(2007/09/26 05:06)
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:2007:09/26/10:18 ++ 【主張】福田新内閣 「内向きの競争」を排せ 改革と国際的責務の遂行を
新官房長官には派閥の先輩格にあたる町村信孝外相が回り、外相には高村正彦防衛相、防衛相には旧防衛庁長官経験者の石破茂氏が起用された。
国会会期中という制約からほとんどの閣僚を再任し、独自色を発揮しにくいなかでも、インド洋での海上自衛隊の補給活動延長への対応を重視した布陣だ。国際社会における責務を果たす姿勢を示したことは評価できる。
額賀福志郎財務相や渡辺喜美金融・行革担当相らも再任され、構造改革路線が基本的に維持された格好だ。
≪財源で民主と論戦を≫
参院選大敗の後遺症を抱え、政権政党として危機にさらされる中での首相就任である。混迷の後だけに、自民党には「落ち着きを取り戻したい」気分が広がり、それに応える人材として福田氏が総裁選を制した。
新首相に信頼感、安定感を求める国民の声が強いのも事実だが、安倍政権の破綻(はたん)の原因は政権運営のつたなさにあり、改革の歩みを小休止させることまで容認されたとはいえまい。
究極の構造改革である財政再建では、目の前に来年度予算の編成がある。だが、参院選大敗や公明党との政権協議を受け、早くも高齢者医療費自己負担問題などで財政規律に緩みがみられるのが心配だ。
年末に向けて最大の焦点は基礎年金国庫負担割合引き上げの財源問題である。公明党は定率減税廃止分を想定し、民主党は税率据え置きで基礎年金すべてを消費税で賄う考えという。
福田首相はまだ方針を明確にしていないが、一昨年の骨太の方針が示した「新たな安定的財源」は消費税を指し、それは2011年度の基礎的財政収支黒字化の前提でもある。首相はこの路線で財源の裏付けがない民主党と堂々と論戦すべきだろう。
道路特定財源の一般財源化も懸念が残る。道路歳出を上回る分を一般財源化するとした安倍前政権の決着も中途半端だったが、福田政権では地方の格差是正を背に道路族が復権した。首相の言う環境への使途拡大だけでなく大胆な一般財源化を求めたい。
地方間格差問題では公共事業や地方交付税の増額圧力も強い。農家の戸別所得補償を打ち出している民主党への対抗意識もあるのだろうが、財政悪化は国の方がはるかにひどい。格差是正は谷垣禎一新政調会長の持論でもある地方法人2税で行うのが筋だろう。
福田首相はねじれ国会を意識してか、民主党との協議を強調する。しかし、「政治の安定」を重視するあまり財源の裏付けを欠く政権公約が目立つ民主党との場当たり的妥協を重ねれば、ばらまき競争に陥りかねない。
民主党も、受益と負担のバランスを失しては、持続可能な社会保障制度構築も財政健全化もできないことを十分承知のはずだ。そのために競うのは改革であって、それを後退させるような与野党協議であってはなるまい。視野に入り始めた衆院選に向け、大衆迎合的な政策を与野党が競い合うようでは内向きすぎる。
≪補給活動の延長貫け≫
首相指名選挙は衆参の指名が異なり、福田氏への指名が正式に決まるまで両院協議会をはさんで4時間余りを要した。衆参のねじれ現象の現実を初日から突き付けられた形だ。海自の補給活動延長問題が最初の試金石となる。政府は民主党の出方にかかわらず、確実に延長を実現する方針を固めておくべきだろう。
政治とカネの問題への対処も焦点だ。自公政権協議では政治活動費などで「1円以上の領収書」をすべて添付することで合意したが、公開方法については結論は持ち越された。
福田首相が支部長を務める自民党群馬県第4選挙区支部が、北朝鮮系企業から、計20万円の寄付を受け、その後返金したという。「自分の手で解決する」と語った拉致問題に影響させてはなるまい。
安倍政権では閣僚の不適切な政治資金の処理が相次いで表面化した。新内閣は透明性を高め、首相自らが強調しているように政治の信頼回復に努めるべきである。
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