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:2009:12/07/15:04 ++ 日本に成長を(1)企業に「北風」より「太陽」。
日本経済が「成長」の旗印を見失い、漂っている。リーマン・ショックから脱しても、デフレ、円高、株安と危機は尽きない。産業界は「稼ぐ力」を失い、個人は雇用や所得に不安を抱え、国は税収減にあえぐ。成長の道を描き直さないと、活力も豊かさも戻らない。
不穏な発言と胸に刻むべきだろう。「生産の海外移管を考えなければ」「海外生産拡大でリスクを減らす」「国内工場の投資見直しもありうる」。ホンダやクボタ、東芝などの経営陣の言葉だ。
会社が置かれた状況が平穏ではない。国内は消費停滞で物価が下がるデフレ。たのみは輸出だが、急激な円高がずっしり重い。企業が予想する今後3年の成長率は年0・2%。「脱・日本」と考えても無理はない。
派遣労働の禁止、排出ガスの削減、円高志向の為替政策、家計支援が最優先……。民主党政権の大方針は企業に冷たい側面を持つ。ニッポンの製造業への決別状が乱れ飛んでいるようでもある。成長は不要との声も一部にあるが、このままでは子や孫が国の借金を返すために働く国になる。
家計と企業は二律背反ではない。2007年に電機や自動車など「金属機械産業」が支払った給与総額は約25兆円。2割が海外にシフトしたら子ども手当の財源に匹敵する5兆円が吹き飛ぶ。
企業業績の不振で7~9月期の賃金総額は年換算で前年より10兆円減。上期の法人税収は初のマイナス転落で国の税収も伸びない。分配優先で企業に負担を課す「北風政策」より、企業を優遇して成長を促す「太陽政策」が必要ではないか。
11月6日、米国の経済対策でオバマ大統領は法人税減税と輸出促進策を掲げた。企業への手助けは「将来の経済成長へ向けたステップ」と説明。民間が稼いで雇用を増やせとの期待をこめた。
日本も法人税減税を検討すべきだ。市場機能を生かして経済のパイを増やし、そこから配分の原資を生み出す。KPMGインターナショナルの調査では世界の法人税率は平均25・9%。この10年で7%下がった。日本は40・69%と最高水準だ。
たとえば日韓を比べると? 韓国はおよそ24%。税率の違いでサムスン電子はシャープより年2千億円分の余裕資金があるとされる。そのサムスン電子は最近、20年までに売上高を4倍にする経営計画を固めた。韓国政府が欧州と結んだ自由貿易協定では薄型テレビで14%、自動車で10%の関税がなくなる。GDPは3%上がるという。グローバルな勝ち組は国内雇用も増やしやすい。
「国際的な企業間競争ができる環境をつくってほしい」(新日本製鉄の三村明夫会長)。日米欧の競り合いにアジアなど新興国が加わり国際競争は新たな局面にある。企業のはしごを外す時ではない。むしろ冷遇を優遇に切り替えて企業を奮い立たせる時だ。
急激な円高は企業の輸出競争力を損なう。国内経済のデフレ圧力にもなりかねない。円相場は安定が最優先で、不規則発言など不要である。
アジア勢が追い上げる中でも、環境やロボットなどの最先端で日本は突き抜けている。日用品や食品分野でグローバル化する企業も多い。日本で積み上げたきめ細かい顧客サービスや商品ノウハウ、ソフトパワーも高い競争力を持つ。
外資も担い手に
派遣労働の禁止や最低賃金引き上げは少し時間をかけて考えたらどうだろうか。来春の高卒予定者の内定率低下が深刻なのは、規制強化を嫌がる企業が採用を渋っている面がある。柔軟さを欠く労働市場は労使ともにプラスにならない。
雇用の担い手に外資も動員すればよい。仏プジョーシトロエンの出資受け入れは三菱自動車にとって環境技術を世界に広げる糸口にもなる。成長のために内需も外需も総動員する八方美人でいいんじゃないか。
日本は何で稼いでいくのか――。「日本のように人口が減る国で家計部門への分配にばかり政策が偏ることはリスクが大きい」。米コロンビア大学のロバート・マンデル教授は言う。
来年の参院選に縛られる政治の事情があるにせよ、企業が太らないことには家計の回復もままならない。つけを残して今を取り繕うより、雇用の受け皿を育て、未来を拓(ひら)く方がよい。
提言
不穏な発言と胸に刻むべきだろう。「生産の海外移管を考えなければ」「海外生産拡大でリスクを減らす」「国内工場の投資見直しもありうる」。ホンダやクボタ、東芝などの経営陣の言葉だ。
会社が置かれた状況が平穏ではない。国内は消費停滞で物価が下がるデフレ。たのみは輸出だが、急激な円高がずっしり重い。企業が予想する今後3年の成長率は年0・2%。「脱・日本」と考えても無理はない。
派遣労働の禁止、排出ガスの削減、円高志向の為替政策、家計支援が最優先……。民主党政権の大方針は企業に冷たい側面を持つ。ニッポンの製造業への決別状が乱れ飛んでいるようでもある。成長は不要との声も一部にあるが、このままでは子や孫が国の借金を返すために働く国になる。
家計と企業は二律背反ではない。2007年に電機や自動車など「金属機械産業」が支払った給与総額は約25兆円。2割が海外にシフトしたら子ども手当の財源に匹敵する5兆円が吹き飛ぶ。
企業業績の不振で7~9月期の賃金総額は年換算で前年より10兆円減。上期の法人税収は初のマイナス転落で国の税収も伸びない。分配優先で企業に負担を課す「北風政策」より、企業を優遇して成長を促す「太陽政策」が必要ではないか。
11月6日、米国の経済対策でオバマ大統領は法人税減税と輸出促進策を掲げた。企業への手助けは「将来の経済成長へ向けたステップ」と説明。民間が稼いで雇用を増やせとの期待をこめた。
日本も法人税減税を検討すべきだ。市場機能を生かして経済のパイを増やし、そこから配分の原資を生み出す。KPMGインターナショナルの調査では世界の法人税率は平均25・9%。この10年で7%下がった。日本は40・69%と最高水準だ。
たとえば日韓を比べると? 韓国はおよそ24%。税率の違いでサムスン電子はシャープより年2千億円分の余裕資金があるとされる。そのサムスン電子は最近、20年までに売上高を4倍にする経営計画を固めた。韓国政府が欧州と結んだ自由貿易協定では薄型テレビで14%、自動車で10%の関税がなくなる。GDPは3%上がるという。グローバルな勝ち組は国内雇用も増やしやすい。
「国際的な企業間競争ができる環境をつくってほしい」(新日本製鉄の三村明夫会長)。日米欧の競り合いにアジアなど新興国が加わり国際競争は新たな局面にある。企業のはしごを外す時ではない。むしろ冷遇を優遇に切り替えて企業を奮い立たせる時だ。
急激な円高は企業の輸出競争力を損なう。国内経済のデフレ圧力にもなりかねない。円相場は安定が最優先で、不規則発言など不要である。
アジア勢が追い上げる中でも、環境やロボットなどの最先端で日本は突き抜けている。日用品や食品分野でグローバル化する企業も多い。日本で積み上げたきめ細かい顧客サービスや商品ノウハウ、ソフトパワーも高い競争力を持つ。
外資も担い手に
派遣労働の禁止や最低賃金引き上げは少し時間をかけて考えたらどうだろうか。来春の高卒予定者の内定率低下が深刻なのは、規制強化を嫌がる企業が採用を渋っている面がある。柔軟さを欠く労働市場は労使ともにプラスにならない。
雇用の担い手に外資も動員すればよい。仏プジョーシトロエンの出資受け入れは三菱自動車にとって環境技術を世界に広げる糸口にもなる。成長のために内需も外需も総動員する八方美人でいいんじゃないか。
日本は何で稼いでいくのか――。「日本のように人口が減る国で家計部門への分配にばかり政策が偏ることはリスクが大きい」。米コロンビア大学のロバート・マンデル教授は言う。
来年の参院選に縛られる政治の事情があるにせよ、企業が太らないことには家計の回復もままならない。つけを残して今を取り繕うより、雇用の受け皿を育て、未来を拓(ひら)く方がよい。
提言
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