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:2007:12/11/09:26 ++ 内部告発もう隠せない(上)誰でも発信―「生活者」自社突き放す。
北海道土産「白い恋人」や老舗和菓子「赤福」の改ざん、ニチアスの建材性能偽装など、企業の不正・不祥事ドミノが止まらない。いずれも発覚のきっかけは関係者による内部告発だ。一本の電話、一通の文書がトップの進退にまで及び、経営を揺さぶる。内部告発急増の実態と背景を追う。
◇
リチウムイオン電池の回収で過去最大(四千六百万個)となった松下電池工業製品のトラブル。松下と納入先の携帯電話世界大手のノキア(フィンランド)などが事実を公表する四日前の八月十日、一部マスコミに告発文書が届けられていた。
「(発火・発熱事故を公表せず)放置する松下とノキアのスタンスは非難されるべきだ」。封書の消印は松下電池や親会社・松下電器産業の本社に近い大阪府守口市の郵便局。事故件数も書かれ、内部社員によるものであることはほぼ間違いなかった。松下はこの時点で「把握していない」(幹部)との対応だったが、直後から公表準備に追われることになる。
トップ指示に基づく組織ぐるみの隠ぺい工作も、告発によって簡単に突き崩される。「不正を知っている。対応しなければ報道機関に流す」。十月十六日、ニチアスの川島吉一社長(当時)に手紙が届いた。建材の耐火性能を偽装している内容だ。川島氏は社内調査で一年前に知りながら、「納入先の住宅メーカーに迷惑をかける」として隠ぺいを決めていた。
十月三十日、報道陣に頭を下げた川島氏は「告発がなければ公表しなかったのか」との問いに力なく「はい」と答えた。その後、同氏は辞任(後任に十一月三十日付で矢野邦彦専務就任)、ニチアスの二〇〇七年九月中間期の連結は百五十二億円の最終赤字に陥った。株価は発覚前の約四分の一で低迷したままだ。
不正隠ぺいが告発によって初めて世間に知らされる。その代償は大きい。食肉偽装のミートホープ(札幌市)は自己破産、比内鶏(秋田県大館市)も経営破綻が確実だ。
いつの時代も告発や怪文書のたぐいは珍しくない。ただ、これまでは社内の派閥・人事抗争から特定の個人や集団を標的にしたものが多かった。最近では電力業界の法令違反発覚の“震源”となった中国電力データ改ざんも経営層の内部抗争に端を発するといわれる。
一般社員が会社に不利になる事を告発する例はまれだったが「今はためらうことがない」。企業の危機管理に詳しい横山雅文弁護士はこう言う。
誰でも発信者――。変化の背景として、横山氏は企業への帰属意識の低下を指摘する。バブル後の不況を克服する過程の人員削減、その後の景気拡大でも「業務量ほど人員は増えず、無理を強いられていると感じている従業員は少なくない」。
リスクコンサルタントの浦嶋繁樹・日本アルマック(東京・千代田)社長は「消費者と接するサービス業の従業員が増え、生活者の立場から自社を突き放して見る傾向が強まった」と分析する。公表をためらう情報でも、個人が発信に抵抗を感じなくなったことも無関係ではない。不特定多数が匿名で書き込むネット掲示板。赤福(三重県伊勢市)は発覚の数カ月前から改ざんが話題にのぼり、石屋製菓(札幌市)の白い恋人は手順なども克明に記されていた。
“告発先進国”の米国では、告発者が雑誌などで「時の人」として実名で紹介されることも珍しくない。企業に危機管理を指南するプロティビティジャパン(東京・千代田)の粟野友仁アソシエート・ディレクターによると、「政府補助金を不正受給した企業を訴え、勝訴して政府から報奨金を受け取る人もいる」。
内部告発の多発は企業社会にとって正常な姿ではない。隠せないのであれば不正を起こさない。不正をみつけたら、すぐに公表する。そんな当たり前の行動が企業経営者に求められている。
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リチウムイオン電池の回収で過去最大(四千六百万個)となった松下電池工業製品のトラブル。松下と納入先の携帯電話世界大手のノキア(フィンランド)などが事実を公表する四日前の八月十日、一部マスコミに告発文書が届けられていた。
「(発火・発熱事故を公表せず)放置する松下とノキアのスタンスは非難されるべきだ」。封書の消印は松下電池や親会社・松下電器産業の本社に近い大阪府守口市の郵便局。事故件数も書かれ、内部社員によるものであることはほぼ間違いなかった。松下はこの時点で「把握していない」(幹部)との対応だったが、直後から公表準備に追われることになる。
トップ指示に基づく組織ぐるみの隠ぺい工作も、告発によって簡単に突き崩される。「不正を知っている。対応しなければ報道機関に流す」。十月十六日、ニチアスの川島吉一社長(当時)に手紙が届いた。建材の耐火性能を偽装している内容だ。川島氏は社内調査で一年前に知りながら、「納入先の住宅メーカーに迷惑をかける」として隠ぺいを決めていた。
十月三十日、報道陣に頭を下げた川島氏は「告発がなければ公表しなかったのか」との問いに力なく「はい」と答えた。その後、同氏は辞任(後任に十一月三十日付で矢野邦彦専務就任)、ニチアスの二〇〇七年九月中間期の連結は百五十二億円の最終赤字に陥った。株価は発覚前の約四分の一で低迷したままだ。
不正隠ぺいが告発によって初めて世間に知らされる。その代償は大きい。食肉偽装のミートホープ(札幌市)は自己破産、比内鶏(秋田県大館市)も経営破綻が確実だ。
いつの時代も告発や怪文書のたぐいは珍しくない。ただ、これまでは社内の派閥・人事抗争から特定の個人や集団を標的にしたものが多かった。最近では電力業界の法令違反発覚の“震源”となった中国電力データ改ざんも経営層の内部抗争に端を発するといわれる。
一般社員が会社に不利になる事を告発する例はまれだったが「今はためらうことがない」。企業の危機管理に詳しい横山雅文弁護士はこう言う。
誰でも発信者――。変化の背景として、横山氏は企業への帰属意識の低下を指摘する。バブル後の不況を克服する過程の人員削減、その後の景気拡大でも「業務量ほど人員は増えず、無理を強いられていると感じている従業員は少なくない」。
リスクコンサルタントの浦嶋繁樹・日本アルマック(東京・千代田)社長は「消費者と接するサービス業の従業員が増え、生活者の立場から自社を突き放して見る傾向が強まった」と分析する。公表をためらう情報でも、個人が発信に抵抗を感じなくなったことも無関係ではない。不特定多数が匿名で書き込むネット掲示板。赤福(三重県伊勢市)は発覚の数カ月前から改ざんが話題にのぼり、石屋製菓(札幌市)の白い恋人は手順なども克明に記されていた。
“告発先進国”の米国では、告発者が雑誌などで「時の人」として実名で紹介されることも珍しくない。企業に危機管理を指南するプロティビティジャパン(東京・千代田)の粟野友仁アソシエート・ディレクターによると、「政府補助金を不正受給した企業を訴え、勝訴して政府から報奨金を受け取る人もいる」。
内部告発の多発は企業社会にとって正常な姿ではない。隠せないのであれば不正を起こさない。不正をみつけたら、すぐに公表する。そんな当たり前の行動が企業経営者に求められている。
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