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:2010:12/02/11:20 ++ どこへ行く日本の安保(下)疲弊する米、内向きの誘惑。
難しい国内事情は分かるが、それでも移設をやり遂げてほしい――。オバマ米大統領は11月、横浜で菅直人首相と会談した際、米軍普天間基地問題についてこんな思いを強くにじませたという。
オバマ政権は在日米軍経費の日本側負担(思いやり予算)でも、削減で動いていた菅政権に逆に「増額」を求めた。
「あの発言を機に米側の声音が変わった」。日本の政府高官は米側の対日姿勢が、2人の米議員の爆弾発言からより厳しくなったと証言する。
その1人が、年明けの新会期から下院軍事委員長に就くハワード・マケオン議員だ。
沖縄撤収発言も
「中国が急速に軍事的脅威になっているのに、日本は米軍のありがたみを分かっていない」。7月の同委公聴会で、普天間などへの日本の対応にこう憤った。
さらに過激だったのが、同月のバーニー・フランク米下院金融委員長のテレビ番組での発言だった。「沖縄の1万5000人の海兵隊員が中国に上陸して、何百万人もの人民解放軍と戦うなんて誰も思っていない」。在日米軍の大規模な撤収を提唱したのである。
2010会計年度の米財政赤字は1兆5000億ドル(約135兆円)を超す。アフガニスタンでの戦費ものしかかる。予算編成権を持つ議会としては、地球の裏側まで面倒見切れないというのが本音だ。南シナ海や東シナ海では中国軍の海洋進出に拍車がかかっている。オバマ政権は懸念を深めており、今のところはむしろアジアへの軍事関与を強める方向にある。
だが、厳しい財政事情や疲弊する米軍に直面しながら、オバマ政権がその意思を貫徹できるかを疑問視する向きもある。
北朝鮮の韓国砲撃で揺れる朝鮮半島。この危機をめぐっても、太平洋を隔てた米国と日韓には微妙な温度差がある。
「オバマ大統領は激怒していた」。北朝鮮による砲撃直後、ビル・バートン副報道官はこう説明した。ギブズ報道官の非難声明も素早かった。だが、それ以降、大統領が自らの言葉で北朝鮮を責める場面はない。動揺する日韓を尻目に感謝祭休みをバスケットボールをして楽しんだ。
アフガンが重荷
慎重なオバマ政権の対応からは、イラクとアフガニスタンでの戦争、一触即発のイラン問題を抱え、北朝鮮とはことを荒立てたくない、との心持ちが見え隠れする。
「戦略を変えずにいることはありがたい」。ブッシュ前政権で北朝鮮政策を担当したビクター・チャ元米国家安全保障会議(NSC)アジア部長は11月下旬、6カ国協議の現在の米首席代表であるソン・キム特使にこう語りかけた。
チャ氏が関わった米朝国交樹立を視野に入れた対話路線と、オバマ政権の「安易な対話には応じない方針」のどこが同じなのか。共通しているのは北朝鮮の挑発にのらず、アフガン駐留米軍撤収のメドがつくまで忍耐を重ねるという発想だ。
1日に終わった黄海での米韓の合同軍事演習は、かねて準備されていたものだ。米国防総省のラパン副報道官は「在韓米軍を増強する予定はない」と明言する。
米軍のある幹部は「北朝鮮の軍事施設を空爆するのは簡単だが、中国がどう反応するかが分からない。軍事行動はあり得ない」と自重する。
こんな米国の限界を北朝鮮も見透かす。危機管理が専門のユーラシア・グループのイアン・ブレマー社長は「北朝鮮はソウル攻撃以外の挑発ならば反攻はないと算段している」とみる。
半島危機と中国の軍拡に隣り合わせの日韓。長引くアフガン戦争や景気の低迷で疲弊する米国。「世界の警察」を米国が任じられなくなったとき、日本の安保体制に空白が生まれかねない。
オバマ政権は在日米軍経費の日本側負担(思いやり予算)でも、削減で動いていた菅政権に逆に「増額」を求めた。
「あの発言を機に米側の声音が変わった」。日本の政府高官は米側の対日姿勢が、2人の米議員の爆弾発言からより厳しくなったと証言する。
その1人が、年明けの新会期から下院軍事委員長に就くハワード・マケオン議員だ。
沖縄撤収発言も
「中国が急速に軍事的脅威になっているのに、日本は米軍のありがたみを分かっていない」。7月の同委公聴会で、普天間などへの日本の対応にこう憤った。
さらに過激だったのが、同月のバーニー・フランク米下院金融委員長のテレビ番組での発言だった。「沖縄の1万5000人の海兵隊員が中国に上陸して、何百万人もの人民解放軍と戦うなんて誰も思っていない」。在日米軍の大規模な撤収を提唱したのである。
2010会計年度の米財政赤字は1兆5000億ドル(約135兆円)を超す。アフガニスタンでの戦費ものしかかる。予算編成権を持つ議会としては、地球の裏側まで面倒見切れないというのが本音だ。南シナ海や東シナ海では中国軍の海洋進出に拍車がかかっている。オバマ政権は懸念を深めており、今のところはむしろアジアへの軍事関与を強める方向にある。
だが、厳しい財政事情や疲弊する米軍に直面しながら、オバマ政権がその意思を貫徹できるかを疑問視する向きもある。
北朝鮮の韓国砲撃で揺れる朝鮮半島。この危機をめぐっても、太平洋を隔てた米国と日韓には微妙な温度差がある。
「オバマ大統領は激怒していた」。北朝鮮による砲撃直後、ビル・バートン副報道官はこう説明した。ギブズ報道官の非難声明も素早かった。だが、それ以降、大統領が自らの言葉で北朝鮮を責める場面はない。動揺する日韓を尻目に感謝祭休みをバスケットボールをして楽しんだ。
アフガンが重荷
慎重なオバマ政権の対応からは、イラクとアフガニスタンでの戦争、一触即発のイラン問題を抱え、北朝鮮とはことを荒立てたくない、との心持ちが見え隠れする。
「戦略を変えずにいることはありがたい」。ブッシュ前政権で北朝鮮政策を担当したビクター・チャ元米国家安全保障会議(NSC)アジア部長は11月下旬、6カ国協議の現在の米首席代表であるソン・キム特使にこう語りかけた。
チャ氏が関わった米朝国交樹立を視野に入れた対話路線と、オバマ政権の「安易な対話には応じない方針」のどこが同じなのか。共通しているのは北朝鮮の挑発にのらず、アフガン駐留米軍撤収のメドがつくまで忍耐を重ねるという発想だ。
1日に終わった黄海での米韓の合同軍事演習は、かねて準備されていたものだ。米国防総省のラパン副報道官は「在韓米軍を増強する予定はない」と明言する。
米軍のある幹部は「北朝鮮の軍事施設を空爆するのは簡単だが、中国がどう反応するかが分からない。軍事行動はあり得ない」と自重する。
こんな米国の限界を北朝鮮も見透かす。危機管理が専門のユーラシア・グループのイアン・ブレマー社長は「北朝鮮はソウル攻撃以外の挑発ならば反攻はないと算段している」とみる。
半島危機と中国の軍拡に隣り合わせの日韓。長引くアフガン戦争や景気の低迷で疲弊する米国。「世界の警察」を米国が任じられなくなったとき、日本の安保体制に空白が生まれかねない。
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