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:2007:11/12/10:07 ++ 【主張】カートリッジ訴訟 消費者目線で権利論議を
リサイクル品は、量販店などで回収した使用済みカートリッジにインクを再充填(じゅうてん)し、純正品より2~3割安い価格で販売されている。問題のリサイクル品は、再充填法がキヤノンの特許権を侵害していると判断されたのである。
判決では、知的財産権保護と環境問題を視野にいれたリサイクル品の折り合いをどうつけるかが注目された。
これについて最高裁は、キヤノンの特許権を尊重しつつ、特許権侵害の判断は、純正品の属性、加工の内容などを総合的に考慮するとした。個別に判断するというのだ。確かにこれでは、リサイクル品が特許権を侵害するかどうかを事前に予測するのは難しい。
それでも、特許権問題は多様で複雑だ。セイコーエプソンのリサイクル・カートリッジをめぐる訴訟では最高裁はエプソンの特許権自体を無効とした。このように、司法判断を積み重ね、ルールを確立していくことが現実的だろう。むしろ、安易なリサイクル品排除につながりかねない画一的な判断基準を避けたことを評価したい。
忘れてはならないのは、多くの消費者が「純正品は高い」との不満を抱いている事実だ。
プリンターメーカーは「品質・信頼性の維持に必要なコスト、技術開発料も加味した価格」と説明する。しかし、メーカーは本体機器の価格を抑える一方、カートリッジを高くして収益を確保している。これが純正品価格を高止まりさせている理由の一つだ。
インクは消耗品だ。近年はファクシミリ兼用プリンターも普及し、インク消費量は増えている。これからシーズンを迎える年賀状印刷の際は、相当量のカートリッジが必要になる。「少しでも安いものを」というのは消費者の当然、かつ切実な欲求なのだ。
リサイクル業者だけでなく消費者団体も、判決を機にリサイクル品排除の動きが強まることを警戒している。
知財保護が重要なのはいうまでもない。同時に、保護される側も、消費者の目線を常に意識すべきだ。そうでなければ、知的財産の全体の議論をゆがめかねない。
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