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:2007:12/04/15:41 ++ EU市場、日本製に韓国の脅威(地球回覧)
若者や家族連れでにぎわうブリュッセルの家電量販店。ソニーやキヤノン、パナソニックなど日本メーカーの製品が売り場のかなりを占めている。試しに数えてみた。
薄型の大画面テレビでは日本メーカーの製品は四十五台、欧州製と韓国製はそれぞれ十七台だった。百台以上もあるデジタルカメラは全体の九割近くが日本。「日本メーカーの製品は人気がある」と販売員は話す。
欧州市場で依然として高いシェアを維持する日本の家電製品だが、死角もある。日本企業の基盤を脅かしかねないのは、欧州連合(EU)と韓国が今年五月から交渉を重ねる自由貿易協定(FTA)だ。
「韓国は保守的で、交渉は簡単には進まない」。交渉開始前に日本政府の関係者はたかをくくっていた。だが七月中旬の第二回交渉でEUは予想外の手を打った。「EU市場に輸入される韓国製品すべての関税を廃止する」(欧州委員会)という、EUの通商交渉では前代未聞の提案をぶつけ、韓国に市場開放を迫ったのだ。
□ □
EUが日本製品にかける輸入関税は家電製品が最高で一四%、自動車が一〇%。現在は韓国製品への関税も同率だが、EUは韓国への提案で段階的に関税を引き下げ、七年後にゼロにすると伝えたもよう。EU市場での韓国製品の価格は単純計算で現状より一割前後も安くなり、価格競争力は大幅に強まる。競合する日本製品が打撃を受けるのは当然だ。
英調査機関のオックスフォード・アナリティカは、EU市場での主要国の輸出品目を分析。輸出品で韓国との類似性を示す比率は米国が四六%、中国は五〇%だったが、日本は七〇%に及んだ。米国のEU向け輸出品の柱である化学品、発電設備は韓国メーカーに競争力がない。一方、日本の主要輸出品である自動車や家電製品、通信機器は韓国も競争力が高い、と指摘した。
EUと韓国のFTA交渉の思わぬ展開に日本企業も焦り始めた。日本経団連の御手洗冨士夫会長は「EUという巨大市場で後れを取るわけにはいかない」と語る。十月十日には東芝や東レ、ソニーなどの日本企業がEUとの経済連携協定(EPA)を進める研究会を立ち上げた。人口四億九千万人の市場を確保するため、民間レベルで関税の撤廃や削減を求める試みだ。だがここにも大きな盲点がある。
「欧州経済界は日本と関税の議論をする用意はない」。日・EU経済界会議のジェイコブス議長はこう明かす。経団連にあたるビジネスヨーロッパ(旧欧州産業連盟)は産業規制や安全基準では日本との調和を求めるが、日本との関税撤廃には抵抗が強いという。同議長は「経済関係の効率化に必要となれば(関税の)議論にも前向きになるだろう」と言葉を濁す。
□ □
日本企業にとっての救いは、韓国が交渉になお保守的なことだ。EUの積極的な提案にもかかわらず、韓国は市場開放に二の足を踏んでおり、FTA交渉妥結はまだ見えない。腰の重い日本政府を動かし、日本も対EUのFTA交渉を加速できるか。EU市場で日本企業は微妙な立場に置かれている。(ブリュッセル=下田敏)
薄型の大画面テレビでは日本メーカーの製品は四十五台、欧州製と韓国製はそれぞれ十七台だった。百台以上もあるデジタルカメラは全体の九割近くが日本。「日本メーカーの製品は人気がある」と販売員は話す。
欧州市場で依然として高いシェアを維持する日本の家電製品だが、死角もある。日本企業の基盤を脅かしかねないのは、欧州連合(EU)と韓国が今年五月から交渉を重ねる自由貿易協定(FTA)だ。
「韓国は保守的で、交渉は簡単には進まない」。交渉開始前に日本政府の関係者はたかをくくっていた。だが七月中旬の第二回交渉でEUは予想外の手を打った。「EU市場に輸入される韓国製品すべての関税を廃止する」(欧州委員会)という、EUの通商交渉では前代未聞の提案をぶつけ、韓国に市場開放を迫ったのだ。
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EUが日本製品にかける輸入関税は家電製品が最高で一四%、自動車が一〇%。現在は韓国製品への関税も同率だが、EUは韓国への提案で段階的に関税を引き下げ、七年後にゼロにすると伝えたもよう。EU市場での韓国製品の価格は単純計算で現状より一割前後も安くなり、価格競争力は大幅に強まる。競合する日本製品が打撃を受けるのは当然だ。
英調査機関のオックスフォード・アナリティカは、EU市場での主要国の輸出品目を分析。輸出品で韓国との類似性を示す比率は米国が四六%、中国は五〇%だったが、日本は七〇%に及んだ。米国のEU向け輸出品の柱である化学品、発電設備は韓国メーカーに競争力がない。一方、日本の主要輸出品である自動車や家電製品、通信機器は韓国も競争力が高い、と指摘した。
EUと韓国のFTA交渉の思わぬ展開に日本企業も焦り始めた。日本経団連の御手洗冨士夫会長は「EUという巨大市場で後れを取るわけにはいかない」と語る。十月十日には東芝や東レ、ソニーなどの日本企業がEUとの経済連携協定(EPA)を進める研究会を立ち上げた。人口四億九千万人の市場を確保するため、民間レベルで関税の撤廃や削減を求める試みだ。だがここにも大きな盲点がある。
「欧州経済界は日本と関税の議論をする用意はない」。日・EU経済界会議のジェイコブス議長はこう明かす。経団連にあたるビジネスヨーロッパ(旧欧州産業連盟)は産業規制や安全基準では日本との調和を求めるが、日本との関税撤廃には抵抗が強いという。同議長は「経済関係の効率化に必要となれば(関税の)議論にも前向きになるだろう」と言葉を濁す。
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日本企業にとっての救いは、韓国が交渉になお保守的なことだ。EUの積極的な提案にもかかわらず、韓国は市場開放に二の足を踏んでおり、FTA交渉妥結はまだ見えない。腰の重い日本政府を動かし、日本も対EUのFTA交渉を加速できるか。EU市場で日本企業は微妙な立場に置かれている。(ブリュッセル=下田敏)
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