると面白いだろう。おそらく全員ではない。このリストを超えると、おそらくべき乗法則の曲線を描くことになるだろう。ブログで生活を立てるのは難しいことだ。ガジェット、テクノロジー、政治、有名人のゴシップなどそれぞれの分野で、いくつかの非常に成功しているブログが非常に大きなトラフィックを得ている。ロングテール曲線の中では、中程の位置にいても、ブログを維持可能なビジネスとして成立させるだけのトラフィックを得ることはできない。
こうした二層化傾向はさまざまな形で見て取れる。例えばアクセス数のグラフ、FeedBurnerの登録者数、MyBlogLogのコミュニティの規模、記事ごとの平均コメント数などだ。トップクラスのブログのと中程のクラスのブログでは、広告収入の額は桁が違う。トップクラスでは125x125のバナーで月間何千ドルにもなるが、中程のクラスのブログでは同じ種類の広告でも数百ドルにしかならない。

多くの人がニッチな領域でブログを始め、収益を得ようとするが、成功する者は少ない。ProBloggerのDarren Rowse氏は、オンライン上で収益を上げる方法に関する素晴らしいブログを運営しているが、最新のアンケートで、同氏は読者に対し10月にブログでどれだけの収益を上げたかを尋ねている。


1300人以上の回答者のうち、ある程度以上の収益を得ているのは10%だった。1万5000ドル以上の収益を上げていると回答した人たちの多くは、おそらくわずかな実入りのよいニッチ分野のブログを運営している人たちだろう。回答者の1/4はまったく収益を上げていない。収益を上げようと試みている人たちの多くは、あまり稼げていないのが現状だ。これらのブロガーの背景にはどんな事情があるのだろうか。
ビジネスと趣味のためのブログ
Tyler Colman氏は政治学と経済学のPh.D.を持っており、Dr. Vinoという有名なワインブログを書いている。このブログは多くの賞を受賞しており、かなりの数の固定読者を持っている。このブログを少し読めば、これが好きでやっていることだと分かるだろう。それでも、広告はある。ワイナリーとワイン用品に関する広告が2つほどあり、1つはワインを探している人のためのもので、Amazonを検索できるようになっている。もちろん、Google AdWordsの広告も並んでいる。Tyler氏がこれらの広告から月に1万5000ドル以上稼いでいるとは考えにくい。では、なぜ彼はこのブログを書いているのだろうか。

多くの人と同じように、Tyler氏はチップを払うのは好きではないタイプだ。それがたった300ドルでも、子供のピアノ教室代にすることもできるだろうし、高価な趣味--例えばワイン蒐集--に使うこともできる。ビジネスと楽しみを合わせたブログというのは一般的で、特にそのブログが趣味に関するものである場合は良くあることだ。広告はウェブでは広く受け入れられており、ブログ読者はすぐにそれを受け入れるため、ブロガーは広告を加えることで失うものはない。もしそれがそんなに大きな収入を上げないとしてもだ。
意志的動機のあるブログ
多くのブロガーにとっては金銭が主な動機だが、ブログがまったくお金にならなくても気にしないブロガーの方がむしろ多い。彼らは大義をもってブログを書いている。ここでは、宗教と政治という2つの信条について調べてみた。Technoratiのグラフを使って、「Christianity」(キリスト教)と「Islam」(イスラム教)、「Democrats」(民主党)と「Republicans」(共和党)を比較した。

上のグラフからいくつかの結論を導ける。第1に、イスラム教に関するブログの方がキリスト教よりも多い。第2に、民主党はブログでは共和党よりも多く話題になっている。そして最後に、少なくともブログに関しては、政治に熱心な人の方が宗教に熱心な人よりも多いようだ。しかし、政治と宗教は熱心にブログを書く人がいる話題のうちの2つに過ぎない。他にも、教育、スポーツ、非営利活動、環境問題などさまざまな話題がある。
個人ブログ
収入のためのブログや大義のためのブログは、ブログ界の一部分に過ぎない。ロングテール部分はほとんど自己表現のためのブログで占められている。大多数の人は、友人や家族と連絡を取り合うためにブログを始めている。この流行の一例はSix Apartの最新プラットフォームVoxで、これは特に家族や友人との繋がりのためのブログ用に設計されている。

Voxが重要なのは、これがコミュニティにまつわるブログの価値を理解しているからだ。このプラットフォームは、友達や家族のブログを追いかけるのが難しいという問題に対応するものだ。この問題により、ロングテール部分にあるこうしたブログの大部分は活気を欠いている。RSSリーダーは依然として幅広く使われているとは言えず、多くの人にとってブログが更新されているかどうかを知る方法は、それをブックマークに入れておき、時々チェックすることだけだ。当然ながら、これは数が多くなると対応できず、これが古いプラットフォームがあまり人を結びつけられない理由だ。
この問題を理解している企業はSix Apartだけではない。ある意味では、MySpaceや最近ではFacebookなどの一般的なソーシャルネットワークも、この問題に対応している。どちらもソーシャルネットワーキングプラットフォームに何らかの形のブログ機能を加えており、更新情報をユーザーのプロファイルと繋げることによって、ユーザーが友人たちと繋がるようにしている。この緊密な統合は、マイクロブログの急速な台頭と相まって、少なくともロングテールに対してはかなりの変化を引き起こしている。従来のブログとマイクロブログ、そしてソーシャルネットワークの間の競争についてはまた別の記事で論じるが、ここではもう一つの種類のブログについて見てみよう。スパムブログだ。
スパムブログ

多くの記事にとってブログ界に広がっていく唯一の道は、スパムブログ(スプログとも言う)を通じた再発信だ。これらの偽造ブログは本物のブログのコンテンツを集め、再発信し、検索エンジンからのトラフィックを引きつけて広告を売る。これらは完全に無意味だが、所有者がほとんど仕事をせずにお金を得るための賢明な手法であることは確かだ。これらのブログはコンテンツの再編集に長けており、止めるのにできることはほとんどない。あまりにも巧みな再編集を施されていて、読んでいるのが偽造ブログだということに気がつかないこともある。
1年以上前に、Charles C. Mann氏がWiredにスパムブログの増加についての記事を書いている。Mann氏の記事はこれらのブログがどのように、そしてなぜ作られるのかについて詳しく議論している。2006年3月に出版された別の記事では、本物のブログの2倍以上の偽造ブログが存在するという研究が引用されている。もしこれが1年半前に本当だったのであれば、今では10対1になっているかもしれない。スパムブログを作るのは非常に簡単であることから、この比率は一方的に増えていくだろう。
結論
では、ブログ界では何が起ころうとしているのだろうか。今後も現在の成長率を維持できるのだろうか。職業的ブログの成長は続かないだろうが、ブログ界全体は成長を続ける可能性が高い(少なくとも、スパムの量が増加していくだろう)。しかし、変化が起こる可能性が高い。ブログ界のロングテール部分は危機にあるかもしれない。スパムはその危機の一部に過ぎず、むしろソーシャルネットワークやマイクロブログプラットフォームとの競争が大きく影響する。どうなるかは時間が経たないとわからないだろう。
読者がブログを書いている理由を教えてほしい。読者にとってお金は重要だろうか。ブログ界の未来はどうなると思うだろうか。ブログ界は消化局面に入ろうとしているのだろうか。
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